著者
矢内 勇生 東島 雅昌 清水 直樹 鷲田 任邦
出版者
高知工科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、選挙タイミングの決定要因とその帰結について、民主制だけでなく、独裁制も対象にして分析する。選挙タイミングの変更が制度的に予定されている議院内閣制の国々だけでなく、選挙タイミングが固定されているはずの大統領制諸国も合わせて分析し、選挙タイミングを包括的に理解することを目指す。具体的には、(1) 選挙タイミングの決定要因、(2) 選挙タイミングが選挙結果などのマクロな政治的結果に与える影響、(3) 選挙タイミングが有権者の態度や行動などのミクロな政治的結果に及ぼす影響の3点を明らかにする。
著者
黒澤 茶茶 清水 直樹 宮嵜 治 中川 温子 阪井 裕一 宮坂 勝之
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.27-31, 2009-01-01 (Released:2009-07-25)
参考文献数
9
被引用文献数
2 1

【目的】小児心肺蘇生での至適な胸骨圧迫の深さ(強さ)について検討した。【対象】1歳以上8歳未満の小児で,胸部CT検査を行った66例と,蘇生後に死亡し,病理解剖された10例。【方法】CT画像から胸郭前後径と胸骨後面-椎体前面間距離を計測し,胸骨圧迫時に残存する胸骨後面-椎体前面間距離を推計した。病理解剖所見から,胸骨圧迫による有害事象の有無を検討した。【結果】胸郭前後径の2分の1ならびに3分の1で胸骨圧迫したと仮定した際の残存距離は,各々1.5±3.4 mm,22.6±4.4 mmであり,2分の1で胸骨圧迫した際には98%で10 mm未満,30%でマイナス値となった。病理解剖所見上,有害事象は皆無であった。【結論】小児心肺蘇生での適切かつ安全な胸骨圧迫の深さは,「胸郭前後径の3分の1」と考えられた。小児の心肺蘇生法の指導にあたっては,この結果を正しく理解し,至適指標に準じた充分な強さ(深さ)の胸骨圧迫が実施される指導が肝要である。
著者
宮脇 昇 山本 隆司 横田 匡紀 清水 直樹 西出 崇 後藤 玲子 藤井 禎介 玉井 雅隆 山本 武彦
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

「やらせ」の政治的演出は情報の不完備性に依拠している。「やらせ」を命じる政治的演出者と「やらせ」を見る観客の双方に共通知識があたかも(as if)存在するかのごとく演出されるが、現実には観客の有する情報は限定的・選択的でしかない。被操作者は必ずしも完全な知識を有さない。情報の不完備性・非対称性が政治的演出としての「やらせ」を可能にし、公共政策の政策過程の循環を演出者の意図にそって進行させる。また非民主主義国では「やらせ」を内在化した情報操作が権力維持のために恒常化している。しかし世界的な民主化の波、インターネットの普及、情報公開制度の拡大により、成功的演出の条件が困難になった。
著者
清水 直樹 家根 旦有 岡本 英之 細井 裕司
出版者
日本小児耳鼻咽喉科学会
雑誌
小児耳鼻咽喉科 (ISSN:09195858)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.29-32, 2008 (Released:2012-09-24)
参考文献数
11
被引用文献数
1 2

奈良県立医科大学耳鼻咽喉科では1990年から2006年の過去17年間に7例の小児甲状腺癌を経験した.これは当科で手術を施行した甲状腺悪性腫瘍全体の1.6%に相当する.性別は男性3例,女性4例で,年齢は8~16歳,平均年齢は11.6歳であった.病理組織型は,乳頭癌6例,濾胞癌1例と,成人同様乳頭癌が多く認められた.乳頭癌のうち,びまん性硬化型乳頭癌と診断した症例が1例,充実濾胞型の増殖を示した症例が1例あった.また全例に頸部リンパ節転移を認めた.甲状腺全摘術を施行した2症例は,術後一時的に気管切開を要した進行例であった.肺転移が認められた症例が3例あり,そのうち2例に衛後アイソトープ治療を施行した.小児甲状腺癌の予後は成人と比較し良好であると報告されているが,初診時から周囲組織への高度浸潤を認める症例や,遠隔転移をきたすなど進行癌である場合も多く,治療方針の選択には十分注意する必要であると考えられた.
著者
清水 直樹
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.108-125, 2020 (Released:2023-11-16)
参考文献数
26

本稿の目的は,都道府県の経済データと2012,2014,2017年の衆議院選挙データを分析し,経済が選挙結果に与える影響を明らかにすることである。日本の経済投票に関する先行研究は,サーベイ・データによる研究が中心で,集計データによる研究が少ない。その理由として,第1に,時系列データの場合,選挙ごとに異なる政治状況や経済状況の影響を除去できないこと,第2に,地域間のクロスセッション・データの場合,地域特性や候補者特性の影響を除去できないことが挙げられる。本稿では,安倍内閣の下で実施された衆議院選挙のデータを利用し,その選挙に出馬している同じ候補者の得票率の差を計算したデータを用いることで政治状況や候補者特性などを除去する。そして,このデータを用いて,経済が選挙結果に与える影響を分析する。分析の結果,経済が選挙結果に与える影響は,かなり限定されたものであると結論付ける。
著者
小澤 南 右田 王介 清水 直樹
出版者
学校法人 聖マリアンナ医科大学医学会
雑誌
聖マリアンナ医科大学雑誌 (ISSN:03872289)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.163-172, 2023 (Released:2023-05-16)
参考文献数
20

緒言:日本においても2020年に6万人近い新生児が生殖補助医療(ART)の恩恵をうけて出生している。体外受精した胚の状態を評価する方法として,胚生検による着床前遺伝子検査が,すでに臨床応用されている。しかし,その侵襲が胚変性を惹起する可能性が残されている。培養液中に認められるcell free DNA(cfDNA)は生検にかわり着床前診断を行う胚の無侵襲な評価方法となりうる。今回,溶液中のcfDNAを回収し,定量することで解析の実用性を検討した。方法:マウス卵を体外受精させ,胚盤胞期胚を得るために5日間培養した。胚盤胞期胚に発育した胚の培養液のDNAの回収を試みた。マウス脳組織DNAをコントロールに用い,リアルタイムPCRを使用した検量線法による溶液中のDNA定量を行った。結果:個別の培養液のDNAは微量であった。5日目の培養液中に平均900 pg前後のDNAが含まれていると推定した。考察:エタノール沈殿処置を行い,マウスの培養液からcfDNAが回収可能となった。cfDNAは培養細胞の状態を無侵襲に評価でき,胚の評価に応用できる可能性がある。一方,胚培養液中のcfDNAはごく微量であり,その回収に当たっては,その後の解析に合わせた精製方法の選択が必要と考えられた。
著者
生田 陽二 伊藤 麻美 森 貴幸 鈴木 洋実 小出 彩香 冨田 直 清水 直樹 三山 佐保子
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.283-284, 2017 (Released:2017-07-12)
参考文献数
9

6歳女児. 発熱・頭痛で発症 (第1病日), 第7病日に傾眠傾向とけいれんが出現し入院. 頭部MRI拡散強調画像では大脳皮質に広範囲の拡散制限を, 脳波では高振幅徐波と全般性あるいは多焦点性の棘徐波複合を認めた. 入院時より下肢間代発作や全身強直発作が群発し, 人工呼吸管理とした. 発作は治療抵抗性で, 第9病日にthiopental (TP) 持続投与を開始したところ, 臨床発作は消失した. TP開始後, 心機能悪化が懸念されたため他の抗てんかん薬を併用してTPの減量を試みた. しかし部分発作が再発し, 脳波も数十秒間連続する多棘波が5~10分間隔で出現する非臨床発作と考えられる所見となり, TP離脱は困難であった. 第24病日に24時間の絶食期間を経てケトン指数3 : 1でケトン食療法を開始したところ, 絶食開始24時間後には背景脳波活動の改善がみられ, ケトン食開始後は速やかに発作と脳波上の棘波が減少した. 第35病日以降, 発作は消失し第42病日にTPを終了した. 以上の経過より, 本症例はTPからの離脱にケトン食療法が有効であった難治頻回部分発作重積型急性脳炎 (AERRPS) と診断した. AERRPSでは抗てんかん薬の大量かつ長期間の経静脈投与を必要とし, 心機能を含めた臓器障害が問題となる. 抗てんかん薬経静脈投与からの離脱困難例においてケトン食療法は選択肢の一つであり, 輸液中の糖質制限が発作抑制に有効である可能性が示唆された.
著者
木幡 義彰 宮原 健夫 清水 直樹 渡辺 浩一 内山 和郎 井川 守仁 篠原 靖 白鳥 泰正 窪田 良彦 竹下 俊隆 宮岡 正明 斉藤 利彦 古畑 総一郎 木下 剛 福武 勝秀
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
雑誌
消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy (ISSN:03899403)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.211-214, 1993-12-01 (Released:2015-07-15)
参考文献数
10
被引用文献数
1

症例1は51歳男性。腹痛を主訴に入院した。腹部X線検査にて横行結腸と思われる部位に針様陰影を認め,停滞したため大腸内視鏡検査を施行し,生検鉗子を用いて横行結腸より縫い針を摘出した。症例2は61歳女性。義歯誤飲にて受診した。腹部X線検査にて上行結腸に異物を認め,大腸内視鏡検査を施行し,生検鉗子およびポリペクトミー用スネアを用いて義歯を摘出した。症例3は59歳男性。自慰行為にて肛門から挿入したバイブレーターが抜去困難となり受診した。大腸内視鏡検査を施行し,スネアを用いて摘出した。3例とも摘出による合併症の出現はなかった。異物は時に消化管穿孔や出血などをひき起こし,外科的処置が必要となる場合がある。内視鏡的異物摘出は上部消化管においては普及しているが,下部消化管ではまれである。大腸異物の内視鏡的摘出は安全かつ有用な手技であると考えられた。
著者
小清水 直樹 井上 裕介 伊藤 靖弘 岩嶋 大介 菅沼 秀基 小林 淳 朝田 和博 須田 隆文 千田 金吾 田井 久量
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.25-30, 2009-01-25 (Released:2016-10-29)
参考文献数
15

背景.気管気管支アミロイドーシス(以下ア症)は中高年に多くみられる疾患であり若年者の報告はまれである.症例.15歳女性.2004年より嗅覚の低下があり,アレルギー性真菌性副鼻腔炎が疑われた.2006年8月鼻出血が続き,易出血性の副鼻腔ポリープがみとめられた.当院耳鼻科でポリープ切除術を施行し,鼻腔アミロイド(AL型)と診断された.全身検索目的および乾性咳嗽にて,当科に紹介となった.気管支鏡検査では,気管下部よりびまん性に粘膜の発赤・浮腫性の腫脹があり,易出血性で気道は狭小化していた.気管支粘膜生検でもアミロイドの沈着をみとめた.明らかな基礎疾患はなく,その他の臓器にはアミロイドの沈着はみられず,原発性と考えられた.呼吸器症状は軽微で,若年者でもあることから,吸入ステロイド剤投与にて経過観察をしている.4ヵ月後の胸部CTでは,気道病変に変化をみとめていない.検索した限りでは,原発性気管気管支ア症としては,本例が最年少であった.結論.基礎疾患のない若年者にも,気管気管支ア症がみられることがある.びまん性気管気管支ア症に対する副作用の少ない有効な治療法の開発が望まれる.