著者
牧野 俊郎 若林 英信
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

日本の夏の蒸し暑さや冬の温められた居住室内の乾きを抑えるには,湿気を呼吸する後づけ型の室内付設壁板を設けることが考えられてよい.そのような壁板に,人体や衣服と室内壁板の間のふく射伝熱を改善する機能を付与することができればさらによい.本研究では,そのような壁板の候補の1つとして,ハニカム的な構造をもつ多孔性の金属の板に大鋸屑を詰めた壁板を試作し,その平衡質量含水率を測定して吸放湿量の温湿度特性を推定し,湿気伝導率と熱伝導率,全半球放射率を測定する.その結果,この壁板は高い吸放湿性と高い熱伝導性をもつことが示される.
著者
若林 明
出版者
木更津工業高等専門学校
雑誌
木更津工業高等専門学校紀要 (ISSN:2188921X)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.47-53, 1971-03

Francis Bacon, who was by nature a reformer, could not content himself with the traditional philosophies and learnings. He intended to reform them and published Instauratio Magna (The Great Instauration) in 1620. Besides this book, his thoughts are clearly stated in many works between 1603 and 1609. Bacon set a great value on Natural Philosophy which had been degraded to the offices of a servant, and appraised her to be the great mother of learnings. For the control and mastery of nature, he advocated using the true induction. Though his inductive method did not bring any discoveries, Bacon's ideas were able to exert much influence upon other thinkers, especially upon French Encyclopedists, through the image of progress.
著者
若尾 典子
出版者
佛教大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

若い女性にたいするソーシャル・ワークの必要性を、生存権保障という憲法上の要請から検討した。若い女性は、家族の貧困・暴力の連鎖のなかに放置されやすいという問題をもつからである。第一に、暴力被害者である少女と加害家族の双方が、道徳的非難によって社会的に排除されてきたことを憲法判例から明らかにした。第二に、「若い女性」への支援をオーストリアについて検討した。オーストリアでは、青少年支援が福祉と社会教育に二分されてきた枠組みは維持されつつも、ソーシャルワークという点で連携するようになっており、当事者たる少女の力を引き出す方法が試みられている。
著者
若宮 香理 小林 芳彦 Acosta Tomas J. 高橋 昌志 奥田 潔
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
日本繁殖生物学会 講演要旨集 第103回日本繁殖生物学会大会
巻号頁・発行日
pp.69, 2010 (Released:2010-08-25)

【目的】Prostaglandins(PGs) は,生殖機能の調節に重要な役割を果たしている生理活性物質であり,多岐の作用が知られている。なかでも,PGE2は初期胚の発育環境を最適に保つ因子であることが報告されている一方で,子宮内膜から分泌される PGF2α(PGF) は胚の生存および発育を抑制し,妊娠率を低下させることが知られている。また,PGE2およびPGFはともに,受精卵の移送に重要な卵管の収縮運動に関係していると考えられている。ウシにおいて,夏期の気温上昇による暑熱ストレス (heat stress; HS) は,卵胞の発育異常による排卵障害,初期胚の死滅などを引き起こし,妊娠率を低下させることが報告されている。さらに,HSは初期胚の発育の場である卵管に影響を与え,初期胚の生存性に影響を与える可能性も考えられる。本研究では,卵管の機能に及ぼすHSの影響を明らかにするために,培養ウシ卵管上皮細胞を用いて以下の検討を行った。【方法】排卵後 0-5 日の卵管から単離した卵管上皮細胞を播種し,1)細胞接着後,培養液を交換した時間を 0 日とし,通常の培養温度(37.5℃)を control 区,39℃ (HS39) および 41℃ (HS41) をHS 処理区とした。HS 処理 1-4 日後に細胞を採取し,DNA assay により卵管上皮細胞の増殖を検討した。2) コンフルエントに達した卵管上皮細胞を control 区,HS39およびHS41で培養した。HS 処理 4,24,48 時間後の培養上清中PGE2およびPGF濃度をEIAにより測定した。なお,PGs 濃度は DNA (µg) あたりに換算した。【結果】1) Control 区と比較して HS41 で細胞増殖率が有意に低下した (P<0.05)。2) PGE2濃度は HS 処理 4 時間後に control 区と比較してHS41 で有意に減少し,PGF濃度は HS 処理 24 時間後に control 区と比較して HS39 で増加した(P<0.05)。本研究において,HS は卵管上皮細胞の増殖率を低下させ,卵管内における受精卵移送を困難にするとともに,PGE2 濃度の減少および PGF 濃度を増加することにより,初期胚の発達に悪影響を与え,繁殖率を低下させている可能性が示された。
著者
佐々木 昭夫 CHEN X. ROUVIMOV S. LーWEBER Z. WEBER E.R. 若原 昭浩 LILIENTAL-WEBER Zuzanna CHEN Xiaoshung CHEN X ROUVIMOV S WEBER Z.L WEBER E.R CHEN Xiaoshu ROWVIMOV Ser LILIENTALーWE ゼット WEBER Eicke 鍋谷 暢一
出版者
大阪電気通信大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1996

超高真空対応走査型トンネル顕微鏡による、不規則構造半導体の断面観察には、現用装置の改造が必要であった。製作企業との数度に亘る討議により、現用の表面観察に支障無く、改造し得る方法を案出した。今後、改造装置により本来の研究を続行し得る。InAs/GaAs量子ドットの規則、不規則配列の形成条件を知るために、スペ-サ層に相当するGaAs層の厚さを順次変えた試料を作製した。高分解能電子顕微鏡による試料断面を観察することにより、(1)GaAs層の厚さが、InAs量子ドットの高さの寸法と同じ厚さと、2倍の厚さの間であると、量子ドットが結合し合って規則的に配列し得ること、(2)薄いと量子ドットが潰れること、(3)厚いと結合が弱まり、量子ドットが互いに関連無く不規則に形成されること、などが分かった。J.Electronic Materials学術雑誌に掲載。InAs/GaAsの積層により、量子ドット数が増し、励起光あるいは注入電流を増すことにより、光量子効果による発光が強められる。InGaN結晶薄膜の成長において、位相分離が生ずることを実験的に見出した。これはGaN中にInNの量子ドットを形成する新しい方法と成り得る。しかしInNの形状を小さくする必要がある。AlN層に関しては、プラズマ励起成長法が如何に光量子物性に寄与するか検討中である。Stranski-Krastanov成長姿態が量子ドット形成に利用されている。層状と量子ドット状の形成において、歪エネルギーと表面エネルギーの和が小さくなる方が安定に形成されると云う考えにより、解析式を導いた。この式による理論値が、InAs/GaAsの遷移厚の実験値と良い一致を示し、今後ドット積層の場合に非常に有効な式となる。Electronic Materials Symp.(July,1998)に発表。研究代表者らは、これまで数多くの不規則超格子を作製してきた。これらの試料で未だ評価しきれていない物性値がある。本共同研究により、今後、上海技術物理研究所と共同で光検出に必要な物性値を含め、それらを解明して行く計画が立てられた。
著者
若林 律子
出版者
東海大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

本研究では、慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者におけるセルフマネージメントに関する情報量が、呼吸器を専門とする医療機関(カナダ、日本)と総合病院(日本)おいて異なるか検討を行った。これら3つの医療機関では、セルフマネージメントの情報量に違いが認められた。今回の研究結果から医療機関によって患者のセルフマネージメントに関する情報量は異なり、医療機関によってセルフマネージメントプログラムの質が異なる可能性が示唆された。
著者
若杉 準治
出版者
京都国立博物館
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

絵巻の中で、独立した詞書とは別に画面の中に書き入れられた文字を画中詞と呼ぶ。もともと画中詞は、長い画面に数場面を連続して描く絵巻の場面説明の「……するところ」という書き入れ文字から始まったと考えられるが、その後の画中詞は形式の上から三つに分類できる。第一形式は、連続画面の絵巻に用いられた場面説明や画中人物の会話を記すもので、鎌倉時代中期に華厳宗祖師絵伝や矢田地蔵縁起などに典型的にみられる。そして鎌倉時代後期の天狗草紙においては、場面説明より会話が主体となっている。第二形式は、鎌倉時代末期の尹大納言絵巻等の白描物語絵にみられるもので、一段の絵が短く、時間経過を持たないものであるが、詞書には簡単な状況説明を記して、画中に登場人物の会話を画面の余白がなくなるまで、画中詞として記している。この会話のみの画中詞では「一」「二」……の番号を付してその順が示されるが、こうした方法はすでに華厳宗祖師絵伝で用いられているところから、第二形式は第一形式から派生したと考えられる。そして、第三形式は、室町時代の御伽草紙に典型的にみられ、上の二つの画中詞の形式を受け継いで成立したと考えられるもので、独立した詞書を持たず、というか本来詞書であるべき部分が画面のなかに書き込まれたものである。画中詞が、この順に派生したと考えることには無理がないが、絵巻全体の中で遺品の割合が低く、画中詞が一般的な形式にならなかった理由の一つは、絵画としての純粋さを保とうとしたことにあると考えられる。そして逆に、画中詞が用いられたものは、強いリーダーシップを持って絵巻制作に当たった人物の存在が想定される。すなわち、絵師以上に絵巻の画面に支配力を持つ人物の存在である。このことは、個々の作品の制作事情についての史料的裏付けを要する問題であり、今後研究を続けることにしたい。
著者
渡辺 雅彦 若林 敬二
出版者
就実大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

モンシロチョウに存在する分子量98,000の蛋白質、ピエリシン-1、は種々のがん細胞に対して細胞傷害活性を示す。そこで、in vivoにおけるピエリシン-1の抗腫瘍活性を調べる目的で、ピエリシン-1の実験動物に対する毒性の解析を行った後、移植がん細胞に対するピエリシン-1の抗腫瘍効果を調べた。ピエリシン-1を単回腹腔内投与した場合のBALB/cマウスに対するLD50値は約5μg/kg body weightであった。1x10^7個のHeLa細胞を6週齢BALB/c雌ヌードマウスの腹腔内に移植し、翌日、3μg/kg body weightのピエリシン-1を単回、腹腔内投与し、80日目にマウスを屠殺し解析した結果、ピエリシン-1非投与群では全例(10/10)に腫瘍が確認され、その平均重量は1.16gであった。一方、ピエリシン-1投与群では10例中3例に肉眼上腫瘍を認めなかった。また、1例では腹膜に2mmの小結節を認めたのみであった。ピエリシン-1投与群の平均腫瘍重量は0.56gであり、有意に低下していた。以上より、ピエリシン-1はHeLa細胞に対し、in vivoで抗腫瘍活性を示すことが分かった。続いて1,340頭のモンシロチョウさなぎからピエリシン-1の大量精製を行い、47.6mgの精製ピエリシンを得た。さらにピエリシン-1およびその酵素ドメインであるN末端断片の酵素的性質を解析したところ、C末端断片が存在すると、酵素活性が大きく低下する条件が認められた。N末端断片およびトリプシン活性化本酵素による転移反応のturnover numberは55および25、24時間反応における転移数は10^6レベルであり、単一分子によって細胞に致死レベルの付加体が生成し得ることを示した。
著者
若山 清香
出版者
山梨大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

地球上の生物が宇宙で生殖可能かどうかは重要なテーマであり、これまでイモリやメダカを用いて研究が進められてきた。しかし哺乳類については、飼育の難しさから宇宙での生殖実験はほとんど行われていない。我々はJAXAと共同で凍結したマウス2細胞期胚をISSへ打ち上げ、宇宙ステーション内で解凍し4日間培養を試みる実験を計画しているが、宇宙空間で受精胚を解凍培養できる実験器具は存在しない。さらに哺乳動物受精胚の実験には高度な技術が必要とされることから、本研究代表者は操作をできるだけ簡略化して宇宙飛行士に負担をかけずに、確実に胚を解凍し培養できる装置の開発を行うことにした。
著者
所 功 川北 靖之 黒住 祥祐 小林 一彦 宮川 康子 若松 正志 海野 圭介 山口 剛史 飯塚 ひろみ 石田 俊 今江 廣道 宇野 日出生 岸本 香織 京條 寛樹 久世 奈欧 (野村 奈欧) 嵯峨井 建 笹部 昌利 篠田 孝一 宍戸 忠男 末松 剛 土橋 誠 橋本 富太郎 松本 公一 村山 弘太郎 山本 宗尚 吉野 健一 米田 裕之 若杉 準治
出版者
京都産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

近世(江戸時代)の賀茂大社(上賀茂・下鴨両社)では、世襲の社家神職たちにより、朝廷と幕府の支援をえて、葵祭や社務が運営されてきた。私共は、その実情を伝える社家の記録や祭礼の絵巻などを、朝廷の御記や公家の日記などと照合しながら、相互関係の解明に努めた。その成果は、本学日本文化研究所の紀要や所報などに発表し、また本学図書館所蔵の賀茂関係絵巻などは大半をデジタル化し詞書(ことばがき)の解読も加えて貴重書アーカイブスに公開している。
著者
内山 繁樹 塚田 尚子 若狭 紅子 池邉 敏子 塚田 尚子
出版者
横浜市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

EBP プログラムである IMR(Illness Management and Recovery:疾病自己管理とリカバリー)と FPE(Family Psycho Education:家族心理教育)を並行して実施することで,家族間の負担感の軽減や自己効力感など相補的・相乗的な効果を実証的に示すことを目的とし,当事者とその家族を対象に介入を行った。 リカバリーゴールの達成に向けて前向きな行動変容が見られることで QOL の改善傾向や再発予防として示唆された。また,家族はエネルギーの使い方が減少し,体験の共感や苦労の分かち合いから心理的サポートの実感が得られていた。