著者
根本 敏則 林 克彦 中拂 諭
出版者
日本物流学会
雑誌
日本物流学会誌 = Journal of Japan Logistics Society (ISSN:13493345)
巻号頁・発行日
no.21, pp.207-214, 2013-05

近年、中国において宅配便市場が急速に成長している一方、サービス水準の低さに起因するクレームの件数も急増している。そのため中国政府は、宅配サービスを提供する企業に対して様々な規制や制度を設けている。本稿では、日本と中国の宅配便市場発展を振り返ることにより、その一般的な発展モデルを構築し、日本との比較において中国の発展プロセスの特徴を把握する。さらに現地調査により、中国でのオベレーションの実態を把握したうえで、宅配便市場の成長、サービス水準向上のために、様々な規制や制度がどう影響するかを考察する。
著者
若林 恭子 武藤 志真子 神戸 絹代 石川 元康
出版者
日本健康学会
雑誌
日本健康学会誌 (ISSN:24326712)
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.12-23, 2018-01-31 (Released:2018-02-16)
参考文献数
17

The influence of stress on employee health has recently increased. The present study aims to clarify the relationship between eating behavior and stress as factors in obesity, which has become a central issue for lifestyle-related disease prevention. We surveyed 220 male employees between February and March 2014 and examined relationships among eight categories of eating behavior in four groups: obesity and high-stress (Group I), obesity and low-stress (Group II), non-obesity and high-stress (Group III) and non-obesity and low-stress (Group IV). We previously compared the scores for each category of four groups with those of a group with normal weight using t-tests. Here, we compared our earlier findings with those from the four groups described above. The responses showed that Groups I and III differed significantly in all categories related to eating behavior. This indicated that high stress was associated with changes in eating behavior and that some respondents had problems with eating behaviors regardless of whether they were obese. These results indicate that health guidance is needed in the future to understand the stress levels of obese individuals.
著者
小林 哲
出版者
中央公論社
雑誌
ウイル (ISSN:02867877)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.p96-100, 1983-01
著者
宗林 正人
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.38-44_2, 1960-03-30 (Released:2009-02-12)
参考文献数
15
被引用文献数
7 7

25属34種のアブラムシについて口針が植物組織にそう入される状態を観察した。その結果の果要は次のとおりである。1) 口針を表皮組織にそう入する際,ほとんどすべての種類では,表皮細胞間または細胞内を貫通するが,あるものは気孔からそう入し,同一種でも一定しない。しかし,カンショワタアブラムシCeratovacuna lanigera ZEHNTNER(ススキ)およびマツノハアブラムシSchizolachnus orientalis TAKAHASHI(アカマツ)の2種は常に気孔からのみそう入する。2) 口針が植物組織内に進入するときには一般に細胞間を通るが,細胞内を貫通することもしばしばあり,結晶体を含む細胞も容易に貫通する。厚膜組織では細胞内を貫通することはまれで,細胞間のみを通るか,あるいはこの組織を避けて柔組織を通る場合が多い。しかしマツノハアブラムシSchizolachnus orientalis TAKAHASHIでは,常にアカマツ針葉組織細胞内のみを貫通する。3) 口針しょうは細胞間を通過する部分よりも細胞内を貫通した部分に顕著で,また表皮と口ふんの先端との間,あるいは葉しょうと茎との間の空気中にも形成される。口針しょうは口針内の気密を保つためにも役だつものと思われる。4) 口針の先端はほとんど常にし部細胞内,特にし管内にそう入される。皮層細胞内にそう入されたものは見られなかったが,まれに木部あるいは管束しょうにそう入されていた個体も見られた。また口針はそう入部から最も近いし部に達するとはかぎらず,皮層を遠回りし,あるいは髄線を経て髄にはいりし部に達するもの,あるいはし部または木部のみを通過することがある。また口針はし部で同一細胞からのみ吸汁するものではなく,たびたび新しい細胞に刺し変えるため口針こん跡の分枝したものが多数みられた。
著者
林 元英
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.205-214, 1977 (Released:2007-03-29)
参考文献数
7
被引用文献数
28 33

生薬紫根の薬理学的研究の一環として,その代表的製剤である紫雲膏の炎症反応に対する影響を,紫根ならびに当帰工一テルエキス軟膏の局所適用と比較検討した.紫根エキスはhistamine, bromelain, bradykininおよび抗ラット・ウサギ血清によって惹起した血管透過性充進を明らかに抑制した.抗ラット・ウサギ血清および熱刺激による浮腫に対しても有意な抑制作用を示し,紫外線照射ならびに熱刺激による局所皮膚温の上昇をも抑制した.創傷治癒に対しては創傷部の牽引法および面積法の両方法において明らかな治癒促進効果を示した.紫根エキスによるこれらの作用は0.2~0.1%濃度が最も強力で,それより上下の濃度になるにつれて効果は減弱した.当帰エキスは血管透過性充進を軽度抑制し,濃度の高い程作用も強く,急性浮腫に対しては0.04%濃度軟膏のみに抑制作用が認められた.しかし炎症性皮膚温の上昇や創傷治癒に対しては何ら影響しなかった.紫雲膏は紫根および当帰成分をそれぞれ0.2%,および0.04%含有し,両者が最も強力な効果を示す理想的な濃度を含有することが認められた.そして紫雲膏は紫根エキスと同様な作用を示し,当帰配合による有意差は認められなかったものの,紫根単独より多少強力な効果を呈した.それ故紫雲膏は炎症性の腫張ならびに発赤,発熱を抑制し,創傷治癒を促進すると共に紫根には抗菌作用があると言われるので外傷などの治療薬として好ましい製剤であることが認められた.
著者
熊谷 伊織 小林 一也 野沢 峻一 垣内 洋平 吉海 智晃 岡田 慧 稲葉 雅幸
出版者
一般社団法人 日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.31, no.10, pp.985-991, 2013 (Released:2014-01-15)
参考文献数
10

When a humanoid robot works with a human, it is needed for the robot to pass and receive objects. The robot has to detect that the laden objects are operated by the human on the whole body in object passing tasks. It is important that the robot detects not only push but shear generated by pulling action and twist generated by rotating action for the robot to detect human operations. In this paper, we dispersedly arranged 347 multi-axis soft tactile sensors to a humanoid robot. The multi-axis soft tactile sensors are small muti-axis sensors with urethane structure and they can be placed densely on body of a humanoid. We calculate a deformation vector from the deformation of sensor's upper surface using the output of a muti-axis soft tactile sensor. Next, we suggest the method to detect deformation state in contact surface consisting of soft tactile sensors using deformation moment and average of deformation vectors in the contact surface. Finally, we confirmed the usefulness of the fullbody tactile sensor cover and contact state detector by object passing experiment between a human and a robot.
著者
丹波 寛子 高橋 久美子 大倉 雅絵 佐藤 栄子 佐々木 司郎 伏見 悦子 竹内 雅治 高橋 俊明 関口 展代 林 雅人
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 第54回日本農村医学会学術総会 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
pp.68, 2005 (Released:2005-11-22)

[はじめに]たこつぼ型心筋障害(以下TAKO)は冠動脈攣縮やカテコラミン上昇など種々の原因が想定されているが、その詳細は不明であり、また経過中に心尖部肥大(以下APH)様を呈した報告は非常に稀である。我々は、TAKO経過中にAPH様を呈した2症例を経験したので報告する。[症例]〈症例1〉76歳女性。平成16年8月冷や汗を伴う胸痛が出現し前医を受診。心電図(以下ECG)のV3-4でST上昇、心エコー図(以下UCG)で心尖部領域に壁運動異常があり急性心筋梗塞(以下AMI)あるいはTAKOが疑われ、当院へ救急搬送された。緊急冠動脈造影(以下CAG)で有意病変は認められなかったが、左室造影(以下LVG)では心尖部がakinesisであることからTAKOと診断された。胸部X-pで心拡大、肺うっ血像、胸水は認められなかった。peak CK 279IU/l、CK-MB 9.9ng/ml。UCG所見として初診時は、乳頭筋レベルの前壁中隔から心尖部でakinesis 、壁の菲薄化と内腔拡大があった。また左室基部が過収縮なため、左室流出路では60mmHg程の圧較差が認められ、左室全体の収縮能としてはEF20-30%に低下していた。血圧低下があり少量のβ遮断薬が使用された。第16病日、内腔が縮小、EF87%と改善され、左室流出路の圧較差も消失していた。しかし、心尖部短軸断面では急性期のakinesis部に一致して壁が肥厚し、拡張期の内腔狭小化と拡張障害の所見があり、心尖部肥大型心筋症様の形態を呈していた。6か月後のUCGでは肥厚はみられず、収縮拡張ともに良好に改善されていた。ECG変化として、初診時はV2-6の軽度ST上昇のみで、第16病日にはI,II,III,aVL,aVF,胸部誘導に陰性T波、特にV3-5は巨大陰性T波を示したが6か月後には消失していた。〈症例2〉65歳女性。前医にて平成14年12月くも膜下出血術後、約1か月後にV-Pシャント術を施行。術後よりECGのV3-6でST上昇があり、AMI疑いで当院へ救急搬送された。緊急CAGでは有意病変は認められなかったが、LVGでは心基部が過収縮で、中部から心尖部にかけてdyskinesisであった事より、TAKOと診断された。胸部X-pで心拡大、肺うっ血像、胸水は認められなかった。peak CK 276IU/l、CK-MB 29ng/ml。UCG所見として初診時、基部の収縮は良好だったが乳頭筋レベルから心尖部でakinesis、壁の菲薄化も認められた。第4病日、心尖部側は縮小していたが、心尖部短軸断面では肥厚があり、内腔の拡張期狭小化と収縮拡張能の低下があった。また乳頭筋レベルの前壁中隔も厚い印象をうけた。ECGは初診時、I,II,III,aVL,aVF,V2-6でST上昇があり、第4病日には同誘導は陰性T波へ、特にV2-4では巨大陰性T波と変化した。第10病日には前医へ転院し、5か月後のECGでは発症前にほぼ戻っていたが、その後、不慮の事故により他界されたため改善後のUCGのfollowはされていない。[考察]今回報告した症例は、一例はくも膜下出血術後、もう一例はβ遮断薬が奏功したことより内因性カテコラミンの過剰分泌状態であったことが示唆される。一方、心尖部肥大型心筋症においては、心尖部の交感神経受容体異常が知られ、その成因に内因性カテコラミンの関与が報告されている。以上より、今回の2症例が経過中にAPH様を呈したことにおいて、カテコラミンの過剰分泌の関与が強く疑われた。[結語]TAKO経過中にAPH様を呈する2症例経験したが、その原因は不明である。今後多数例の検討を重ね、その病態および原因を追究していく必要がある。
著者
小林 裕之
出版者
森林計画学会
雑誌
森林計画学会誌 (ISSN:09172017)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.69-79, 2020-05-19 (Released:2020-08-08)
参考文献数
11
被引用文献数
3

小林裕之:撮影高度とDTMの違いがUAV­SfMによる森林計測に及ぼす影響,森林計画誌53:69~79,2020 UAV­SfMによる森林計測法の確立を目指し,3種類の撮影高度(80,100,120m)と3種類のDTM(0.5,5,10m メッシュ)を組み合わせて,一般向けのUAVによりスギ林の空撮を行った。SfMおよびGISソフトウェアにより樹頂点を決め,樹高,樹冠面積を計測し,胸高直径および材積を推定した。計測精度が最も高かったのは,撮影高度100mと0.5m メッシュDTMの組み合わせであり,立木本数は86本(地上調査は92本),平均樹高は25.29m(同24.81m),プロット材積は104.5m3(同107.6m3)であった。
著者
河上 邦彦 泉 武 宮原 晋一 卜部 行弘 岡林 孝作 名倉 聡
出版者
一般社団法人 日本考古学協会
雑誌
日本考古学 (ISSN:13408488)
巻号頁・発行日
vol.6, no.7, pp.95-104, 1999-05-14 (Released:2009-02-16)

黒塚古墳は奈良盆地の東南部,奈良県天理市柳本町に所在する全長約130mの前方部を西に向けた前方後円墳である。周辺一帯には多数の前期古墳が集中して分布し,大和古墳群と呼ばれる。1997年8月~1998年5月,1998年7月~1999年2月にかけて,奈良県立橿原考古学研究所・天理市教育委員会を主体とする大和古墳群調査委員会によって学術発掘調査が実施された。埋葬施設は後円部中央に南北に設けられた内法長約8.3mにおよぶ大規模な竪穴式石室である。石室石材は川原石と大阪府柏原市に産出する芝山玄武岩・春日山安山岩板石を使用する。石組の排水溝を備えているほか,石室の構築にあたっては前方部に向かってのびる切り通し状の作業道(墓道)を設けていたことが判明した。石室内におさめられていた木棺は,クワ属の巨木を使用した長さ6.2m,最大直径1mを超える割竹形木棺である。中世に大規模な盗掘を受けているが,それ以前に石室が大きく崩壊していたことが幸いし,盗掘は基本的に石室床面付近にはおよんでいない。結果として,副葬品の大半は後世の撹乱を免れ,奇跡的に埋葬当時の状況をとどめていた。副葬品は三角縁神獣鏡33面,画文帯神獣鏡1面のほか,大量の鉄製武器・武具・農工具類など豊富である。三角縁神獣鏡33面はすべて舶載鏡で,鏡式の上では三神三獣鏡を含まず,現在までに知られる最古の組み合わせである。7種15面の同笵鏡を含み,京都府山城町椿井大塚山古墳出土鏡との間に10種の同笵鏡を分有する。棺内副葬品は画文帯神獣鏡1面と若干の刀剣類のみで,それら以外はすべて木棺と石室壁体との隙間に置かれていた。また,三角縁神獣鏡はいずれも木棺側に鏡面を向け,西棺側に17面,東棺側に15面,棺北小口に1面を,棺の北半部をコの字形に取り囲むように配列していた。前期古墳の豊富な副葬品の内容と,副葬時の配列方法が具体的に判明する貴重な資料である。同時に,作業道(墓道)・排水溝の存在や石室壁体の構築状況,副葬品の配列状況などから,古墳祭祀の具体的復元に向けての良好な資料が得られた。築造時期は古墳時代前期前半と考えられる。