著者
森光 由樹
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.61-66, 2020-06-23 (Released:2020-08-24)
参考文献数
21

日本野生動物医学会で扱う対象種は,脊椎動物全般と多岐にわたり,それぞれの種で生命倫理の考えは異なっており,すべての種で統一した倫理規定を策定することは難しい状況にある。日本野生動物医学会では,「野生動物医学研究における動物福祉に関する指針」を2010年度施行している。しかし,近年の国際動向と合わない内容も含まれており,野外研究におけるガイドラインの改訂は急務である。
著者
内藤 重之 森下 正博
出版者
大阪府立食とみどりの総合技術センター
雑誌
大阪府立食とみどりの総合技術センター研究報告 (ISSN:13484397)
巻号頁・発行日
no.43, pp.5-12, 2007-03
被引用文献数
4

1. 大阪府では1980年代から伝統野菜の遺伝資源の収集と特性調査を実施してきたが,1990年代後半以降,「天王寺蕪」「田辺大根」「毛馬胡瓜」「勝間南瓜」などが復活し,地域住民の有志やNPO法人,行政によって普及・啓発が行われている。2. 大阪市内においては「なにわの伝統野菜」が原産地域を中心に学校や一般家庭で栽培され,寺社の行事や商店街のイベントにも組み込まれるようになるなど,地域の活性化に大いに役立っている。3. 「なにわの伝統野菜」は原産地域の小学校で生活科や総合的な学習の時間などに栽培され,食育や環境教育の生きた教材として役立っている。4. 「なにわの伝統野菜」を使用した加工食品の商品化やメニュー化が地域の食品製造業者や飲食業者等によって進められており,百貨店や専門小売店等でも「なにわの伝統野菜」の青果や加工品が販売されるようになっている。これらの動きとも連動して,「なにわの伝統野菜」の生産は徐々に増加している。5. 今後,「なにわの伝統野菜」によって産業振興を図るためには,推進方針を明確化し,関係者がビジョンを共有することや,「なにわの伝統野菜」の特性を十分に考慮した上で,需要と供給をバランスよく拡大していくことが重要である。
著者
西森 敏之
出版者
日本数学会
雑誌
数学通信 (ISSN:13421387)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.15-27, 2006-05
著者
田中 英一郎 池原 忠明 瀬戸口 隼 森 崇 三枝 省三 弓削 類
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
機素潤滑設計部門講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.43-46, 2012

We developed a new whole body motion support type mobile suit. This suit can be used separately for supporting the upper and/or lower limbs, for assisting ADL (Activities of Daily Living). We also developed a mobile lifter system which can bear both the equipped person and the suit. This suit and the lifter can be used by motor palsy patients suffering from stroke, spinal-cord-injury, and central nerve disorders. Using this device, these patients can recover normal gait with no risk of falling. In this paper, the brain activity during walking using the suit and normal gait without the suit are compared. According to multiple trials with the suit, the activity of the premotor area decreased. In addition, by walking while swinging bilateral arms (even though these arms were assisted by the suit), the activity in the supplementary motor area increased (this area of the brain is related with memory of motion). Finally, the brain activity during walking on the treadmill and in the sightly long corridor are compared. From the result of this experiment, it is effective for gait training to walk with locomotion, because of the improvement the motivation for training. We can conclude that this suit is suitable to assist patients in walking. Therefore it is important for patients to swing their arms during gait training in rehabilitation.
著者
森田 沙斗武 西 克治 古川 智之 一杉 正仁
出版者
一般社団法人 日本交通科学学会
雑誌
日本交通科学学会誌 (ISSN:21883874)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.38-43, 2016

近年、わが国では高齢化が大きな社会問題となっており、65歳以上が人口の25.0%を占める。さらに、近年一人暮らし世帯の割合が著明に増加しており、一人暮らし高齢者は4,577,000人と高齢者人口の15.6%を占める。孤立死についての確固たる定義はないが、内閣府の高齢社会白書には「誰にも看取られることなく息を引き取り、その後、相当期間放置されるような悲惨な孤立死(孤独死)」と表現されている。これまでの報告では「独居の在宅死」を孤立死として取り扱っていることが多いが、孤独死の本質的な問題点は社会からの孤立である。我々は社会からの孤立の程度は、死後から発見までの時間を指標にできると考えた。すなわち、これまでの報告が「誰にも看取られることなく息を引き取る」ことに注目していたのに対し、我々は「相当期間放置される」ことに注目し高齢者の孤立死に対する調査を行った。2010年4月から2012年3月の3年間に大阪府監察医事務所で行われた死体検案例のうち、筆者らが実務を遂行した症例から自殺症例を除外した65歳以上の高齢者448例について、死後発見時間にフォーカスを当て、性別、同居・独居の別、年齢、死亡から発見までの時間、最終通院から死亡までの時間、発見に至った経緯、死因に関して検討を行った。また、その中で通院歴が明らかとなった242例について最終通院から死亡までの時間を抽出し、評価を行った。その結果、高齢者は若年者に比べて必ずしも孤立死が増加しているのではないことが明らかとなった。孤立死の危険因子としては、男性、無職、独居が挙げられ、また、医療機関を頻回に受診すると死後発見時間が短くなる傾向が判明した。現代において高齢者の一人暮らし世帯の増加は不可避であり、我々は孤立死を減少させる取り組みの本質は死後発見時間の短縮であると考える。その上で、高齢者に就労の場、かかりつけ医制度の充実、ヘルパーの積極的な訪問などの対策を提唱する。
著者
森 哲也 岸野 かなえ 田原 麻衣子 守山 隆敏 和田 真太郎 伊藤 武
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.129-132, 2021-08-25 (Released:2021-09-01)
参考文献数
13

3MTM病原菌検出アッセイ2 STEC遺伝子スクリーニン-stx用キットを,食品からの腸管出血性大腸菌検査におけるVT遺伝子スクリーニングに使用することを目的に,検出感度を調べた.純培養菌での検出感度,食品として牛スライス肉やタンドリーペースト,きゅうりなどを供試して食品培養液を調製し検出感度を調べた.食品培養液中の検出感度は,BPW,mEC培地ともに3から4 Log CFU/mLレベルであった.3MTM病原菌自動検出システムを用いたVT遺伝子検出は,通知法が要求する検出下限値(4 Log CFU/mL)を満たしていた.本手法は食品からの迅速簡便なVT遺伝子スクリーニング法として有用であった.
著者
西 優輔 長森 茂之 佐野 敏広 難波 加奈 松岡 寛之
出版者
関西病虫害研究会
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.63, pp.21-25, 2021-05-31 (Released:2021-09-01)
参考文献数
21

岡山県内の促成栽培イチゴで採集したナミハダニ黄緑型8個体群に対する殺ダニ剤10剤の殺虫効果,11剤の殺卵効果を調査した。さらに,ビフェナゼート剤とアシノナピル剤に対する各個体群雌成虫の半数致死濃度(LC50 値)を調べ,抵抗性比を求めた。その結果,雌成虫に対する殺虫効果は,エマメクチン安息香酸塩剤,ミルベメクチン剤,クロルフェナピル剤,アセキノシル剤,テブフェンピラド剤,シエノピラフェン剤,シフルメトフェン剤およびピフルブミド剤について,多くの個体群において低かった。アシノナピル剤とビフェナゼート剤の殺虫効果は総じて高かった。2剤のLC50 値を調査したところ,アシノナピル剤は,すべての個体群において抵抗性比が1以下であった。一方,ビフェナゼート剤では,抵抗性比が最大で42.04を示し,感受性低下が疑われた。殺卵効果は,エマメクチン安息香酸塩剤,ミルベメクチン剤,エトキサゾール剤,クロルフェナピル剤,テブフェンピラド剤,シエノピラフェン剤,シフルメトフェン剤およびピフルブミド剤について,多くの個体群で低かった。一方,アセキノシル剤,ビフェナゼート剤およびアシノナピル剤の殺卵効果はほとんどの個体群で高かった。
著者
海保 諒 森岡 一幸
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.2A1-N10, 2020

<p>The paper introduces a method of automatic map generation used for learning of action policy in mobile robot navigation. Road contours and waypoint candidates are extracted as map components by image processing from an image of existing electronic map such as Google Map. Road contours are extracted using topological structural analysis of the binarized electronic map image. Also, waypoint candidates used as respawn or destination points in learning system are randomly selected from pixels of road areas. The generated map can be applied to learning simulator based on deep reinforce learning system. The paper describes an abstract of navigation system based on reinforcement learning, a proposed map generation method.</p>
著者
内藤 明美 森田 達也 神谷 浩平 鈴木 尚樹 田上 恵太 本成 登貴和 高橋 秀徳 中西 絵里香 中島 信久
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.255-260, 2021

<p>【背景】医療において文化的側面への配慮は重要である.本研究は沖縄・東北を例に首都圏と対比させ国内のがん医療・緩和ケアにおける地域差を調査した.【対象・方法】沖縄,東北,首都圏でがん医療に携わる医師を対象とした質問紙調査を行った.【結果】553名(沖縄187名,東北219名,首都圏147名)から回答を得た.地域差を比較したところ,沖縄では「最期の瞬間に家族全員が立ち会うことが大切」「治療方針について家族の年長者に相談する」「病院で亡くなると魂が戻らないため自宅で亡くなることを望む」などが有意に多く,東北では「特定の時期に入院を希望する」が有意に多かった.東北・沖縄では「がんを近所の人や親せきから隠す」「高齢患者が治療費を子・孫の生活費・教育費にあてるために治療を希望しない」が多かった.【結論】がん医療・緩和ケアのあり方には地域差があり地域での文化や風習を踏まえた医療やケアに気を配る必要がある.</p>
著者
森 智夫
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

木材を腐朽する真菌の一種である白色腐朽菌類は、木材腐朽時に栄養源を加え、低酸素条件におくと木材からエタノールを産生することが知られている。幾つかの白色腐朽菌の木材からのエタノール産生特性を調査したところ、Phanerochaete sordidaのみが栄養源無添加時に木材から再現よくエタノールを産生した。この菌の発酵特性を詳細に調査したところ、高糖濃度条件下では、呼吸代謝系の余剰ピルビン酸をエタノール発酵に利用可能な事、糖取込を向上させると発酵量が増加する事を明らかにした。また本菌は、木材腐朽時に低酸素ストレスに対する短期の応答機構としてエタノール発酵機構を利用しているようであった。