著者
小林 喜平 郡司 敦子 村上 洋 矢ざき 貴啓 佐藤 正喜 桑原 克久
出版者
日本大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

高齢者の咀嚼機能は一般的に歯の喪失に伴い低下する。ことに無歯顎者で著しく,総義歯の状況により十分な回復ができず,結果的に食物摂取,栄養確保が困難になる。咀嚼機能レベルに応じて適切な食物摂取が容易かつ確実に行なえるよう噛み易さを考慮し,食物の硬さを調整して栄養バランスの採れた一連の献立を提供し,それを利用しながら個人へ行なう食事指導は健康管理面からも効果的である。そこで可及的に同一食品を用いて普通食,刻み食,五分粥食,三分粥食,ミキサ-食へと展開させた一連の献立群に栄養学的検討を加え,総義歯患者の食事指導に役立つ展開食の開発を試みたところ以下のような結果を得た。1.60歳代前半の高齢者を対象とした展開食に超軟性食の三部粥食を追加検討したところ,(1)各献立とも各栄養素充足率は満たされ.(2)ビタミン類は調理損失をみこしており過剰傾向であり.(3)蛋白質の確保に1700kcal,70gを設定したので一般成人の理想値より多く.また豆・豆製品は各展開食に多く,三部粥食では芋類と砂糖が多い傾向であった。2.高齢者の嗜好の多い和食タイプに,食事選択範囲を広げる目的で洋食タイプを加えて比較検討したところ,(1)各栄養素充足率では,和食タイプ,洋食タイプとも同様の傾向であり,(2)食品群別充足率では,それぞれ異なる傾向がみられ,食品の選択に工夫を要すること,ならびに類似タイプの献立を連続摂取を避けることが示唆された。3.展開食の臨床応用の前準備として,65歳代,70歳代,80歳代を考慮し栄養摂取の観点から展開食構成を調整する際の問題点を検討するため,特別栄養護施設入所者を対象に5日間の昼食の喫食率としてグループ別残菜調査を検討したところ,(1)残菜率は15%から20%の範囲にあり,(2)献立により傾向は異なり,嗜好,盛りや味付け,固さや量,個人の全身状況,咀喝状況などの影響が示唆された。
著者
松原 義治 山賀 谷一郎 辻川 康二 若林 昭二
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.28, no.8, pp.849-852, 1970-08-01 (Released:2009-11-16)

従来合成されたアセタールは低分子量のアルコキシ基に限られているので, さらに高い保留効果を期待して大きいアルコキシ基を持ったアセタールとその誘導体の合成を行なった。シトロネラール (1) を母体としてシトロネロール (2), ゲラニオール (3) を用いてシトロネリノレ (4), ゲラニル (6) アセタール, あるいは (2), (3) の混合アセタール (5) を合成し, さらに (4), (5), (6) の飽和アセタール (8), (8) から誘導されるアルキノレビニルエーテル (10), その飽和エーテル (11), を合成した。 (4), (5), (6) は硫酸, リン酸, ギ酸水溶液などで冷却下, 分解するともとの (1), (2), (3) が, (8) からはジヒドロシトロネロール (7) が得られる。また (4), (5), (6), (8) を水素で分解すると (7) が得られる。(4), (5), (6), (8) はいずれもヒドロキシシトロネラールようのおだやかな花香を持ち, bp200℃/1mmHg以上で, 保留効果の優れた皮ふ刺激のない安定な香料として有用と思われる。
著者
清武 寛 幸島 匡宏 松林 達史 戸田 浩之
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.31, 2017

一般道での交通渋滞やテーマパークにおける長い待ち時間など,いわゆる混雑が問題視されている. それ故,交通円滑化や待ち時間削減のために,信号制御や入場制限などの制御による対策が行われている. 一般的に,制御策の検討にはマルチエージェントシミュレータ(MAS)が用いられるが,主に経験則に基づいた制御策による試行が行われている. 本論文では,自動的に最適な制御策を探索する手法を提案する.
著者
小林 桂子 渡辺 勇士
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.278-281, 2015-02-15 (Released:2015-02-05)

ビジュアル言語「Viscuit」を利用したプログラミングワークショップを数多く実施した経験から,技術や知識だけでなく「創造性」を育むことを目的に,小学生を対象にしたコンピュータ上でクリエイティビティを発揮する能力を育てるレッスンとそのカリキュラムを制作し実施した.子供達がプログラミングを楽しく理解するための「設計図」,制作に集中し,自分に自信をつける「発表会」など,授業課題やレッスン方法を工夫した.
著者
小林 秀雄
出版者
新潮社
雑誌
芸術新潮 (ISSN:04351657)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.34-36, 1962-04
著者
小林 聖 風間 宏志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SST, スペクトル拡散 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.98, no.112, pp.19-24, 1998-06-18

本論文はランダムアクセス衛星通信用スペクトル拡散復調回路を提案している.提案する構成は, ディジタルマッチトフィルタ出力の包絡線検出前および後に巡回積分器を設け, これらに適切な時定数を配分することにより周波数誤差による劣化を抑え低い拡散符号誤検出率を達成する.シミュレーションおよび実験により提案方式を評価した結果、Eb/No=-1dBにおける拡散符号誤検出率は10^<-10>以下であることを示した(検出区間50シンボル).さらにランダムアクセス信号の周波数誤差を抑えるため, サプライリンク信号を端末および中央地球局で周波数基準に用いる新たな周波数同期方式を提案している.提案方式は周波数誤差を大きく低減することを理論的に示した.
著者
石田 倫彦 林 芳昭 上田 吉徳 吉田 一雄
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会和文論文誌 (ISSN:13472879)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.71-81, 2010 (Released:2012-02-08)
参考文献数
17
被引用文献数
1 2

A special committee on “Research on the analysis methods for accident consequence of nuclear fuel facilities (NFFs)” was organized by the Atomic Energy Society of Japan (AESJ) under the entrustment of Japan Atomic Energy Agency (JAEA). The committee aims to research on the state-of-the-art consequence analysis method for Probabilistic Safety Assessment (PSA) of NFFs, such as fuel reprocessing and fuel fabrication facilities. The objective of this research is to obtain the useful information related to the establishment of quantitative performance objectives and to risk-informed regulation through qualifying issues needed to be resolved for applying PSA to NFFs. The research activities of the committee were mainly focused on the analysis method of consequences for postulated accidents with potentially large consequences in NFFs, e.g., events of criticality, spill of molten glass, hydrogen explosion, boiling of radioactive solution, and fire (including rapid decomposition of TBP complexes), resulting in the release of radioactive materials into the environment. The results of the research were summarized in a series of six reports, which consist of a review report and five technical ones. In this technical report, the research results about basic experimental data related to the consequence of the radiolytically generated hydrogen gas explosion postulated in the radioactive solution reserve tank caused by the loss of dilution air supply were summarized.
著者
佐藤 仁 林 豊彦 宮川 道夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.94, no.416, pp.81-88, 1994-12-16
被引用文献数
8

歯科補綴物の製作過程の単純化と品質の均一化を目的として,過去20年に渡りその製作のコンピュータ化が進められてきた.しかし,従来開発された歯科CADは,操作性がこれまでと全く異なるため,従来のワックスアップ技法を生かすことができなかった.これを改善するために,我々はワックスアップに近い操作性をもつ全く新しいCAD(Vocs-1)を以前開発した.このVocs-1における形状変形は,歯のソリッドモデルに拡張したHit-or-MIss変換を作用することにより実現されている.しかしこの操作は,部分的な形状変形ができるものの,咬合面上の溝や土手のような複雑な形状の生成には必ずしも適していなかった.そこでHit-or-MIss変換をさらに拡張し,形状表面の曲線や閉領域を中心とした部分変形ができるようにした.さらに原形状と変形部の移行部の範囲を,接続の滑らかさを損なうことなく制御できる一つのパラメータを理論的に導いた.
著者
佐藤 仁 林 豊彦 宮川 道夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.93, no.209, pp.93-100, 1993-09-03
被引用文献数
11

これまで20年にわたり歯科補綴物の製作にCAD, CAMを応用しようという試みがなされてきた.CADにおける歯冠部の表現は,記憶容量が少なくて済むため,サーフェス・モデルが用いられてきた.しかし,この表現では,咬合面のような自由曲面に対する操作が困難であり,伝統的なワックスアップ技法が歯科CADには生かしにくいという欠点があった.この制約を克服するために,数学的形態学で開発された手法を用いて,新しい咬合面のCAD法を開発した.歯冠の咬合面は,ワックスアップのような操作を実現するために,ソリッドモデルで表現した.咬合面形状の変形は,データ全体にdilation操作を行うことで達成できる.また,ワックスアップのような部分的な変形を実現するために,dilation作用素に窓関数を導入した.以上の方法を用いたCADシステムをワークステーション上で試作し,実際の咬合面データを用いて設計実験を行った結果,このCADは比較的高い形状操作性をもつことを確認した.
著者
林 正治 夏目 琢史 松田 訓典 山本 和明 赤木 完爾
雑誌
じんもんこん2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.81-86, 2016-12-02

本研究ではウェブアノテーションによる資料画像の分類・整理手法について述べる.とくに,一橋大学附属図書館および慶応義塾図書館が所蔵する「幸田文庫」を対象にしたウェブアノテーションによる仮想コレクション定義手法の提案,実装,その実現に向けた課題を明らかにする.
著者
平郡 伸一 庄司 浩史 西川 勲 小林 宙 井手上 敦
出版者
一般社団法人 資源・素材学会
雑誌
Journal of MMIJ (ISSN:18816118)
巻号頁・発行日
vol.133, no.4, pp.68-75, 2017-04-01 (Released:2017-04-29)
参考文献数
19

Owing to the continual depletion of resources, low-grade nickel laterite ores are being treated nowadays to extract Ni. High-pressure acid leaching (HPAL) is a suitable process for treating nickel laterite ores. HPAL has the advantage of having a high extraction rate and low chemical consumption associated with the neutralization of iron; the low chemical consumption is owing to the formation of hematite precipitate in the residue. By studying the behavior of iron under pressure acid leaching, it was observed that sulfur and carbon contained in the ore decreased the redox potential and lead to Fe (II) dissolution. Iron concentration in the leached solution was decreased by oxygen rich leaching.
著者
越川 義功 高山 晴夫 竹内 康秀 真崎 達也 大城戸 博文 藤井 暁彦 林 健二 渡邉 洋
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.71, no.6, pp.II_73-II_81, 2015 (Released:2016-06-01)
参考文献数
30

ダム建設工事では,工事区域での樹木伐採や剥土に伴い,昆虫類の生息場が短期間で広範囲に減少する.施工者による自然環境保全の取り組みのひとつとして,伐採材を活用した木柵(エコスタック)設置により,昆虫類の代替生息場の確保を実施した.設置からわずか1カ月後の調査において,木材に依存するカミキリムシ類、オサムシ類等をはじめとした56種の昆虫類がエコスタックで確認された.その後も季節による変動はあるものの,多くの昆虫類がエコスタックを利用しており,伐採材を利用したエコスタック設置は昆虫類の代替生息場の提供として有効に機能することが確認できた.
著者
本林 隆 沼沢 健一 遠藤 佳成
出版者
関東東山病害虫研究会
雑誌
関東東山病害虫研究会年報 (ISSN:03888258)
巻号頁・発行日
vol.1992, no.39, pp.261-262, 1992-11-01 (Released:2010-03-12)
参考文献数
1

越冬前の幼虫に対しては高い防除効果が得られた八丈島のクワゴマダラヒトリNPV散布地域において, 越冬後幼虫の密度が無散布地域と同レベルもしくは高くなる現象が認められた。そこで, その原因を明らかにするため, NPVの散布回数を増加したり, 春先の幼虫の移入が起こりにくい地域で散布試験を行った。その結果, 越冬前の調査では, NPVの1回の散布によって幼虫密度は無散布区の約1/150の0.1頭/m2に低下し, 2回の散布と同等の防除効果が得られたが, 春先の越冬後幼虫の密度は0.6頭/m2と増加した。一方, 幼虫の移入が起こりにくい隔離散布区では, 越冬前, 後とも幼虫密度は0頭/m2であった。このことから, NPV散布地域で, 越冬後の幼虫密度が越冬前に比べ増加するのは, 越冬後の幼虫の分散に伴う散布地域周囲からの移入によるものと考えられた。