著者
貴嶋 芳文 木山 良二 大重 匡 前田 哲男 湯地 忠彦 東 祐二 藤元 登四郎 関根 正樹 田村 俊世
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1505, 2014 (Released:2014-05-09)

【はじめに,目的】脳卒中片麻痺者の自立歩行獲得は,リハビリテーションにおける目標の一つであり,早期の自立歩行獲得は歩行機会を増加させ,さらなる身体機能の向上や生活空間の拡大に繋がると考えられる。諸家により,歩行能力の客観的な評価として,加速度センサを用いた検討が報告されている。我々はこれまでの横断的な研究で,加速度センサを用いた評価が,脳卒中片麻痺者の歩行自立度の判定に有用であること,麻痺の程度により歩行自立度に関与する要因が異なることを報告した。しかし,脳卒中片麻痺者の回復に伴う,歩行中の加速度の変化を縦断的に検討した報告は少ない。そこで本研究では,歩行非自立時(要監視)と歩行自立時における,歩行中の腰部および大腿部の加速度の差を比較し,歩行自立度の変化に伴う,歩行中の加速度の変化を明らかにすることを目的とした。【方法】対象は,脳卒中片麻痺者18名(Br. Stage IV8名,V10名,右片麻痺10名,左片麻痺8名,男性12名,女性6名,平均年齢68±7歳)であった。加速度センサは,対象者の腰部と両大腿部にそれぞれベルクロを用いて装着した。対象者は,室内16mの直進路を快適速度で2回歩行し,中央10mを解析対象区間とした。10m解析区間から定常状態である中央の3歩行周期を抽出し,得られた加速度のデータより,腰部と両大腿部のRoot Mean Square(RMS),自己相関係数(定常性)を算出した。また,10m歩行速度,Berg Balance Scale(BBS),Fugl-Meyer Assessment(FMA)を測定した。計測は,上肢による支持なしで16mの歩行が可能となった時期(歩行非自立時)と,病棟での歩行が許可された時期(歩行自立時)の2回行った。歩行自立時と非自立時の各指標を,対応のあるt検定を用い比較した。また,加速度のセンサから得られた指標については,Br. Stage毎に比較した。すべての統計解析は,統計ソフトR(2.8.1)を用い,統計学的な有意水準は5%とした。【倫理的配慮,説明と同意】本計測の際には,当該施設の倫理委員会の承認並びに対象者自身からのインフォームドコンセントを得た後,実施した。【結果】歩行速度(P=000),BBS(P=000),FMA(P=000)は非自立時に比べ,自立時で有意に高値を示した。自己相関係数も同様に,非自立時に比べ自立時に高い値を示し,歩行の定常性が改善していることが示された。有意な差の認められた項目は,Br. Stage IVでは腰部の前後(P=000)・上下成分(P=000),麻痺側大腿部の左右成分(P=000),非麻痺側大腿部の前後(P=000)・上下成分(P=000)において有意な差を認め,Br. Stage Vでは腰部の上下成分のみ有意な差を認めた(P=000)。またRMSにも有意な増加を認め,Br. StageIVでは腰部前後成分(P=000),麻痺側大腿部前後(P=000)・左右(P=000)・上下成分(P=000),非麻痺側大腿部左右成分(P=000)で有意に高い値を示した。Br. Stage Vでは非麻痺側大腿部左右成分を除くすべてにおいて有意な差を認めた(P<000)。【考察】今回の結果では,バランス能力や麻痺の改善に伴い,歩行自立度,歩行速度が向上し,それに伴い,歩行中の加速度のRMSおよび,自己相関係数が改善していた。しかし,麻痺の程度により,差がある指標が異なり,歩行自立度に関与する要因が異なることが示唆された。麻痺が重度であるBr. Stage IVでは,非自立時と自立時の比較において,腰部・両大腿部の自己相関係数が増加した指標が多く,歩行の定常性が,歩行の自立に大きな影響を与えることが示唆された。一方で,Br. Stage Vでは,非麻痺側大腿部左右成分を除くすべてのRMSで有意な増加を示したのに対し,自己相関係数の増加は腰部の上下成分のみであり,歩行の定常性が歩行自立度に与える影響は小さいと考えられた。【理学療法学研究としての意義】先行研究による歩行分析は,腰部加速度センサのみを使用したものや横断研究が多く報告されているが,本研究により回復過程における被験者内の腰部・大腿部加速度変化を調査することで,自立歩行獲得時にどのような加速度成分に変化があったかを把握することができ,Br. Stageに応じた歩行評価や治療効果判定指標となる可能性がある。
著者
関山 徹
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学教育学部研究紀要. 人文・社会科学編 (ISSN:03896684)
巻号頁・発行日
vol.66, pp.139-147, 2014

広汎性発達障害者の人間表象の特徴を分析するために、TAT反応に現れた登場人物の描写を検討した。調査協力者は、広汎性発達障害者の群19名(P群)および同人数の対照群(NP群)であった。その結果、P群はNP群と比較して、(1)物語内に登場させる人数が少ないこと、(2)登場人物同士の関係が確定的でないこと、(3)登場人物同士の関与の程度が弱いこと、(4)登場人物の内面についての言及が少ないこと、(5)登場人物に愛着対象を見ることが少ないことが明らかになった。また、P群は人間関係への関心が低いと考えられるものの、基本的な対人知覚能力が劣るわけではなく視覚的な手掛かりの有無によって関心の程度が影響を受けやすいと推察された。
著者
関 秀司 鈴木 翼 庭 亜子
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.47-51, 2005-03-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
19

微細藻類の増殖速度の光強度依存性について温度依存性と同様の関係が成立するとの仮定に基づき, Arrhenius型光強度関数を導入した増殖速度モデルを提案した。クロレラC. fuscaをモデル系として光強度およびKNO3濃度の異なる条件で増殖速度実験を行い, 実験結果との比較からモデルの正当性を検討した。その結果, 本研究で提案した増殖速度モデルにより低光強度における比増殖速度のシグモイド型光強度依存性を表現できること, および従来の経験式と同等以上の精度で比増殖速度の光強度依存性を予測できることが明らかとなった。
著者
関 計夫
出版者
慶應義塾大学出版会
雑誌
教育と医学 (ISSN:04529677)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.161-165, 1953-09
著者
高橋 源一郎 関川 夏央
出版者
文藝春秋
雑誌
文學界 (ISSN:05251877)
巻号頁・発行日
vol.70, no.12, pp.184-196, 2016-12
著者
関根 良平 佐々木 達 小田 隆史 増田 聡
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2014, 2014

報告者らは2013年1~2月に本報告と同じ福島県いわき市の市民を対象に食料品の購買行動と意識に関して調査を実施し、2013年日本地理学会秋季福島大会において佐々木(2013)として報告している。そこでは①野菜の購入先は食品スーパーが主流である。震災前後で購入先に大きな変化は見られない。②野菜を購入する際に重視されているのは産地、鮮度、価格の3要素である。風評と関連する放射性物質の検査はこれに続く結果となっており、原発事故以降に新たな判断材料として加わった。③購入産地は県外産にシフトしている。ただし、産地表示や検査結果を気にする反面、判断に用いる情報ソースは二次情報、三次情報である可能性も否定できない。④購買行動において国の基準値や検査結果に対して認知されているが,信頼度という点においては低い。野菜の購買基準は,「放射性物質の検査」と答える人も多いが,風評とは関連性のない「価格」を挙げる人が多い。しかし、「価格」要因は消費者サイドに起因するのではなく現在の小売主導の流通構システムから発生している可能性がある。といった諸点を指摘した。本報告は、こうした風評被害の特性と構造の変化、もしくはその「変容しにくさ」が働くメカニズムを解明したい。これは、事故より3年を経てもなお、汚染水や除染廃棄物問題が復興の足かせとなっている福島県では、調査研究においても一過性ではない継続的な視点が不可欠と考えるからである。
著者
小関 友宏
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2015, 2016

【はじめに,目的】当法人リハ部門は104名在籍し,回復期リハ病棟における卒後5年以下の職員は,平成23年度では回復期リハ職員全体の69%,24年度では73%を占め,卒後教育が課題であった。この経緯を踏まえ,ISOなどで利用されるPDCAサイクルを適用し,25年度にリハ部内に教育課設立委員会を設置し,1年間かけて計画を行い,26年度に各課から独立した形で教育課が設立された。教育課の役割は,「卒後3年までの新人教育」,「プリセプター制度の管理」,「卒後4年以降の生涯教育」,「渉外業務」の4つに集約される。「卒後3年までの新人教育」では,社会スキル,知識スキル,技術スキル,研究スキルの4つのスキルに力を注ぐことで,リハビリテーション医療を理解し,他職種とのコミュニケーションが行え,社会人・医療人として相応しい人間性を確立させ,急性期・回復期・生活期のどの生活ステージにも対応できる育成を基礎としている。「プリセプター制度の管理」では,技術・臨床姿勢向上に向け,病棟巡回や治療介入を実施している。また,技能評価シートやフィードバックシートを導入し,定期的に自己・他者評価を実施し,コミュニケーションを密に取る仕組みとしている。「卒後4年以降の生涯教育」では,研究班による臨床研究活動を行っている。今回,1年の実践を経て,アンケートを行うことで確認評価し,教育システムについて,知見を得ることができたため報告する。【方法】リハ部の全職員92名を対象にアンケートを実施した。質問内容は,「新人教育」,「プリセプター制度」,「卒後4年以降の生涯教育」,「渉外業務」の有益性を調査した。回答は1~5段階評価(有益ではない~有益である)を用い,各項目には自由記載欄を設け詳細な理由を記述させた。新人教育を受けた職員にはそれに加えて「実際に受けてどうであったか」を調査,回答は1~5段階評価を用い,自由記載欄を設けた。各質問項目に対し4段階(まずまず有益である)以上の回答を肯定回答して集計し,自由記載欄はKJ法を用いて分類分析した。【結果】回答に欠損がないものを対象とし,回答率は93%であった。「新人教育」では,肯定回答率は82%であり,実際に受けている職員の評価も89%であった。「プリセプター制度」では肯定回答率は84%であり,実際に受けているプリセプティの評価も89%であった。「卒後4年以降の生涯教育」では83%,「渉外業務」では84%であった。【結論】新人教育やプリセプター制度では,相談する人が決まっていること,助言を受けやすい仕組みがあることによる安心感が高く評価されていた。生涯教育では,「業務時間外の活動であるため負担に感じる」という意見がある一方で,「勉強会や活動は多いけど,これだけ人数がいれば仕方ない」と意見もまた多かった。総じて,教育システムへの受け入れはよく,今回の意見を参考にし,より良いシステムにしていきたいと考える。
著者
関口 正幸
出版者
日本不安障害学会
雑誌
不安障害研究 (ISSN:18835619)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.85-92, 2014-03-31 (Released:2014-05-02)
参考文献数
43

恐怖体験時の嫌悪感覚はその体験をしたときの環境全般やそのとき感知した音や匂いなど(中性事象)との連合記憶として脳に貯えられる場合がある。この連合記憶は条件性恐怖記憶と呼ばれており,古典的条件付けにより獲得される潜在型情動性記憶の一つと考えられている。条件性恐怖記憶の獲得は生物の生存のために極めて重要であるが,人間においては不安障害などの原因となる場合もあり,必要に応じてコントロールが必要である。そのためには,条件性恐怖記憶が元来どのような生体システムによりコントロールされているのかを知る必要がある。本稿では条件性恐怖記憶の修飾にかかわる生体システムについて,われわれの研究や国内外における最近のトピックスを紹介する。
著者
関 信浩
出版者
日経BP社
雑誌
日経情報ストラテジ- (ISSN:09175342)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.234-237, 2007-02

総務省の調べによると、「ブログ(日記式のウェブサイト)」の登録数は2006年3月末時点で868万に上る。人気タレントや政治家、企業経営者や一般個人までがこぞってブログを開設している。 ブログの特徴として、「双方向性」ということがよくいわれる。しかし、最も重要なブログの本質は、「誰でも更新しやすいウェブサイト」だということだ。
著者
関谷 卓見 竹谷 公貴 天野 佳正 町田 基
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.33, no.11, pp.175-179, 2010 (Released:2010-11-10)
参考文献数
27
被引用文献数
4 5

The blue-green alga Microcystis aeruginosa and the diatom Cyclotella sp. were grown in Wright's cryptophytes medium with various mass ratios of total dissolved nitrogen to phosphorus (N/P = 1, 10, 50 and 100) at different temperatures (15, 20 and 25°C). Similar experiments at lower nitrogen and phosphorus concentrations but using the same N/P ratio were also carried out. At high nutrient concentrations (N = 0.5-50 mg·L-1 and P = 0.5 mg·L-1), Cyclotella sp. was dominant at all N/P ratios at 15°C, but M. aeruginosa became a superior competitor at 20 and 25°C at N/P≠ 1. Generally, Microcystis blooms tend to occur at a low mass ratio of total nitrogen (TN) to total phosphorus (TP), i.e., TN/TP ratio. However, this study clearly showed that a high N/P ratio favored the growth of M. aeruginosa. Moreover, the growth of both algae was controlled significantly at all N/P ratios at low nutrient concentrations (N = 0.05-5 mg·L-1 and P = 0.05 mg·L-1). Therefore, it could be concluded that M. aeruginosa dominance occurs at temperatures above 20°C and is promoted at a certain level of nutrient concentrations (N > 0.5 mg·L-1 at P = 0.5 mg·L-1 and/or P > 0.05 mg·L-1 at N = 0.05-5 mg·L-1) rather than N/P ratio.
著者
関儀一郎 編
出版者
東洋図書刊行会
巻号頁・発行日
vol.孟子部1, 1926

1 0 0 0 OA 社寺法令類纂

著者
関鉎三郎 閲
出版者
雨宮匡
巻号頁・発行日
1896
著者
稲垣 大志 中村 暢志 板野 智昭 関 眞佐子 兵頭 仁介
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.850, pp.17-00042-17-00042, 2017 (Released:2017-06-25)
参考文献数
10

The water velocity field in a rectangular reservoir driven by a previously unexplored water streamer is investigated experimentally and numerically. Firstly, the velocity field on the water surface induced in a rectangular reservoir is estimated from trajectories of floating passive tracers. Secondly, the velocity at the several fixed points below the surface is directly measured with the aid of an electro-magnetic velocimetry. These measurements elucidate that the streamer activates an underwater circulation between the surface and the bottom in the reservoir. Additionally, a numerical simulation is examined to realise the induced three-dimensional flow below the water surface. The obtained results provide an evidence that the induced flow structure is three-dimensionally spiral, which is distinct from that induced by the water streamers traditionally utilized in aquacultural reservoirs. The investigated streamer may be utilized for the purpose to particularly enhance the underwater vertical mixing in aquacultural reservoir or purification plant.