著者
敷島 千鶴 安藤 寿康 山形 伸二 尾崎 幸謙 高橋 雄介 野中 浩一
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.2_105-2_126, 2008-11-30 (Released:2009-01-05)
参考文献数
45

観測された形質の分散を、「遺伝」「共有環境」「非共有環境」という3つの潜在変数の寄与に分割して推定させる行動遺伝学の方法論を用いて、権威主義的伝統主義の形成に関わる要因について検討した。4111名(12~26歳の男性双生児1279名、女性双生児1889名、および双生児の父親83名、母親860名)から権威主義的伝統主義尺度の回答を得た。一卵性双生児912組、二卵性双生児630組を対象とした双生児モデルによる分析は、権威主義的伝統主義の分散を遺伝33%、非共有環境67%で説明し、双生児親子モデルによる分析においても、結果は同等であった。これより、権威主義的伝統主義の家族内伝達を媒介するのは専ら遺伝であり、文化伝達ではないことが示された。権威主義の形成を親の養育、あるいはその家の社会背景によって説明するこれまでの理論には異議が唱えられる。遺伝を説明変数に含めた、より精緻な伝達モデルの有用性が提起される。
著者
山口 正隆 畑田 佳男 野中 浩一 大福 学 日野 幹雄
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.I_131-I_135, 2011 (Released:2011-11-09)
参考文献数
5

Shallow water wave hindcastings are conducted in the Seto Inland Sea, Ise Bay and Tokyo Bay for each of the so-called 3 giant typhoons in the Showa Era (Muroto Typhoon in 1934, Makurazaki Typhoon in 1945 and Isewan Typhoon in 1959). The computations follow the spatial distribution of time-dependent wave height and maximum value. The sea wind distributions given as the driving forces are estimated using a method which transforms the land-based measurement wind data into the wind data at sea or coastal stations and applies a spatial interpolation technique to the data. The main conclusion is that any of the typhoons may have generated the largest wave height over the past 90 years in the sea area of the typhoon path.
著者
川名 はつ子 野中 浩一 三浦 悌二
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.31-36, 1994-04-01 (Released:2010-10-13)
参考文献数
24
被引用文献数
1

日本では早生まれの多い現象が1960年代半ばにはほとんど消えて, 1年中ほぼ平均して生まれるようになった.隣接する韓国・朝鮮との差異を検討するため, 日本人と朝鮮・韓国人の出生季節分布を, 古くからの記録を用いて約300年にわたり比較した.出生数の「早春の山と初夏の谷」の傾向が最もはっきりしていたのは, 19世紀以降のおよそ1世紀半の間の日本であり (山/谷比=約1.5) , その間, 朝鮮・韓国では分布の形は日本と同様ながら, その変動幅は小さかった (山/谷比=約1.1) .ところが日本で季節性の消失した1960年代以降にも, 韓国では早生まれが減少せず, とくに1970年代には「早春の山と初夏の谷」はむしろ明瞭になりつつあるという違いが生じている.日本の早生まれ喪失現象が, 一般に言われていたような, 冷暖房や冷蔵庫の普及などによる脱季節化に起因するものならば, 韓国でも何年かの時差はあっても同様の経過をたどるはずなのに, 却って差が拡大していることから, 冷暖房や冷蔵庫の普及などとは別の要因が働いているらしいことが示唆された.
著者
野中 浩一 山口 正隆 大福 学 畑田 佳男
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.146-150, 2006

台風の期間別発生特性に着目して作成した4種類の確率的台風モデルに基づく波高の極値推定システムを気圧と海上風・波浪のシミュレーションに適用し, 得られた台風属性の平均値や確率気圧および確率波高の特性を既往台風資料に対応する結果との比較を含めて検討した. その結果, 各モデルは台風属性や確率気圧に識別可能な差をほとんど生じないが, 確率波高に有意な差を生じ, 既往台風資料に対応する結果との類似性からみて, 季節別モデルがより適切であることや, 確率的台風モデルにおける気圧分布モデルや台風の移動・発達モデルの拡張は既往台風資料に基づく確率波高に対する本システムの再現性を向上させることを示した.
著者
井内 国光 山口 正隆 野中 浩一 日野 幹雄 畑田 佳男
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.I_247-I_252, 2016 (Released:2016-08-30)
参考文献数
12

第3世代波浪推算モデルSWANの特性を調べるため,一様風とstormの各条件に対して波の発達・減衰式と海面抵抗係数Cdや時空間解像度を変えた計算を行った.主要な結果として,一様風条件に対し 1) 摩擦速度u*表示の無次元エネルギーε*と無次元吹送距離F*の関係は発達・減衰式の種類により相違し,いずれのε*も経験式による値を上まわる.とくにJanssen式は最も大きいε*を与える.ε*-F*関係に及ぼすCd式の影響は無視しうる.2) ε*-F*関係に及ぼす風速U10の影響はみられない.また,ピーク周期と平均周期の間の勾配値は経験値1.1に近い値をとる.storm条件に対し 3) 各種パラメータ条件下のSWANは高い精度を与えるが,最大波高へのCd式や発達・減衰式の影響はある程度有意である.4) 空間解像度の影響はみられないが,計算時間間隔の影響はJanssen式の場合に有意である.
著者
山口 正隆 野中 浩一
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.136-140, 2009 (Released:2010-02-09)
参考文献数
5
被引用文献数
2

Two kinds of surface elevation data with a diverse form of spectrum are analyzed to investigate the effect of spectral form on a ratio of the surface elevation-based statistics to the spectrum-based statistics of wave height and period. One is generated by use of a Monte-Carlo simulation and the other is acquired from in-situ measurements. Main conclusions are 1) a proper evaluation for the parameter characterizing the spectral form requires a highly-resolved estimate of spectrum 2) wave height ratio is most closely related to the spectral peakedness parameter Qp and each of the wave period ratios to the spectral width parameter v and 3) the simulation-based ratio indicates an explicit dependency on double-peakedness of the spectrum but the measurement-based ratio shows a weak dependency due to statistical variability.
著者
山口 正隆 大福 学 日野 幹雄 畑田 佳男 森 正憲 野中 浩一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
海岸工学論文集
巻号頁・発行日
vol.53, pp.116-120, 2006
被引用文献数
1

伊勢湾を対象として, 沿岸部と海上部で取得された風観測資料を用いて1時間ごとの海上風分布のデータセットを9年間にわたり作成し, その平均特性を調べるとともに, これと1点浅海モデルおよび波候解析モデルを組み合わせた波浪の長期推算システムを構築し, その精度を検討した. この結果, 1) 伊勢湾では湾奥から湾外に向けて平均風速が増大するが, 夏季にはSE方向, それ以外の季節ではNW方向の風が卓越し, 湾軸が風の通り道になっていること, 2) 本システムによる外洋性波浪資料はECMWF-WAM解析資料より高い精度をもつことや, 本システムは伊勢湾内外の観測地点の波浪に対して良好な再現能力を有すること, を明らかにした.
著者
野中 浩一 山口 正隆 大福 学 畑田 佳男
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.191-195, 2004

韓国南東岸に大被害をもたらした台風0314号時の最大波高の特性を, 過去55年間の台風時波高極値との関連で検討するために, 当該期間に生起し, 韓国周辺海域に高波をもたらした多数ケースの台風と台風0314号を対象として, 東シナ海における浅海波浪推算を高地形解像度格子網のもとで行い, 100年確率波高や台風0314号を含む異常台風時の最大波高を求めた. 台風0314号時最大波高は韓国南東岸から日本海西南部海域にかけて, 過去55年間の台風時最大波高あるいは100年確率波高をかなり上まわるという結果や, 韓国沿岸の台風時最大波高の規模は台風の勢力のみならず経路の偶然性に大きく依存するという結果が主な知見である.
著者
根岸 洋一 丸山 一雄 高木 教夫 新槇 幸彦 高橋 葉子 野水 基義 田野中 浩一 丸ノ内 徹郎 片桐 文彦 小俣 大樹 濱野 展人 石井 優子 小栗 由貴子 塩野 瞳 秋山 早希 間山 彩 菊池 太希
出版者
東京薬科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究では,微小気泡(ナノバブル) の一つとして開発してきた超音波造影ガス封入リポソームにデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)治療用アンチセンスモルフォリノ(PMO)を搭載させたバブルリポソーム(BL)の開発に成功した.さらにBLと超音波照射との併用システムによりDMDモデルマウス骨格筋や心筋へのPMO送達・導入を行うことで,超音波照射部位におけるエクソンスキッピング誘導に伴う顕著なジストロフィンタンパク質の発現回復が可能となることを明らかとした.よって本システムは,DMDの核酸治療において全身筋組織への効率的PMO送達・導入とDMD治療における有用な一手段となると期待された.