著者
菅井 祐之 鈴木 賢次郎
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.19-26, 2009-06-01
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

現行学習指導要領の実施に伴う図学関連教育の学習定着度の変化を調べるために東京大学においてアンケート調査を行った.また,空間認識力の変化を調べるために,東京大学,日本大学においてMCT 調査を行い,日本大学の調査結果については明星大学の従来の調査結果と比較した.その結果,以下の事が明らかになった.高校迄の図学関連項目に関する学習定着度は,現行指導要領の実施に伴って低下した.現行指導要領実施前後におけるMCT 調査において,東京大学では得点に変化はみられなかったが日本大学においては有意に下落した.現行指導要領の実施に伴い学生の空間認識力が低下した可能性が考えられる.現行指導要領実施以前のMCT 得点の経年変化をみると,両大学ともに低下していたが,その下落幅は大学進学率の上昇による偏差値変化によって説明できる.このことから,この間の指導要領改訂は空間認識力に大きな影響を及ぼしていないものと考えられる.
著者
山本 晴彦 岩谷 潔 鈴木 賢士 早川 誠而 鈴木 義則
出版者
CROP SCIENCE SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.424-430, 2000
被引用文献数
3

1999年9月24日早朝, 九州西岸に上陸した台風18号は, 九州を縦断し周防灘から山口県に再上陸し西中国地方を通過した後, 日本海に抜けた.台風の経路上および経路の東側に位置した気象官署では最大瞬間風速40m/s以上の強風が吹き, 最大風速も九州中南部を中心に20m/s以上を観測した.九州や西中国地方では台風の通過と満潮が重なり, 有明海沿岸や周防灘では高潮により堤防が決壊し, 農作物に塩害が発生した.台風に伴う九州7県の農作物および農業用施設の被害総額は914億円, 被害面積20万haにも及んだ.また, 山口県の小野田市や宇部市の消防本部では最大瞬間風速が52.0m/s, 58.9m/sの強風を観測した.宇部港では最高潮位が560cmを観測し, 推算満潮位351cmを209cmも上回る著しい高潮であった.このため, 周防灘に面した山口県内の市町では高潮災害が相次いで発生し, 農林水産被害は高潮に伴う農耕地の冠水と塩害, 強風に伴う農作物の倒伏, ビニールハウスや畜舎の損壊, 林地の倒木など約100億円に及んだ.山口市秋穂二島でも堤防の決壊により収穫直前の水稲や移植直後の野菜苗に約100haにわたり塩害が発生し, 収量が皆無となった.
著者
高橋 劭 鈴木 賢士 織田 真之 徳野 正巳 De la Mar Roberto
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.509-534, 1995-06-15
被引用文献数
4

西太平洋における大気・海洋結合系国際観測プロジェクト(TOGA-COARE)の一環として西太平洋赤道域マヌス島(2°S,147゜E)で21個のビデオゾンデを飛揚、降水機構の研究を行った。観測は1991年11月24日〜12月5日と1992年11月20日〜12月9日の2回にわたり行われた。観測期間中多くの異なった雲システムが発達、それらの出現は水蒸気の高度分布に著しく依存し、台風による水平風の変動が水蒸気分布に大きな影響を与えていることが示唆された。降水系には2種あり、強い降雨をもたらすレインバンドでは"温かい雨"型で雨の形成が行われ、厚い層状の雲では小さい霰の形成が活発に行われていた。0℃層で霰の雪片が初めて観測された。降雪粒子分布がカナトコ雲や台風の層状雲内でのものと著しく異なることから、観測された厚い層雲はレインバンドからの延びた雲ではなく0℃層以上での一様な大気の上昇で形成されたのかも知れない。他の熱帯域と比較して氷晶濃度が赤道で極端に少なかった。
著者
木村 優花 川上 和宜 中村 匡志 横川 貴志 清水 久範 小林 一男 青山 剛 鈴木 亘 羽鳥 正浩 鈴木 賢一 高張 大亮 小倉 真理子 陳 勁松 中山 厳馬 若槻 尊 山口 研成 山口 正和
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.143, no.12, pp.1075-1081, 2023-12-01 (Released:2023-12-01)
参考文献数
21

Since it is important that patients take their oral anticancer therapy as prescribed, pharmacists need to assess adherence. In addition, oral anticancer drugs are expensive, and reuse of leftover drugs at outpatient pharmacy clinics is useful in reducing drug costs. The present study aimed to clarify when and why patients have leftover capecitabine tablets, and the cost of leftover capecitabine tablets reused at an outpatient pharmacy clinic, focusing on adjuvant capecitabine plus oxaliplatin (CAPOX) chemotherapy for gastric cancer. We retrospectively studied patients who received adjuvant CAPOX chemotherapy for gastric cancer between November 1, 2015, and April 30, 2021, at the Cancer Institute Hospital of the Japanese Foundation for Cancer Research. The cost of leftover capecitabine reused by pharmacists was calculated based on the National Health Insurance drug price standard for the study period. This study included 64 patients who received adjuvant CAPOX chemotherapy. Thirty-seven patients had 152 leftover capecitabine tablets. The most common reasons for leftover capecitabine tablets were nausea and vomiting (21.7%), missed doses (18.4%), and diarrhea (13.2%). The leftover capecitabine tablets for 25 patients were reused at the outpatient pharmacy clinic at a cost of JPY 604142.8 (JPY 24165.7 per patient). The study results suggest that evaluating capecitabine adherence and the reasons for leftover capecitabine tablets at outpatient pharmacy clinics as well as reusing leftover medication can contribute to reducing drug costs.
著者
鈴木 賢二 黒野 祐一 池田 勝久 渡辺 彰 花木 秀明
出版者
日本耳鼻咽喉科感染症・エアロゾル学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科感染症・エアロゾル学会会誌 (ISSN:21880077)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.5-19, 2015-01-20 (Released:2020-10-27)
参考文献数
18

With the cooperation of the otorhinolaryngological departments at 29 universities in Japan, as well as their 26 affiliated hospitals and practitioners, we conducted the fifth national survey (The first survey conducted by The Japanese surveillance committee, consisting of the Japanese Society of Chemotherapy, Japanese Association for Infectious Disease, and Japanese Society for Clinical Microbiology) to investigate the trends of bacterial isolates and bacterial sensitivity in otorhinolaryngological major infections.The subjects comprised patients with acute purulent otitis media (185 cases), chronic otitis media (119 cases), acute sinusitis (128 cases), chronic sinusitis (92 cases), acute tonsillitis (116 cases), and peritonsillar abscess (89 cases) who presented to the medical institutions participating in the survey from January 2011 to June 2012. Using specimens obtained from the patients, bacteria were identified by culture and drug sensitivity was measured.S. pneumoniae and H. influenzae were mainly isolated from patients with acute purulent otitis media and acute sinusitis, and frequency of isolation of S. aureus was decreasing in the recent surveys. Streptococcus spp. (including S. pyogenes) was mainly isolated from patients with acute tonsillitis. Anaerobes (Peptostreptococcus spp., Prevotella spp. and Fusobacterium spp. etc.) were mainly isolated from patients with peritonsillar abscess, and frequencies of isolation of anaerobes in the recent surveys were markedly higher than observed in the former surveys.Among 112 strains of S. aureus isolated in the present survey, 28 (25.9%) were MRSA. Among 113 strains of S. pneumoniae isolated, 41 (36.8%) were PISP and 14 (12.3%) were PRSP. Among 106 strains of H. influenzae isolated, 38 (35.8%) were BLNAR, and 16 (15.1%) each were BLPAR and BLNAI, respectively. Frequency of isolation of these drug resistant bacteria was higher in patients aged 5 years or younger than in other age groups. Compared with the result of the previous surveys, frequencies of isolation of MRSA, resistant S. pneumoniae (PISP and PRSP), resistant H. influenzae (mainly BLNAR), and ABPC resistant M. catarrhalis are increasing recently.It is considered necessary to take measures to promote the appropriate use of antibiotics in order to prevent the increase of resistant bacteria.
著者
鈴木 賢一郎 坂野 鋭 大塚 作一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.742, pp.7-10, 2005-03-11
参考文献数
10

本報告において, 我々は日本語テロップの縁取りに着目した文字認識手法を提案する.日本語テロップには可読性の向上のために黒い縁取りがなされている.この縁取りと文字領域の輝度勾配は比較的安定していると考えられることから, このエッジをSobelフィルタで検出し, 加重方向ヒストグラム特徴と同様の方法でヒストグラム化する特徴抽出系を設計した.認識実験の結果, 位置, サイズが完全に正規化された人工データでは100%, また, 評価用映像データベースに現れるテロップでは約70%の認識率が得られ, 提案手法の有効性を確認した.
著者
鈴木 賢一
雑誌
芸術工学への誘い (ISSN:21850429)
巻号頁・発行日
no.19, pp.17-27, 2015-03-31

欧米の学校建築には、日本にはない多様な計画設計の実例がある。1)学校規模と南面教室配置、2)教える教室と学ぶ教室、3)魅力的な廊下、4)学習リソースの未来、5)学校の管理運営、6)場所から生まれる形、7)歴史を刻む学校、という7つの観点から、日本と欧米を比較しながら学校建築の計画条件と実際に構築された学習環境の違いを記述した。多様な姿かたちを表わす海外の学校建築を知ることは、建築技術以上に、前提となる考え方の違いに触れることである。ひいては、日本における学校の計画設計の選択肢を増やすことにもつながる
著者
鈴木 賢英
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.81-91, 1977-03-10 (Released:2014-11-22)
参考文献数
24
被引用文献数
2 3

ICR系マウスを用いて, 妊娠14日から20日まで6mgのcyproterone acetate (CA) および溶媒のみを妊娠マウスに注射し, 経時的に殺して雄胎仔の生殖路を組織学的に調べた. その結果, 雌胎仔およびCA投与群の雌性化雄胎仔の腟原基は妊娠16日から18日の間に出現し, その頭側部は前立腺小室に相当するミュラー管由来の腟原基で, 尾側部は尿生殖洞に由来する細胞索 (腟板) であった. この雌性化雄仔の腔原基は, 雌のそれに比べてミュラー管由来の部分が短い点を除けば質的に同様と考えられる. 雌性化雄胎仔での腟板形成は雌胎仔と同様に尿生殖洞背側壁から1対の細胞索として生じ, 妊娠18日でその基部が融合し, 妊娠19日で雌新生仔と同様な尿道から隔離された1つの腟板を形成した. 次に雌性化雄マウスの腔原基形成および雄性性腺付属腺の分化と発達に対するCAの影響を調べるために, 妊娠14日から20日まで, 1mg, 3mg, 6rngのCAおよび溶媒を妊娠マウスに皮下注射し, 妊娠20日に開腹して雄胎仔を取り出し, その生殖器管を調べた. CA投与群の雄の腟原基形成において最も強く影響を受けるのは腟板形成であって, 6mg投与群では腟板の形態は雌とほとんど同様であり, 3mg投与群ではその発達は抑制され, 1mg投与群では雌胎仔またはCA6mg投与群の妊娠18日の胎仔に見られる程度の腟板形成しか起こらなかった. さらに雄性性腺付属腺の発達の抑制 (脱雄性化) もCAの濃度と相関しており, 中でも脱雄性化の程度が著しかったのは尿生殖洞由来の器官で, 尿生球腺・凝固腺・前立腺の順にその発達が抑制された. これに対してウォルフ管由来の精管および精のうはほとんど抑制されなかった. これらのことからアンドロゲンと腔原基形成および雄性生殖路の分化と発達との関係を考察した.
著者
三柴 恵美子 平塚 英治 小町 裕子 鈴木 賢治 新井田 孝裕
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
Japanese orthoptic journal (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.233-238, 2010-12-29
参考文献数
8
被引用文献数
1

<B> 目的:</B>ロービジョン者がどのくらい視覚補助具を保有しているのか、またそれらを有効利用できているか、もしできていないならその要因は何かということを検討するため、JRPS(日本網膜色素変性症協会)栃木県支部の協力を得て、アンケート調査を行った。<BR><B> 対象と方法:</B>対象は、JRPS栃木県支部会員49名のうち、回答のあった29名である。方法は、ロービジョン者用にアンケート形式を工夫し、郵送にて行った。<BR><B> 結果:</B>保有視覚補助具数は、平均3.6種類だった。遮光眼鏡、白杖、携帯用ルーペ、拡大読書器の順で多かった。視覚補助具の有効利用に影響する因子として、使い方が簡単である、眼の状態に合っている、説明や訓練を受けたことがあげられた。一方、有効利用を妨げている要因としては、眼の状態に合わない、説明や訓練の不足であった。病院,眼鏡店,市(区)町村役場の窓口の対応に関する満足度では、市(区)町村役場の窓口の対応に不満の多い傾向がみられた。有効利用に今後必要と思われるものとして、行政の窓口担当者の知識向上、使用法の説明や訓練、アフターケアの充実に対する要望が多かった。<BR><B> 結論:</B>視覚補助具を有効利用するためには、個々のロービジョン者の眼の状態を考慮した選択に加え、使用法の説明や訓練の充実、行政の窓口担当者の知識向上が必要と考えられた。