著者
津田 尚胤 貝戸 清之 山本 浩司 小林 潔司
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F (ISSN:18806074)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.473-491, 2006 (Released:2006-07-20)
参考文献数
41
被引用文献数
4 5

土木施設のアセットマネジメントにおいて,土木施設の劣化予測が重要な課題となる.現実には,劣化状態に関する点検データが十分でなく,劣化予測モデルの推計精度が十分でない場合が少なくない.その際,技術者の経験的知識等を劣化予測に活用するとともに,新しく利用可能になった点検データに基づいて,劣化予測モデルの推計精度を逐次改良するような方法論が必要となる.本研究では,土木施設の故障の有無を予測するためのワイブル劣化ハザードモデルを,新しく利用可能になった点検データに基づいてベイズ推計する方法論を提案する.その際,マルコフ連鎖モンテカルロ法を用いて,未知パラメータの事後分布を効率的に推計する方法を提案する.さらに,トンネル照明ランプを対象とした適用事例を通して,提案した方法論の有効性について考察する.
著者
常川 真央 朝岡 誠 大波 純一 河合 将志 林 正治 南山 泰之 藤原 一毅 込山 悠介
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2020-IOT-51, no.10, pp.1-11, 2020-08-27

学術機関における IT センターや図書館が提供するリサーチデータマネージメント (RDM) サービスは,の研究活動を支援するサービスであり,研究データのライフサイクルを形成できるように設計されていることが重要である.特に,RDMサービスは,研究者の研究活動に密着したサービスであり,従来の論文検索サービスのように,研究者に直接提供されるサービスだけでなく,研究者に間接的に提供される研究支援サービスとの高度な連携も必要になる.そのためには,RDM サービスに関連するシステムの開発担当者が共通のユーザーストーリーを有し,円滑に連携できるように機能を設計する必要がある.そこで,本研究では RDM サービスの事例研究として,ユーザーの研究活動の適合性という観点から筆者らが開発する研究データ基盤である NII Research Data Cloud (NII RDC) のシステム機能要件を検討した.検討にあたってはユーザー中心設計の理念に則り,(1) NII RDC が想定するユーザーストーリーの集約 (2) ペルソナマーケティング (3) ユーザーストーリーマッピングを実行した.その結果,RDM サービスのシステム機能要件として,研究計画に沿った研究データ環境の構成や,研究終了後の研究データ公開プロセスに関する機能について,単純にシステム間の接続だけでなく,キュレーションの業務プロセスの共有など,高度な支援が必要であることが分かった.今後の展望としては,NII RDC の基盤間連携にあたり相互運用性を高めるための API や共通データモデルの策定などを検討したい.
著者
小林 浩之
出版者
九州大学
巻号頁・発行日
2014

元資料の権利情報 : Fulltext available.
著者
西嶋 一欽 丸山 敬 林 泰一 高橋 徹 友清 衣利子 伊藤 耕介
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は、台風に先回りして容易に設置可能な風圧計測デバイスを開発することで、台風通過時に建築物が密集した都市部に位置する低層建築物に作用する風圧を実測する。さらに、実測した建築物に対して、その周辺の遮蔽物の有無を段階的に変化させた風洞実験を実施し、実測値と比較することで、都市部に位置する低層建築物に作用する風圧特性を決定づける要因を類型化し、周辺環境の何をどこまで再現すれば十分な精度で風圧を評価できるかを明らかにする。得られた知見を用いれば、都市のどこに大きな風圧が作用し得るかを明らかにすることが可能になり、都市型強風災害リスク分析の高度化や耐風補強に関する意思決定に貢献できる。
著者
小林 和也 中田 行彦
出版者
京都大学数理解析研究所
雑誌
数理解析研究所講究録 (ISSN:18802818)
巻号頁・発行日
no.2032, pp.34-37, 2017-06

本稿では、SNS(ソーシャルネットワークサービス)の流行を記述する数理モデルのダイナミクスを考察する。SNSの流行モデルは、SIR型感染症モデルを基に、非線形な常微分方程式で定式化されており、その解挙動も類似なものとなっている。解の極限が満たす方程式(最終規模方程式)を導出する。この最終規模方程式を解析すると、最初期にSNSの利用や参加に消極的な人口の数が少ないほど、最終的にSNSの利用を止めたユーザー数は多くなることが示される。
著者
鈴木 和男 髙橋 啓 岡崎 富男 小林 茂人 Jayne David Merkel Peter A.
出版者
帝京大学 アジア国際感染症制御研究所
雑誌
ADC Letter for Infectious Disease Control (ISSN:21895171)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.39-49, 2020

川崎富作先生が、2020年 6 月 5 日に95歳で逝去されました。 ADC 研と関係の深い 6 人の先生方に川崎先生を偲んで、想い出の文章やお手紙をいただきましたので、以下に掲載いたします。 また、川崎富作先生の偉業と死亡についての記事がThe Washington Post: June 14, 2020 にも掲載されました。
著者
宮田 一弘 小泉 雅樹 岩井 優香 小林 正和 臼田 滋
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.118-126, 2016 (Released:2016-04-20)
参考文献数
33

【目的】Balance Evaluation Systems Test(以下,BESTest),Mini-BESTest,Brief-BESTest およびBerg Balance Scale(以下,BBS)の得点分布の特性と転倒予測精度を比較することである。【方法】57名の入院患者(脳卒中者と骨折者)を対象とした。退院時に3 つのBESTest とBBS を測定し,退院後6 ヵ月間の転倒の有無を調査した。評価指標の得点分布と転倒予測精度を検討した。【結果】BBS のみに天井効果を認め,歪度からBBS の分布に偏りを認めた。転倒予測精度について,Area under the curve と感度でMini-BESTest が最も高く,特異度ではBBS が最も高かった。【結論】Mini-BESTest は,その得点分布が比較的均一で,中等度の転倒予測精度を有し,動作課題項目も少ないことから有用性の高い評価であることが示唆された。
著者
小林 理恵 原田 萌香 笠岡 宜代 友竹 浩之
出版者
東京家政大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

災害時における食物アレルギー患者は栄養不足やアレルギー症状の面で致死的状態になる可能性が非常に高い。3年計画の初年度である2018年度は食物アレルギー患者の災害食支援に「パッククッキング法」を活用するために,熱源と飲用水が制限される状況を想定し,炊き出し料理の中でアレルゲン除去食をパッククッキングした際のアレルゲン混入の実際を明らかにすることに取り組んだ。東日本大震災において提供された頻度の高いアレルゲン食品(小麦、乳、卵)を使用し,パッククッキング法の利用が想定できる炊き出しメニューとして「シチュー」を抽出した。炊き出しシチューの中で,ご飯とアレルゲン除去シチューをパッククッキングした。この時,ポリ袋は1枚及び2枚重ねの2条件で比較した。調理品は凍結乾燥後,専用ミルにて粉末試料とした。検査対象アレルゲンはグリアジン,β-ラクトグロブリン,オボアルブミンとし,アレルゲンアイELISA IIのプロトコルに従いスクリーニング試験を行った。この時,8点での検量線の直線性はr=0.9以上を条件とした。アレルゲン除去食における各アレルゲンの検査結果はポリ袋の使用枚数に関わらず10μg / g以下であり,アレルゲン混入は認められなかった。すなわちパッククッキング法を用いることにより,炊き出しシチューの中で上記の各アレルゲンフリーのシチューとご飯を調製することは可能であり,この方法は自助・共助・公助のいずれの場面でも応用可能と考える。しかし,粘度の高い炊き出しシチューの中でパッククッキングを実施すると,炊き出しシチューがポリ袋に付着する。実験過程では注意を払いポリ袋内部からアレルゲン除去食試料を採取したが,災害時には同様の配慮は期待できず,調理後の開封時にポリ袋に付着したアレルゲンが混入するリスクが高い。これを回避するためには,ポリ袋を2重使用することが望ましいと考える。
著者
藤田 吾郎 大髙 愛子 浦島 崇 中村 高良 中山 恭秀 小林 一成 安保 雅博
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11724, (Released:2020-05-21)
参考文献数
36

【目的】先天性心疾患術後遠隔期の学童期から青年期の患者と健常者の健康関連QOL(以下,HRQOL)を比較し,HRQOL と運動耐容能や身体活動状況との関係を検討する。【方法】対象は先天性心疾患患者22 例と健常者22 例。HRQOL,運動耐容能,身体活動水準,運動習慣を評価し,両群のHRQOL の比較と,各指標との関連を分析した。【結果】HRQOL 尺度のうち,先天性心疾患群の身体的幸福感(以下,PW)が有意に低かった(p <0.05)。先天性心疾患群において,PW と嫌気性代謝閾値の間に相関を認めたが(rs = 0.472,p <0.05),最高酸素摂取量にはなかった。また身体活動水準とPW の間には相関があり(rs = 0.504,p <0.05),運動習慣のある先天性心疾患患者は習慣がない患者に比べてPW が高かった(p < 0.05)。【結論】先天性心疾患患者のHRQOL は嫌気性代謝閾値レベルの運動耐容能や身体活動状況と関連がある。
著者
原 幸男 小林 弘枝 大城 聡美 二村 圭介 西野 威 中郡 昭人 天間 恭介 近藤 洪志
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.135-143, 2001-02-25
参考文献数
33

ベンゾジアゼピン誘導体のひとつであるジアゼパムの心収縮力におよぼす影響とその機序を摘出モルモット心臓および単離心室筋細胞標本で検討した.ランゲンドルフ心および右心室自由壁標本で, ジアゼパム(100μMまで)は濃度依存的に一相性の陰性変力作用を示した.このジアゼパムによる一相性の陰性変力作用は中枢性ベンゾジアゼピン受容体拮抗薬(フルマゼニル1μM)および末梢性ベンゾジアゼピン受容体拮抗薬(PK11195 10μM)で影響されなかった.ジアゼパム(10から100μM)は乳頭筋の活動電位幅を濃度依存的に短縮した.単一心室筋細胞を用いたパッチクランプ法で, ジアゼパム(30および100μM)は濃度依存的にカルシウム電流を抑制した.ジアゼパムによるカルシウム電流の抑制は, カルシウム拮抗薬ベラパミルで見られる使用依存性抑制とは異なり, tonic block(使用非依存性抑制)の形であった.これらの結果から, ジアゼパムはモルモット心臓標本において, ベンゾジアゼピン受容体を介さずに一相性の陰性変力作用を示し, その機序はカルシウム電流の抑制にあると考えられる.
著者
小林 大輔 清水 博之 杉崎 正志 重松 司朗
出版者
一般社団法人 日本顎関節学会
雑誌
日本顎関節学会雑誌 (ISSN:09153004)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.232-239, 2016-12-20 (Released:2017-02-13)
参考文献数
23

顎関節症発症に関与する因子は多因子性であり睡眠障害もその一因とされているが,その因果関係についての研究は少なく十分に解明されていない点も多い。顎関節症患者,特に咀嚼筋痛障害を有する患者に対し睡眠障害との関連性について質問票を用いて検討を行った。対象は,2015年4月1日より2016年3月31日までに当科を受診した,咀嚼筋痛障害を有する顎関節症女性患者40名とし,顎関節症症状のない女性30名を対照群とした。睡眠障害に関してはピッツバーグ睡眠質問票日本語版(以下PSQI-J)を用いて評価した。患者群に対する調査項目は咬筋部圧痛,開口時咬筋部痛,無痛自力最大開口量,日常生活支障度とした。2群を比較した結果,PSQI-Jスコアは有意に患者群のほうが高かった。またPSQI-Jの各項目と各症状との関連を調べた結果では,<睡眠の質>では咬筋部圧痛(p=0.036),<入眠時間>では咬筋部圧痛(p=0.009),<睡眠時間>では日常生活支障度(p=0.021),<眠剤の使用>では開口時咬筋部痛(p=0.026),および咬筋部圧痛(p=0.024)が有意な関連を認めた。また患者群におけるPSQI-J合計スコアと咬筋部圧痛に有意な関連を認めた(p=0.003)。睡眠障害が顎関節症,特に咀嚼筋痛障害の発症に関連をもつことが改めて示唆された。