著者
須田 健一 橋本 俊彦 江藤 知明
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.12, pp.941-945, 2006 (Released:2009-01-19)
参考文献数
9
被引用文献数
2

症例は55歳男性.2型糖尿病に対しメトホルミン内服中であった.普段より1日焼酎2合程度の飲酒習慣があった.4日間にわたるアルコール多量摂取の後,多呼吸・嘔吐・吐血を主訴に救急車にて来院,検査にて著明な乳酸アシドーシス(pH 6.850, 血中乳酸値250 mg/dl)および高度の肝腎障害を認めた.血液透析などによりアシドーシスは改善し,入院後に一過性の血小板減少および凝固能の延長を認めるも,経過に問題なく15日目に退院となった.乳酸アシドーシスは一度発症すると短時間で急激な臓器障害をきたすため,迅速な診断および治療が必要である.また,ビグアナイド剤はその優れた薬効および安価であることより多くの糖尿病患者に使用されており,これらの患者への多量飲酒の警鐘も込めて報告する.
著者
橋本 俊哉
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.101-104,a1, 2002-02-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
3
被引用文献数
1

農業関連施設におけるゴミ問題において, どのような対策が有効と考えられるか, その考え方を示した。その出発点は「ゴミが捨てられているのは, そこにゴミを捨てた人がいるからである」という視点である。それによって地域住民や観光目的の利用者に禁止や強制を強いる性格の対策ではない, 人びとの自発性に基づいたゴミ対策を講じることが可能となろう。そこでまず, 人びとのゴミ捨て行動の規則性とゴミを捨てる際の心理について述べ, ゴミを投棄させないためには, また回収容器にきちんと捨てさせるためにはどうすればよいか, 6つの誘導原則に整理して述べた。
著者
松田 雅弘 高梨 晃 川田 教平 宮島 恵樹 野北 好春 塩田 琴美 小山 貴之 打越 健太 越田 専太郎 橋本 俊彦
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.679-682, 2011 (Released:2011-11-25)
参考文献数
13
被引用文献数
1

〔目的〕股関節外転筋疲労前後の片脚立位時の重心動揺と中殿筋・脊柱起立筋の活動との関係を明らかにすることを目的とした.〔対象〕神経学・整形外科学的な疾患の既往のない健常成人男性22名(平均年齢21.4歳)とした.〔方法〕股関節外転筋疲労前後で片脚静止立位時の重心動揺と筋活動量の変化を計測した.疲労前後の重心動揺と筋活動量を対応のあるt検定,重心動揺と筋活動の関係をpearsonの相関を用いて求めた.〔結果〕疲労後にX方向の重心動揺が有意に増加し,中殿筋の活動は減少,右脊柱起立筋の活動は有意に高まった.右脊柱起立筋の活動の増加と重心動揺に正の相関がみられた.〔結語〕筋疲労により筋の作用に関連する方向の重心動揺が増大し,代償のための筋活動が増加したと考えられる.
著者
竜田 庸平 福本 礼 橋本 俊顕 岩本 浩二 宮内 良浩 小川 哲史 藤元 麻衣子
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.A4P3012-A4P3012, 2010

【目的】<BR> 広汎性発達障害の原因説にはミラーニューロン(以下MN)障害説があり,MNは模倣と運動学習に関連している.今回,MNの存在する44野付近の運動模倣中の賦活状態を計測することを目的に光トポグラフィー(以下NIRS)を用いて測定し,広汎性発達障害児と健常児との間に差があるか検証したので報告する.<BR>【方法】<BR> 広汎性発達障害児群は20名(11.7±3.53歳) 障害別内訳(高機能自閉症10名・アスペルガー症候群10名)男児19名,女児1名であった.健常児群は,健常児10名(12.3±2.95歳),男児8名,女児2名であった.なお,対象は全員右利きであった.NIRSの測定は近赤外光イメージング装置OMM-3000シリーズ;島津製作所を使用した.測定は,Czより11cm側方3cm前方の44野付近を測定した.NIRSのプローペパッドを2枚用意し両側に貼り付けた. 課題には田中の改訂版随意運動発達検査を用いた. 30秒×3を1セット,合計2セット行った.1番目,3番目の30秒は休憩,2つ目の30秒は課題を行った.課題は健常成人の右手のb-4,b-5,b-6を動画撮影し,PC画面に呈示した.対象には動画上の運動を模倣してもらった.分析方法として,ビデオによる行動分析と,ピーク振幅を求めU検定を行った.加えて, 44野付近の平均加算を2群それぞれグラフ化し,目視にて分析を行った. <BR>【説明と同意】<BR> 対象者には十分に説明を行い,同意を得た後測定した.なお,本研究は当校倫理委員会の承認を得た.<BR>【結果】<BR> 広汎性発達障害児群には何らかの異常な模倣行動が認められ,健常児群には認められなかった. 異常な模倣行動の内訳として,課題施行中の集中力低下8例・鏡像模倣1例・左右逆模倣4例・鏡像模倣だが鏡になっていない模倣5例・動画と非同調な模倣13例であった.U検定の結果,課題の1セット目では,24個中10個のチャンネル(以下CH)で,2セット目では24個中8個のCHで広汎性発達障害児群が健常児に比べ有意に低かった. 中でも,健常児群と比較して広汎性発達障害児群は44野付近の12CHと23CHが1セット目2セット目にわたり,有意に低下していた. 44野付近の平均加算の結果,健常児群と比較して広汎性発達障害児群は,平坦なグラフとなり,44野付近の活動が確認できなかった.健常児群では課題施行中にoxy-Hbが上昇するグラフとなり,44野付近の活動が確認できた.<BR>【考察】<BR> 模倣は6歳前半に完成するとされている.模倣には身体図式が関係しているため,広汎性発達障害児群も身体図式に障害があったのではと考える.人が身体図式を利用するにはMNが関係し,広汎性発達障害児の場合,MNに障害があるために身体図式を用いたdirect matchingがうまく機能していないことが考えられた.実際に広汎性発達障害児群は,44野付近のCHで有意差が見られ,平均加算データも,健常児群と比較して平坦になっていた.このことはdirect matchingの機能をうまくコントロールできていない状態をリアルタイムに採取できたと考える.運動学習は3段階に分けられ,このなかでも初期の認知段階では教示・示唆・運動見本の提示が重要となる.この初期の認知段階には模倣を必要とし,模倣を行うことによって運動学習の見本を自己にインプットする.Meltzoff(1989)によると模倣行動は新生児より出現するとの報告があり,新生児の時期からの模倣行動の重要性が伺える.しかし,これら模倣に関連した44野を含むMNシステムに障害があるとされる広汎性発達障害児において,運動学習には不利な状況であることが今回の研究により考えられた.<BR>【理学療法学研究としての意義】<BR> 模倣とコミュニケーション能力,模倣とMNの研究,模倣と身体図式等,いろいろな方面から模倣に対する研究が盛んに行われており,模倣を理解することは,運動学習を教示する立場である私たちにとって有益なものになると考える.
著者
松浦 直己 橋本 俊顕
出版者
鳴門教育大学高度情報研究教育センター
雑誌
鳴門教育大学情報教育ジャーナル (ISSN:13491016)
巻号頁・発行日
no.4, pp.29-40, 2007-03-30
被引用文献数
1

本研究の目的は女子少年院在院生における,発達的問題性の深刻度,及び逆境的児童期体験の累積度の相互作用を明らかにすることにある。女子少年院において,在院生の発達的特性や逆境的小児期体験が調査され,各要因間の相関が評価された。少年院群は少年院に平成18年7月時点で入院していた少年70名である。調査の一部について,一般の高校生404名を対照群とした。少年院群には,LD,AD/HDスクリーニングテストとACE (Adverse Childhood Experiences)質問紙による調査を行い,対照群には後者のみを実施した。LD,AD/HDスクリーニングテストの結果,少年院群の5割以上に発達的問題性が見出された。ACE質問紙の結果,少年院群における深刻な逆境的児童期体験の割合は対照群を大きく上回ることが明らかとなった。国立情報学研究所『研究紀要公開支援事業』により電子化。
著者
橋本 俊郎 小島 均 佐竹 秀雄
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.38, no.9, pp.822-825, 1991

らっきょう漬の製造法の改善のため,生ラッキョウの塩漬時の食塩濃度を低食塩区(3%,6%)と高食塩区(12%,20%)に分けて室温下に8週間貯蔵し,2週目ごとに調味加工して食味品質の比較を行った.<BR>食塩濃度12%以上の区では微生物の生育が強く抑制され,成分の変化が少なかった.しかし,低食塩区では微生物が旺盛に増殖して塩漬4週目で乳酸菌が10<SUP>7</SUP>/ml,酵母が10<SUP>6</SUP>/ml台に達し,漬液の濁度の増加,pHの低下,乳酸及びアルコールの生成をもたらした.低食塩区のうち3%区の塩漬らっきょうを原料とした製品品質は劣ったが,6%区の塩漬らっきょうの場合は良好であった.この時の脱塩時間は高食塩区の場合のほぼ1/10となり,脱塩に要する水量を著しく減少することができた.3%区の漬液中の乳酸量は塩漬4週目で0.4%に達したが,6%区では0.22%とおよそ半量に留まり,乳酸発酵が適度に抑制されたものと思われる.
著者
森 健治 橋本 俊顕 原田 雅史 米田 吉宏 島川 清司 藤井 笑子 山上 貴司 宮崎 雅仁 西條 隆彦 黒田 泰弘
出版者
The Japanese Society of Child Neurology
雑誌
脳と発達 (ISSN:18847668)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.329-335, 2001

自閉症患児29例 (IQ50以上=6例, IQ50未満=23例) および正常小児19例において, 扁桃体~海馬を含む左, 右側頭葉内側部, 左小脳半球の3箇所にてproton magnetic resonancespectroscopy (1H-MRS) を施行し, 代謝物質の濃度を抑制されていない組織水を用いた内部標準法にて測定した.IQ50未満の自閉症患児においては, 扁桃体~海馬を含む左側頭葉内側部および左小脳半球にてN-acetylaspartate濃度が有意に低下していた.これは, これらの部位における神経細胞の減少や発達異常あるいは神経活動の低下を反映していると考えられ, 自閉症で報告されている神経病理学的所見および脳血流SPECTの所見とよく一致していた.1H-MRSは自閉症の病態解明に有用であると考えられる.
著者
橋本 俊哉
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.116-125, 1993-03-10 (Released:2016-12-01)

This research is aimed at clarifying the behavior of pedestrians in unfamiliar surroundings, during recreational activities, with particular emphasis on their trash disposal behavior. Primarily, in order to reach the objective, the author attempted to analyze the characteristics of trash disposal behavior at a highway service area. Based on the results, garbage cans were systematically arranged according to the characteristics of trash disposal behavior. This rearrangement resulted in a more effective disposal pattern in which pedestrians' distinguishing between flammable and non-flammable garbage increased, and correct trash can use ratios increased significantly. From the on-going research the author was able to extract the following pedestrian behavioral traits: 1) a tendency towards cleanliness, 2) a tendency to minimize energy, and finally, 3) a tendency to shorten the distance.
著者
橋本 俊次 脇本 忠明 立川 涼
出版者
Japan Society for Environmental Chemistry
雑誌
環境化学 (ISSN:09172408)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.637-646, 1994-09-20 (Released:2010-05-31)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

ベトナム南部から採取された層位別土壌試料及び底質コアを用い, ダイオキシンによる過去からの汚染の調査を行った。調査地点付近には, ベトナム戦争当時, 大量の枯葉剤が散布されているにもかかわらず, そこから採取された試料からは, 枯葉剤の不純物であるTCDDは検出できなかった。一方, ほとんどの試料からOCDDなどの高塩素化ダイオキシンを検出した。検出した濃度は0.069~1.1ng/g dryで, そのうち約80%がOCDD, 約15%がHeptaCDDs, 約5%がHexaCDDsであり, この組成は全試料で確認された。今回検出されたこれらのダイオキシン類は, 周囲の状況などから, 自然生成したものであることが類推された。しかも, 以前我々が調査した日本沿岸底質深層部から発見したものと全く同じ組成をもつことが分かり, 自然生成するダイオキシンの存在が示唆された。
著者
橋本 俊一 戸田 正明
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.221-238, 1983-03-01 (Released:2009-11-13)
参考文献数
73
被引用文献数
2 2

The recent discovery of the new family of compounds, named leukotrienes because of their origin from leukocytes and a structural characteristic, the conjugated triene, has significantly increased our knowledge of arachidonic acid metabolism.This review will focus on the chemistry leading to the complete stereochemical elucidation of the leukotrienes, as well as more recent synthetic advances.
著者
高原 光恵 津田 芳見 橋本 俊顕 成瀬 進
出版者
鳴門教育大学
雑誌
鳴門教育大学研究紀要 鳴門教育大学 編 (ISSN:18807194)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.58-63, 2009

We examined the gaze point of adults who didn't have the symptoms of dyslexia when looking at a child's handwritten characters. Subjects were 14 adults, and half of them were teachers. They looked at 10 photo images that showed a boy writing characters, hiragana and kanji. Their gaze points were analyzed by using an eye tracking system. Three kinds of indices were as follows ; time to first fixation (TFF), fixation length (FL), and fixation counts (FC). The results showed there was no gaze point difference in all indices whether they have an experience as a teacher or not. But there was a difference among the areas as for "TFF" and "FL". Most subjects have a tendency to pay attention early to near the center and the first line. And longer fixation length areas were the final line and the central upper area. These results partly correspond to the preceding research.
著者
棗田 浩和 北原 周 橋本 俊一
出版者
一般社団法人 日本鉄鋼協会
雑誌
鉄と鋼 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.102, no.9, pp.525-533, 2016 (Released:2016-08-31)
参考文献数
31
被引用文献数
9 14

Recently, 5% Mn steel has been focused on as one of the promising candidates for third generation AHSS by showing an excellent TS-El relationship. The excellent TS-El relationship is brought about by a large volume fraction of retained austenite through the enrichment of austenite stabilizing elements such as C and Mn in reverted austenite. The effect of the microstructure of mother hot band on the changes in microstructure and mechanical properties was compared with the intercritical annealing time in this study. The steel containing about 10% of retained austenite in a mother hot band exhibited a higher volume fraction of retained austenite and higher strength. On the other hand, the steel which did not contain retained austenite in a mother hot band exhibited excellent strength-elongation combination. The difference of work hardening behavior in these steels was analyzed and thought to be brought about by the difference of transformation behavior during deformation determined by the stability of retained austenite affected by Mn concentration.