著者
矢田 充男 高橋 香 三木 祐 鵜飼 克明 小林 英嗣 小松 由佳 石田 さやか 平間 麻衣子 一戸 集平 渡辺 真衣 水吉 勝彦 澤田 真樹
出版者
一般社団法人 日本臨床薬理学会
雑誌
日本臨床薬理学会学術総会抄録集
巻号頁・発行日
vol.42, pp.2-P-O-6, 2021

<p>【はじめに】新型コロナウイルス感染症は、2019年12月以降、中国湖北省武漢市を中心に発生し、短期間で全世界に広がった。本邦において2021年2月14日に新型コロナウイルスワクチンとして販売名コミナティ筋注(以下「本剤」という)が特例承認となった。国立病院機構においては、投与初期における安全性確認を主たる目的としたコホート調査(以下「調査」という)を兼ね先行接種を行った。当院において、本剤先行接種に際し、医師、薬剤師、看護師、事務職員により構成された新型コロナウイルスワクチン検討チーム(以下「検討チーム」という)を立ち上げ、当院職員に対し本剤接種を安心・安全を第一に接種行うこととした。【目的】当院において2021年1月26日に検討チームの第1回目の打ち合わせを開始し、その後も随時打ち合わせを行いながらの対応となった。2月5日に本剤保管用のディープフリーザーの設置、2月12日より院内において本剤接種および調査の説明会を実施した。当院には2月18日に本剤が搬入となり、翌2月19日より接種を開始した。その後3月26日までの先行接種終了までの流れについて紹介する。【方法】当院職員を対象とした先行接種に1207名を対象に接種希望調査を実施し、1062名の職員が先行接種の希望をされ、うち2021年2月25日までに接種を受けた378名に調査にご協力いただくこととなった。ワクチン接種は院内大講堂を会場に行い、予診票等の事前確認、問診、接種、予診票等の回収という流れで行い、被接種者は接種後に大講堂若しくは職場等で観察を行い、一人で過ごすことがないような環境を整えた。【結果】本剤の接種にあたり、問診等は医師、本剤の管理・調製は薬剤師、接種は看護師、職員の接種スケジュール管理は事務、調査関係は治験管理室とそれぞれの役割を分担したことにより、接種を希望する全職員への接種は大きな問題はなく終えることができた。また調査における日誌の回収、データ入力についても関係各所に協力をいただきながら期限までに入力を終えることができた。しかしながら、各部署の担当者への負担が増加したところは否定できない状況であった。【考察】本剤先行接種に際し、各種情報が日々更新される中で、円滑に接種を終えることができたのは、医師、薬剤師、看護師、事務職員をはじめとした病院の全ての職員が一丸となり、一つのチームとして対応したことが一番の要因であると考える。</p>
著者
矢田 智 矢沢 直樹 山田 義和 助川 しのぶ 高木 弦
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1989, no.4, pp.641-647, 1989-04-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
23
被引用文献数
4

白金族金属触媒による 4-t-ブチルシクロヘキサノン (1) の還元アミノ化反応と立体化学について検討した。反応生成物は第一級アミンの 4-t-ブチルシクロヘキシルアミン (2) と第二級アミンのビス (4-t-ブチルシクロヘキシル) アミン (3) などであった。(2) の生成は Pt<Os<h<Pd<Rh<Ruの順で収率59~97%の間であった。(3)はPtでは収率34%に対し, Ruではまったく生成しなかった。触媒によって(2)と(3)の生成量は異なる。これは反応中, 一時的に生成する4-t-ブチルシクロヘキサンイミン(6)やシップ塩基, 4-t-ブチル-N-(4-t-ブチルシクロヘキシリデン) シクロヘキシクルアミン(5)に対する水素付加の速度の違いと(5)の反応性の違いによる。たとえば, 別途に合成した(5)を用いてRu上, アンモニア存在下での水素付加反応では1分子の(5)から2分子の(2)が定量的に生成し, (3)は得られない。しかし, Ptではこ(5)から(2)と(3)が同時に得られた。(1)の還元アミノ化における立体化学ではいずれの触媒とも(2)のtrans-体よりも cis-体を多く生成した。また, (5)の立体構造を1H-NMRによって調べ, C-N結合がアキシアル(ax)結合とエクアトリアル(eq)結合をもつ2種類の立体異性体の存在を確認した。さらに(5)が水素付加されて得られた(3)では C-N-C 結合が ax-ax, ax-eq, eq-eq 結合した3種類の立体異性体が存在した。
著者
中島 勝 熨斗 秀夫 今仲 明夫 山崎 隆 矢田 尚登
出版者
The Society of Fiber Science and Technology, Japan
雑誌
繊維学会誌 (ISSN:00379875)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.T109-T115, 1982

The apparatus of mechanochemical turbine in the mechanical shape and materials similar to those designed by A. Katchalsky was constructed. The experiment on the driving of mechanochemical turbine was performed to make clear some obscure points in Katchalsky's paper such as proper condition of crosslinking treatment of collagen film, theoretically induced revolution number and situation of turning.<br>The following results were obtained; 1) crosslinking of collagen film with 2% formaldehyde aqueous solution and 10M LiBr aqueous solution as a contracting liquid were found to be suitable, 2) the equation of the calculated revolution number using the mechanochemical diagram was induced, 3) this turbine could not be turned continuously for a long period of time, but continuous several turnings were gained temporarily, and it was found that the observed revolution number was 2.5 sec<sup>-1</sup> and the power was 26.5mW closed to the figure of 30mW obtained by Katchalsky. The results indicate that the induced equation of revolution number is valid and the power of 26.5mW would be acceptable.
著者
矢田 昭一
出版者
日本犯罪学会
雑誌
犯罪学雑誌 (ISSN:03020029)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.155-158, 1970-08
著者
矢田 浩紀 安部 博史 大森 久光 石田 康 加藤 貴彦
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医大誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.293-303, 2009
被引用文献数
1 8

精神科の看護者のストレス要因を明らかにし, 精神科急性期病棟と精神療養病棟の看護者のストレスの質と量の違いを比較することを目的とした. 調査には, 職業性ストレス簡易調査票と精神科看護師の特有のストレス項目およびストレスに暴露される時間量に関する質問票について精神科の看護師・准看護師36名(A病院精神科急性期病棟11名とB病院精神科療養病棟25名)から回答を得た. 各下位尺度で因子分析を行い, 因子得点と項目得点にて2要因分散分析を行った結果, 職業性ストレス簡易調査票における「仕事のストレス要因」の下位尺度「雰囲気」の因子得点と「精神科におけるストレス要因」における全因子「看護における知識と技術」「実際のケア」「暴力への恐れ」「仕事の方向性」の因子得点は, 急性期病棟より療養病棟の看護者の方が有意に高くストレスが高かった.
著者
林 泰司 矢田 英昭 Blair Malcolm Laughlin Kathryn A. Blanchard Gary Lee Tucek Paul C. Geil Robert G.
出版者
日本毒性学会
雑誌
The Journal of Toxicological Sciences (ISSN:03881350)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.177-197, 1994
被引用文献数
1

雌雄ビーグル犬にTAZ/PIPC 200, 400, 800 mg/kg/dayおよびTAZ 40, 80および160 mg/kg/dayを6ヵ月間静脈内投与し, その反復投与毒性ならびに回復性について検討し, 以下の知見を得た。1. 投与および回復期間を通じて, TAZ/PIPCおよびTAZ投与群に死亡例はみられず, 一般状態の観察, 体重測定および摂餌量には被験物質投与に起因した変化はみられなかった。2. 血液学的検査, 血液生化学的検査, 尿検査, 眼科学的検査, 生理学的検査および心電図検査では, 被験物質投与に起因した変化はみられなかった。3. 剖検および臓器重量では, 被験物質投与に起因した変化はみられなかった。4. 病理組織学的検査では, TAZ/PIPC 400 mg/kg/day以上の群およびTAZ 80 mg/kg/day以上の群で肝細胞内に著明なPAS陽性物質の蓄積がみられた。電子顕微鏡観察では, 肝細胞の細胞質内中にグリコーゲン顆粒および滑面小胞体の増加がみられた。5. 上記変化は, 1ヵ月間の回復試験によりいずれも回復あるいは回復傾向がみられ, 可逆性の変化であった。6. 肝の病理組織学的変化から判断し, TAZ/PIPCおよびTAZの無毒性量はそれぞれ200 mg/kg/dayおよび40 mg/kg/dayであった。
著者
矢田 登
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.275-287, 1980-03-01 (Released:2009-11-13)
参考文献数
45
被引用文献数
1 1

Recent advances of prodrug formation of therapeutic agents were reviewed with 44 references in terms of (1) improvement of stability, (2) masking of bitter taste, (3) increase of water solubility, (4) improvement of bioavailability, and (5) selective distribution into the site of action.Basic consideration for rational design of prodrug was also presented.
著者
清水 洋 松本 聡 酒井 慎一 岡田 知己 渡辺 俊樹 飯尾 能久 相澤 広記 松島 健 高橋 浩晃 中尾 茂 鈴木 康弘 後藤 秀昭 大倉 敬宏 山本 希 中道 治久 山中 浩明 神野 達夫 三宅 弘恵 纐纈 一起 浅野 公之 松島 信一 福岡 浩 若井 明彦 大井 昌弘 田村 圭子 木村 玲欧 井ノ口 宗成 前原 喜彦 赤星 朋比古 宇津木 充 上嶋 誠 王 功輝 ハザリカ ヘマンタ 矢田 俊文 高橋 和雄
出版者
九州大学
雑誌
特別研究促進費
巻号頁・発行日
2016-04-22

2016年熊本地震について、地震活動や地殻変動、活断層、火山活動への影響、地震災害の特徴などを調査した。その結果、熊本地震は布田川・日奈久断層帯の右横ずれ運動によって発生したが、複数の断層面と複雑な断層形状を持つことを明らかにした。また、建物被害や土砂災害の地盤との関係、特に、地盤の過剰間隙水圧が地すべりの発生要因であることを明らかにした。さらに、災害情報や災害過程、被災救援、エコノミークラス症候群などについての調査から、広域複合災害の問題点と対応策を提示した。
著者
加藤 敏英 矢田谷 健 石崎 孝久 伊藤 貢 小田 憲司 平山 紀夫
出版者
日本獸医師会
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.127-130, 2008 (Released:2011-01-19)

トルアジン誘導体であるトルトラズリルの牛コクシジウム病発症予防効果および安全性を調べることを目的に、168頭の子牛を用いて投与試験を実施した。その結果、有効性試験(n=134)では薬剤投与群(n=67)の発症率(0%)が無投与対照群(n=67)のそれ(38.8%)に比べ有意に低かった(P<0.01)。また、薬剤投与群のオーシスト排泄率およびOPG値は投与後4週までは無投与対照群に比べ有意に低く(P<0.01)、便性状や下痢便排泄率でも顕著な差が認められた。いっぽう、安全性試験(n=168)では薬剤投与群(n=84)と無投与対照群(n=84)でそれぞれ19.0%、26.2%の個体に呼吸器症状がみられたが、薬剤投与に起因する有害事象はみられなかった。以上のことから、トルトラズリル5%経口液は牛コクシジウム病発症を抑え、臨床的に有用性が高い薬剤であることがわかった。
著者
中村 信元 尾崎 修治 安倍 正博 松本 俊夫 矢田 健一郎 神野 雅 原田 武志 藤井 志朗 三木 浩和 中野 綾子 賀川 久美子 竹内 恭子
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.51, no.8, pp.690-695, 2010

67歳男性,背部痛を契機に2001年10月に多発性骨髄腫IgA-<i>&lambda;</i> stage IIIAと診断された。VAD療法5コース後の2003年3月に自家末梢血幹細胞移植併用大量化学療法を行うも再発した。以後,サリドマイド療法などを行うも再燃し,2007年6月入院した。入院後のボルテゾミブ(Bor)療法で,2度の腫瘍崩壊症候群をきたした。その後のCTで右肺上葉,膵尾部,脾臓の腫瘤が急速に出現し,ミカファンギンやボリコナゾールを投与するも,入院85日後に死亡した。剖検で,肺,脾臓に多発性の真菌塊と出血性梗塞が認められ,僧帽弁には真菌塊の疣贅を認め,組織学的に播種性接合菌症と診断した。Bor療法後の腫瘍崩壊によるアシドーシスや,コントロール不良の糖尿病,輸血による鉄過剰,抗真菌薬投与中のブレークスルー感染症などが発症の誘因と考えられた。
著者
江木 盛時 小倉 裕司 矢田部 智昭 安宅 一晃 井上 茂亮 射場 敏明 垣花 泰之 川崎 達也 久志本 成樹 黒田 泰弘 小谷 穣治 志馬 伸朗 谷口 巧 鶴田 良介 土井 研人 土井 松幸 中田 孝明 中根 正樹 藤島 清太郎 細川 直登 升田 好樹 松嶋 麻子 松田 直之 山川 一馬 原 嘉孝 大下 慎一郎 青木 善孝 稲田 麻衣 梅村 穣 河合 佑亮 近藤 豊 斎藤 浩輝 櫻谷 正明 對東 俊介 武田 親宗 寺山 毅郎 東平 日出夫 橋本 英樹 林田 敬 一二三 亨 廣瀬 智也 福田 龍将 藤井 智子 三浦 慎也 安田 英人 阿部 智一 安藤 幸吉 飯田 有輝 石原 唯史 井手 健太郎 伊藤 健太 伊藤 雄介 稲田 雄 宇都宮 明美 卯野木 健 遠藤 功二 大内 玲 尾崎 将之 小野 聡 桂 守弘 川口 敦 川村 雄介 工藤 大介 久保 健児 倉橋 清泰 櫻本 秀明 下山 哲 鈴木 武志 関根 秀介 関野 元裕 高橋 希 高橋 世 高橋 弘 田上 隆 田島 吾郎 巽 博臣 谷 昌憲 土谷 飛鳥 堤 悠介 内藤 貴基 長江 正晴 長澤 俊郎 中村 謙介 西村 哲郎 布宮 伸 則末 泰博 橋本 悟 長谷川 大祐 畠山 淳司 原 直己 東別府 直紀 古島 夏奈 古薗 弘隆 松石 雄二朗 松山 匡 峰松 佑輔 宮下 亮一 宮武 祐士 森安 恵実 山田 亨 山田 博之 山元 良 吉田 健史 吉田 悠平 吉村 旬平 四本 竜一 米倉 寛 和田 剛志 渡邉 栄三 青木 誠 浅井 英樹 安部 隆国 五十嵐 豊 井口 直也 石川 雅巳 石丸 剛 磯川 修太郎 板倉 隆太 今長谷 尚史 井村 春樹 入野田 崇 上原 健司 生塩 典敬 梅垣 岳志 江川 裕子 榎本 有希 太田 浩平 大地 嘉史 大野 孝則 大邉 寛幸 岡 和幸 岡田 信長 岡田 遥平 岡野 弘 岡本 潤 奥田 拓史 小倉 崇以 小野寺 悠 小山 雄太 貝沼 関志 加古 英介 柏浦 正広 加藤 弘美 金谷 明浩 金子 唯 金畑 圭太 狩野 謙一 河野 浩幸 菊谷 知也 菊地 斉 城戸 崇裕 木村 翔 小網 博之 小橋 大輔 齊木 巌 堺 正仁 坂本 彩香 佐藤 哲哉 志賀 康浩 下戸 学 下山 伸哉 庄古 知久 菅原 陽 杉田 篤紀 鈴木 聡 鈴木 祐二 壽原 朋宏 其田 健司 高氏 修平 高島 光平 高橋 生 高橋 洋子 竹下 淳 田中 裕記 丹保 亜希仁 角山 泰一朗 鉄原 健一 徳永 健太郎 富岡 義裕 冨田 健太朗 富永 直樹 豊﨑 光信 豊田 幸樹年 内藤 宏道 永田 功 長門 直 中村 嘉 中森 裕毅 名原 功 奈良場 啓 成田 知大 西岡 典宏 西村 朋也 西山 慶 野村 智久 芳賀 大樹 萩原 祥弘 橋本 克彦 旗智 武志 浜崎 俊明 林 拓也 林 実 速水 宏樹 原口 剛 平野 洋平 藤井 遼 藤田 基 藤村 直幸 舩越 拓 堀口 真仁 牧 盾 増永 直久 松村 洋輔 真弓 卓也 南 啓介 宮崎 裕也 宮本 和幸 村田 哲平 柳井 真知 矢野 隆郎 山田 浩平 山田 直樹 山本 朋納 吉廣 尚大 田中 裕 西田 修 日本版敗血症診療ガイドライン2020特別委員会
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.28, no.Supplement, pp.27S0001, 2020 (Released:2021-02-25)
被引用文献数
2

日本集中治療医学会と日本救急医学会は,合同の特別委員会を組織し,2016 年に発表した日本版敗血症診療ガイドライン(J-SSCG) 2016 の改訂を行った。本ガイドライン(J-SSCG 2020)の目的は,J-SSCG 2016 と同様に,敗血症・敗血症性ショックの診療において,医療従事者が患者の予後改善のために適切な判断を下す支援を行うことである。改訂に際し,一般臨床家だけでなく多職種医療者にも理解しやすく,かつ質の高いガイドラインとすることによって,広い普及を目指した。J-SSCG 2016 ではSSCG 2016 にない新しい領域[ICU-acquired weakness( ICU-AW)と post-intensive care syndrome(PICS),体温管理など]を取り上げたが,J-SSCG 2020 では新たに注目すべき4 領域(Patient-and Family-Centered Care,sepsis treatment system,神経集中治療,ストレス潰瘍)を追加し,計22 領域とした。重要な118 の臨床課題(clinical question:CQ)をエビデンスの有無にかかわらず抽出した。これらのCQ には,本邦で特に注目されているCQ も含まれる。多領域にわたる大規模ガイドラインであることから,委員25 名を中心に,多職種(看護師,理学療法士,臨床工学技士,薬剤師)および患者経験者も含めたワーキンググループメンバー,両学会の公募によるシステマティックレビューメンバーによる総勢226 名の参加・協力を得た。また,中立的な立場で横断的に活躍するアカデミックガイドライン推進班をJ-SSCG 2016 に引き続き組織した。将来への橋渡しとなることを企図して,多くの若手医師をシステマティックレビューチーム・ワーキンググループに登用し,学会や施設の垣根を越えたネットワーク構築も進めた。作成工程においては,質の担保と作業過程の透明化を図るために様々な工夫を行い,パブリックコメント募集は計2 回行った。推奨作成にはGRADE方式を取り入れ,修正Delphi 法を用いて全委員の投票により推奨を決定した。結果,118CQ に対する回答として,79 個のGRADE による推奨,5 個のGPS(good practice statement),18 個のエキスパートコンセンサス,27 個のBQ(background question)の解説,および敗血症の定義と診断を示した。新たな試みとして,CQ ごとに診療フローなど時間軸に沿った視覚的情報を取り入れた。J-SSCG 2020 は,多職種が関わる国内外の敗血症診療の現場において,ベッドサイドで役立つガイドラインとして広く活用されることが期待される。なお,本ガイドラインは,日本集中治療医学会と日本救急医学会の両機関誌のガイドライン増刊号として同時掲載するものである。
著者
樋口 有未 松本 麻子 森口 喜成 三嶋 賢太郎 田中 功二 矢田 豊 高田 克彦 渡辺 敦史 平尾 知士 津村 義彦
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.94, no.5, pp.247-251, 2012-10-01 (Released:2012-11-22)
参考文献数
31
被引用文献数
2 3

ヒバの天然林集団と選抜集団の遺伝的多様性および集団間の遺伝構造を明らかにするため, 北海道, 青森県, 岩手県, 新潟県, 石川県のヒバ天然林集団 (1道4県7集団) と育種が盛んな青森県, 新潟県, 石川県の3県の選抜集団を対象に, 5座の核のマイクロサテライトマーカーを用いた解析を行った。青森県, 新潟県, 石川県の3県の天然林集団と選抜集団の遺伝的多様性は同程度であった。STRUCTURE解析およびNJ系統樹の結果, 新潟県と石川県の天然林集団と選抜集団がその他の集団と遺伝的に異なることが示された。NJ系統樹の結果は各集団の地理的な位置関係を反映しており, 3県の選抜集団がそれぞれの天然林集団から選抜されたことが支持された。検出されたヒバ天然林集団間の遺伝構造は, 天然林の分布変遷や選抜集団の由来に起因していると考えられた。