著者
高橋一哉 飯島泰裕 上野亮
雑誌
第74回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, no.1, pp.569-570, 2012-03-06

日本、米国、韓国の三ヶ国における大学生のFacebookの利用状況を比較した。日本では日本大学、米国ではアリゾナ州立大学、韓国では延世大学など、学生数の多い順に各国25校を対象とした。比較対象は各大学生のProfile Picture、Wall、Current City、Hometown等の公開設定や利用状況とした。なお、公開設定を比較対象に含めることで、各国大学生のプライバシーに対する考え方の違いを明らかにした。また、プライバシーに対する考え方の違いがもたらす利用状況の変化にも着目した。これらの比較を通して、各国の大学生におけるFacebookの利用動向を分析した。最後に、本研究を通して、三ヶ国の大学生におけるFacebookの利用状況の違いについて考察した。
著者
西本 章宏 勝又 壮太郎 石丸 小也香 高橋 一樹
出版者
日本消費者行動研究学会
雑誌
消費者行動研究 (ISSN:13469851)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.1_85-1_110, 2010 (Released:2018-08-31)
参考文献数
44

本研究は、カテゴリー不確実性における消費者の製品カテゴライゼーションに焦点を当てている。本研究の目的は、このような認知状況下においてファジー理論を適用させることで、新たな製品カテゴライゼーションのあり方を明らかにすることである。そこで、本分析では、カテゴリー・メンバーシップ関数を用い、カテゴリー不確実性における消費者の製品カテゴライゼーションのモデリングを試みている。その結果、カテゴリー不確実性における製品カテゴライゼーションは(1)消費者ごとに異質であり、(2)その認知的異質性が当該マルチプル・カテゴリー製品に対する評価に大きな影響を及ぼしていることを明らかにしている。
著者
高橋 一幸
巻号頁・発行日
2019-03

Supervisor: 池田 心
著者
皆川 修人 櫻井 伸行 高橋 一生 江村 菜津子 東間 千芽 橋爪 力 澤井 健
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
日本繁殖生物学会 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.109, pp.P-93-P-93, 2016

<p>【目的】miRNAの生合成を抑制したマウス胚では胚性致死となることから,miRNAを介した遺伝子発現制御が初期胚発生において重要な役割を担うと考えられる。miRNA-34cは,マウス胚において1-細胞期から発現量が上昇し,その機能を阻害すると卵割が停止する。またmiR-93およびmiR-34aはマウス胚性幹細胞および人工多能性幹細胞においてSox2や,Nanogの発現を制御している。しかし,ブタ胚においては上記miRNAの発現動態およびその機能は不明である。そこで本研究ではブタ初期胚における上記3つのmiRNAの発現動態とmiR-34cが初期胚発生に及ぼす影響について検討した。【方法】ブタ卵子(M-Ⅱ期)およびブタ体外受精(IVF)胚の1-細胞期,2~4-細胞期,8~16-細胞期,桑実期および胚盤胞期でのmiR-34a,miR-34cおよびmiR-93の発現量を解析した(実験1)。またmiR-34cに結合し,その機能を阻害するmiR-34c inhibitorを1-細胞期胚に注入し,その後6日間体外発生させ,胚盤胞期までの発生率を検討した(実験2)。処理区は,miR-34c inhibitor区および特定のmiRNAの機能阻害効果も持たないNon-effect inhibitor区とした。【結果および考察】実験1において,3種のmiRNAはいずれも全発生ステージで発現が確認された。miR-34cおよびmiR-93については各発生ステージにおいて有意な差は認められなかった。miR-34aについては桑実期および胚盤胞期において,発現量が他の発生ステージよりも有意(P<0.01)に高い値を示した。実験2おいて,miR-34c inhibitor区およびNon-effect inhibitor区で発生率に有意な差は認められなかった。本研究の結果より,ブタ初期胚における3種のmiRNAの発現動態が明らかとなった。マウス胚においてmiR-34cは受精後の1細胞期から発現量が上昇するが,ブタ胚においては受精以前のM-Ⅱ期から発現が認められた。またmiR-34cに関しては,その機能阻害が胚発生に影響をおよぼさなかったことから,初期胚発生におけるmiR-34cの機能は動物種によって異なることが示唆された。</p>
著者
佐藤 匡 高橋 一生 市川 修治
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌
巻号頁・発行日
vol.1984, no.1, pp.119-124, 1984
被引用文献数
1

D-グルコースおよびD-ガラクトースを塩化チタン(IV)存在下メタノール中で光照射するとC5-C6位の結合が選択的に開裂し,相当するペントジアルドース誘導体を与えた。この反応は,1)フラノシド構造への異性化,2)C5,C6一位のヒドロキシル基とチタンによるキレート生成,および,3)このキレート内における電子移動,により進行すると考えられる。本反応の選択性はこの反応が第一級ヒドロキシル基を含む1,2-ジオール系でもっともよく進行するためと考えられる。
著者
櫻井 伸行 高橋 一生 江村 菜津子 皆川 修人 東間 千芽 橋爪 力 澤井 健
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
日本繁殖生物学会 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.109, pp.P-92-P-92, 2016

<p>【目的】マウス胚において,内部細胞塊から胚盤葉上層(EPI)および原始内胚葉(PrE)への分化はFGFシグナルによって制御されている。FGFシグナルのリガンドであるFgf4はEPI前駆細胞から分泌され,隣接する細胞に作用することでPrE分化を促す。そのため,<i>Fgf4</i>欠損マウス胚はPrE分化に異常をきたし,胚性致死となる。一方,ウシ胚の発生および組織分化におけるFGFシグナルの役割は明らかでない。本研究では,ウシ胚の各発生ステージにおける<i>FGF4</i> mRNAの発現動態解析およびウシ初期胚に対するFGF4発現抑制実験を行い,ウシ胚の発生および組織分化におけるFGF4の役割について検討した。【方法】食肉処理場由来のウシ卵巣から卵丘細胞–卵子複合体を吸引採取し,体外成熟培養後に媒精を行うことで体外受精胚を得た。各発生ステージにおいてサンプリングを行い,<i>FGF4</i>の遺伝子発現量解析を行った。1細胞期胚の細胞質にFGF4発現抑制用のsiRNAを注入し,胚発生への影響を検討した。実験区はFGF4発現抑制区に加え,遺伝子発現抑制効果を有しないControl siRNA注入区および注入操作を行わないUninjected区を設けた。桑実胚を対象として,EPIの分子マーカーである<i>NANOG</i>およびPrEの分子マーカーである<i>GATA6</i>について遺伝子発現量解析を行った。【結果および考察】<i>FGF4</i>発現は16細胞期までは認められず,桑実期以降でのみ認められた。培養7日目における胚盤胞期への発生率は,Uninjected区(64.6%)およびControl siRNA区(60.1%)と比較してFGF4発現抑制区(20.6%)において有意(<i>P</i> < 0.01)に低い値を示した。FGF4発現抑制区における<i>NANOG</i>発現量は,Control siRNA区と比較して有意(<i>P</i> < 0.05)に高く,また<i>GATA6</i>発現量はUninjected区と比較して有意(<i>P</i> < 0.05)に低い値を示した。本研究では,ウシ胚の初期発生においてFGF4が重要な因子であることが明らかとなり,またウシ胚においてもFGFシグナルがEPI/PrE分化を制御する可能性が示唆された。</p>
著者
高橋 一生
出版者
Otsuchi Marine Research Center, Ocean Research Institute, the University of Tokyo
雑誌
Otsuchi marine science = 東京大学海洋研究所大槌臨海研究センター研究報告 (ISSN:13448420)
巻号頁・発行日
no.27, 2002-03-29

平成12年度共同利用研究集会「北海道, 東北沿岸の海草藻場ワークショップ」(2001年3月7日~9日, 研究代表者:相澤啓子)講演要旨
著者
高橋 一生
出版者
日本共生科学会
雑誌
共生科学 (ISSN:21851638)
巻号頁・発行日
vol.10, no.10, pp.18-27, 2019

The first global civilization has been characterized by the dominance of PaxBritanica to be followed by Pax Americana for the past 200 years. Based on thephilosophical underpinning of individualism, such factors and values as marketeconomy, democracy, freedom, human rights and the rule of law in the broadframework of the nation-states system have been globalized with, however,increasing sense of uncomfortableness with this trend in various parts of theworld. With the decline of the influence of the United States and with theemergence of alternative values based on perspectives beyond individualism, anew global civilization seems to be in the offing.It should be essential for the intellectual community to come to grips withthis phenomenon up-front at this historic moment in time. The objective of thispaper is to present a rough sketch of the issues involved in analyzing thischallenge. The first set of issues are related to the problems that tend to arisein the context of civilizational change. The second set of issues are related tothe substance of the new civilization. At the end of the paper a series ofgeneral observations will be presented.
著者
山岸 未沙子 青木 宏文 田中 貴紘 高橋 一誠 米川 隆 金森 等
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第13回大会
巻号頁・発行日
pp.122, 2015 (Released:2015-10-21)

本研究は,運転支援や機能訓練に役立てる知見を得るために,高齢ドライバの人間特性を多角的に把握することを目的とした.本報告は,そのうち運転適性検査を用いて高齢ドライバの刺激-反応特性を検討した.50代15名,60代40名,70歳以上45名が参加し,全員にインフォームド・コンセントを行った後,認知機能検査や高齢者講習と同種の運転適性検査器を用いて7つの検査を実施した.7つ中4つの検査の反応時間と正答率を用いた分析から,60代以上は刺激数が増加すると反応は遅延し,足反応と刺激数増加が同時に生じる場合には年齢差が顕著になることが示唆された.また,青色に対するパフォーマンス低下が60代以上の反応時間と正答率でみられ,赤色に対しては反応が速くなるという色の効果が示された.以上の結果から,運転適性検査により高齢ドライバの刺激-反応特性が得られ,運転時のパフォーマンス低下につながる要因が示唆された.
著者
野村 直之 高橋 一裕
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第41回, no.人工知能及び認知科学, pp.75-76, 1990-09-04

言語学・工学の諸分野では慣用句および類似の術語の指し示す概念は一定していないようにみえる。市販の辞典によれば慣用句とは「二語以上が結合し、または相応じて用いられ、その全体がある固定した意味を表すもの。『油を売る』」とされ、またidiomとは、「全体の意味が各単語の意味を組み合わせて得られるのではなく、独特なもの;例"in the soup" 『困って』」とされる。これらは、いずれも計算言語学の言葉で言えば「構成性(compositionality)が成立しないこと」に注目した定義になっている。しかし、現在工学分野では明らかにこの定義とは異なる扱いもみられる。そこで、本稿では慣用性を互いに独立な3軸によって定義する枠組を提案する。慣用表現の定式化は意味解析システムの解析精度を高め、さらに解析結果の意味構造を適切に定義することに貢献する。特に、ある語彙が慣用句であるか否かの線引きを迫られるという意味で『大規模な』 自然言語処理システムの構築に対して、有益な示唆を与えるものと考えられる。この他、自然言語からの知識獲得や、外国語学習者のためのCAIシステムの効率的な設計や教材内容そのものへの応用が考えられる。
著者
片田 正人 高橋 一男 藤原 郁夫
出版者
Japan Association of Mineralogical Sciences
雑誌
岩鉱 (ISSN:09149783)
巻号頁・発行日
vol.86, no.3, pp.91-99, 1991-03-05 (Released:2008-03-18)
参考文献数
6
被引用文献数
1 1

The Himekami pluton is a complex of mafic rocks and their differentiated felsic rocks, which belong to shoshonite rock association. The pluton is devided into three bodies: South pluton, North pluton and Shiroishi pluton. The South pluton, consisting mainly of monzonite, monzogabbro, quartz monzonite and quartz monzodiorite, is classified genetically into four groups of mafic and felsic rocks. Each rock group accompanies a few amounts of xenolithic mass of cumulated, ultramafic rocks and melagabbro. The North pluton is a zoned pluton of quartz monzonite, granite and granodiorite. The Shiroishi pluton is a leucocratic tonalite-granodiorite.
著者
田中 貴紘 米川 隆 吉原 佑器 竹内 栄二郎 山岸 未沙子 高橋 一誠 青木 宏文 二宮 芳樹 金森 等
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第31回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.375-378, 2015 (Released:2016-02-26)

近年,高齢ドライバによる交通事故が増加している.加齢に伴う身体機能・認知機能の変化の影響が指摘されているが,自動車は高齢者の重要な移動手段であるため,高齢者が安心・安全に運転できるよう支援が必要である.そこで本研究では,高齢ドライバの運転支援を行うドライバエージェントを提案した.エージェントは,情報提供や注意喚起などの運転支援と,運転行動の振り返りにより改善を促すフィードバック支援を行う.本報告では,エージェントによる運転支援方法を検討するため,運転指導員による指導方法の分析を行った.その結果,指導内容の分類と被指導者が受ける印象に関する知見が得られたため,これを報告する.
著者
高橋 一重 伊藤 美和
出版者
日本イオン交換学会
雑誌
日本イオン交換学会誌 (ISSN:0915860X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.26-30, 2014
被引用文献数
1

&emsp;超純水製造で培ったイオン交換樹脂のクリーン化技術や分析技術の応用展開として,電子材料精製向けイオン交換樹脂の開発に取り組んできた。これまでに開発したイオン交換樹脂として,非水系対応品である乾燥樹脂「アンバーリスト<sup>TM</sup> DRY」シリーズ,また超低溶出品であるクリーン樹脂「オルライト<sup>TM</sup> DS」シリーズについてその特徴を紹介し,またいくつかの利用例について報告する。<br>
著者
有江 賢志朗 奈良間 千之 福井 幸太郎 飯田 肇 高橋 一徳
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2019年度日本地理学会秋季学術大会
巻号頁・発行日
pp.109, 2019 (Released:2019-09-24)

1.はじめに 福井・飯田(2012)と福井ら(2018)は,飛騨山脈の多年性雪渓において,近年の小型かつ高精度な測量機器を用いて氷厚と流速の測定を実施した.その結果,流動現象が確認された六つの多年性雪渓は氷河(小窓氷河,三ノ窓氷河,カクネ里氷河,池ノ谷氷河,御前沢氷河,内蔵助氷河)であると判明した.飛騨山脈は,氷河と多年性雪渓が存在する山域となった.しかしながら,飛騨山脈のすべての多年性雪渓で氷河調査がおこなわれたわけではなく,飛騨山脈の氷河分布の全貌は明らかでない.福井ら(2018)は,飛騨山脈の未調査の多年性雪渓のうち,氷体が塑性変形を起こすのに十分な氷厚を持ち氷河の可能性があるのは,後立山連峰の唐松沢雪渓,不帰沢雪渓,杓子沢雪渓などごくわずかであると指摘している.そこで,本研究では,唐松沢雪渓において氷厚と流動の測定をおこない,現存氷河であるかどうかを検討した.さらに,本研究の唐松沢雪渓で測定された氷厚と流動速度を,氷河の塑性変形による氷河の内部変形の一般則であるグレンの流動則で比較し,唐松沢雪渓の流動機構について考察した.2.研究手法 氷河と多年性雪渓は,氷体が顕著な流動現象を示すかどうかで区別される.本研究では,唐松沢雪渓の氷厚を測定するために,アンテナから電波を地下に照射し,その反射から地下の内部構造を調べる地中レーダー探査による氷厚測定を実施した.また,縦断測線と横断測線との交点ではクロスチェックをおこない正確な氷厚を求めた.測定日は2018年9月21日である.さらに,雪渓上に垂直に打ち込んだステークの位置情報を融雪末期に2回GNSS測量を用いて測定し,その差分から唐松沢雪渓の融雪末期の流動速度を測定した.また,雪渓末端の岩盤に不動点を設置し,2回の位置情報のずれをGNSS測量の誤差とした.2回の測定日は,2018年9月23日と10月22日である.図1に地中レーダー探査の側線とGNSS測量の測点を示した.3.結果 地中レーダー探査の結果,唐松沢雪渓は30m以上の氷厚を持ち,塑性変形するのに十分な氷厚を持つことが確認された. また,流動測定の結果,2018年融雪末期の29日間で,P1で18cm,P2で25cm,P3で19cm,P4で18cm,P5で19cm,北東方向(雪渓の最大傾斜方向)に水平移動していた.雪渓末端部の河床の岩盤の不動点(P6)での水平移動距離は2㎝であった.今回の測量誤差を2㎝とすると,雪渓上の水平移動で示された雪渓の流動は,誤差を大きく上回る有意な値であるといえる.流動測定を実施した融雪末期は,積雪荷重が1年で最も小さいため,流動速度も1年で最小の時期であると考えられている.このことから,唐松沢雪渓は一年を通して流動していることが示唆され,現存氷河であることが判明した. さらに,唐松沢雪渓で測定された表面流動速度は,グレンの流動則による塑性変形の理論値を上回っていた.このことから,唐松沢雪渓の融雪末期における底面すべりの可能性が示唆される.引用文献福井幸太郎・飯田肇(2012):飛騨山脈,立山・剱山域の3つの多年性雪渓の氷厚と流動―日本に現存する氷河の可能性について―.雪氷,74,213-222.福井幸太郎・飯田肇・小坂共栄(2018):飛騨山脈で新たに見出された現存氷河とその特性.地理学評論,91,43-61.
著者
有江 賢志朗 奈良間 千之 福井 幸太郎 飯田 肇 高橋 一徳
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2019, 2019

<p><b>1.はじめに </b></p><p> 福井・飯田(2012)と福井ら(2018)は,飛騨山脈の多年性雪渓において,近年の小型かつ高精度な測量機器を用いて氷厚と流速の測定を実施した.その結果,流動現象が確認された六つの多年性雪渓は氷河(小窓氷河,三ノ窓氷河,カクネ里氷河,池ノ谷氷河,御前沢氷河,内蔵助氷河)であると判明した.飛騨山脈は,氷河と多年性雪渓が存在する山域となった.しかしながら,飛騨山脈のすべての多年性雪渓で氷河調査がおこなわれたわけではなく,飛騨山脈の氷河分布の全貌は明らかでない.福井ら(2018)は,飛騨山脈の未調査の多年性雪渓のうち,氷体が塑性変形を起こすのに十分な氷厚を持ち氷河の可能性があるのは,後立山連峰の唐松沢雪渓,不帰沢雪渓,杓子沢雪渓などごくわずかであると指摘している.そこで,本研究では,唐松沢雪渓において氷厚と流動の測定をおこない,現存氷河であるかどうかを検討した.さらに,本研究の唐松沢雪渓で測定された氷厚と流動速度を,氷河の塑性変形による氷河の内部変形の一般則であるグレンの流動則で比較し,唐松沢雪渓の流動機構について考察した.</p><p><b>2.</b><b>研究手法</b></p><p> 氷河と多年性雪渓は,氷体が顕著な流動現象を示すかどうかで区別される.本研究では,唐松沢雪渓の氷厚を測定するために,アンテナから電波を地下に照射し,その反射から地下の内部構造を調べる地中レーダー探査による氷厚測定を実施した.また,縦断測線と横断測線との交点ではクロスチェックをおこない正確な氷厚を求めた.測定日は2018年9月21日である.さらに,雪渓上に垂直に打ち込んだステークの位置情報を融雪末期に2回GNSS測量を用いて測定し,その差分から唐松沢雪渓の融雪末期の流動速度を測定した.また,雪渓末端の岩盤に不動点を設置し,2回の位置情報のずれをGNSS測量の誤差とした.2回の測定日は,2018年9月23日と10月22日である.図1に地中レーダー探査の側線とGNSS測量の測点を示した.</p><p><b>3.結果</b></p><p> 地中レーダー探査の結果,唐松沢雪渓は30m以上の氷厚を持ち,塑性変形するのに十分な氷厚を持つことが確認された.</p><p> また,流動測定の結果,2018年融雪末期の29日間で,P1で18cm,P2で25cm,P3で19cm,P4で18cm,P5で19cm,北東方向(雪渓の最大傾斜方向)に水平移動していた.雪渓末端部の河床の岩盤の不動点(P6)での水平移動距離は2㎝であった.今回の測量誤差を2㎝とすると,雪渓上の水平移動で示された雪渓の流動は,誤差を大きく上回る有意な値であるといえる.流動測定を実施した融雪末期は,積雪荷重が1年で最も小さいため,流動速度も1年で最小の時期であると考えられている.このことから,唐松沢雪渓は一年を通して流動していることが示唆され,現存氷河であることが判明した.</p><p> さらに,唐松沢雪渓で測定された表面流動速度は,グレンの流動則による塑性変形の理論値を上回っていた.このことから,唐松沢雪渓の融雪末期における底面すべりの可能性が示唆される.</p><p><b>引用文献</b></p><p>福井幸太郎・飯田肇(2012):飛騨山脈,立山・剱山域の3つの多年性雪渓の氷厚と流動―日本に現存する氷河の可能性について―.雪氷,74,213-222.</p><p>福井幸太郎・飯田肇・小坂共栄(2018):飛騨山脈で新たに見出された現存氷河とその特性.地理学評論,91,43-61.</p>
著者
吉村 健司 高橋 一弘
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
応用数理 (ISSN:24321982)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.2-23, 1997-03-17 (Released:2017-04-08)
参考文献数
12

An electric power system is a large-scale energy system composed of a lot of equipment such as power generating units, transmission lines, voltage transformers and power demand loads. It is also a very complex system including generator's electromagnetic dynamics and many control system's characteristics to maintain a constant level of voltage and systemfrequency. Eigenvalue analysis is one of the methods to handle a power system stability problem associated with the system dynamic perfomance. This paper describes mathematical models of power system components and also explains a calculation technique of eigenvalue analysis to evaluate a large -scale power system stability. Its application for improving stability enhancement using eigenvalue sensitivity is also described in this paper.
著者
合屋 渉太 力丸 厚 高橋 一義
出版者
一般社団法人 日本写真測量学会
雑誌
写真測量とリモートセンシング (ISSN:02855844)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.217-223, 2018 (Released:2019-11-01)
参考文献数
8

Plant height, one of the fundamental crop growth parameters, is usually collected by a direct measurement. The authors have developed a method for the estimation of rice plant height by using a short-range LiDAR measurement from above a paddy rice canopy. In this method, the estimated rice plant height is calculated based on the analysis of the vertical distribution of 3D point cloud data, therefore the estimation is affected by foliage abundance and laser incident angle conditions. Plants with similar height but different foliage abundance were observed using a short-range LiDAR from above a paddy rice canopy to examine the influence of the incident angles on rice plant height estimation. The results of the examination showed that the influence of the incident angle condition was similar in different foliage abundance until the maximum tiller number stage. In addition, the estimation of rice plant height was not affected by foliage abundance in a laser incident angle less than 8 degrees which is almost a vertical incident condition.