著者
久保田 喜久 島田 長人 下山 修 本田 善子 瀬尾 章 金子 奉暁 若林 峰生 三木 敏嗣 杉本 元信 籾山 浩一
出版者
日本外科系連合学会
雑誌
日本外科系連合学会誌 (ISSN:03857883)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.30-34, 2005-02-28
被引用文献数
3

症例は74歳女性。内服薬を服用した直後から咽頭痛が出現し当院を受診した。上部消化管内視鏡検査を施行したところ胸部食道にPTPを認めたため透明プラスチックキャップを内視鏡の先端に装着し摘出したが, その際シートの辺縁で頸部食道粘膜を損傷した。損傷は軽度であったため帰宅させたが, 翌日になり咽頭痛の増悪と発熱を認め第5病日に再度受診した。内視鏡検査を施行したところPTP摘出時の粘膜損傷部に一致して径約4mmの穿孔部を認め, 損傷部の遅発性食道穿孔と診断し入院となった。全身状態は良好で炎症反応も軽度であり, CT検査では頸部と縦隔内に気腫像を認めたが高度な縦隔炎や膿瘍形成は認めなかったため保存的治療を行い軽快した。PTPは鋭利な辺縁を有するために容易に食道粘膜の損傷を来たし易く, 摘出時の工夫はもちろんのこと摘出後も厳重な経過観察が必要と考えられた。
著者
若林 哲史 鶴岡 信治 木村 文隆 三宅 康二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.77, no.10, pp.2046-2053, 1994-10-25
被引用文献数
39

文字輪郭線の局所方向ヒストグラムを特徴量とする統計的手書き数字認識において,種々の方向量子化数と領域分割数の組合せに対して,大量の手書き数字データを用いた認識実験を行い,認識率および正規性との関係を調べた.また,より高い精度で方向量子化を行うために,濃度値こう配を利用する方向量子化の有効性を検討した.その結果,(1)特徴量の次元数を増加する場合,領域分割数は,4×4あるいは5×5程度とし,あとは方向量子化数を増加させるとよいこと,(2)同じ次元数では,正規性が良いほど認識率が高い傾向があること,(3)濃度値こう配を用いる方向量子化が,特徴量の正規性を保つのに有効であること,(4)量子化レべル数削減におけるフィルタ処理には,正規性を改善する効果があり,認識率の向上に有効であることなどがわかった.また,実際の郵便物から収集した郵便番号の手書き数字に対して,濃度値こう配の局所方向ヒストグラム(400次元)を用いた場合に,平均で正読率99.18%の良好な結果が得られた.
著者
若宮 直紀 村田 正幸 宮原 秀夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SSE, 交換システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.428, pp.79-84, 1999-11-15
被引用文献数
5

通信品質保証のないインターネットにおいては,高品質な通信を求めるデータ系アプリケーションはTCPを,高速な通信を求める実時間型アプリケーションはUDPをそれぞれ利用するため,ネットワークにはTCP,UDPの異なるプロトコルが存在している.そのようなネットワークにおいては,動画像通信に代表されるマルチメディアアプリケーションの生成する大量のトラヒックがUDPによりなんの制御も行なわれないまま転送されるため,輻輳制御を行なうTCPの使用帯域を圧迫し極端な品質劣化を招く. そこで,本稿ではTCPと公平な動画像転送を実現するため,TCP-friendlyの概念を導入したレート制御を対象に,動画像転送への適用可能性や効果的な制御手法について検討した.動画像の品質を保ちつつ,TCPと公平な通信を実現するレート制御を行なうためには,(1)制御間隔を適切に設定し,(2)ネットワークの状態を推測し,(3)TCPのスループットを推定して(4)動画像データの生成レートを調整しなければならない.シミュレーションによる評価により,動画像をRTTの約32倍の制御間隔でTCPの推定レートにあわせてMPEG-2イントラスライス符号化して送出すれば,TCPとの公平性を実現しつつ,高品質な動画像転送が可能であることを明らかにした.
著者
鎌田 英男 若木 重敏 工藤 士郎 熊部 潔 香川 恒雄
出版者
Japan Antibiotics Research Association
雑誌
The Journal of Antibiotics, Series B (ISSN:04478991)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.1-15, 1958

Carzinophilinは, 秦等によつて, 土壌放線菌の吉田肉腫に対する抗腫瘍性を検索中発見された抗腫瘍性物質である。本物質を産生する放線菌は<I>Streptomyces sahachiroi</I>と名付けられ, 培養条件の検討およびCarzinophilinの抽出に関する報告は既に秦等1) によつて発表されている。更に本物質の結晶化に関する研究は, 鎌田等2) によつて完成され, 島田3) 等を中心とした130余例に上る臨床実験を経て, 有効な抗腫瘍剤として使用されているものである。<BR>Carzinophilinの性質の概略を述べると,<I>St. sahachiroi</I>の培養液から醋酸ブチルに転溶し, メタノール添加によつて白色針状結晶として得られる。水に難溶であるが, pH9.0附近の重曹水には少しとける。水溶液中の紫外部吸収は, 218および250mμ附近に極大値を示す。臨床的には腫瘍の軟化縮小, 腫瘍細胞の崩壊が起り, 症状の緩解, 生存日数の延長がみられる。腫瘍別にみると, 肉腫, 白血病 皮膚癌, 胃癌, その他に効いている。実際, 腫瘍患者の治療にも多く使われているが, 薬理作用の一端を検討したので, ここに報告する。<BR>先ず<I>in vitro</I>において, 薬剤と腫瘍細胞と接触させ, 薬剤が細胞の原形質膜を破つて侵入し4), 代謝機構のどこかに阻害を示し, やがて細胞の変性崩壊または分裂等の作用として現われる過程を逐次追及した。次いで,<I>in vivo</I>において, その作用がどこまで再現されるか, 更に担癌動物にCarzinophilinを投与し腫瘍の増殖経過ならびに担癌動物に与える影響を毒性および正常機能の回復という面から検討した。特に腫瘍の悪性度や, 進行度と密接に関連していると考えられている肝カタラーゼ活性に着目し, Carzinophilin処理後の肝カタラーゼ活性から全身状態の緩解を推定した5), 6)。以下, 8章にわけ逐次報告する。
著者
松橋 秀典 若佐 友俊 田北 貴子 古橋 三義
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.381-385, 2014

漏血警報は透析膜の破損により, 血液と透析液が透析膜の壁を隔てずに直接接触することを意味する重大な警報である. 近年, 透析液清浄化の技術が広く普及し, 透析液の水質は多くの施設で清浄化レベルが確保されてきているが, 透析液の水質の確保されていない透析施設での漏血事故は, 血液へのエンドトキシンや細菌混入などをひき起こす危険な事故である. 今回われわれは目視にて透析液ダイアライザー出口側より赤褐色様濾液が確認できる漏血警報発生時に, ダイアライザーを交換しても警報を回避できず, 偽漏血が疑われた1例を経験したので報告する. 症例は77歳女性, 心不全に伴う腎機能悪化にて維持透析を実行. 透析治療はHD3時間とECUM1時間の4時間治療を行っていた. 除水の多かった治療日に, HDからECUMに変更後, 漏血警報が発生. ダイアライザーを同器種に交換し治療を再開したが, 再度漏血警報が発生した. さらにダイアライザーを他種膜に変更したが, 再び漏血警報が発生し, 漏血警報が回避できなかった. 漏血警報発生の原因として, 使用していたダイアライザーに膜破断などの異常は認められなかった. 当日の装置漏血検知器の状態にも問題はなく, 誤警報である可能性はなかった. 血中ハプトグロビンの値が10mg/dL未満であり, 溶血が起こっていると考えられたが, 透析由来の溶血は否定的であり, 心臓の人工弁による機械的溶血が原因となる偽漏血であると考えられた. 心臓の弁置換の行われている透析患者で漏血警報が発生した場合には, 溶血による偽漏血の可能性も考慮する必要があると考えられた.
著者
若山 浩
出版者
愛知学院大学
雑誌
愛知学院大学教養部紀要 (ISSN:09162631)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.91-110, 2006-08-31
著者
岡本 人志 桑田 万紀子 松若 郁子 槇原 清隆
出版者
尾道大学
雑誌
尾道大学経済情報論集 (ISSN:13469991)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.133-144, 2005-12

企業行動のモラル化に関する取り組みのなかで、化学工業とそれに属する個々の企業のレスポンシブル・ケアが新聞等においても取り上げられるようになり、広く注目を集めるようになった。日本化学工業協会のなかに設けられた日本レスポンシブル・ケア協議会によって後押しされ、支援されて、この協会の会員である個々の企業のレスポンシブル・ケアが推進されている。経営学、特に企業倫理の研究にとって、レスポンシブル・ケアは、もっと取り上げられるべき、重要なテーマである。協議会および個々の企業が毎年発行しているレスポンシブル・ケア報告書は、貴重な資料であり、整理することなしに放置し、忘れ去られてしまうには惜しい内容をもっている。この研究ノートにおいて意図するところは、毎年発行されるフロー情報を、企業と社会との対話という側面に焦点を合わせながら、私たちにとってのストンク情報へと転換し、同一企業の継続的な比較検討および企業間の比較検討を行っていくための基礎とする点にある。
著者
大墨 竜也 竹中 彰治 坂上 雄樹 若松 里佳 寺尾 豊 大島 勇人 興地 隆史
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.291-301, 2014-09-19 (Released:2015-02-18)
参考文献数
49

本研究では,リステリン®の刺激性や使用感の改善を意図して開発された新規アルコール非含有洗口液®ナチュラルケア;N 群)の Streptococcus mutans 人工バイオフィルムに対する浸透性と殺菌能を既存洗口液[Listerine® Zero(Z 群),リステリン®フレッシュミント(F 群)および 0.12%グルコン酸クロルヘキシジン含有洗口液(CHG 群)]との比較により評価した。人工バイオフィルムはガラスベースディッシュ上で 24 時間嫌気培養することにより作製した。洗口液の浸透性は calcein-AM で染色したバイオフィルムの底面の蛍光消失を共焦点レーザー顕微鏡で経時的に解析することにより評価した。殺菌能は 30 秒作用後の生菌数測定およびバイオフィルム底面の Live/Dead 染色像により評価した。その結果,各洗口液とも 50%蛍光消失時間はバイオフィルムの厚みと正の相関を示し,N 群の浸透速度はZおよびF群と同等かつ CHG 群より有意に高値であった。 生菌数はN,ZおよびF群は同等で共に CHG 群より有意に低値であった。また, Live/Dead 染色像はN,ZおよびF群とも 99%以上が propidium iodide (PI)陽性細菌であり陽性率は CHG 群より有意に高かった。以上の結果から,N 群の浸透性と殺菌能は,Z 群および F 群と同等かつ CHG 群より有意に優れていることが示された。 日本歯周病学会会誌(日歯周誌)56(3):291-301,2014
著者
大原 利眞 若松 伸司 鵜野 伊津志 安藤 保 泉川 碩雄 神成 陽容 外岡 豊
出版者
公益社団法人大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.6-28, 1997-01-10
被引用文献数
14

局地気象数値モデル(メソスケール気象モデル)と光化学反応を含む大気汚染物質の輸送モデル(光化学グリッドモデル)を組み合わせて, 夏季における光化学オキシダント高濃度現象の3次元数値シミュレーションモデルを構築し, 関東地域に適用して検証した。構築したシミュレーションモデルの特徴は, 4次元データ同化手法を用いた局地気象数値モデルと詳細な光化学反応を含む汚染質の輸送モデルを組み合わせた3次元モデルであること, 最新の光化学反応モデルと乾性沈着モデルを使用していること, 生物起源炭化水素の影響を考慮していること, 推計精度が比較的高い発生源データを使用していること等である。夏季の光化学オキシダント高濃度期間として, 立体的な特別観測が実施された1981年7月16日4時から42時間を対象に, 本モデルを用いてシミュレーション計算した。その結果, 光化学オキシダント及びNO_X, NO_2濃度の地域分布や時間変動パターン等について良好な現況再現性が得られた。また, 米国EPAによって示されているモデルの目標水準と比較した結果, その水準を上回っていた。更に, 航空機観測によって得られた上空濃度分布も定性的には再現することができた。
著者
若林 守男 田中 蕃 菅井 忠雄
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.27-29, 1958-02-20

Aberrant forms of Antigius attilia BREMER hitherto recorded from Japan are as follows: ab. neoattilia SUGITANI (Figs. 10〜14) ab. sayamaensis WATARI (Figs. 5〜6) ab. sagamiensis KYUZAKI (Fig. 17) Based on an examination of many specimens, we have considered these are some of transition forms which vary from whitish to blackish. So on this occasion we have designated the series of Figs. 5〜6 as forma sayamae, Figs. 7〜16,29,30 as f. neoattilia and Figs. 17〜28 as f.sagamii.
著者
若杉 安希乃
出版者
日本神経眼科学会
雑誌
神経眼科 (ISSN:02897024)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.298-305, 2014-09-25 (Released:2014-12-17)
参考文献数
19

漢方薬の処方決定は,本来,漢方医学的診断によって「証(しょう)」が決まり,証に随って行われる.そのため,西洋医学の診断名における疾患を対象に漢方薬を選択することは,本来の漢方治療とは言えない.漢方医学においてもエビデンスが必要とされ,漢方薬を病名投与した臨床研究が増加している.眼科疾患に対して漢方治療を実践するための試み,および眼科検査の活用の可能性について紹介し,漢方治療が眼科領域に定着することを願う.
著者
高橋 康人 徳増 正 藤田 真史 若尾 真治 岩下 武史 金澤 正憲
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌. B, 電力・エネルギー部門誌 = The transactions of the Institute of Electrical Engineers of Japan. B, A publication of Power and Energy Society (ISSN:03854213)
巻号頁・発行日
vol.129, no.6, pp.791-798, 2009-06-01
被引用文献数
25 5

This paper proposes novel techniques for the improvement of the convergence characteristic of step-by-step time integrations in nonlinear transient eddy-current analyses. The proposed methods, which are based on the time-periodic finite-element method and the explicit error correction method, can extract poorly-converged error components corresponding to large time constants of an analyzed system. The correction of the extracted error components accelerates the convergence of transient calculation efficiently. Furthermore, we extend the performance of the proposed methods in nonlinear problems. Some numerical results that verify the effectiveness of the proposed methods are also presented.