著者
小池 博 太田 壮哉 長谷川 直樹
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.1138-1144, 2018-10-25 (Released:2018-10-25)
参考文献数
29
被引用文献数
1

既往研究において、中心市街地活性化を目的とし、商店街の利用度の低い住民等に対して商店街と関わる機会を提供するイベントのことを「非日常的行事」と定義し、福岡県飯塚市にキャンパスを有する3大学の学生へ飯塚市中心市街地商店街に対する意識(愛着,イメージ,満足度等)に関するアンケート調査を実施している。その結果を分析した結果、商店街への「関わり(大切だと思う/なにかしたいと思う)」を商店街側から促すような施策(「非日常的行事」)は商店街の満足度を下げることに繋がる可能性があることが判明した。本論文では、既往研究1)において課題として上げられていたその他の要因、特に、愛着の醸成に対して影響を持つと考えられる商店街からの居住地の距離が商店街に対する満足度に与える影響について分析を行った。その結果、(1)商店街への「選好」因子の満足度への正の影響度は、遠くに住む学生ほど大きくなる傾向、(2)商店街への「自分の居場所」因子の満足度への正の影響度は、近くに住む学生ほど大きくなる傾向、(3)商店街への「関わり」因子の満足度への負の影響度は、近くに住む学生ほど大きくなる傾向の3つの傾向が看取できた。
著者
布施 綾太 阿部 新助 柳澤 正久 長谷川 直 Fuse Ryota Abe Shinsuke Yanagisawa Masahisa Hasegawa Sunao
出版者
宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所(JAXA)(ISAS)
雑誌
平成30年度宇宙科学に関する室内実験シンポジウム 講演集 = Proceedings of 2019 Symposium on Laboratory Experiment for Space Science
巻号頁・発行日
2019-02

平成30年度宇宙科学に関する室内実験シンポジウム (2019年2月28日-3月1日. 宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所(JAXA)(ISAS)相模原キャンパス), 相模原市, 神奈川県
著者
長谷川 直樹
出版者
日本経営実務研究学会
雑誌
経営実務研究 (ISSN:18805345)
巻号頁・発行日
vol.2019, no.14, pp.15-28, 2019 (Released:2021-02-06)

This paper intends to review critically the existing body of literature on Authentic Leadership theory. The field of Authentic Leadership, which appeared in the 1980s & emerged after the transformational leadership theory, has been established in the West (Northouse, 2016; Zhu et al., 2019). Authentic Leadership, however, has not yet seen its theoretical structure in the developed form but is still in the formative phase of development (Northouse, 2016). The purpose of this study is to clarify the theoretical characteristics of such Authentic Leadership, the current state of research, & problems. First, the theoretical characteristics of Authentic Leadership were examined based on previous studies such as behavioral theory & transformational leadership theory. Authentic Leadership is a leadership theory that explores the true self, rather than exploring what leadership styles can be used to achieve good results, as previous leadership research has been trying. Second, academic papers on Authentic Leadership conducted so far were reviewed to examine the current status & problems of the research. Finally, theoretical contributions & practical implications obtained from future research topics & literature reviews are described.
著者
長谷川 直樹
出版者
日本経営実務研究学会
雑誌
経営実務研究 (ISSN:18805345)
巻号頁・発行日
vol.2018, no.13, pp.1-14, 2018 (Released:2020-05-11)

Avolio and Bass's Full Range Leadership Theory, which had been popular for more than 30 years in English-speaking countries, has also been studied in Japan. However, Transaction Leadership has rarely been studied. This paper presents an empirical research on Transactional Leadership conducted in a Japanese electric-industry company with 105 participants. Data collected from the sample were analyzed firstly by Confirmatory Factor Analysis to confirm whether transactional leadership has two-factor structure of Contingent Reward and Management by Exception (active). Secondly, correlation analysis was employed to examine the relationships between Contingent Reward and Management by Exception (active) and three leadership effectiveness variables. Thirdly, Multiple regression analysis was employed to examine the influence of Contingent Reward and Management by Exception (active) on three effectiveness variables. Results show that firstly two-factor structure of Transactional leadership was confirmed as predicted, that secondly Contingent Reward strongly influenced on leadership effectiveness over Management by Exception(active)and that thirdly Contingent Reward had more influence on three effectiveness variables than Management by Exception (active). Discussions of results shall be given in the middle of this paper.
著者
坂 真智子 飯島 和昭 西田 真由美 狛 由紀子 長谷川 直美 佐藤 清 加藤 保博
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.150-159, 2008-06-30 (Released:2008-07-17)
参考文献数
14
被引用文献数
10 7

小麦の加工および調理による計13種の農薬の残留濃度変化に伴う調理加工品への移行率(玄麦に残留する農薬の絶対重量に対する生成試料中の残留農薬重量の比率,%) について,プレハーベスト処理試料(Pre, 9薬剤)とポストハーベスト処理試料(Post, 6薬剤)を調製して調査した.また,玄麦中に残留する農薬の濃度に対する生成試料中の残留農薬濃度の比(以下,加工係数と称する)も求めた.製粉工程において,玄麦に残留していた農薬のうちPreでは70%以上,Postでは80%以上がふすまとともに除去され,60%粉に残っていたのはPre 1.7~23%, Post 4.0~11%の範囲であった.60%粉の加工係数はPre 0.030~0.40, Post 0.069~0.18を示した.これらの数値は,PreのほうがPostよりも高い値を示した.移行率の薬剤間での値の差は少なかった.調理加工における農薬の残留濃度変化を調査することは,基準値設定に役立つばかりでなく,農産物に残留する農薬が食品に移行する量を把握する上で重要である.
著者
守 明子 長谷川 直司 志岐 祐一
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

わが国における鉄筋コンクリート造建築物の黎明期に生産され,かつ現在も供用中の工場(山口県山陽小野田市)を対象に,当該建築物に関する資料調査と実測調査とを行った。併せて黎明期の鉄筋コンクリート造に関する著作の調査も行った。その結果,我が国が明治時代より近代化をすすめた際の建築材料製造技術の歴史ならびにその材料を用いた新しい構工法である鉄筋コンクリート造建築物の歴史の一端を明らかにすることができた。ここで得られた成果は,黎明期の同構造建築物における耐久性を解明するための基礎的な資料となるとともに,現在,各地で進められている多くの鉄筋コンクリート造建築物の文化財としての保存に対し,補修改修方針の策定に関しても資するものである。
著者
三上 岳彦 長谷川 直子 平野 淳平 福眞 吉美
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2019年度日本地理学会秋季学術大会
巻号頁・発行日
pp.130, 2019 (Released:2019-09-24)

青森県十三湖は日本海に面する汽水湖で、現在は冬季に結氷することはないが、江戸時代にはほぼ毎年結氷(と解氷)し、その連続的な記録が弘前藩庁日記に1705年〜1860年の155年間にわたって残されていることが明らかになった。十三湖には、南から岩木川が流入しており、江戸時代には津軽平野で産出された米輸送の舟運に利用されていたことから、長期間の結氷解氷期日が記録されたと思われる。
著者
長谷川 直子 横山 俊一
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2015, 2015

&nbsp;<b><u>1. </u></b><b><u>はじめに</u></b> 地理学ではある場所を訪れてその地域を現地で学び理解する巡検という活動を盛んに行う。一方観光は、同じくある地域を訪れる活動だが、増すツーリズムでは特に、その地域の風土や文化、地理を学ぶという活動に結びつかない形で行われることが多い。旅行の中に巡検的要素を入れられれば、その旅行が直接的な地理の普及につながる手段になりうるのではないだろうか。演者は昨年表参道~原宿周辺の学生向け巡検の際、当該地域に対する旅行と巡検の認識の違いについて調査し報告を行った(長谷川2015)。今回は大学の授業の中で、巡検と旅行を両方行い、その融合系としての地誌的視点を取り入れた旅行ガイドブックのサンプル作成を行ったので、その成果を報告する。 &nbsp; <b><u>2. </u></b><b><u>授業の概要</u></b> 授業はお茶の水女子大学の地理学コース向けの地理環境学演習Iという科目で、4学期制の1学期に1日2コマ(1コマは90分)連続で8週間で終了するという授業である。2コマ連続の授業の利点を生かし、現地調査を3回取り入れた。履修学生は18名であった。授業は、はじめに古今書院の巡検虎の巻(東京都地理教育研究会2002)の千駄ヶ谷から原宿のページのエリアと情報を基本として、これに掲載されている情報に肉付けする形でスポットを分担して調べて室内報告をしてもらい、後日2週かけて実際にそのエリアを巡検した(分担したスポットについて、担当学生が案内者を務めた)。その後、旅行者としてこのエリアを訪れた場合にどのようなコンセプトでどこを周りたいかを室内報告してもらい、翌週実際にその場所を訪問してもらった。最後に、巡検で学んだ地域の情報と旅行とを融合させた旅行ガイドブックのサンプルを各自が作成し、最終回の授業で発表するという形で授業は終了した。 &nbsp; <br> <u>3.</u><u> 旅行のテーマ</u> 各学生の旅行プランのテーマとしては、緑、市販のガイドブックにはあまりないところをめぐる、明治神宮と外苑をつなぐルートを作る、あえてファッションとグルメ以外を訪ねる、写真を趣味とする人向けコース、ドラマのロケ地、アート、文房具、ライダー、青山霊園へ旅行者を向かわせる試み、変わった建物巡り、アニメ、等である。緑と癒し、緑とアートなどの複合形もあった。市販のガイドブックでは定番の、買い物やおしゃれといったテーマを中心としたのは1名だけであった。この時点ですでに一般的な視点からはかなり離れていることが伺える。 &nbsp; <b><u><br>4.地誌的視点を取り入れた旅行ガイドブックのテーマ</u></b> &nbsp;学生の作成した旅行ガイドブックサンプルはそれぞれ以下のようなテーマで作成されていた(作成者の意図を説明)。1)都心の緑と癒しを求めて、2)オタク文化を訪ねて(聖地巡礼など)、3)原宿・表参道の意外な魅力発見の旅、4)日本の歴史を歩いて感じるコース、5)ブラタモリファンに捧ぐ表参道さんぽ、6)子どもと楽しむ明治神宮・神宮外苑、7)ハイセンスな街 表参道で自分磨きをしよう、8)原宿・青山 歴史と散歩の旅、9)じゃらんじゃらん千駄ヶ谷、10)月曜日に巡る美術館・アート巡り(月曜日には美術館の休館日が多いため、その日でも巡れる場所を提示)、11)ハカマイラーのための歴史散歩(青山霊園は良いスポットなのに市販のガイドブックではことごとく無視されているので、なんとか青山霊園に人を呼び込めないかという工夫の成果)、12)表参道・青山の建物めぐり(変わった建物が多い) &nbsp; <br> <u>5.</u><u>学生作成のガイドブックから見えてきたこと</u> &nbsp;学生主体の地誌的視点を取り入れたガイドブックは以下のような特徴を持っていた。 ・&nbsp;&nbsp; 地誌的視点を取り入れつつも話題となっているスポットを取り入れている(聖地巡礼、ハカマイラー、文具カフェ、ブラタモリ、パワースポットなど) ・&nbsp;&nbsp; 様々なターゲット層を扱っていた ・&nbsp;&nbsp; 財布に優しい飲食店やスイーツ店、タダで見られる場所等を選定していた(逆に今人気の高額なパンケーキ店等は一人も取り上げていなかった) ・&nbsp;&nbsp; 通常の巡検でも利用できるポイントも記載(富士塚など) ・&nbsp;&nbsp; 女性的な紙面構成(ことりっぷ的) &nbsp; (本研究はJSPS科研費(課題番号26560154)を使用した。) <br> <b><u>参考文献:</u></b> 長谷川直子(2015)旅行と巡検の違いを探るー1日巡検授業実践報告&mdash;.お茶の水地理.54.31-34. 東京都地理教育研究会(2002)エリアガイド地図で歩く東京I東京区部西.101p.
著者
戸田 真夏 長谷川 直子 大八木 英夫
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2014, 2014

筆者らは、地誌学的な視点の一般への普及の手段として、地域を総合的に理解できる地誌的旅行ガイドブックを作成、出版することを目標に活動している。その基礎情報を得るため、大学生を対象として国内旅行に関するアンケート調査を行い、その大まかな結果については2014年春に報告した。それに引き続き今回は、旅行動向の男女による違いについて報告する。アンケートの有効回収数は965である。男女毎の回答数は男子が542、女子が409である。以下、主に男女差の見られた項目について示す。「鉄道」、「車」、「バイク」、「体を動かすことが好き」などアウトドア派や「アニメ好き」は男子学生が多い。一方、「写真を撮ることが好き(デジカメ所持)」、「テーマパーク好き」は女子学生が多い。「旅行好き」、「食べることが好き」は男女差なく1,2位を占める。このことから女子はイベント、思い出を求め、男子は趣味や体験重視と考えられる。日帰り旅行や国内宿泊旅行の頻度は「年1回」や「ほとんどしない」のは男子学生が多いが、「週1程度」で高頻度なのも男子学生が多い。男子学生は好きな人は沢山行くが興味のない人は行かない、と極端な違いがあると思われる。なお、「旅行好き」は宿泊も日帰りも行っている。日帰り旅行や 宿泊旅行の同行者については、「一人」は圧倒的に男子学生が多く、また「友人」も男子学生が多い。「家族」は日帰り旅行では女子学生のほうがやや多いが、宿泊旅行では男子がやや多い。女子のほうが旅行に対して受動的なのかもしれない。.旅行先を決める理由に関して、「行ったことがない」は男子が多いことから、男子はフットワークが軽いと考えられ、「日数で決める」ことが多い女子は、現実的なのではないだろうか。国内宿泊旅行の目的について、「自然の景色を求める」のは男子学生が多い傾向が見られた。旅行先を決めるきっかけは、「書籍」、「知人の話」、「趣味」、「授業」に影響されるのは男子学生が多く、「旅行ガイドブック」や「旅行会社」は女子学生が多い。旅行へ行く際の情報収集の手段については「HP」や「ネット口コミ」は男子学生が多く、「旅行ガイドブック」は女子学生が多い。ガイドブック利用冊数関しては、女子の方が利用する割合が高く、男子はまったく利用しない割合が高い。購入の有無では女子の方が購入し、男子は購入しない人が多い。また、女子学生のほうが購入費用をかけている。知っているガイドブックについては、女性ターゲットの「ことりっぷ」や「タビリエ」はやはり女子学生のほうが認知度が高い。ガイドブック購入時に重視する点では、一位の「情報が豊富」では男女差は見られないが、「かわいい」、「持ち運びやすさ」はやや女子学生が重視する傾向がある。ガイドブックの記事で重視する情報については、男子は「自然」と「宿泊」なのに対して、女子は「お土産の買える場所」と「飲食店」といった具合で違いが目立った。「ガイドブックのモデルコースを参考にするか」との問いに対しては、女子学生のほうが「参考にする」傾向がみられるものの、「かなり参考にする」人は男子学生のほうが多い結果が得られた。ガイドブックに載っていない現地での発見については男子学生のほうが重要視している傾向が高かった。筆者らが目指している地誌的説明が詳しいガイドブックに対しては、男女とも魅力は感じてくれている。 様々な質問項目で男女の違いが見られた。全体を通して、男子学生の方が能動的、女子学生の方が受動的な印象を受ける。言い方を変えると、男子学生の方が個性的な旅行を好み、女子学生の方が周囲に影響されやすいようにも思える。一方で女子学生の方がガイドブックを使う人が多いことから計画的にも思える。これらのアンケート結果の指向性に基づくと、地誌的な旅行は男子学生の方が興味を示しそうな気もするが、最後の質問で直接「地誌に特化したガイドブック」と聞くと、女子学生も興味を持っている回答結果を示している。
著者
長谷川 直哉 今泉 貴史
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2021-IOT-53, no.7, pp.1-7, 2021-05-06

Web アプリケーションの脆弱性の 1 つに SQL インジェクションがある.本研究では SQL インジェクションの対策手法として DPS(Dual Proxy to prevent SQL Injection Attack)を提案し実装した.DPS は HTTP プロキシとデータベースプロキシを組み合わせたアーキテクチャであり Web サーバを挟む構成になっている.DPS では,ユーザインプット(ユーザからの入力値)と Web アプリケーションから送られるクエリを基に SQL インジェクションを検知する.DPS が実際に SQL インジェクションを防止できるかどうかを確かめるための実験を行い,DPS が SQL インジェクションを防げることを確認した.
著者
坂 真智子 飯島 和昭 西田 真由美 狛 由紀子 長谷川 直美 佐藤 清 加藤 保博
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.160-167, 2008-06-30 (Released:2008-07-17)
参考文献数
6
被引用文献数
5 4

乾燥大豆 (大豆) の加工および調理による計14種の農薬の残留濃度変化に伴う調理加工品への移行率(大豆に残留する農薬量に対する生成試料中の残留農薬量の比率,%)について,圃場で大豆試料を調製して調査した.また,大豆中に残留する農薬の濃度に対する生成試料中の残留農薬濃度の比(以下,加工係数と称する)も求めた.水浸漬工程において,調査したほとんどの薬剤で大豆中の残留農薬量の約60%以上が水浸漬大豆に残っていた.豆乳および豆腐製造工程においては,薬剤間での差が大きかった.豆乳への移行率は37~92%,豆腐には7~63%であった.豆腐の加工係数は0.026~0.28であった.各農薬の豆腐への移行率とlog Powとの間に相関が認められた.本報告で実施したモデル試験は,農産物に残留する農薬が調理工程で食品に移行する量の把握をする上で重要な手段であると考える.
著者
三上 岳彦 長谷川 直子 平野 淳平 Batten Bruce
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2020, 2020

<p>弘前藩御国日記には、江戸時代の弘前における毎日の天候が記載されている。そこで、11月〜4月の冬春季における降水日数と降雪日数から、毎年の降雪率(降雪日数/降水日数)を求めて、1705年〜1860年の長期変動を明らかにした。同じく、弘前藩日記に記載された十三湖の結氷日と解氷日から結氷期間(日数)を求めて、その長期変動特性を明らかにした。次に、冬春季における弘前の降雪率と平均気温との関係を考察するために、観測データ(AMeDAS弘前)の得られる最近数十年間について、毎年の降雪率と冬春季の平均気温との関係を分析した。</p><p>1705年〜1860年の156年間における十三湖の結氷期間と弘前の降雪率の変動傾向は、年々変動、長期傾向(11年移動平均)ともに類似している。すなわち、十三湖の結氷期間が長い年や年代は寒冷で、降雪率が高く、結氷期間が短い年や年代は温暖で、降雪率が低い。長期トレンドで見ると、十三湖の結氷期間は100日間前後で一方向の変化は見られないが、弘前の降雪率は18世紀前半から19世紀前半にかけてやや減少傾向にある。1740年代と1820年代に、結氷期間と降雪率がともに低下した時期があり、一時的な温暖期と考えられる。とくに、1810年代から1820年代にかけての降雪率の顕著な低下については、従来の研究では指摘されたことがないので、さらに分析を進めたい。</p><p>観測データ(AMeDAS弘前)の得られる1983年〜2020年の38年間について、毎年の降雪率(11月〜4月)と平均気温(12月〜3月)の関係から、両者の間に負の有意な相関があることがわかった。これにより、十三湖の結氷期間や降雪率から、弘前の冬春季の平均気温変動を復元することが可能となろう。</p>
著者
坂 真智子 飯島 和昭 西田 真由美 狛 由紀子 長谷川 直美 佐藤 清 加藤 保博
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.141-149, 2008-06-30 (Released:2008-07-17)
参考文献数
20
被引用文献数
14 13

米の加工および調理による計11種の農薬の残留濃度変化に伴う調理加工品への移行率(玄米に残留する農薬量に対する生成試料中の残留農薬量の比率,%)について,プレハーベスト処理試料(Pre, 9薬剤)とポストハーベスト処理試料(Post, 4薬剤)を調製して調査した.また,玄米に残留する農薬の濃度に対する生成試料中の残留農薬濃度の比(以下,本報告では加工係数と称する)も求めた.Preの結果は以下のとおりであった.精米工程において,玄米に残留していた農薬のうち40~106%が糠とともに除去され,白米に残っていたのは10~65%の範囲であった.白米の加工係数は0.11~0.73を示した.これらの数値は,薬剤間の差が大きかった.加水分解性,水溶解性,蒸気圧,log Powなど各農薬の物理化学的性状の一要因と移行率との間に相関は認められなかった.調理加工における農薬の残留濃度変化を調査することは,基準値設定に役立つばかりでなく,食品における農薬の残留実態を認識する上で重要である.
著者
具 芳明 藤友 結実子 添田 博 中浜 力 長谷川 直樹 前﨑 繁文 前田 真之 松本 哲哉 宮入 烈 大曲 貴夫
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.93, no.3, pp.289-297, 2019-05-20 (Released:2019-12-15)
参考文献数
32

背景:日本では抗菌薬の多くが診療所で処方されているが,その現状や医師の意識はあまり知られていない. 目的:診療所医師の抗菌薬適正使用の現状や意識について調査する.デザイン:診療所医師を対象としたアンケート調査.方法:日本全国の診療所から無作為抽出した1,500診療所に医師を対象とするアンケートを送付した.結果:回収数274回収率18.3%)のうち調査に同意した269通を集計の対象とした.アクションプランや抗微生物薬適正使用の手引きの認知度は低かったが,抗菌薬適正使用についての認識や意識は高かった.感冒や急性気管支炎に抗菌薬を処方している医師が一定数おり,最も処方されているのはマクロライド系抗菌薬であった.処方の背景には医師の知識だけでなく医師患者関係など複雑な要因があることが示唆された.結論:診療所医師の知識向上に加え,医師患者間のコミュニケーション改善などさまざまな手法で外来での抗菌薬適正使用を推進していく必要がある.
著者
長谷川 直樹 鈴木 博志
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.15, no.31, pp.893-896, 2009-10-20 (Released:2009-10-26)
参考文献数
8
被引用文献数
3 1

The purpose of this study is to consider a necessary community planning activity and the problem by investigating the content of the situation of the community planning activity for the urban regeneration. The district where the community planning activity for the urban regeneration is executed increases year after year. Moreover, a downtown, a sightseeing spot, and a residential quarter are the majority in the district where the community planning activity is executed. It is important to establish the activity organization for the success in the community planning activity. And it is important to establish the system to continue the community planning activity.
著者
中山 智英 長谷川 直人 小西 和哉 阿部島 滋樹 市村 龍之助 金古 裕之
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.67, no.9, pp.2101-2104, 2006-09-25 (Released:2009-01-22)
参考文献数
15

症例は3歳,男児. 2005年8月6日午後7時20分,自宅で玩具にて遊んでいる際,単5乾電池2個にて動いていた玩具の電池カバーがはずれており,そのうち1個を飲み込んだのを母親が目撃した.同日7時30分に当院救急外来を受診.救急外来到着時,呼吸苦や腹部症状はみられなかったが,腹部単純X線写真にて上腹部に誤飲した乾電池と思われる1×3cm大の陰影を確認.母親からの病歴聴取とあわせ乾電池の誤飲と診断した.透視下造影検査を行ったところ上部小腸まで乾電池が進んでいたため,緊急手術を施行した.下腹部正中切開にて開腹し,直視下に小腸まで進んでいた乾電池を確認.用手的に回盲部まで進め,虫垂切除術を施行し,虫垂切除断端より乾電池を摘出した.小児の筒型乾電池誤飲症例は報告が少なく,治療法も確立されていない.われわれは小児の筒型乾電池誤飲症例に対し,虫垂切除術を施行し摘出しえた1例を経験したので報告する.