著者
赤池 勇磨 金丸 智史 米田 純 久米 由花 荒川 豊
雑誌
研究報告コンシューマ・デバイス&システム(CDS)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.5, pp.1-8, 2014-05-15

本研究では,現実世界の対話における問題点を緩和し,コミュニケーションの円滑化を目的とした,AR (拡張現実) を用いた対話システムを提案する.提案システムは,没入型 HMD とカメラを組み合わせ,カメラに映る目の前の世界がリアルタイムに HMD に表示される.このとき AR により,対話者の顔の上にアバター (自分の分身となるキャラクター) を,対話者の隣に対話者に関する情報や話題となる情報を表示する.これにより,個人の持つコミュニケーション能力のレベルの差や,人間関係,対話者についての知識量の不足などによって起こるコミュニケーションの問題の緩和を狙う.今回,初対面の人と会話する必要がある代表的なコミュニケーションの場である 「合コン」 に対して本システムを使用し,提案システムの有効性を評価した.
著者
当山 清善 金城 清郎 Toyama Seizen Kinjo Seiro 琉球農業試験場
出版者
沖縄農業研究会
雑誌
沖縄農業 (ISSN:13441477)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.38-41, 1963-12

パインアップルの夏実及び冬実の糖及び酸の含量と罐詰糖度との関係を明らかにし、これが罐詰の品質に及ぼす影響等を検討した。1.果実の品質に最も関与する糖及び酸の含量は収穫時期等により異なるのでこれに応じた製造加工を行う必要がある。2.罐詰製品の品質の均一化を図るためには糖度と酸度のバランス、即ち糖酸比を品質管理の指標とすることが妥当である。3.夏実及び冬実罐詰における糖酸比を比較した場合両者に著しい差異があり、これを是正するためには冬実の酸度を調節する必要がある。4.現行罐詰糖度規格においては夏実及び冬実罐詰の砂糖所要量の差が著しい。
著者
金崎 良三 徳永 幹雄 多々納 秀雄
出版者
九州大学
雑誌
健康科学 (ISSN:03877175)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.205-215, 1987-03-28

ゲートボールの実施者および実施者のいる家族を調査することによって, ゲートボールをめぐる問題についてアプローチしてきたた。以下は, 研究結果の要約である。1. ルールの違いにより困ったという経験をもつ者は, 3割強とかなりみられ, 性別では男子, 経験年数別では年数の良い者, 地位・役割別では監督経験者, 審判有資格者に多い。したがって, 仮説(1)「ゲートボールの統括団体の乱立やルールの違いによる混乱がある」はある程度検証された。2. ルールや団体・組繊のあり方については, 全国統一ルールや全国組織としてまとまった方がよいとする意見が多い。この傾向は, 男子, 経験年数の良い者, 監督経験者, 審判有資格者に強い。3. 大会のあり方については, 全国大会を望む者が多いとはいえ全体的には多様な意見がみられた。したがって, 仮説(2)「ゲートボールの実施方法が勝敗を重視するようになり競技志向化してきた」は, 一部にはその傾向が認められるものの今回のデータからは検証されたとはいい難い。なお, 全国大会を望む者は, 男子は農村部, 経験年数の良い者, 監督経験者, 審判有資格者, 女子は監督経験者, 審判有資格者に多くみられた。4. 練習に対する不満, 対人関係や選手の選出で嫌になったことの経験, 審判やクラブ, リーダーに対する不満に関しては, ほとんどないという者が多い。しかし, それほど深刻というほど現実化しているとはいえないが, 嫌になった経験や不満を感じたことのある者が2割から最高4割近くみられ, クロス分析では男女経験年数の良い者と女子の審判有資格者に多かった。また, ゲートボールをやめたいと思ったことのある者は, 非常に少なかった。なお, 嫌になった経験や不満の内容, やめたいと思ったことの理由が具体的に明らかになったが, なかでも対人関係に関することが大きなウェイトを占めていることがわかった。5. ゲートボール継続のための条件としては, 健康であることと仲間との調和・親睦をはかることの2つが圧倒的に多かった。6. ゲートボール実施者のいる家族の調査から, 第1に大部分の家庭は実施者がゲートボールをしやすいように気を配り, 協力していること, 第2にゲートボールを実施するにあたり仕事がときどきおろそかになると評価される者が34%に達すること, 第3にゲートボール中心の生活を送っていると評価される者が2割を越えていること, 第4に家族の誰かがゲートボールを始めることによって迷惑に思ったり困ったりした経験があるという者が2割強いること, などが明らかになった。特に, ゲートボール実施による仕事への影響, 実施者の生活, 家庭への迷惑などについての調査結果から, 仮説(3)「家庭での役割遂行をめぐって問題がある」は, 検証された。7. 家族が指摘するゲートボール実施上の問題としては, 実施者の仕事や家庭での役割の問題に関係したものが多くみられた。最後に, 本調査研究において明らかになった傾向が, ゲートボール特有のものかどうかは他のスポーツの場合と比較しなければわからないが, 少なくともゲートボールをめぐる問題として従来指摘されてきたことのいくつかが実証的に示されたと思う。また, 自由記述式の調査によって多くの具体的で詳細な問題点が浮上してきた。これらの点についても, さらに仮説を構成し, 検証を加えていく必要があろう。この点は, 今後の課題としたい。
著者
謝花 治 宮城 克浩 伊禮 信 宮平 永憲 金城 鉄男 島袋 正樹 神谷 寿幸 仲宗根 盛雄 前田 剛希 大城 良計 出花 幸之介 正田 守幸 恵比寿 則明 伊志嶺 正人 高江洲 賢文 大工 政信 神門 達也 平田 清勝 平田 清信
出版者
沖縄県農業研究センター
雑誌
沖縄県農業研究センター研究報告 = Bulletin of the Okinawa Prefectural Agricultural Research Center (ISSN:18829481)
巻号頁・発行日
no.3, pp.55-65, 2009-04

サトウキビ「Ni17」は、風折抵抗性が強く株出し多収性の品種を育成することを目標に、沖縄県農業研究センター作物班において「NiF8」を種子親に「RF79-247」を花粉親とした交雑後代から選抜・育成した。「RK91-1004」の系統名で鹿児島県の奄美以南の離島を含む南西諸島の生態地域において適応性が検討された。その結果、沖縄県久米島および鹿児島県奄美地域において優秀性が認められ、2002年に新品種さとうきび農林17号「Ni17」として命名登録され、奨励品種に採用された。「Ni17」の特性は以下のとおりである。1)風折抵抗性が優れる。2)台風時の潮風害による糖度低下が少なく、収穫期の糖度が高い。3)萌芽性が良く、株出し収量および可製糖量が多い。4)耐倒伏性が優れる。
著者
難波 敦子 成 暁 宮川 金二郎
出版者
日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 = Journal of home economics of Japan (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.193-197, 1998-02-01
参考文献数
6

A search for the correlation between Japanese and Chinese food cultures identified the production of natto, a non-salted and fermented soybean product, in China. Natto is prepared by Jingpo-zu in Dehong Thai-zu Jingpo-zu Province of Yunnan in China. Boiled soybean covered with bamboo grass, straw or loquat leaves is left to ferment in a bamboo basket. After fermentation, it is eaten with pepper, or salt and pepper is added to produce a seasoning like Japanese miso. Salted natto is also dried for storage as drynatto, and some natto is used to prepare Shui-douchi a kind of supplementary food. Our search indicates that the nattoline from Nepal via Bhutan and Myanmar that has been presented by Sasaki can be extended to Yunnan in China.
著者
金内 博伸 谷内 利明 谷 辰夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EE, 電子通信エネルギー技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.330, pp.1-6, 2007-11-12

無線基地局の電力供給源として,風力発電を利用した独立型の電力供給システムが検討されている.独立型給電システムでは,電力の平準化が課題となる.私たちは,この解決策として電力を水素に変換し貯蔵する方法を取り上げ,発電電力から効率的に水素を製造するため,電力緩衝媒体にEDLC(電気二重層キャパシタ)を用いたシステムを提案した.本研究では,提案した水素製造システムおいてEDLCの効果ついて検証し,発電量に適した水素発生器容量を設定することで,EDLCは頻繁に充放電を繰り返し,極めて少ないEDLC容量でも電力を効果的に緩衝することが示された.また,EDLCの緩衝動作により水素発生量の安定化が図られ,水素発生器容量の削減が図られることも示された.
著者
横山 直己 小野 直亮 有田 正規 太田 大策 金谷 重彦
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第39回ケモインフォマティクス討論会 浜松
巻号頁・発行日
pp.P20, 2016 (Released:2016-09-22)
参考文献数
5

ミドリムシ(Euglena gracilis) は、嫌気条件下においてバイオジーゼルの燃料の原料となるワックスエステルを生合成し、細胞内に蓄積することが知られている。しかしその調節メカニズムについてはいまだ不明な点が多い。本研究では、トランスクリプトームデータのもとづいてベイズアノバ法によりミドリムシにおける代謝動態におけるシステム解析を行った。
著者
金子 健彦
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.120, no.7, pp.1465-1471, 2010-06-20 (Released:2014-11-28)

消化器疾患ないし肝機能異常に伴う皮膚病変を概説した.炎症性腸疾患のクローン病や潰瘍性大腸炎では,結節性紅斑,壊疽性膿皮症等の合併が知られる.遺伝性ポリポーシスであるPeutz-Jeghers症候群では色素斑を生じ,またGardner症候群では多発する表皮様嚢腫や,骨腫が早期診断上重要である.肝機能異常に伴う皮膚病変としては,黄疸,紙幣状皮膚,クモ状血管腫,手掌紅斑が認められる.その他,ウイルス性肝炎に伴う皮膚症状を挙げた.
著者
土岐 利彦 堀口 正之 和田 裕一 矢嶋 聰 後藤 牧子 金野 多江子 伊藤 圭子 東岩井 久
出版者
特定非営利活動法人 日本臨床細胞学会
雑誌
日本臨床細胞学会雑誌 (ISSN:03871193)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.1000-1004, 1987-11-22 (Released:2011-11-08)
参考文献数
18

頸部細胞診でclass IIIを呈した患者で, クラミジア感染症のスクリーニングを行いさらに, クラミジア陽性例の細胞像を検討し, 以下の結果を得た.1.380例中18例 (4.7%) が, EIA法でクラミジア陽性であった.2. 陽性例では, 細胞診上, central target formationや, 星雲状封入体など, クラミジア感染に特徴的とされていいる所見は全例で認められず, 細胞診のみでクラミジア感染を推定するのは困難と思われた.3. 陽性例の56%に, 細胞診または組織診上, human papillomavirus (HPV) 感染の徴候が認められた.4. 治療例13例の細胞異型は, 6例で消失したが, 7例では存続していた. 消失例6例の細胞異型は, 主として軽い化生異型であった. これに対して, 異型持続例7例中, 6例にHPV感染の徴候が存在し, このHPV感染による細胞異型は, 治療に関係なく持続していた.以上より, クラミジア感染時にみられる細胞異型は, 同じSTDとしてHPV感染を合併する場合に, 特に問題になってくると考えられる.
著者
明石 恵司 近藤 秀樹 槙永 剛一 森岡 千佳子 松村 喜志雄 越智 直哉 古河 辰之 鄭 庸勝 谷口 典男 田中 重実 金子 仁郎 西村 健
出版者
The Japan Academy of Neurosonology
雑誌
Neurosonology:神経超音波医学 (ISSN:0917074X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.33-37, 1996-05-31 (Released:2010-10-14)
参考文献数
4

This study was performed to examine the effects of mental arithmetic (MA) on cerebral blood flow (CBF) . We recorded the blood flow velocity before, during and after mental arithmetic in the bilateral internal carotid arteries (ICA) and vertebral arteries (VA) simultaneously and continuously in nine healthy males (25.8±7.2 y.o.) . The subjects performed MA for 30-60 seconds. The mean values of blood flow velocity (BFV) were calculated for each pulse using an FFT-analyzer.We observed BFV in 24 ICAs and 9 VAs in all of the 9 subjects. During MA in comparison with the period before MA, BFV in the 10 of ICAs and the 3 of VAs increased significantly, however BFV in the other 3 of ICAs decreased significantly and the rest 11 of ICAs was unchanged. The number of increases was significantly higher than that of decreases and no changes. After MA compared with the period during MA, BFV in the 3 ICAs and the 3 VAs decreased significantly, however BFV in one ICA increased significantly and the rest of 20 ICAs was unchanged. Also the blood pressure and heart rate were unchanged during MA.In summary, our study identified and documented statistically significant changes in cerebral blood flow velocity during MA. And it was suggested that some other factors, such as mental state, have influence on cerebral blood flow velocity during MA.
著者
森川 みき 金光 祥臣 塚本 宏樹 森川 昭正 富岡 佳久
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.200-205, 2016

症例は,牛乳アレルギーおよび気管支喘息既往歴を有する6歳女児.インフルエンザB型に罹患し,ラニナミビルオクタン酸エステル水和物吸入粉末剤(イナビル®)を使用後にアナフィラキシーを起こした.プリックテスト並びに薬剤刺激好塩基球活性化試験を実施したところ,イナビル®と添加剤の乳糖水和物に陽性を示し,ラニナミビルオクタン酸エステル水和物は陰性を示した.本症例では,添加剤の乳糖に夾雑する乳タンパク質がアレルゲンとなった可能性が考えられ,その同定を試みた.ウェスタンブロット(WB)により,添加剤の乳糖水和物中からβ-ラクトグロブリン(β-LG)が検出され,その分子量およびin vitro実験の結果から糖鎖付加体であると推定した.さらに患者血清を用いたWBの結果から,本症例のアレルゲンが,糖鎖付加されたβ-LGである可能性が高いと判断した.本研究は,吸入粉末製剤の添加剤乳糖が乳アレルギーを起こす危険性を示す結果となった.本症例のようなインフルエンザ患者は,気道過敏性が亢進しているため特に注意が必要である.