著者
田中 明彦
出版者
財団法人 日本国際政治学会
雑誌
国際政治 (ISSN:04542215)
巻号頁・発行日
vol.1990, no.95, pp.16-29,L6, 1990-10-20 (Released:2010-09-01)
参考文献数
17

Based on the ideas of cognitive balance developed mainly by F. Heider, R. P. Abelson and others, a framework to represent a relationship characterized by amity and enmity is presented; essential points of this framework include (1) your enemy's enemy is your friend, (2) if A has both friendly and hostile relations with B, A and B have “ambivalent” relations, and (3) if there are no “ambivalent” relationship within a system of actors, this system is “balanced”. This framework then is applied to a triangular relationship among three actors and eight possible types of trialgular relationships are derived.To derve possible directions of transition among these eight types, two assumptions and four transition rules are introduced. The assumptions are:(1) three actors differ in their influence; and (2) A weaker actor is more sensitive to imbalance in the system. The four rules are: (1) changes of relationship take place sequentially, i. e., one at a time; (2) actors change their relationships to make the system “balanced”; (3) in an unbalanced system, the relationship between the two weakest actors tends to change; and (4) among the four balanced systems, three can change to become unbalanced (for the precise rule, see the text.)With these four rules, possible directions of transitions among these eight types are derived; this derivation represents a theory to explain how a triangular relationship might possibly evolve (Table 9). To examine the validity of this theory, an analysis of the history of U. S. -U. S. S. R. -China triangular relationships in the postwar period is made (Table 10). Except for the deterioration of U. S. -U. S. S. R. relations in 1960 after the U-2 inicident, the isolation of the Soviet Union in the late 1970s, and the deterioration of Sino-American relations immediately after the Tiananmen Square incident in 1989, the theory explains the historical transitions in the triangle very well.
著者
田中 明彦
出版者
東京大学東洋文化研究所
雑誌
東洋文化研究所紀要 (ISSN:05638089)
巻号頁・発行日
vol.116, pp.107-147, 1992-03

This paper describes and analyzes the development of the U. S. policy toward China since the Tiananmen Square crackdown in June 1989.It first summarizes the state of Sino-American relations immediately before the Tiananmen Sauare incident in terms of (1) mutual exchanges,(2) Chinese arms transfer issues,(3) U. S. relations with Taiwan (4) human rights issues, and (5) Sino-Soviet relations and points out that the relations between Washington and Beijing appeared one of the most favorable in the postwar history despite some differences especially over human rights issues.The paper then argues that the Tiananmen Square incident changed this situation by examining the initial reactions of the U. S. administration, Congress, and the U. S. business.The next part of the paper describes the development of U. S. policy toward China from the secret trip of Brent Scowcroft and Lawrence Eagleburger to Beijing in July 1989 to their second secret trip to Beijing in December 1989.How the sanctions that the U. S. government imposed immediately after the Tiananmen Square incident evolved and were relaxed is described in detail.The reasons of the secret trips and the relaxation of sanctions as presented by Eagleburger is also analyzed.The final part of the paper examines the development of U. S. China policy in 1990 and 1991, focusing on the issue of the MFN (most favored nation) status for China. The paper concludes itself with the observation that despite the willingness of the Bush administration to maintain more or less normal relations with Beijing, it has become increasingly defficult for the administration to do so unless China makes significant improvements in various issues including human rights, arms exports, and trade.
著者
田中 明彦
出版者
財団法人 日本国際政治学会
雑誌
国際政治 (ISSN:04542215)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.124, pp.1-10,L5, 2000-05-12 (Released:2010-09-01)
参考文献数
21

International Relations Theory is in need of reconstruction. The end of the cold War is usually invoked to justify such need. But other factors are also relevant. First, the objects of IR studies are undergoing rapid changes: trends of globalization as well as those of anti-globalization, democratization and human rights protection, increasing activities of multinational organizations and NGOs, problems of “failed states” and persistance of civil wars, prospects of non-proliferation, traditional security as well as “human security, ” and so on. IR studies need theoretical frameworks to deal with such diverse phenomena. Second, academic debates conducted over the last two decades, mostly in North America, now appear to enter into a new, more productive phase of incorporating diverse ontological and epistemological approaches. The field could explore increasingly more diverse objects of study as discussed above with more open-mined viewpoints than in the 1980s when a narrow academic debates between “neo-realism” and “neo-liberalism” dominated the field. Third, theorybuilding activities in Japan is also in need of reconstruction mainly because theoretical gaps between Japanese IR studies and North American ones have been widened over the last two decades. While North American scholars were engulfed completely with the debates between neo-realism and neo-liberals and are now being challenged by the rise of constructivism, most theoretically inclined Japanese scholars paid relatively little attention to either trends of North American IR studies; their concerns were more to do with world systems dynamics and implications of decline of American hegemony. It is about time to narrow the gaps of academic concerns and start joint activities to reconstruct IR Theory. The following ten articles are all attempts to respond to such challenges.
著者
瀬下 仁志 野田 隆広 丸山 美奈 田中 明通 高橋 時市郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.388, pp.7-12, 2002-10-11
被引用文献数
3

World-Wide Web(WWW)上の豊富な情報は、調べ学習における調査・探索の対象として有用である。その一方で、情報の膨大さやHypertextに特有なナビゲーションの困難さなどから、何の支援もなくそのまま授業に導入することは難しかった。そこで我々は、WWWを活用した調べ学習を支援するための仕組みとして、高機能なProxyサーバとして構成される学習支援システム「WebAngel」を開発した。「WebAngel」は、インターネット上に散在する既存のWebリソースを選択的に組み合わせ、教師の授業意図、学習スタイルに沿ったかたちに教材化して利用することを可能にする。本稿では、「WebAngel」の概要とその学習事例などについて述べる。
著者
瀬下 仁志 田中 明通 丸山 美奈 鈴木 英夫 高橋 時市郎
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.359-369, 2006
被引用文献数
1

学習活動におけるITの利用が進むなかで,学習者主導の学習活動が盛んになってきた.加えて,そうした学習をより深めるための情報として,各学習者の学習履歴を豊富に取得することも可能となっている.しかしながら,豊富で詳細であるがゆえに取り扱いも難しく,収集された履歴を各学習者への適切なフィードバックに活用することは困難であった.そこで我々は,多量な学習履歴をより手軽に活用することを目的として,各学習者の学習履歴を,想定される学習活動の段階に基づいて抽象化することで,活動の変遷や特徴を端的に表現する可視化手法を提案する.本可視化手法は,学習者の活動状況や活動の特徴を,意味内容に立ち入らず,定量的に俯瞰することを可能にする.本論文では,提案する可視化手法の概要と,我々がこれまでに開発した,調べ学習支援システムを用いた授業実践結果への適用とその分析について述べる.
著者
田中 恭子 荒井 茂夫 白石 昌也 黒柳 米司 真栄平 房昭 田中 明彦 中田 睦子
出版者
南山大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1996

計画研究「中国とアジア太平洋の広域世界」は、研究分担者6名、公募研究者6名、研究協力者2〜3名による共同研究を進めてきた。3年間にあわせて15回の研究会を行い、そのうち2回は領域研究の他の班(中華世界班、社会班)と、1回は特定領域研究「南アジアの構造変動とネットワーク」の世界システム班と合同で開催し、学際的研究を進めた。また、第5回研究集会において「アジア太平洋世界と中国」セッションを主宰し、班の研究成果を領域研究全体で共有するよう努めた。3年間の研究活動の結果、次のような共通認識を持つに至った。(1)冷戦の終結は、米ソ中3極構造を崩壊させ、中国を「地域化」させた。中国の影響力および経済関係は、アジア太平洋地域にほぼ限定され、その外交戦略もまた、近隣のアジア諸国との関係緊密化によって、平和な環境を維持し、アメリカの「脅威」に対処するものである。(2)東南アジア諸国には新たな「中国脅威論」が浮上しているが、これは、中国の「建設的関与」促進によって緩和可能と考えられていること、華人はもはや争点でないことの2点において、冷戦期の「脅威論」とは質的に異なっている。(3)経済的には、香港・台湾を含む華人ネットワークが中国の発展の重要要因となっている。とくに、広東・福建の僑郷(香港住民・海外華人の出身地区)の発展は、ほぼ全面的に彼らに依存してきた。このため、北京も僑郷地区も海外華人との連係強化に懸命である。(4)これらの動向は、いずれも何らかの構造的変化を示すものであり、1997年の香港返還およびアジア経済危機がさらなる構造変動を促すことかどうか注目される。
著者
古田 元夫 山影 進 佐藤 安信 田中 明彦 末廣 昭 池本 幸生 白石 昌也 栗原 浩英 レ ボ・リン グエン ズイ・ズン グエン タイン・ヴァン 伊藤 未帆
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、ベトナムをはじめとするASEAN新規加盟国の地域統合の動態を、東西回廊など、これら諸国を結ぶ自動車道路を実際に走行して観察しつつ、ベトナムのダナン、バンメトート、ラオスのビエンチャンおよび東京でワークショップを開催して、現地の行政担当者や研究者と意見を交換した。こうした取り組みを通じて、ベトナムの東南アジア研究所と研究者と、この地域統合の中でベトナムが果たしている役割、それと日本との関係について意見を交換し、その成果をベトナムと日本で報告書にまとめて刊行した。
著者
大野 脇弥 田中 明
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.37-41, 1966-05-30

1963年6月30日から10月18日の間に5回にわたり,放牧牛と行動を共にして,牛群の動線および牧区内の地形別による草地利用回数について調査した。また1960年から1963年までに茶臼山放牧場において,放牧育成した496頭の乳用育成牛にみられた放牧牛の一般習性について調査した結果は次のとおりである。(1)放牧牛の動線から牛の移動についてみると,その移動には一定のきまった方向はなく,牧区内のすべての所を2回以上通っている。しかも放牧牛はおおむね各季節とも午後に飲水のため谷間におりているのが観察された。また牛は各牧区ともほぼ同じ場所で就寝するようである。(2)草地の使用回数は,牧区の使用日数が多くなるにつれて増加する傾向がみられ,その要因に草生が関係していることが考えられた。(3)放牧牛の一般習性として,月齢別に編成した放牧牛群は,放牧日数の経過とともに自治統率的集団を構成することが観察された。その他,牛の脱柵の原因に,悪癖,災害の発生,飲水,草生状況,牧柵の破損,他からの影響などが見うけられたが,いずれの場合でも脱柵牛に強い帰群性があること,採食および横臥休息中の群は移動し難く,その反対に佇立休息中のものは捕獲ならびに移動し易いこと,群をなした牛は,群からはなれた牛が群をさがすときや,水のほしい時をのぞき,あまりなかないなどが観察された。
著者
日高 哲雄 大浦 啓一郎 森田 哲之 倉 恒子 田中 明通 加藤 泰久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.244, pp.29-34, 2006-09-08

PC操作履歴は、過去に閲覧したことのあるデータを検索する際に、非常に有効な情報源となりうる。しかし、PC換作イベントをすべて保存する場合、プライバシーの問題など課題が多数存在する。そこで、本報告では、PC操作履歴蓄積に対する要求条件について検討し、その要求条件に基づき開発したシステムMemoryArchiverについて紹介する。さらに、その一機能である記憶忘却機能に関する評価実験結果について報告する。
著者
大野 脇弥 田中 明
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.138-143, 1966-03-30
被引用文献数
3

放牧牛群の行動の季節型の有無をしらべるため,地形ならびに気象条件と行動の関係を調査した結果は次の通りであった。1)牛群の行動時間は日照時間と関連して,春,夏,秋の順に短かくなり,春と秋との間には2時間の差があった。2)季節ごとの行動形についてみると,春は移行形,夏は休息形,秋には採食形が多く出現する傾向がみられた。3)地形と行動との関係をみると,採食形は牧区全域にわたってみうけられたが,朝,夕の気温の低い時期は斜面で,日中暖い時は高台や谷間で多く行なわれる傾向があった。また休息は三つの季節を通じ,昼間は風とおしのよい高台で,夜間は風当りの少ない斜面でみられた。従って春夏季は高台で,秋季は平地および斜面で行動するのが多くみうけられた。4)気象と行動との関係のうち,晴天日と雨天日の行動について調査した結果,採食時間は,雨天日が少なく,休息時間はその逆であった。しかも雨天日においては佇立休息が晴天日の2倍以上もあり,横臥休息は逆に短かかった。5)行動形については,晴天日においては採食,移行,休息の行動形が交互にみられたが,雨天日には降雨以後,採食形が少なく移行形が多くなった。また雨天日は,牛の就寝時間がおくれ,降雨のため風下へ牛群が移動した。
著者
森田 哲之 倉 恒子 日高 哲雄 大浦 啓一郎 田中 明通 加藤 泰久 奥 雅博
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.1197-1208, 2007-03-15
被引用文献数
8

『過去に見た』という体験を思い出し,その体験で得られた情報を想起しようとすることは多いのではないだろうか.本論文では,Web ページの内容だけでなく,Web ページ間の関係,およびWebページから得た知識といったWeb ページの閲覧体験によって得られた情報を想起させるための,コンピュータ上の過去の行動を検索する手法を提案する.行動を検索するための元データとなるコンピュータ上の行動履歴を収集する手法を示すとともに,再検索のために入力したキーワードに関連した行動を集中して起こした期間,およびWeb ページをアクティブに表示している期間について着目し,それらの重要度を算出する手法を提案する.さらに,行動を検索するための行動検索インタフェースを示す.また,評価実験により,提案手法は従来手法に比べ,Web ページの閲覧体験によって獲得した重要な知識を,短期間で効率的に想起できることを示す.Most of us have tried to recollect obtained information by our past experience after we remembered the experience was useful. We propose a method for retrieving user action history. By finding his action history, he can acquire not only passes of web pages but also relation among the web pages and knowledge based on the web pages. We show a technique for collecting user action history which is basic data for the retrieving. We also propose a method for extracting a period when a user intensively takes action related a keyword and a period when he made a webpage shown actively, and a method for estimating the degree of importance of the periods. We also suggest interfaces for retrieving user action history. Finally we show proposed method let user recall knowledge obtained from the web pages viewed in the past more efficiently.