著者
宮村 重幸 柴田 啓智 下石 和樹 浦田 由紀乃 森 直樹 門脇 大介 丸山 徹
出版者
一般社団法人 日本腎臓病薬物療法学会
雑誌
日本腎臓病薬物療法学会誌 (ISSN:21870411)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.3-8, 2014 (Released:2018-04-02)
参考文献数
6
被引用文献数
2

薬剤の適正使用を考える上で、腎機能に応じた適正な用量設定を行うことは重要である。そのため、薬剤師は血清クレアチニン値などの腎機能データを入手する必要があるが、保険薬局において、薬剤師が患者の腎機能データを入手する手段は確立していないのが現状である。今回我々は、保険薬局に勤務する薬剤師にアンケート調査を行い、患者の腎機能情報の必要性と入手手段を明らかにした。日常業務において腎機能を①考慮している(9.1%)、②どちらかといえば考慮している(54.5%)、③どちらかといえば考慮していない(27.2%)、④考慮していない(9.1%)という結果であった。腎機能に関する情報源としては、①患者・家族(77.2%)、②処方医(4.5%)、③情報を得る方法なし(9.1%)であった。この結果をふまえ、我々は患者の腎機能情報を病院と保険薬局で共有するために、お薬手帳内にeGFRを記載するシールとお薬手帳の表紙に患者の腎機能が低下していることを示すシールを考案した。そして、本ツールの有用性を検討するために、情報提供を受けた薬剤師を対象にアンケート調査を実施したところ、本ツールが①有用(50.0%)、②どちらかといえば有用(36.3%)であった。今回の調査から、保険薬局において、患者の腎機能に関する情報は必要とされているにもかかわらず、入手できていないことが明らかとなった。そのため、シールを用いて患者の腎機能情報を共有する試みは、保険薬局に勤務する薬剤師に対しても患者の腎機能を考慮した処方設計に対する注意喚起に大変有用であり、腎排泄型薬剤の過量投与を防ぎ、医薬品適正使用に大きく貢献できることが示唆された。
著者
古家後 雅典 中田 健 角田 修男 森好 政晴 澤向 豊
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.70, no.10, pp.1121-1124, 2008-10-25
参考文献数
24
被引用文献数
1 1

日本のサラブレッド種雄馬(n=16)の精子形態を繁殖シーズン中に調査した.奇形精子の頭部と尾部,細胞質小滴付着精子,種雄馬ごとに観察した全標本の内メデュサ細胞が認められた標本の割合は,それぞれ3.9±2.1%,11.5±5.9%,2.4±2.6%,20.1%であった.精子頭部の面積,長径,短径,縦横率の値は,それぞれ12.54±1.34μm^2,5.93±0.40μm,2.69±0.21μm,0.46±0.05であった.メデュサ細胞を除いたすべての観察項目で,種雄馬間に有意な差が認められた(P<0.05).
著者
大河原 晋 大牟礼 勝 森谷 太郎
出版者
公益社団法人日本セラミックス協会
雑誌
窯業協會誌 (ISSN:00090255)
巻号頁・発行日
vol.64, no.722, pp.65-73, 1956

三石蝋石32%, 同質シャモット40%に, 猿投木節と蛙目粘土をそれぞれ24%および4%ずつ結合剤として加え, 加水, 成形後, これを1400°, 1時間焼成して製作した実験用小型坩堝を用いて, 2種のガラス, すなわちソーダ石灰ガラス (Na<sub>2</sub>O・CaO・3SiO<sub>2</sub>) とソーダ鉛ガラス (Na<sub>2</sub>O・PbO・3SiO<sub>2</sub>) の予めカレットとしたものを, 1200°と1400°に熔融し, この温度に達した直後のもの, 2, 3, 4時間後のものを, 炉内から取出して空冷した際に, 各ガラスがそれぞれの坩堝を侵蝕している状態を鏡検してその機構を考察した.<br>その結果によれば, いずれのガラスでもほぼ同様な侵蝕過程が認められ, 坩堝素地のアルミナ成分の熔解がムライトの熔解にやや先行する結果, 1200°では坩堝素地中の粘土とカオリン質蝋石の各〓焼部分周辺のガラス中に少量のネフェリンを混入したカーネギエイト結晶層が析出しており, 時間の経過と共にこれらの結晶は粘土〓焼部分の周辺から消失し, カオリン質蝋石の〓焼部分周辺に顕著な増加を示す. しかるに, 1400°ではいずれのガラスでも, 最初ダイアスポア仮像周辺のみにカーネギエイトを少量混入したネフェリン結晶の析出が認められ, 時間の経過するにつれて, 結晶は徐々に消失していって, 逆にガラスが坩堝素地内部に浸入し, 外観が白色の極めて薄い侵蝕層を形成するに至る. すなわち, 坩堝素地の表面で若干の成分交換が行われ, それ以後はガラス中への坩堝素地の熔解が, 常に侵蝕層を間にして進んでゆき, 時間が経過するにつれて侵蝕層は少しずつ素地内部に後退してゆく. 全般的に見て, ソーダ石灰ガラスよりもソーダ鉛ガラスの方が侵蝕の度合が強い.
著者
合場 千佳子 中垣 晴男 森田 一三 大澤 功 渡邊 貢次
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.22-29, 2011
参考文献数
21

成人期の初めとしての大学生を対象に,Sense of Coherence(前向き姿勢:SOC)の強さと歯科衛生士の業務の認知度との関係を明らかにするために本研究を行った.対象は,名古屋市郊外にあるA私立大学の学部生全2年生中,質問調査票に回答した男女合計1,772名(有効回答率は90.7%)の学生である.歯科衛生士の業務の認知度は松田が用いた方法を,また,SOCスケールは,日本語版29項目スケールを用いた.その結果,歯科衛生士業務の認知度得点(平均値±SD)は,男子5.0±2.6,女子5.8±2.3で,SOC得点の平均値は,男子116.8±17.7,女子117.1±16.3であった.歯科衛生士業務の認知度は,女子のほうが高かった.また,70%以上が「ブラッシング指導」を歯科衛生士業務であるとしていた.さらに「リスク検査」を業務としている男子のSOC得点は,誤答の男子より有意に高かった.女子では,歯科衛生士業務10項目の正解者と誤答者の間には,SOC得点に有意な差はみられなかった.男女とも歯科衛生士業務を認知している学生は,その業務を認知していない学生より,SOC得点は高い傾向にあった.大学生のSOC得点の高い学生は,歯科衛生士業務の認知度得点も高くそれぞれが関連していること,また大学生の歯や口腔に対する保健行動や歯科衛生士業務の認知には,SOCの強さが関係すると考察された.以上から,歯科衛生士の業務を認知している学生は,認知していない学生より,SOC得点は高い傾向にあると結論できる.
著者
森川 信之 神野 達夫 成田 章 藤原 広行 福島 美光
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.23-41, 2006
被引用文献数
7

異常震域を表現するための距離減衰式に対する補正係数の改良を行った。基準の式をKanno et al.(2005) によるものに変更し、応答スペクトルにも対応するようにしている。海溝軸に替えて、火山フロントまでの距離を導入することにより、一部地域に対して過大評価となっていた問題点を解決するとともに、対象地域を関東・甲信越地方まで拡大した。さらに、基準式では考慮されていない震源特性に関する検討を行った。地震動強さに関して震源の深さ依存性は見られなかったが、プレート間地震とスラブ内地震では明瞭な違いがあることが確認された。そのため、両タイプの地震に対する補正係数も新たに求めた。
著者
森川 信之 神野 達夫 成田 章 藤原 広行 福島 美光
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.14-26, 2003
被引用文献数
4

異常震域が現れる、やや深発地震を対象とした地震動の最大振幅の予測を経験的手法によって行う上で、距離減衰式に対して補正係数を導入することを提案する。ここでは、東北日本 (東北及び北海道地方) を対象として、司・翠川 (1999) による最大加速度、最大速度の距離減衰式を基準に、(1) 太平洋側と日本海側の地震動強さの違いに対応する係数、(2) 遠方の地域まで地震波があまり減衰せずに伝わることに対応する係数、の二種類の補正係数を求めた。これらは、いずれもプレート沈み込み帯における特異な減衰 (Q) 構造に起因する伝播経路特性の地域性を補正するものである。ここで求めた新たな補正係数を適用することにより、やや深発地震を対象とした経験的手法による地震動予測において、非常に広域にわたって最大加速度及び最大速度の予測値の精度が大幅に向上する。

1 0 0 0 OA 十三の砂山

著者
青森県民謡
出版者
ビクター
巻号頁・発行日
1952-05
著者
大森 信 蒔田 道雄
出版者
日本プランクトン学会
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.107-113, 1976 (Released:2011-03-05)
著者
日高 里菜 森山 佳代 山浦 誠也 溝田 丈士
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.168, 2016

<p>【はじめに】</p><p>我々は,九州理学療法士・作業療法士合同学会2015 in大分にて肩関節挙上時における肩甲上腕関節・肩甲胸郭仮性関節の動きとその他の要素の関連性を調査し,①肩甲上腕関節の可動は約95°であり,肩甲棘と上腕骨長軸が一直線になる付近で運動を完結すること,②肩甲上腕関節と肩甲胸郭仮性関節で獲得される可動範囲は約150°であること,③最大挙上位を獲得するためには約10°の脊柱の可動が不可欠であることがわかった.しかしながら,対象を健常男性としていたため今回は対象を健常女性とし,肩関節挙上時における肩甲上腕関節・肩甲胸郭仮性関節の動きとその他の要素の関連性を調査し,評価治療の一助とすることを目的に本研究を行った.</p><p>【方法】</p><p>本研究の趣旨を説明し,計測に同意を得た肩関節に愁訴のない健常女性10名10肩(右肩のみ),年齢28.2±3.9歳を対象とした.計測は,頭部・胸郭下部・腰椎および骨盤帯を固定した状態(以下,固定あり)とフリーの状態(以下,固定なし)にて端座位で自由挙上を行わせた.角度は,固定あり固定なしともに肩甲骨面からみた最大挙上角(以下,最大挙上角)と上肢下垂位・最大挙上位でのSpino-Humeral Angle(肩甲棘と上腕骨のなす角:以下,SHA)を測定した.SHAは,肩甲棘三角の外側頂点と肩峰角を結ぶ線を基本軸,上腕骨長軸を移動軸とした.このデータをもとに,最大挙上位SHAから上肢下垂位SHAを減じた値を肩甲上腕関節角(以下,GHA),最大挙上角よりGHAを減じた値を肩甲上腕関節以外の動き(Another Angle:以下,AnA)とした.固定の有無で①GHA,②最大挙上位でのSHA,③最大挙上角,④AnAを比較した.統計処理にはWilcoxonの符号付順位和検定を用い,有意水準は5%未満とした. </p><p>【結果】</p><p>固定ありと固定なしで①GHAは93.3±1.7°と94.3±2.3°であり有意差はなかった(p>0.05).②最大挙上位でのSHAは184.3±1.3°と185.0±2.3°であり有意差はなかった(p>0.05).③最大挙上角は166.4±8.3°と176.3±10.0°で固定なしが有意に大きかった(p<0.01).④AnAは73.1±8.2°と82.0±9.8°で固定なしが有意に大きかった(p<0.01).</p><p>【考察】</p><p>健常女性での自由挙上における肩甲上腕関節の可動範囲は約94°であり,最大挙上位でのSHAは約185°であった事から,肩甲棘と上腕骨長軸が一直線になる付近で運動を完結することがわかった.これは,最大挙上位では骨頭が関節窩に対し下方へ突出するため,関節下方の軟部組織が緊張することで肩甲上腕関節の動きを制限し可動を終えることが推察される.また,固定の有無で最大挙上角に差が生じたことは,肩甲上腕関節と肩甲胸郭仮性関節での可動範囲は約166°であり,それ以降は脊柱の動きにシフトすることが推察される.つまり最大挙上位を獲得するためには,脊柱の伸展・側屈で約10度の可動域を確保する必要がある.</p><p>【まとめ】</p><p>今後の課題としては,n数をさらに増やし男女間での比較を行い,肩関節挙上時の肩甲上腕関節・肩甲胸郭仮性関節とその他の要素の関連性における性差を調査していきたい.</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>本研究は当院の倫理委員会の審査・承認を受けて実施した.また,ヘルシンキ宣言に基づく倫理原則および計測研究に関する倫理指針に従い,研究計画を尊守して行った.対象者には,研究に先立ち研究内容の説明を文書および口頭にて行い,研究参加同意書への署名と提出を持って,研究に参加する旨の同意を得た.なお,製薬企業や医療機器メーカーから研究者へ提供される謝金や研究費,株式,サービス等は一切受けておらず,利益相反に関する開示事項はない.</p>
著者
森田 創
出版者
日経BP社
雑誌
日経エレクトロニクス (ISSN:03851680)
巻号頁・発行日
no.1024, pp.49-53, 2010-02-22

米Apple Inc.が中心になって開発しているオープンソースのWebブラウザー・ライブラリが「WebKit」である。同社のMac OS XやiPhoneが搭載するWebブラウザー「Safari」が,これを利用している。また,米Google Inc.のWebブラウザー「Chrome」やパソコン向けOS「Chrome OS」,組み込み機器向けOS「Android」もWebKitを採用している(図1)。
著者
森本 慎一郎 小池 政就 茂木 源人
出版者
一般社団法人 エネルギー・資源学会
雑誌
エネルギー・資源学会論文誌 (ISSN:24330531)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.29-35, 2008 (Released:2019-09-26)
参考文献数
23

Various evaluations have performed on oil peak forecasting, by confirming oil reserves data, forecast methods, opinions on reserve growth including non-conventional oil, and new oil field discoveries. However, a holistic overview of the oil peak forecast using statistical analysis, including the regression analysis method, would perhaps provide a new perspective from which to evaluate and confirm trends in the oil peak forecast. Therefore, this paper aims to clarify the principle factor contributing to oil peak forecasts by evaluating oil peak forecast studies from this new perspective. Oil peak year forecasts which predict that innovations in substitute fuels and the oil market force will be the primary contributing factors appear to have risen linearly, while those which indicate that the decline of world conventional oil production is the principle factor appear to be converging on the year 2010. The result of this paper evidently confirms that differing opinions regarding the basic cause of the oil peak have an impact on the oil peak forecasts as they appear in the trends for oil peak forecast studies.