著者
近藤 浩文 福森 義信 平塚 純一
出版者
神戸学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

【研究の目的】メラノーマ細胞に特異発現し、その放射線抵抗性に関与すると考えられているTRP-2遺伝子の発現を抑制することによって、メラノーマ細胞の放射線抵抗性・DNA障害型化学療法剤への抵抗性を減弱させることの可能性を検証する第一段階として培養癌細胞レベルを実施し、「ブラックデビル」と恐れられているメラノーマに対する粒子線・放射線・化学療法等の治療効果増強法(増強剤)開発に結びつけることを目的とした。【研究実績】研究実施計画に基づき以下の研究を実施した。平成17年度は各種基盤評価技術の確立と検討する対照となる細胞系の確立に重点をおいた。(1)各種悪性黒色腫細胞を用いてTRP-2発現抑制法を検討した。Tyrosinase遺伝子発現欠損黒色腫細胞にTRP-2発現抑制shRNA発現プラスミドを導入した細胞株を作製した。(2)TRP-2遺伝子発現抑制による殺腫瘍細胞効果評価系の確立するため、X線に対する感受性評価系、紫外線に対する感受性評価系、およびDNA障害型抗癌剤であるシスプラチン系抗癌剤に対する感受性の評価系を確立した。(3)放射線感受性変化の機序を解明するため、TRP-2遺伝子発現量・黒色腫細胞内メラニンモノマー量と放射線感受性の相関関係解析のためHPLCを用いたメラニンモノマー定量系を確立した。平成18年度は、TRP-2発現と放射線抵抗性の関係を明確に出来る細胞系確立と評価に重点をおいた。(4)TRP-2遺伝子発現抑制による放射線感受性変化の機序を解明するため、TRP-2遺伝子を非メラノーマ系細胞であるHeLa細胞に導入安定発現する細胞を作成した。本細胞を用いれば、TRP-2遺伝子による放射線抵抗性がTRP-2蛋白質のみに依存するのか、それともメラニン生成機構と関連するのかを明確にできる。本細胞の色素細胞学的性質、細胞生物学的性質および分子生物学的性質を解析評価した。(5)作成した上記2種の細胞を用いて、紫外線抵抗性・放射腺抵抗性およびDNA障害型抗癌剤であるシスプラチン系抗癌剤に対する感受性を親株細胞と比較検討したが、現在までのところ、明確な結果は得られなかった。評価条件・手法を変更・改良して評価試験継続中である。
著者
近藤 浩
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.301-304, 1990-03-20

二重像からそれぞれの画像を分離, 再構成する新しい方法を示す.観測画像が二重像となっているとき, 各々の原画像パワースペクトルと1つの原画像フーリエ変換位相との間に成立する唯一の関係式を導く.これにより得られた位相から画像再構成を行い, 二重像の分離を行う.シミュレーション例は, 二重像の分離が完全に行われることを示している.
著者
藤野 英己 近藤 浩代 植村 弥希子 中西 亮介
出版者
神戸大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2020-10-27

再生医療は幹細胞を患部に移植をすることで完了するのではなく,移植後の微小環境が重要であり,再生を促進するための微小環境の管理が必須である.本研究では微小環境形成に関与すると考えられるエクソソームに焦点を絞り,骨格筋に対する物理的刺激で放出されるエクソソームがニューロン再生を促進させ脊髄損傷後の運動機能回復に有効であるかを検証するのが目的である.特に再生微小環境の形成には毛細血管ネットワークの退行予防と血管新生促進が不可欠であると考え,骨格筋から放出されエクソソームが脊髄の毛細血管網の構築に関与するかを検証し,再生医療における神経再生の管理のためのリハビリテーションを開発する.
著者
近藤 浩章
雑誌
国際研究論叢 : 大阪国際大学紀要 = OIU journal of international studies (ISSN:09153586)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.117-132, 2023-01-31

In order to develop the next generation, PBL (Project-based learning) iswidely adopted in higher education as an effective method of active learning. InPBL, it is important to manage the learning process of the skills in addition tothe result of the project. In this article, the author examines the three issues forthe development of“ Essential competencies for the 100-year life” presented bythe Ministry of Economy, Trade, and Industry, then discusses the role of thelecturer. Consequently, the lecturer’s ability to set and adapt goals to thestudents’ learning level, the flexibility of the lecturer to support or instructaccording to the demands of the project and the inclusion of consecutive PBLprograms in the regular curriculum are suggested as important issues.
著者
近藤 浩志 金子 邦彦
雑誌
研究報告デジタルドキュメント(DD)
巻号頁・発行日
vol.2011-DD-81, no.3, pp.1-7, 2011-07-14

九州大学病院の診療経過等報告システムのインシデントレポートのフォームを参考に,Web フォームを構成する要素をフォーム記述データとして YAML 形式で記述した.そのデータから表形式の Web フォームを生成するシステムを作成し,インシデントレポートの内容を再現した.また,params ハッシュテーブルから送信されたフォームデータだけを取り出し,JSON 文字列に変換することで,TEXT 型データとしてデータベースのテーブルに保存した.その際,送信した内容をブラウザに表示し,それとテーブルの内容を比較して正しく保存されているかどうかを見た.
著者
近藤 浩一
出版者
京都産業大学
雑誌
京都産業大学論集. 人文科学系列 (ISSN:02879727)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.237-260, 2019-03-30

本稿は,『日本書紀』にみられる新羅の真平王代後期に展開された対倭外交について,既往の研究と異なり新羅史の観点から検討した。これを通して,真平王代後期の対倭外交は,従来の指摘のように百済・高句麗との対立から倭の支援を引き出そうとした従属的な態度で始まったのではなく,対隋・唐外交の進展と国内の官制整備を達成した自信をバックに,積極的な外交政策のもと実行されたことを明らかにした。 真平王代(579~632)に展開された対倭外交の特徴をみれば,真平王は在位後半に至るまで倭に対しほとんど外交活動を実施しなかったが,真平王32年(610)を契機に態度を大きく変化させた。これ以後,真平王は立て続けに使者を派遣し倭と活発な外交活動を推進している。 こうした背景としては,即位直後から着手した真平王の国内外政策の成功が原動力となったと考えられる。真平王は,国内の官制整備が一段落する真平王16年(594)に,隋に使者を派遣して対中国外交を始動した。さらに唐が建国されると,領客典を設置するなどその動きを一層加速化させている。こうした関係をもとに高句麗・百済に対抗できるまでの外交能力を獲得したが,真平王はそれらをもとに一層王権強化を実現し,後期には対外意識が大きな高まりをみせたのである。 それゆえ,当該期の対倭外交は,積極的な外交政策のもと展開したとみられる。新羅側の新たな動向は,日本側の記録であるが『日本書紀』の内容にみられる通りであり,まず真平王代後期から倭に多くの仏教文物を送り始めている。特に真平王44年(622)は,新羅使節が仏像及び仏舎利・幡など多くの仏具を持参する様子が鮮明に確かめられる。さらにこのときは,百済や高句麗の僧侶たちが集まる飛鳥寺に代わり四天王寺が新たに登場し,新羅が送った仏舎利などの仏教文物はそこに施入されている。 この要因を考える上では,真平王代の新羅国内での仏教の役割が注目される。新羅では,前代の真興王以降国王を転輪聖王・釈迦仏に比定し貴族を弥勒菩薩とすることで,王権と貴族勢力が一定の秩序を形成していた。新羅仏教は王権を象徴する思想的基盤であったといえ,新羅が貢納した仏像・仏具も同じく新羅王権の象徴物であったことが窺い知られる。したがって真平王は,このような仏教文物を倭に送り新羅の王即仏思想を伝えることで,倭王を真平王の仏国土に引き込もうとしたと考えられる。 さらに同じ622年には,新羅使節が新羅経由で在唐倭人留学生を倭に送り届けている。この時から新羅と倭の間では,留学生を通じた外交関係が真平王に続く善徳王代まで継承されたのである。こうした留学生は,帰国直後に新たな外交政策を提言した恵日らの言動からわかるように,倭の外交活動に直接影響を及ぼす存在であった。真平王は,622年を契機に在唐倭人留学生とも関係を築きながら,倭に新羅の思想・制度などを伝播させようとし,それらを通じて倭国内でいわゆる「新羅化」を模索した可能性までが推察される。
著者
松江 清高 野田 英樹 近藤 浩一
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

個人行動データを用いて各個人がビル内の食堂を利用するかどうかを推定するモデルを作成し、それを食堂食事数予測問題へ適用したときの効果を分析した。従来は、個人行動データを用いず、機械学習の一つであるランダムフォレストにより食堂利用率を推定するモデルを作成し、その結果とビル在館者数から食堂食事数を予測していた。従来手法で食堂食事数を予測した場合の予測誤差は約47食であるのに対し、個人行動モデルを適用した場合は約44食となり、従来手法を若干上回る結果が得られた。
著者
近藤 浩代 藤野 英己 石原 昭彦
出版者
名古屋女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

糖尿病合併症は微小血管障害に起因する臓器の機能不全による. また, 微小血管において慢性炎症を引き起こし,毛細血管を退行させる. 一方, 運動による血流増加は毛細血管の退行を抑制させることができる. また, 経皮的な二酸化炭素の吸収はボーア効果による血流促進効果をもつことが報告されている. そこで本研究では二酸化炭素経皮吸収による筋毛細血管退行の予防効果を検証した.さらに超音波照射による炎症抑制や代謝促進効果についても検証する計画である.平成29年度は二酸化炭素経皮吸収による糖尿病性毛細血管退行の予防効果について検証した.慢性的な高血糖曝露は骨格筋のクエン酸シンターゼ(CS)活性の低下や毛細血管の退行を引き起こした.一方,経皮的二酸化炭素吸収は高血糖曝露によるCS活性低下や毛細血管退行を抑制し,血糖の上昇を抑制した.さらに骨格筋の代謝や血管新生に関するeNOS, PGC-1α, COX Ⅳ, VEGFタンパク質発現量を増加させ,血管新生抑制因子(TSP-1)の低下が認められた.これらの結果から経皮的二酸化炭素吸収は骨格筋の代謝や血管新生に関わる因子を増加させ,血管新生抑制因子を低下させることで高血糖曝露による骨格筋の酸化的リン酸化機能低下や毛細血管退行を抑制することが明らかとなった.また,超音波照射による効果を検証するためにC2C12筋芽細胞を使用して予備検討を実施した.C2C12筋芽細胞の超音波照射ではインテグリン/focal adhesion kinase (FAK)のリン酸化の増加が観察され,P38MAPKリン酸化が減少させ, 炎症モデルにおいてTNFaの発現を超音波照射で軽減させる効果を観察した.
著者
近藤 浩史 與五澤 守 成瀬 道紀 森 正和
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.1P2J1302, 2019 (Released:2019-06-01)

従来,経済動向を把握するために政府や中央銀行が発表する統計が使用されてきた.これらの統計は,調査時期と結果の公表時期にずれが発生するため,速やかに経済動向を把握するためには,統計を補完でき,かつ速報性のある新しい指標が必要となってきている.本研究では,金融機関が作成した膨大なテキストデータを分析することで,景気センチメントの定量化を試みた.その結果,テキストデータから計測した景気センチメントは,日銀短観と高い相関を示すことが分かった.また,事前に予測できないイベントが発生した場合の景況感について,速報性がある可能性を示唆した.
著者
大久保 功子 玉井 真理子 麻原 きよみ 近藤 浩子 百瀬 由美子
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.1-11, 2003-06-30 (Released:2012-10-29)
参考文献数
9
被引用文献数
2 2

当事者の視点から遺伝子診断による選択的中絶の意味を記述し, 看護への示唆を得ることを目的に, Cohenらの解釈学的現象学を用い, 同意の得られた場合に限り遺伝病の子どもを持つ夫婦3組の出生前遺伝子診断の参加観察と, 1名の研究参加者に3回の深いインタビューからデータを得た. 浮かび上がった主テーマ「つながりの破壊」と「障害者の存在に対する相反する価値との直面」を基に物語を再構成した.出生前遺伝子診断では遺伝病という衝撃が生んだ,夫婦の心のすれ違いと障害の差異化によって破壊された人とのつながりの中で, 家族の中での犯人探し, 自己疎外, 障害者の存在の肯定と否定を招き, 選択的中絶によって相容れない価値観に引き裂かれ, 内なる優生思想と出会いつつ, あらたなつながりを希求することとなっていた.よって看護には家族と社会とクライエントとのつながりに関心を払い,診療科を超えた継続的ケアが必要とされていることが示唆された.
著者
岩垣 雄一 浅野 敏之 近藤 浩右 山田 耕一
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.381, pp.171-180, 1987-05-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
14

At the Edogawa moterboat racing stadium located at a tidal river channel in Tokyo, moterboat races have sometimes become difficult to open by wind waves during spring gales. A pneumatic breakwater has been planned to be adopted to protect the racing field from the wind waves because it has an advantage of no interruption of common boat navigations through the river channel. However, the breakwater performance of wave damping in the water field where the tidal current exists in addition to the river current is not clear yet.The present study shows the results of the field test and discusses the applicability of the pneumatic breakwater to tidal rivers. It is found from the data analysis that the pneumatic breakwater in the field with the tidal current maintains almost same performance of wave damping as that without the current.
著者
近藤 浩子 牛久保 美津子 吉田 亨 豊村 暁 佐光 恵子 神田 清子 常盤 洋子 堀越 政孝 松崎 奈々子
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.31-35, 2016-02-01 (Released:2016-04-05)
参考文献数
6
被引用文献数
3

群馬県内病院看護職の「在宅を見据えた看護活動」の実態把握を目的として質問紙調査を行った. 調査内容はA. 退院後の患者の生活をイメージした看護の提供, B. 地域の社会資源の活用, C. 患者・家族の負担軽減のためのケア方法の簡素化, D. 病状変化を予測した対応, E. 多職種との協働に関する25項目であった. 回答は, 県内11病院の看護職から2,136件が得られた. 調査結果によると, 入院前の生活状況の把握, 本人・家族の希望の把握, サマリーの記載に関しては比較的よく実施され, 実施率が5割を超えていた. しかしながら住居環境の把握や社会資源の把握, 障害認定や介護認定の評価・相談, ケア方法の簡素化, 今後を予測した対応, 多職種との連携はあまり実施されておらず, 実施率が4割以下であった. したがって, これらの視点について総合的に育成していく現任教育プログラムの開発が求められていることが示唆された.
著者
原田 和則 三隅 厚信 三隅 克毅 馬場 憲一郎 跡部 安則 近藤 浩幸 前野 正伸 本明 宜彦 金光 徹二 赤木 正信
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.965-969, 1987-04-01
被引用文献数
11 13

胃上部癌の外科的治療における噴門側胃切除 (噴切) か胃全摘 (全摘) かの術式の選択について, 両術式間の術後機能障害の比較検討を目的として, 術後の満足度, 術後愁訴, 脂肪消化吸収試験, 消化管ホルモンの成績などから考察を加えた. 脂肪消化吸収試験, 術後の栄養障害, 消化管ホルモンの面からは噴切が全摘に比べ, また全摘では間置術が Roux-Y 術に比べて良好であった. 胃上部癌の外科治療においては, 十分に根治性が得られる範囲内で切除線を決定することが前提条件であり, 根治性を第一義的に考えて術式の選択をすべきである. その際, 根治性が保たれ残胃を大きく残すことが出来る場合には噴切適応の意義があると考えられた.