著者
小風 尚樹 中村 覚 纓田 宗紀 山王 綾乃 小林 拓実 清原 和之 金 甫榮 福田 真人 山崎 翔平 槙野 翔 小川 潤 橋本 雄太 宮本 隆史 菊池 信彦 後藤 真 崎山 直樹 元 ナミ 加藤 諭
巻号頁・発行日
pp.1-57,

2018年4月15日に開催された「2018 Spring Tokyo Digital History Symposium」のイベントレポート。シンポジウムは、歴史研究においてデジタル技術を駆使する際のいくつかの指針を提示すべく、歴史研究者・アーキビスト・エンジニアの学際的協働に基づくワークショップTokyo Digital Historyが主催した。 本シンポジウムでは、歴史研究が生み出されるまでの4つのプロセス、すなわち「情報の入手」「情報の分析」「情報の表現」「情報の公開」に着目し、それぞれに関連の深いデジタル技術や知識を提示した。さらに、それらを活用した具体的な歴史学的実践例を提供した。このシンポジウムおよびTokyo Digital Historyは、学際的協働を必要とする人文情報学プロジェクトの好例であるとともに、歴史研究の分野においては画期的な試みである。
著者
福田 真也
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.199-205, 2000-03-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
9

大学生の"引きこもり"について, 大学の保健管理センターで関わった12例をもとに報告した.1)性別では男性に圧倒的に多い.2)引きこもり先は自宅の自室とアパートなどに独居している者が同数.3)大学入学以前に不登校の既往のある者よりもない者の方が多い.4)程度では軽度と思われるアパシーや, まったく社会とコミュニケーションの取れない重い症例もいたが, 中間の症例が最も多い.5)アトピー性皮膚炎や気管支喘息などの心身症を合併する症例が多い.6)その後2/3の者は退学した.彼らは精神分裂病による自閉や躁うつ病のうつ病相で"引きこもり"になったわけではないが, なんらかの神経症的症状, 強迫的傾向や対人恐怖症状をもち, 高い自尊心と低い自己評価の間の葛藤に悩むことが多かった.対応・治療では一部の症例は行動や身体面からのアプローチが有効であったが, 多くの症例ではその対人関係上の問題から良好な治療者・患者関係が築けず対応が困難であった.相談件数も増加しており, 大学生のみならず青年期のメンタルヘルス上重大で, 心身医学からのアプローチも今後重要と思われる.
著者
福田 真嗣
出版者
JAPAN BIFIDUS FOUNDATION
雑誌
腸内細菌学雑誌 (ISSN:13430882)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.145-155, 2015

メタボロゲノミクス(Metabologenomics)とは,代謝物質を網羅的に解析するメタボロミクス(Metabolomics)と,腸内細菌叢遺伝子を網羅的に解析するメタゲノミクス(Metagenomics)とを組み合わせた研究アプローチである.われわれの腸管内には多種多様な腸内細菌が生息しており,それら腸内細菌叢が宿主腸管細胞と相互作用することで異種生物で構成される複雑な腸内生態系,すなわち腸内エコシステムを形成している.腸内エコシステムの恒常性を維持することがヒトの健康維持・増進に大きく寄与していることが近年明らかになりつつあるが,逆に腸内細菌叢のバランスが崩れることで腸内エコシステムが大きく乱れると,大腸がんや炎症性腸疾患といった腸管関連疾患のみならず,自己免疫疾患や代謝疾患といった全身性の疾患につながることも報告されている.したがって,腸内細菌叢を異種生物で構成される一つの臓器として捉え,その機能を理解し制御することが,疾患予防・健康維持における新たなストラテジーとして重要と考えられる.近年,特に腸内細菌叢のメタゲノム解析やメタトランスクリプトーム解析により,個々人の腸内細菌叢遺伝子地図や推定される遺伝子機能に関する研究は盛んに行われている.しかし,腸内細菌叢による宿主への直接的な作用を理解する上で重要なカギを握るのは,腸内細菌叢から産生される種々の代謝物質と考えられる.本稿では,腸内細菌叢由来代謝物質が宿主の健康状態にどのように影響しているのかについて,メタボロミクスによる全容理解に向けた近年の取り組みについて紹介するとともに,腸内細菌叢変動とも組み合わせたメタボロゲノミクスの有用性についても議論する.<br>
著者
山崎 祥史 福田 真一 白石 浩荘 泉 康雄
出版者
(社)大阪生活衛生協会
雑誌
生活衛生 (ISSN:05824176)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.84-88, 2006 (Released:2006-04-07)
参考文献数
21

Eighty kcal of rice crackers containing indigestible dextrin (4.6g/21g) were administered as test samples to 27 healthy adults (18 males and 9 females) and the postprandial rise of blood glucose levels were compared with placebo samples (80kcal, 17.8g) not containing indigestible dextrin. As a result, test samples showed lower blood glucose levels (p <0.05) at 15 and 30 minutes after intake compared to placebo samples.This result suggests that rice crackers containing indigestible dextrin are useful for primary prevention of diabetes.
著者
橘高 弘忠 西本 昌義 福田 真樹子 西原 功 小畑 仁司 大石 泰男 秋元 寛
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.7, pp.406-412, 2013-07-15 (Released:2013-10-16)
参考文献数
11
被引用文献数
1

症例は61歳の男性。3年前にKlebsiella pneumoniaeを起因菌とした肝膿瘍の既往があった。発熱と全身倦怠感を主訴に他院に救急搬送され,精査の結果,肝膿瘍による敗血症,播種性血管内凝固症候群と診断され当センターへ転院となった。腹部超音波検査,腹部造影CT検査所見では,肝外側区域に隔壁を伴う膿瘍形成を認め,抗菌薬(BIPM)の投与を開始した。第2病日に呼吸状態が悪化したため,気管挿管し人工呼吸器管理を開始するとともに超音波ガイド下経皮経肝的膿瘍ドレナージ術を行った。ドレーン造影を行うと,蜂巣状の膿瘍とそれに連続して胆管が造影された。穿刺液細菌培養の結果,Klebsiella pneumoniaeが検出された。発熱が続いたため,第10病日に腹部CTを撮影したところ,肝膿瘍の増大,右腸腰筋膿瘍およびL3/L4の化膿性脊椎炎の合併を認めた。また第11病日より項部硬直が出現した。髄膜炎を疑い,髄液採取を試みたものの採取できなかったため,頭部MRIを行ったが異常所見はなかった。肝膿瘍に対してドレナージ治療の限界と判断し,第12病日に肝外側区域切除術を施行したが,発熱・意識障害は遷延した。第18病日に髄液採取に成功し,細菌培養検査を施行したところ,多剤耐性のEnterococcus faeciumが検出された。Linezolidの追加投与を開始したところ,解熱とともに意識レベルは改善し,第30病日のCTでは腸腰筋膿瘍と脊椎炎の消失を認めた。意識レベルの改善とともに視力障害の訴えがあったため,眼科へコンサルトしたところ細菌性眼内炎と診断され転院となった。本症例は肝膿瘍から転移性病変を生じ,さらに菌交代を伴ったためEnterococcus faeciumが起因菌となったものと考えた。
著者
福田 真規夫 石桁 正士
出版者
Japanese Society for Engineering Education
雑誌
工学教育 (ISSN:13412167)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.11-16, 1995-05-30

この研究は,システム開発の上流工程に携わるシステムエンジニア(以下SEと略記)を育成するための教育の目標や,カリキュラムとその実施方法の開発を目的としている。ここで目指している教育の特色としては,システム設計技法や技術上の知識の授与教育ではなく,上級のSEにとくに要求される基盤能力の育成に焦点を当てていることである。<BR>この研究は,1988年に産学協同の研究会として発足した「情報処理教育研究会」(事務局:ECCオープンキャンパスセンター)を活動の中心として行われているもので,著者らは現在その研究会の幹事を務めている。研究会では,研究成果の実践として,1991年よりSEなどソフトウェア技術者を対象として,毎年1回「上級SE育成セミナー」を実施してきた。ここでは,われわれのこのような研究のアプローチ,セミナーの実施結果などを中心に報告する。
著者
平山 琢二 福田 真 平川 守彦
出版者
公益財団法人 山階鳥類研究所
雑誌
山階鳥類学雑誌 (ISSN:13485032)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.1-8, 2013-09-30 (Released:2016-03-24)
参考文献数
17

今回の調査では,ヤンバルクイナの鳴き声の経時変化ならびに季節変化を観察し,ヤンバルクイナの活動との関連性について検討した。鳴き声は4~6月に特異的にkekソングを多く確認した。また,鳴き声の時間帯は季節によって異なり,3~6月は6~9時および15~18時にもっとも多く確認できたのに対し,8~10月は18~21時に多く,11~2月は12~15時に多かった。これらのことから,ヤンバルクイナの鳴き声の頻度ならびに時間帯は季節によって変化することが示唆された。また,ヤンバルクイナの発する「kekソング」は,4~6月の繁殖期に多く観察されたことから「kekソング」と繁殖行動の関連性が示唆された。
著者
鏑木 崇史 福田 真啓 瀬賀 一恵 松本 隆 / MACKAY David. J. C.
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.71, pp.19-20, 2009-03-10

本研究は文字入力支援システムDasherを日本語で実現することを目的とする。Dasherは英Cambridge大学のMacKay教授らのグループが提案・実装しており、ある基準での情報圧縮手法に基づく文字入力手法である。英語をはじめ世界60以上の言語で動作することが確認されているが、現在、実装ができていない言語が少なくとも2つある:中国語と日本語である。
著者
福田 真由子 崎尾 均 丸田 恵美子
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.387-395, 2005-08-31
参考文献数
25
被引用文献数
14

日本の河川敷で分布しているハリエンジュの種子繁殖とその初期侵入過程を明らかにするため、定着初期のハリエンジュ群落が成立する埼玉県の荒川中流域の中州において、2001年9月-2003年12月の期間に追跡調査を行った。その結果、ハリエンジュは春の発芽は見られないが、期間中に台風により中州が水没して土砂の供給を受けた各3回の増水の後、新たな堆積物上に一斉に発芽が見られ、河川敷で種子繁殖していることが明らかとなった。増水の時期が異なる3つの当年生実生集団の最終個体重を比較した結果、増水の時期が早いほど発芽当年の最終個体重は大きくなり、また最終個体重が大きくなるほど翌年までの生存率が高くなる傾向が見られた。そして遅くても9月の増水によって発芽することが定着のためには必要であることがわかった。増水後に発芽した実生は、粗砂からなる粒径組成の堆積物に集中して見られ、このような堆積物はハリエンジュの発芽に適した条件を備えているといえる。