著者
藤井 裕矩 向井 浩子 津久井 一平
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会誌 (ISSN:00214663)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.27-32, 2015-01-05 (Released:2017-06-12)

宇宙エレベータは,極めて魅力的な宇宙インフラストラクチャである.実現すれば,繰り返し使用できる低価格の宇宙への運搬手段となり,これからの宇宙開発に大いに益するとともに大量の核廃棄物の太陽への投棄を可能にするなど地球環境の救世主となることができる.一方,1)その期待される材料の可能性はいまだ未知である,2)テザーを介して運航するため運行速度が限られ放射線帯の影響を強く受ける,さらに,3)全体に巨大な面積で宇宙航行を妨げるのみならず宇宙デブリによる甚大な被害が予想される,など実現性に対して大きく疑問が投げかけられている.本稿では,宇宙エレベータを,宇宙テザーの究極の形態と考え,それに至るまでの構想を検討するとともに,実現することによる種々の問題点についての検討を提案する.
著者
東 良和 土井 一輝 藤井 裕之 坂本 相哲
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4-5, pp.277-282, 2014 (Released:2014-05-10)
参考文献数
13
被引用文献数
2 1

目的:高齢者大腿骨近位部骨折の術後リハビリテーション(以下,リハ)施行時間(単位数)とADL機能,医療費について比較検討し,適正リハ時間について検証する.方法:2010 年6 月1 日から2013 年6 月27 日の間に当院で手術,術後リハを施行した222 名に対してCONSORT 2010ガイドラインに基づいた無作為化比較試験(RCT)を6 単位(120 分)と1日2 単位(40 分)施行群間で行い,術後12 週までのADL機能,歩行と医療費について比較検討した.結果:最終的にRCTが完遂できた受傷前独歩患者は,6 単位群29 症例,2 単位群29 症例であった.FIM, Barthel Index,EQ-5D,歩行に関しては両群間で統計学的有意差はなかったが,医療費に関しては,6 単位群で約20 万円高額となった.結論:早期リハを行うことにより,術後2 単位リハで十分な機能回復が獲得でき,医療費の有効利用ができた.
著者
藤井 裕康 坂本 暁良 出羽 来以 三田 隆之 三宅 優紀
出版者
公益社団法人 北海道作業療法士会
雑誌
作業療法の実践と科学 (ISSN:24345806)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.86-97, 2023-11-30 (Released:2023-11-30)
参考文献数
39

スプリントは手外科,中枢性疾患や内科疾患など幅広く使用されるが,各施設の技術差や,採算性が合わない等の問題点が指摘されている.本調査目的はスプリント療法導入の現状と,導入に対する問題点を示すことである.調査方法は岡山・広島県医療機関253施設に,無記名の自己記入式質問紙による郵送調査法にて実施した.有効回答数117施設中,80施設が未導入であり,導入への問題点は人的資源や,採算性等の経済的評価,教育機会の少なさ,医師の影響や義肢装具士の介入,皮膚障害の医療安全の問題が示唆された.導入率向上へ技術指導等の研修会開催や費用を抑える方法,皮膚障害を予防するチェック体制の構築が必要と考えた.
著者
安部 幸雄 土井 一輝 酒井 和裕 深堀 勝之 藤井 裕之 河村 洋行 河合 伸也
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.1020-1022, 1994-09-25 (Released:2010-02-25)
参考文献数
9

Peripheral nerve trunks are not rigidly fixed to surrounding tissues along their course. They slide longitudinally in their beds over several millimeters with movements of the extremity. This concept of peripheral nerve excurisions helps to explain the pathophysiological events occurring in entrapment neuropathy, chronic nerve irritation and nerve compression. Although this is an important physiological phenomenon, this has not been examined precisely.We examined excursion of the normal sciatic nerves of 10 adult rabbits. The following were investigated:1) Percentage elongation of the sciatic nerve under nomal lower limb motion.2) Excursion between epineurium and gliding floor.3) Excursion between the funiculus.4) Morphological changes of the sciatic nerves under nomal lower limb motion.5) Microanatomical features of the peripheral nerves adapting movements of the extremity.The results were as follows:1) Total percentage elongation of the sciatic nerve was 5.8% in 0° flexion of the knee and 90° flexion of the hip joint. But near the knee joint, the maximum percentage was 9.2%.2) Excursion was found between the epineurium and gliding floor, and between the funiculus.3) It was proven that in the funiculus the nerve fibres have an undulating spiral pattern, which is, after its discoverer, called Fontana's bands. When the nerve was stretched in the course of movement, the undulation straightened out until it disappeared. Microanatomical view represents the wave-like alignment of the nerve fibres.By these features, peripheral nerves can accommodate limb motion.
著者
藤井 裕人 古谷 良輔 宮崎 弘志
出版者
日本救急医学会関東地方会
雑誌
日本救急医学会関東地方会雑誌 (ISSN:0287301X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.411-414, 2020-12-28 (Released:2020-12-28)
参考文献数
11

洗濯用パック型液体洗剤 (以下LDP), いわゆるジェルボールは2014年に日本で発売が開始された。われわれはLDPを誤飲した認知症を有する高齢患者の症例を経験した。86歳の男性。自宅で嘔吐と下痢をしていたため医療機関に搬送された。胃管を挿入すると泡立つ排液が吸引され, 洗剤の香りを認めたため洗剤誤飲と診断された。加療目的で当救命センターへ搬送された。家族の話から自宅にあったLDPを誤飲したことが判明した。来院時は肺炎, 急性腎障害, 脱水を認めた。酸素投与, 補液, 肺炎に対して抗菌薬の投与を行った。27日間の入院加療後に自宅へ退院となった。海外においては認知症患者のLDP誤飲による死亡事故が発生しているが, 日本では認知症患者のLDP誤飲に対する危険性の認識は乏しい。医療従事者はその危険性を認識するべきである。また, 認知症患者の介護者に対しての情報提供が必要である。
著者
藤井 裕久
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1309, pp.161-164, 2005-09-26

9月11日の衆院選で民主党は大敗北を喫しました。代表代行という党の要職にあった僕自身、神奈川14区で落選した。ただ、僕を含めて民主党で負けた人間は、ほとんどが前回の衆院選を上回る票数を頂いている。僕でも1万票増えているんです。 これは何を意味しているか。「小泉(純一郎首相)さんではダメだ」と考える人の数が増えたのは事実です。
著者
稲田 竜太 藤井 裕一 井上 裕貴 谷 綾花 佐藤 望 花城 健太 安浦 優佳 荒明 拓 森川 裕喜 出水 精次
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.35, no.6, pp.899-903, 2020 (Released:2020-12-19)
参考文献数
26

〔目的〕膝前十字靱帯(ACL)再建術後1年のHop test回復状況を調査し,回復基準に至りにくいHop testを明らかにすること.〔対象と方法〕ACL再建術を施行した218症例を対象とし,術後1年のVertical Hop(VH),Single Leg Hop(SLH),Triple Hop(TH)が健患比90%以上に回復した割合と3種のHop test全項目が健患比90%以上に回復した割合を調査した.〔結果〕Hop testの回復割合はVH 67.9%,SLH 78.4%,TH 78.9%であり,VHの回復割合が最も低かった.Hop test全項目が健患比90%以上に回復した割合は59.2%であった.〔結語〕約4割の症例においてHop testが健患比90%未満であり,特にVHの回復率が低かった.
著者
藤間 功司 鴫原 良典 富田 孝史 本多 和彦 信岡 尚道 越村 俊一 藤井 裕之 半沢 稔 辰巳 正弘 折下 定夫 大谷 英夫
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.1381-1385, 2005
被引用文献数
2

2004年12月26日に発生したインド洋津波は, 震源から2, 000km離れたモルディブでも人的・物的に大きな被害をもたらした. そこでモルディブで現地調査を行った結果, モルディブの痕跡高が0.6-3.4m程度であること, リーフが発達している場所でも必ずしも痕跡高が小さくなっているわけでないこと, また南マレ環礁で複雑な流れが観察されており, 環礁内の津波の挙動が複雑であることなどが分かった. モルディブの津波に対する安全性を高めるには強固な構造物や人工地盤などの整備が必要である.
著者
藤井 裕矩 草谷 大郎 渡部 武夫 AN Andrew
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
宇宙技術 (ISSN:13473832)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.43-50, 2006 (Released:2006-11-29)
参考文献数
27

非線形フィードバック制御における階層的微分最適手法を基礎とした,制御アルゴリズムの提案を行い,航空宇宙機の非線形制御の例として,軌道から帰還操作のために大きくピッチ角を変更させるスペースシャトルの非線形運動と,地表面観測のためにピッチングと上下運動を拘束した状態で等加速度水平飛行を行う飛行船の非線形運動へ応用し,最適なフィードバック制御問題を解いた.この制御アルゴリズムは,テイラー展開・緩和法などを用いるよりも,シンプルで計算時間も短くてすみ,精度も向上させるものである.また,トラジェクトリーコントロールやスピンアップ問題などのより複雑な非線形問題にも応用が可能であるといえる.
著者
渡部 武夫 藤井 裕矩
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
宇宙技術 (ISSN:13473832)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.29-34, 2005 (Released:2005-12-28)
参考文献数
12

重力傾度によって安定する宇宙テザーシステムのテザー上に電流を流し地球磁場との干渉によるローレンツ力を推力に利用するエレクトロダイナミックテザー(EDT)推進が考案されている.これは,展開したテザーの両端にプラズマコンダクタを搭載することにより,電子を放出,収集し,周辺のプラズマを介した閉回路を形成する方法であり,従来の化学推進に比べて非常に高い比推力をもつ推進システムとして期待されている. このEDT推進システムにおいては,テザー上を流れる電流ベクトルの向きが推力の向きを決定するため,加速,減速の両方の推力を得るシステムを構築するには電流の向きが上下2方向に変更できる必要があり,プラズマコンダクタを加速用と減速用に二対搭載する必要がある.しかしながら,システムの姿勢,すなわちプラズマコンダクタの相対位置を任意に逆転することができれば一対のプラズマコンダクタで加速減速が可能になりシステムの大幅な簡素化,軽量化が見込める.この姿勢変更制御は,ある平衡点にある副質点を姿勢角にして180度逆向きの別の平衡点まで導く非線形制御問題としてとらえることができ,これまでの伸展,回収問題に続く新しいRest-to-Rest問題と定義できる. 本稿ではこの姿勢変更制御問題(逆転問題)に対して,リーマン距離を最短にする最適制御問題としたフィードフォワード制御、ならびにオーソドックスなフィードバック制御による数値解析結果を行った。数値解析の結果,最適経路による制御,フィードバック制御ともに,テザーの長さ・速度制御および張力制御によって重力傾度化された宇宙構造物の姿勢変更(逆転)制御が可能であること,および最適経路による姿勢制御が姿勢変更過程において対称で滑らかな軌跡を描くことを示した.
著者
大久保 博志 原田 恭輔 渡辺 大誠 佐藤 強 藤井 裕矩 丸山 勇祐 岩原 誠
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会関東支部総会講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp._OS0201-1_-_OS0201-2_, 2016

A concept of a "Kite-type Wind-Power Generator" system is studied for evaluating the potential of an innovative high altitude wind power technology which utilizes a tethered buoyant WPG to extract energy from wind at higher altitude. The demonstration model consists of a straight blade windmill, a specially designed kite to elevate to high altitude, and a generator on ground, where the windmill and the generator are connected each other with a loop tether and wind energy is transferred from the windmill to the generator. A small demonstration model is studied experimentally by wind tunnel tests. Result of the present analysis and experimental study show an expecting facility to provide natural and eternal energy for the habitants in the city area.
著者
大谷 英夫 藤間 功司 鴫原 良典 富田 孝史 本多 和彦 信岡 直道 越村 俊一 折下 定夫 辰巳 正弘 半沢 稔 藤井 裕之
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.1376-1380, 2005
被引用文献数
2

インド洋大津波は震源から2000km離れた環礁島モルディブにも大きな被害を残した. 空港島では, 護岸や建屋の被災, 10時間の空港閉鎖等の被害が見られたのに対し, それに隣接するマレ島では死者は無く, 建屋の被害もわずかと, 被災規模の差が大きい. また, マレ島では護岸が津波の被害を食い止めたと指摘されているが検証はなされていない. 本研究では, マレ島の浸水域, 空港島の津波痕跡高, 状況証言, 構造物破壊形態について現地調査を行い, 津波痕跡および被災状況の実態を明らかにした. さらに, 伝播計算を援用し津波の挙動を明らかにし, 被災メカニズム, 護岸・離岸堤の効果を検証した.
著者
上田 達也 安倍 広多 石橋 勇人 松浦 敏雄 藤井 裕史 坂下 秀
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.21(2009-IOT-4), pp.143-148, 2009-02-26

近年,携帯端末の小型化・高性能化ならびに携帯電話回線の高速化・低価格化が進んでいる.また,GPS(Global Positioning System)やビデオカメラを搭載した携帯端末も普及しつつある.これによって,移動端末から位置情報を伴ったストリーミング映像の発信が可能になってきた.本稿では,携帯端末で撮影した映像を位置情報を伴う形でストリーミング配信し,また,その映像を検索,視聴できるシステムを提案する.このシステムでは,映像が撮影された時刻や位置,撮影端末の密度などに基づいて検索を行うことができる.映像は配信されている時点でリアルタイムに視聴することも,蓄積された過去の映像を視聴することも可能である.さらに,将来のある時点においてたまたま映像が撮影された場合にそれを視聴するための視聴予約も可能である.本システムはスケーラビリティを考慮して P2P 方式で実現する.本稿では,このために必要となる映像の配信方式や位置情報管理方式,耐故障性の確保などについて検討を加える.
著者
藤井 裕也 武内 良典 今井 正治
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.54, no.7, pp.1883-1891, 2013-07-15

本論文では,VLIWプロセッサのための電力制約を考慮した命令スケジューリング手法を提案する.近年,組込みプロセッサは家電製品や携帯電話など様々な製品で用いられる.これらの組込みプロセッサの中には,消費電力に制約がある中で高い性能を発揮することが求められるものもある.低消費電力で高い性能を期待できるプロセッサとして,VLIW(Very Long Instruction Word)プロセッサがある.VLIWプロセッサは複数の演算を同時に実行できるため演算処理能力が高いが,同時に処理する演算の組合せによって消費電力が大きく異なるため,ピーク電力が高くなってしまう可能性がある.そこで,VLIWプロセッサのための電力制約を考慮した命令スケジューリング手法を提案する.本スケジューリング問題を電力制約下で実行サイクル数を最小化する最適化問題と定式化し,この問題の最適解を求めるアルゴリズムを示す.その後,この問題の準最適解を求めるアルゴリズムを提案し,最適解との比較を行う.評価実験では,パイプライン構造とマルチサイクル命令を持つプロセッサに対し様々な電力制約のもとでベンチマークプログラムへのスケジューリングを行い,スケジューリング時間と得られたスケジュールの性能を比較した.その結果,提案するアルゴリズムでは,短い命令列に対してはほぼ最適解と同等の解が得られること,最適解が1時間以内に求まらない問題に対しても準最適解を1ミリ秒以内に求められることを確認した.In this paper, an instruction scheduling for VLIW processors considering power constraints is proposed. In recent years, most products such as home electronics and mobile phones contain embedded processors, which are required high performance under the limited power. While Very Long Instruction Word (VLIW) processors can achieve high performance because they can execute several instructions simultaneously, they consume high power at the peak load. Therefore, an instruction scheduling for VLIW processors considering power constraints is proposed. This scheduling problem is defined as an optimization problem for minimizing execution cycles under the power constraint. The algorithms for searching optimal solutions and suboptimal solutions are proposed. Experimental results show that the proposed method can generate almost optimal scheduling results within enough short time for small problems. Scheduling results can be obtained within a millisecond for the input that the optimal solution cannot be obtained within an hour.