著者
藤若 雅也
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.570-574, 2015-05-15

ビックデータ分析において,一般に参加者を募集して参加者同士でその分析・予測精度を競わせる機械学習コンテストが広がりを見せている.また,機械学習コンテストの場をプラットフォームとして提供する企業も登場しており,MiscrosoftやAmazonといったトップ企業も活用している.コンテストでは,単に参加者が結果を競うだけでなく,情報交換フォーラムやチーム形成によりお互いが切磋琢磨できる場にもなっている.本記事では,その背景やコンテスト参加のメリットについて解説するとともに機械学習コンテストの場として世界最大であるKaggleにフォーカスを当て,具体的なコンテスト事例や参加方法を紹介する.
著者
若島 健司
出版者
JAPAN SOCIETY FOR COMPOSITE MATERIALS
雑誌
日本複合材料学会誌 (ISSN:03852563)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.161-167, 1976
被引用文献数
15

A theory developed in Part I has been applied to calculate effective elastic, and thermoelastic moduli of particle-strengthened, unidirectionally fiber-reinforced, and layered composites. For the unidirectional fiber composites, the effect of fiber aspect ratio is taken into account. The analytical solutions obtained to the effective elastic moduli are compared with some of existing expressions and the following results are found. The effective bulk and shear moduli of the particle-strengthened composites coincide with Kerner's expressions, which correspond with the lower bounds of Hashin and Shtrikman. The same expressions as the lower bounds of Hill and Hashin are obtained for five independent moduli of the aligned continuous fiber composites, four of which coincide with Hashin and Rosen's exact solutions for 'composite cylinder assemblage. '
著者
若林 明彦
出版者
千葉商科大学
雑誌
千葉商大紀要 (ISSN:03854566)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.155-170, 2003-12-31

本稿は現代の正義概念の規範的モデルであるところのアリストテレスの正義原理(「等しきものは等しく扱うべし」)に遡り,それが現代では「経済のグローバル化」に伴いますます形式主義化し矛盾を生んでいるとし(例えば,特許権重視の経済システムが社会的弱者が必要不可欠の財やサービスを入手できなくするという人権無視),それを批判的に検討することによって,現代における真の正義原理の捉え方を提起するものである。その批判は福音書の「ぶどう園の労働者の譬え」の中で,愛という正義原理と対置される形ですでに示されていた。神学研究者はこれを神的愛として捉えるが,それはむしろ基本的人権への配慮として解釈すべきである。実は,アリストテレスも形式主義的正義原理の暴走を抑制するためにエピエイケイアというもう一つの正義原理を提起していた。現代社会に求められる正義の原理は,社会的強者だけにしか通用しない「等しさ」に拘泥する形式主義的正義原理ではなく,社会的弱者をも包括した真の意味で万人が「等しさ」を享受できる原理でなければならない。
著者
小柳 義夫 伊藤 守 若林 とも 寺田 英司 田中 勇悦
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1994

ヒト免疫不全症ウイルス(HIV)は、AIDSの原因ウイルスである。しかし、このレトロウイルスがヒトにしか病気を起こさないために、その発病機構の解明ならびに治療薬の開発が大きく遅れている。我々は近年新しい方法として重篤な免疫不全マウスであるSCIDマウスにヒトの造血組織を移植し、ヒトのリンパ球細胞を構築する方法を用いて以下の結果を得た。SCIDマウスに正常人末梢血単核球を腹腔内に導入し、2週間後に100感染価のHIVを接種し、感染後1、2さらに3週間後いずれの時期にもウイルスの増殖をマウスの腹腔内、血漿中さらにリンパ節あるいは胸腺において確認した。確認の方法はPCR法によるウイルスDNAならびにRNA測定法、あるいはHIV-1p24抗原量を測定するELISA法である。その結果NSI型ウイルスすなわちマクロファージ好性ウイルスが増殖性が強く、その範囲は接種した腹腔内に限られるのではなく、リンパ節あるいは胸腺などのリンパ組織に広がっていることが明らかになった。この事実はNSI型ウイルスが初感染時には、まず生体内で増殖するという今までの知見を考えると、NSI型ウイルスに生体内における何んらかの特有な増殖能が備わっている可能性が考えられる。さらに興味あることに我々の使用したNSI型ウイルスは、このSCIDマウス内において優位に増殖しているにもかかわらず、ヒトCD4陽性細胞の特異的な減少は見られなかった。一方、SI型ウイルスによるCD4陽性細胞は減少した。すなわち、我々が開発したSCIDマウスによるHIV感染モデル動物により、明らかにウイルスの増殖性ならびにCD4陽性細胞を減少させる病原性を評価できることが判明した。さらにウイルス感染はリンパ節あるいは胸腺などのリンパ組織に優位に広がることより、この動物モデルは感染個体内におけるリンパ臓器の役割の解析に有用であると判明した。
著者
松本 光吉 富永 明彦 斎藤 祐一 若林 始
出版者
Showa University Dental Society
雑誌
昭和歯学会雑誌 (ISSN:0285922X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.233-236, 1993
被引用文献数
7

1954年, Nelsonらによって開発されたタービンが世に出て, 約40年の歳月が流れたが, 依然として, タービンによる歯質切削時の不快音, 象牙質切削時の麻酔の必要性は完壁には改善されていない.これらの諸問題を前進させるために開発された酸化アルミニウム粉末噴射法について, 噴射時のエナメル質, 象牙質切削面の形態学的変化を検討するために本実験を行った.被験歯として, 人の抜去歯20本を使用した.酸化アルミニウムの粉末粒子の径は約27μmと約50μのものを使用した.また, 噴射装置は, American Dental Laser社のKCP-2000を使用した.噴射速度はSlowが80 psi (5.6) kg/cm<SUB>2</SUB>, Mediumが120 psi (8.4kg/cm<SUB>2</SUB>), Highが160 psi (11.2kg/cm<SUB>2</SUB>) であった.切削法は粒子の大きさと切削速度を組み合わせて, 約1-2mmの距離より粉末を歯質表面に噴射した.なお, チップの直径は約0.34mmで, 噴射時に生じる切削片や粉末は付属のバキューム装置で吸引した.切削而の観察は, 肉眼的, 実体顕微鏡, 走査型電子顕微鏡によって行った.その結果, 酸化アルミニウムの粉末の粒子の大きさ, 切削速度の差によって, 切削面の形態学的差はなく, 滑沢な, 砂丘状を示した.酸化アルミニウムの粉末および切削歯質は噴射時に大方は飛散してバキュームにより吸引されたが, 一部は歯表面に残存していた.特に象死質では, 躯細管内に圧入されていた.歯融象頒の切削時に, 周囲と明らかに区別される物質が観察された.なお, 以上の観察所見には炭化や溶解.嫉凝固などの変化は観察されず歯質の本来の色調を示していた.
著者
Sambuunyam ORHON 諸岡 英雄 諸岡 晴美 真鍋 郁代 中橋 美幸 若嶋 清人
出版者
日本感性工学会
雑誌
感性工学研究論文集 (ISSN:13461958)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.1-8, 2002-08-31 (Released:2010-06-28)
参考文献数
1
被引用文献数
1 7

We investigated the relationship between aesthetics and leg shape using Japanese female undergraduates from the viewpoint of the measurement of leg dimension using leg images, the statistical classification of leg shape, and the visual impression survey of subject's legs. Leg shape was classified into an aesthetic leg group and an ordinary leg group, and both were further classified into three sub-groups. Based on the analysis of these groups, the concept of aesthetic leg was defined, and an empirical f ormula for estimating leg aesthetics objectively and numerically was derived.
著者
佐々木 丞平 西上 実 若杉 準治 山本 英男 山下 善也 大原 嘉豊 赤尾 栄慶 羽田 聡 淺湫 毅 中村 康 久保 智康 尾野 善裕 山川 曉 永島 明子 宮川 禎一 森田 稔 小松 大秀 村上 隆 呉 孟晋 水谷 亜希 難波 洋三 伊東 史朗 井上 一稔
出版者
独立行政法人国立文化財機構京都国立博物館
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、木を単に造形作品の素材・材料としての視点から捉えるのではなく、樹木そのものを信仰の対象として崇拝し、美の対象として描いてきた、日本人の樹木に対する精神のありようにまで踏み込んで調査し考察することが主たる目的であった。このような視点から調査研究を進めてきた結果、たとえば山形・熊野神社の伝十王坐像にトチ、静岡・建穂寺の千手観音立像にクスノキがあえて用いられている背景には、用材としての性能ではなく、信仰的な意味合いが強く意識されていたことなど、日本人と樹木の関係にかかわる貴重な成果が得られた。
著者
若林 功 小松 啓一 田代 俶章 間下 克哉 和田 倶幸 横手 一郎
出版者
東京農工大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

1.解析関数の代数点における値が超越数とならないとき, その代数点は例外点と呼ばれるが, 例外点の個数を上から評価するシュナイダー・ラング型定理の拡張を研究した.(1) リーマン面への拡張. 複素平面の場合の完全な拡張が得られ, 裏面の第1論文で発表した.(2) 単位円上の関数に対しては, 知られている結果より良い評価式を得ることができていたが, その改良をできるだけ一般の形に拡張し第2論文とした.(3) 上記(1)(2)の結果等は若林の東京大学学位論文としてまとめられ既に審査済みで, 63年3月に学位授与の予定.(4) 若林は(1)(2)について口答発表を行った.(i) 函数論分科会シンポジウム, 於長崎大学, 62年7月.(ii) ディオファントス近似国際会議, 於Oberwolfach, ドイツ, 63年3月.2.超越数論で有名な「四指数問題」を研究した. 上記(2)て考案された方法の考え方を適用し若干の進展が得られた.3.多変数関数の場合のシュヴァルツの補題を研究したが, 状勢を調べたに留る.4.間下は四元数射影空間およびケーリー射影平面から球面への標準的極小はめこみの剛性について研究し, 裏面の第3論文とした.
著者
牧野 俊郎 若林 英信 松本 充弘 吉田 英生 花村 克悟 山田 純 MIYAZAKI Koji
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

熱ふく射(thermal radiation)は物質における荷電粒子の熱振動に起因する電磁波であり,工業的にも身近にも得やすいエネルギーであるが,そのままではPlanck分布の及ぶ広い波長域に分散し,また,指向性が弱いぼんやりしたふく射である.そのため,レーザーの場合のように特定の波長にそのエネルギーを集中して工学的な機能を発揮させるためには有効でないことが多かった.本研究は,この熱ふく射を特定の波長帯域のふく射が強調されるスペクトル機能性のふく射に変換し制御する技術の開発をめざすものである.電磁波動論・分光学・固体物性論・伝熱工学を基礎として分光熱工学の実験・理論研究を行い,エネルギー工学と生活環境工学のために有効なハードシステムの実現をめざす.牧野・若林・松本は,(1)薄膜系の放射ふく射の干渉と(2)薄膜系のふく射放射理論を検討し,(3)薄膜系エミッターの試作を行った.さらに,(4)表面の鏡面反射率・半球反射率・指向放射率のスペクトルの同時測定法を提案し,(5)熱ふく射に関するKirchhoffの法則を電磁波のレベルで実験的に検証した.また,牧野は,本研究を総括する視点に立ち国内の講演会や国際会議において本研究に関する多くのKeynote講演などを行った.吉田は,スペクトル機能性ふく射を用いる熱・光起電力発電システムを熱システム工学的に検討した.花村は,(1)矩形マイクロキャビティによる放射率の波長制御に関する分光実験・計算を行い,(2)近接場光によるナノギャップ発電に関する実験装置を設計し,(3)GaSb光電変換素子を自らの実験室において試作した.山田は,(1)薄膜系エミッターからの放射ふく射の計算と(2)人体の皮膚の反射に関する分光実験・計算を行い,(3)色素増感太陽電池の改良を検討した.
著者
牧野 俊郎 花村 克悟 山田 純 宮崎 康次 松本 充弘 若林 英信
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究は,スペクトル機能性ふく射の制御技術開発をめざす熱工学の研究の展開を図るものである.そのような技術は,とりわけ,熱光起電力発電(TPV)システムの開発において重要であり,また,わかりやすい.電磁波動論・分光学・固体物性論・伝熱工学を基礎として分光熱工学の実験・理論研究を行い,熱工学のシステム的な視野をもって,エネルギー工学と生活環境工学のために有効なハードシステムの実現をめざす
著者
尾松 徳彦 岸本 理和 神立 進 小畠 隆行 入江 大介 若月 優 唐澤 久美子 安藤 裕 鎌田 正
巻号頁・発行日
2012-09-22 (Released:2014-06-14)

【背景】骨盤の不全骨折は、閉経やステロイドなど、骨粗鬆症が背景にあり、軽微な外力で引き起こされる骨折である。骨盤の放射線治療も、原因は不明であるが、骨盤の不全骨折の原因となる。骨盤の不全骨折は、仙腸関節部の頻度が高いと報告されている。【目的】放射線治療後に仙腸関節部に不全骨折をきたした症例の画像所見と経過観察による画像の変化を調べた。【方法】2007年1月から2009年12月までの間、子宮腫瘍(子宮頸癌15例、子宮内膜癌1例、子宮癌肉腫1例)により、骨盤に放射線治療を行った患者のうち、MRIで、仙腸関節部に不全骨折、放射線骨炎をきたしたと考えられる17例(37〜81歳、平均年齢:66.4歳)について、不全骨折の部位、不全骨折までの期間、不全骨折が診断された時点の、ADC(見かけの拡散係数) mapにおける、仙腸関節部不全骨折周囲の浮腫や炎症を反映していると考えられる周囲骨髄よりも高値を示す領域のADCの平均値、不全骨折診断後の経過をMRIで調べた。治療方法は、X線治療(外照射49.8〜60.6Gy、腔内照射23〜30Gy)が11例、重粒子線治療(72GyE/20fx)が6例であった。【結果】17症例中8例が両側仙腸関節、4例が右仙腸関節のみ、5例が、左仙腸関節のみであった。治療終了後から、不全骨折が診断されるまでの期間は、145〜891日(平均437.5日)であった。ADCの平均値は、0.899〜2.099×10-3mm2/sec(1.658×10-3mm2/sec)であった。不全骨折と診断される前のMRI画像では、ADC mapを含め、異常所見は認められなかった。不全骨折と診断してからMRIで経過観察できたのは7例であり、そのうち、3例は、MRIで骨折、炎症と考えられる異常信号は変化ないか、拡大した。4例では、無治療での経過観察で骨折、炎症が縮小した。骨折、炎症が縮小した4例は、平均のADCが、1.488×10-3mm2/secであり、平均よりも低い傾向が認められた。 JSAWI2012 第13回シンポジウム