著者
森 美加 馬渕 麻由子 酒井 佳永 安田(鹿内) 裕恵 岩満 優美 飯嶋 優子 日高 利彦 亀田 秀人 川人 豊 元永 拓郎
出版者
一般社団法人 日本女性心身医学会
雑誌
女性心身医学 (ISSN:13452894)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.132-145, 2013-07-15 (Released:2017-01-26)

女性が多数を占める疾患である関節リウマチ(Rheumatoid Arthritis : 以下,RAとする)患者がどのような心理的支援を望んでいるのか,そのニーズを調査し,さらに,RA患者に対するサービスのあり方を検討し,ニーズに合わせた支援プログラムを提案することを目的として,2011年2月から8月,RAに罹患し医療機関にて治療を受けているRA患者で,研究参加に同意した20名(女性18名,男性2名)を対象として,調査票および面接による調査を行い,面接の逐語記録の文書データをグラウンデッドセオリーアプローチを参考にして分析した.その結果,電話相談,ホームページ,メール相談,個別心理相談,心理教育,セルフケアグループすべての支援に対してニーズがあり,特に電話相談(必要時),個別心理相談(通院先),心理教育のニーズは顕著であった.そこで,個別心理相談,心理教育を中心とした,チームによる包括的なケアシステムがRA患者のQOLを高めるためには有効なのではないかと考えられる.また,心理教育のテーマとしては,確定診断時においては,(1)病気の具体的な説明,(2)身体的ケア,(3)心理的ケア,(4)療養上の工夫が,生物学的製剤開始時においては,(1)効果と副作用を中心とした具体的説明,(2)自己注射について,(3)費用について,(4)生物学的製剤を使用する上での不安と期待についてが,家族向けとしては,(1)病気の説明,(2)RA患者の心理について,(3)家族へのケアが考えられる.さらに,不安の受容と変化を併せ持った心理療法的チームアプローチであるDBTを参考にした包括的ケアシステムの開発は,不安と安心の間で揺れ動くRA患者の心理的ケアのモデルとして有効であり,また,RA患者の長期的Quality of Lifeを最大にすることを治療目標とするT2T(Treat to Target)の有効性に繋がるのではないかと考えられる.
著者
奥野 修司 工藤 枝里子 杉岡 辰哉 額賀 翔太 森 拓也 川原 勲
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.F-57, 2019 (Released:2019-08-20)

【目的】 近年,筋の柔軟性向上に対しスタティックストレッチ(SS)に振動刺激(VS)を加えることが効果的であると報告されているが,それらが筋硬度に与える影響については明らかにされていない。本研究の目的は超音波エラストグラフィー(UE)を用いてSSとVSの併用が筋硬度に与える影響を明らかにすることとした。【方法】 対象は,健常成人24名(27.8±5.8歳)とし,対照群(Cont群),SS群,VS群の3群に無作為に振り分けた。標的筋をハムストリングス(Hamst)とし,課題はSS群長座位姿勢にて体幹を前傾するSS,VS群はSSに携帯型振動刺激装置(タカトリ社製)にて40Hzの振動刺激を加えた。介入時間は2分間とした。柔軟性の指標としてFinger Floor Distance(FFD),Aplio300(Canon社製)にてHamst近位,1/2,遠位のUEで筋硬度を介入前後で測定した。各3回測定し,統計解析処理した。【倫理的配慮】 本研究はヘルシンキ宣言に則り,対象者に十分な説明と同意を得て実施した。【結果】 FFDの変化量は,VS群,SS群で有意に増加した(P<0.01)。UEの結果はHamst近位のみSS群,VS群で低値を示し(P<0.01),SS,VS間でVSで低値を示した(P<0.05)。【考察】 ShinoharaらによるとVSはIb求心性線維の活動による脊髄前角細胞の興奮性抑制にてストレッチ効果があると報告している。本研究ではSSに対し,VSを加えることで,それらの効果が加味され,よりストレッチ効果が得られる可能性が示唆された。
著者
加地 浩 森田 恵美子 池田 正人 日野 義之 筒井 隆夫 紙谷 尚子
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.7, pp.549-554, 2001-07-30 (Released:2011-03-02)
参考文献数
12
被引用文献数
1

胃切除者におけるOGTTではしばしば急峻高血糖型の血糖曲線oxyhyperglycemiaを示すことが知られている. 職域の定期健康診断でスクリーニングされ, 75g-OGTTを受けた2257名の中に胃切除術を受けた者が60名見出された, 今回, これら症例の糖尿病関連諸検査指標と日本糖尿病学会新診断基準 (1999年) との関係で, 診断上の特殊性につき再検討した.平均血糖値は前値 (FPG) 96.9, 1時間値 (PG-1) 179.1, 2時間値 (PG-2) 86.6mg/dlであったが, 血糖値から糖尿病型と判定された者は6名, 境界型6名, 正常型47名であった.血糖以外の指標ではHbA1cは平均6.896と高値を示したが, FRA, 1, 5-AGの平均値は各々256μmol/l, 16, 2μg/mlと基準範囲内にあった.またこれらの指標はFPG, PG-2のみならずPG-1との間にも有意の相関を示した. OGTTを用いるこれらの症例の最終診断は困難な場合があり, 関連する各検査値に力口え, 常に糖尿病家族歴, 胃手術歴を問診しておく必要がある.
著者
森 幸治 藤川 祐介 松原 裕樹 堀口 佑樹
出版者
The Japanese Society for Experimental Mechanics
雑誌
実験力学 (ISSN:13464930)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.360-365, 2013-12-28 (Released:2014-03-28)
参考文献数
3

In order to produce bio-diesel fuel (BDF) effectively from triglyceride contained in coffee grounds, the solid catalyst method using calcium oxide was examined. Since commercially available calcium oxide has low catalytic activity, a method of converting the calcium oxide to calcium methoxide and/or calcium glyceroxide before esterification was tested. The method was applied to generate the BDF from unused canola oil. The produced liquid was analyzed both chemically and by the NMR, and it was revealed that the liquid was able to be called as BDF and esterification rate was about 80%. Extraction of triglyceride from waste coffee grounds was tried using hexane as a solvent, and 780 mL of triglyceride-rich oil was extracted from 8 kg of the waste coffee grounds. The oil was subjected to the BDF production using the calcium oxide and the BDF was produced at the esterification rate of about 75%. The coffee grounds after the extraction of the triglyceride-rich oil were applied to deodorants and solid fuels. The experimental results showed that the coffee grounds decreased the smell of cigarettes. Furthermore, it was also found that the coffee grounds were easily ignited and burned by adding some sawdust and wax to the coffee grounds.
著者
岡本 康秀 神崎 晶 貫野 彩子 中市 健志 森本 隆司 原田 耕太 久保田 江里 小川 郁
出版者
一般社団法人 日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.694-702, 2014-12-28 (Released:2015-04-10)
参考文献数
21
被引用文献数
1 2

要旨: 音声の情報として, 周波数情報に加えて時間情報は極めて重要な因子である。 今回時間分解能の評価として Gap detection threshold (GDT) と temporal modulation transfer functions (TMTF) を用いた。 対象を老人性難聴者とし, 年齢, 語音明瞭度を中心に時間分解能の検討を行った。 その結果, 加齢により GDT と TMTF の低下傾向を認めた。 また, 語音明瞭度に影響する因子として, TMTF における peak sensitivity (PS) が強い相関を認めた。 このことは音声知覚において, PS のパラメータであらわされる時間的な音圧の変化の検知能力が語音聴取能力に強く影響を及ぼしていることが示唆された。 今後は時間分解能の臨床応用に加えて, 時間情報をもとにした強調処理などの補聴処理技術が開発されることが望まれる。
著者
矢野 和成 森 秀樹 南川 清 上野 照剛 内田 詮三 長井 健生 戸田 実 増田 元保
出版者
水産庁西海区水産研究所
雑誌
西海区水産研究所研究報告 (ISSN:0582415X)
巻号頁・発行日
no.78, pp.13-30, 2000-06

電界印加実験および局部電界発生実験(電撃実験)を用いて,電気刺激に対するサメ類の反応について研究を行った。電界印加実験(EFE)は,クロトガリザメ,ネムリブカ,トラフザメの3種類で行った。実験方法は,直径7メートルの円形水槽の中心部と縁辺部に銅板電極を設置し,電流を流して実験魚の遊泳行動の観察を行った。実験は方形波パルスと60Hz正弦波交流を電力増幅し,電極間に印加した。電界印加実験は1回の実験につき10分間行い,ビデオカメラによる撮影と目視による行動観察を行った。3種類の実験魚の通常の遊泳行動は,円形水槽の縁に沿って遊泳していた。クロトガリザメとネムリブカは,電界印加を与えたところ,頭部を左右に振り急激な方向変換をし,その回数は通常の遊泳行動よりも多かった。そして,電極付近には近づかず,電極間もほとんど通過することがなく,これら2種は電界を嫌う行動が見られた。一方,トラフザメは電界印可を行っても遊泳行動に変化が現れることがなかった。局部電界発生実験(PEF)は,EFEの実験魚3種とイタチザメについて円形水槽で,ツマグロ,ドチザメ,ナヌカザメ,トラザメでは長方形水槽(180cm×120cm×70cm)で実験を行った。クロトガリザメ,ツマグロ,ネムリブカ,ドチザメは,電撃刺激に対して非常に強い逃避行動の反応がみられた。ナヌカザメとトラザメでは,電撃刺激に対して頭部をほんの僅か振る程度の非常に弱い反応があり,逃避行動もみられなかった。イタチザメとトラフザメは電撃刺激に対してまったく反応しなかった。以上のように電気刺激に対して非常に強い逃避行動がみられる種類もいるが,まったく反応しない種類もみられ,これら刺激に対する反応には種類別に違いがあることが判明した。そのため,電気刺激に対する反応が強い種類では,サメ類の人的被害防止あるいは漁業への食害防止のための電気刺激を利用できることが示唆された。
著者
出版者
一般社団法人 日本脳神経外傷学会
雑誌
神経外傷 (ISSN:24343900)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.121-128, 2017-12-20 (Released:2020-04-27)
参考文献数
24

Background: Children with minor head injury have a low, but serious risk of traumatic intracranial haemor­rhage. Medical research on criteria for head computerized tomo­graphy (CT) examinations for children is still inconclusive, because CT scanning is required to identify severe traumatic head injury, including acute epidural haematoma. However, radiation exposure is also an important problem.From the medical perspective the decision to take neuro-imaging, including CT examination, for children with minor head injury must be made carefully, because of the possibility of negative impact on cognitive abilities or an increased risk of cancer from ionizing radiation.From the legal perspective, when a pediatric patient with a minor head injury who did not have a CT head examination performed at the discretion of a doctor, but died several hours later from a traumatic intra­cranial haemorrhage, the doctor who had failed to order the head CT examination could be sued for medical malpractice. On the other hand, even if decreased cognitive abilities or an increased cancer risk occur more than a decade after that radiation exposure in a patient who had a head CT examina­tion during childhood because of minor head trauma, a doctor who ordered the CT examination is not at risk of being sued for medical malpractice.Conclusion: A balanced judgment between medical and legal problems of medical care must be made. In other words, medical issues related to society, like the criteria for the CT scanning of children with a minor head injury, must be considered carefully.
著者
森山 信彰 浦辺 幸夫 前田 慶明 寺花 史朗 石井 良昌 芥川 孝志
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2015, 2016

【はじめに,目的】筆者らは理学療法士を中心としたグループで,中四国学生アメリカンフットボール連盟秋季リーグ戦の全試合に帯同し,メディカルサポートを行ってきた。本研究では,外傷発生状況の分析を行い,今後の安全対策の充実に向けた提言につなげたい。【方法】2012年度から2015年度の試合中に生じた全外傷を集計した。外傷発生状況は,日本アメリカンフットボール協会の外傷報告書の形式を用いて記録した。分析項目は外傷の発生時の状況,部位,種類,発生時間帯とした。【結果】本研究の調査期間にリーグ戦に参加したのは7校であり,登録選手数は延べ686名(2012年161名,2013年152名,2014年185名,2015年188名)であった。リーグ戦の開催時期は毎回8月下旬~11月上旬であった。調査対象試合数は57試合であった。調査期間中の外傷の総発生件数は249件(2012年72件,2013年60件,2014年52件,2015年65件)であり,1試合平均の外傷発生件数は4.4件(2012年4.8件,2013年4.3件,2014年3.5件,2015年5.0件)であった。4年間で外傷発生件数には大きな変化がなく推移した。外傷発生時の状況は「タックルされた時」が67件(27%)で最も多く,次いで「タックルした時」が59件(24%),「ブロックされた時」が39件(16%)の順であった。部位は,下腿が70件(28%)で最も多く,以下膝関節が27件(11%),腹部が20件(8%)の順であった。種類は打撲が87件(35%)で最も多く,以下筋痙攣が74件(30%),靭帯損傷が35件(14%)の順であった。時期は,第4クォーターが97件(39%)と最も多かった。【結論】関東地区の大学リーグ戦中に発生した1試合平均外傷発生件数は1.3件で,外傷の38%が靭帯損傷であり,次いで打撲が17%という報告がある(藤谷ら 2012)。本リーグ戦では,1試合平均外傷発生件数が4.4件と,先行研究の3.4倍となり明らかに多くなっている。また,外傷の種類別では,靭帯損傷の発生件数が少ないが,それに代わって打撲の発生が多いことが特徴であろう。打撲については,相手の下半身を狙うような低い姿勢のタックル動作を受ける際に主に大腿部や腹部に強いコンタクトを受けたケースで多く発生していた。近年,米国では「Heads up football」と称した,タックル動作に関する組織的な啓発活動が行われており,理想的なタックル動作として相手の上半身へコンタクトすることを推奨している。わが国においても最近の安全対策への見解を取り入れ,タックル動作を安全に行うための指導を継続して行っていくことが今後重要であると考える。一方で,本研究の解析期間中には,頸髄損傷などで後遺障がいを認めるような重大外傷は発生しなかった。これは,筆者らがリーグ戦への帯同に加えて,オフシーズンに講習会を実施し,安全な動作指導を行っていることが奏功したと考えられる。重大外傷の予防のために,この事業の継続が必要と考えている。
著者
長谷川 摂 小野 奈津子 平田 知資 鈴木 みのる 森嶋 朗
出版者
あいち産業科学技術総合センター企画連携部企画室
雑誌
あいち産業科学技術総合センター研究報告 (ISSN:21875073)
巻号頁・発行日
no.3, pp.80-81, 2015-01

たまりしょうゆのもろみ等から分離した3種6菌株の酵母を添加して、実験室レベルのたまりしょうゆの試醸を行った。添加した酵母による香りの違いを評価するため、におい識別装置を使用してもろみのにおいの類似度を比較した。その結果、Zygosaccharomyces rouxiiの2株を添加したサンプル間ではにおいの類似度は高く、Candida versatilisを添加したもろみは、菌株によってはにおいの類似度が低いものがあった。
著者
松本 順 大井 康史 佐藤 公亮 森村 尚登
出版者
日本救急医学会関東地方会
雑誌
日本救急医学会関東地方会雑誌 (ISSN:0287301X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.242-245, 2020-02-07 (Released:2020-02-07)
参考文献数
3

【はじめに】救急医療の現場では, チーム医療として他職種と連携し診療にあたることが多い。そのような状況において円滑に診療を進めるためにノンテクニカルスキルの重要性が指摘されている。我々は当院での救急外来におけるインシデント報告を分析することで, 救急医療に必要とされるノンテクニカルスキルのカテゴリーを明らかにすることとした。【方法】2012年1月から2016年9月の間の後ろ向き調査。【結果】救急外来で医師が関与したインシデントとして32件の報告が確認された。最も多いインシデントの種類としてはカルテ記載やオーダリングに伴う患者や内容の取り違いであった。これらのインシデントの発生要因を分析すると, 主に状況認識, コミュニケーションやチームワークの問題によるものが多くを占めた。【考察】救急医療の中で, 特に阿吽の呼吸が形成されていないチームでの診療では状況認識やコミュニケーションが重要であると考えられた。

1 0 0 0 OA 山房札記

著者
森林太郎 著
出版者
春陽堂
巻号頁・発行日
1919