著者
高橋 一誠
出版者
名古屋市立大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

本研究は、運転者の生体指標(心拍・呼吸)から覚醒度を推定し、覚醒度低下検出時に運転者を最適な運転水準へ誘導するシステムの基礎体系を構築することを目的としている。システムは①覚醒度推定に用いる心拍および呼吸を計測する静電容量センサ、②覚醒度推定アルゴリズム、③覚醒度維持刺激の3つの要素技術から成る。平成25年度に実施した各要素の技術開発の成果を以下に記す。①自動車運転時において心電図と呼吸を着衣状態で安定的に計測することを目的とし、本年度は静電容量型アクティブ電極を用いた心電・呼吸センサのプロトタイプを実車に搭載し、直進走行時において安定的に心電図と呼吸を計測できることを確認した。②眠気兆候を捉え易い心拍と呼吸を用い、覚醒度推定アルゴリズムの開発を行った。被験者48名の協力により実施した実験から、運転時の覚醒度低下に観察される心拍と呼吸の特徴を定量化した指標を用いたアルゴリズムにより、覚醒度推定の最も信頼性の高い眼球運動指標よりも早い段階で眠気兆候を捉えることができることを見出した。この成果はInternational Journal of ITS Researchに投稿している。③生理的に眠気を緩和させる手法の開発を目的とし、眠気時の血中酸素飽和度の低下に着目した。被験者16名の実験から、運転者の心拍と呼吸リズム間にCRPS (Cardio-Respiratory Phase Synchronization)を出現させることによって眠気時の頭部酸素量低下を抑えることができることを見出した。このCRPSは運転者の心拍リズムに同期した振動刺激をシート座面から付与することによって導出可能である。これらの成果は、IEEE Transactions on Intelligent Transportation Systemに掲載された。
著者
高橋 一夫 喜連川 優 高木 幹雄
出版者
情報処理学会
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.47, pp.119-120, 1993-09-27
被引用文献数
2

地球環境問題の重要性が広く認識されつつある背景を鑑み、ペタバイト規模の莫大な地球環境データに対する大容量アーカイバ、階層記憶管理/制御系、データ処理系の研究を現在進めている。当研究室では、1980年以来気象衛星NOAAの受信を行なっており、現在では20,000シーンに近いデータを保有するに至っており、容量にして2テラバイトにもなる。このような、大容量リモートセンシング画像のオンラインアクセスを可能とすべく現在、テープ操作ロボティクス用いた超大規模アーカイブデータベースシステムの試作を行なっている。本報告では、8mmジュークボックス、高密度テープ、ならびにRAID-3型ディスクアレイを用いた試作システムの概要とその設計指針について報告する。
著者
高橋 一広 倉智 博久 山谷 日鶴
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

閉経後の内臓脂肪で11beta-HSD1の発現が増加することが明らかになり、ヒトでもエストロゲンは11beta-HSD1の発現を抑制すると考えられた。BMIの増加に伴い脂肪組織内のaromatase発現は増加するが、生理活性の低いE1が優位になるため、局所内のグルココルチコイド活性化を抑制できない可能性が想定された。皮下脂肪では閉経前後で脂肪酸の代謝に差は認められなかったが、閉経群の内臓脂肪で、脂肪酸の代謝産物が有経群に比較して高濃度に存在することが、メタボローム解析で初めて明らかとなった。閉経後の内臓脂肪では、脂肪酸代謝に変化がおきていることが示唆された。
著者
高橋 一公 伊達 隆文 山田 和俊 飯田 弘忠
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.293-297, 1971
被引用文献数
1

A prolonged treatment of <I>p</I>-nitrotoluene and benzaldehyde with a sodium-hexamethylphosphoric triamide (HMPA) -benzene mixture was found to give 1-phenyl-2- (4-nitrophenyl) -ethan-1-ol (1) selectively. It was also found that the yield of (1) is sensitively affected by various factors, such as the temperature, the concentration of HMPA, and the reaction time. It may be concluded from the correlation of the yield of (1) and the conversion ratio of <I>p</I>-nitrotoluene that the formation of (1) results from the nucleophilic attack of the <I>p</I>-nitrobenzyl anion, derived from <I>p</I>-nitrotoluene, on the carbonyl carbon of benzaldehyde.
著者
高橋 一義
出版者
長岡技術科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

レーザ計測による広域の水稲生育モニタリングでは、栽植密度、植付け方向、レーザ走査面の傾きが取得データに及ぼす影響の検討が必要である。本研究では、検討に必要なデータを効率的に取得する小型航空レーザ計測システムを試作した。また、地上実験データから前述した要因の影響を検討した。計測システムを試作したが,取得データに機体動揺の影響が残った。一方、地上実験により、走査面を鉛直から斜めにすることで、群落上部の反射点が多くなった。植被率40%以上では、栽植密度、植付け方向によらず田面が計測されない可能性がある。高い栽植密度の場合、植付け方向の影響を考慮した推定モデルが必要であることが示唆された。
著者
高橋 一揮
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会宮城県理学療法士会
雑誌
理学療法の歩み (ISSN:09172688)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.3-10, 2011 (Released:2011-02-17)
参考文献数
38

近年の脳卒中障害の傾向として,高齢化に伴う合併症の複雑化が挙げられる。合併症の中でも誤嚥性肺炎は脳卒中患者の直接死因の第1位であるなど理学療法遂行にとっても重大な影響を及ぼす。誤嚥性肺炎には嚥下障害によるものと,嚥下障害がはっきりしない不顕性のものがあり,両者に対し予防的な介入を含め呼吸理学療法が効果的である。しかし現状の問題として,脳卒中障害後遺症患者への呼吸理学療法介入は認識が十分ではないことが挙げられる。そのためには脳卒中後遺症と呼吸理学療法を結びつけ,理学療法介入の一部であることを認識することが必要不可欠である。よって本論では,脳卒中後遺症と誤嚥性肺炎との関連性を嚥下障害の視点から整理すること,および現状における呼吸理学療法の展開について議論することとする。
著者
高橋 一郎
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. IV, 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.11-23, 2002-09

本稿では, 漫画家手塚治虫を育てた, 家庭・地域・教育について考察することを通じて, 近代日本の文化と教育の, ある一つの, 重要なルーツについて明かにしたい。漫画家手塚治虫は, 大阪北部近郊地域で生まれ, 育った。この地域は, 阪急沿線地域とも呼ばれ, わが国の戦前期において, 最も早い時期に新中間層が住んだ地域であった。この地域の特徴の多くは, 阪急電鉄の経営者, 小林一三によって産み出されたものである。手塚の家庭は, 戦前期の典型的な新中間層であった。そして, 彼の通った大阪府池田師範附属小学校は, この地域の新中間層の子弟が多く通った学校であった。後年の手塚の作品は, この地域の文化に多くの影響を受けていると考えられる。This paper tries to search for important roots of modern Japanese culture and education, taking account of the area, the home and the education by which the famous Japanese cartoonist, Osamu Tezuka was brought up. Tezuka was born and raised in the northern outskirts of Osaka. This area was called the Hankyu railway strips, where new middle classes began to inhabit earlier than any other places in the period of pre-war Japan. Most features of this living area were intentionally formed by the founder of Hankyu railway company, Ichizo Kobayashi. The Tezukas was one of the typical new middle-class families in the pre-war Japan, and he studied at the elementary school attached to Osaka prefecture normal school at Ikeda, where a lot of middle-class children from the area attended. Tezuka's later works were considered to be much influenced by the culture of this region.
著者
高橋 一郎
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 4 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.135-149, 2004-09

本論文の目的は, 「少年犯罪が凶悪化している」という通念を批判的に検討することにある。とりわけ,犯罪の「質」の問題に焦点を当てることにより, この通念に対する反論をおこなう。現在, この通念は, 社会一般に広く信じられているものである。しかし, この通念が必ずしも少年犯罪の実態を反映したものでないことは, 多くの研究者が指摘している。例えば, 犯罪統計で見る限り, わが国の少年凶悪犯罪の数は, 1950〜60年代には現在よりもずっと多かったのであり, この時期に比べれば, 現在の数値はおおむね低い水準で推移している。しかし, このような統計データに基づく議論には,一定の限界がある。「少年犯罪が凶葺化している」という主張がなされる場合, 犯罪の量的な増加だけでなく, 犯罪の質的な変化についてもしばしば言及されているからだ。すなわち, 近年の少年凶悪犯罪は, その手口や動機において, かつての少年犯罪にはなかった「凶悪な」特徴が見いだせる,というものである。この主張に対して, 統計データに依拠する従来の犯罪研究は, 十分に反論しえない, と思われる。以上のような状況をふまえ, 本論文では, 1950〜60年代のわが国における代表的な少年犯罪の事例をとりあげ, その内容について検討をおこなう。そして, その検討により, かってはなかったとされる少年犯罪の特徴の多くが, 1950〜60年代においてすでに存在していたことを明らかにする。これにより, 「少年犯罪が凶悪化している」という通念が, 質的変化の観点からも妥当ではないことを示す。
著者
高橋 一喜
巻号頁・発行日
2012

Thesis (Ph. D. in Management)--University of Tsukuba, (A), no. 6050, 2012.3.23
著者
高橋 一裕 野村 直之
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.42, pp.7-8, 1991-02-25

機能語を正しく解釈することは、日本語の解析にとって不可欠な技術である。そのため、機能語の分類や曖昧性解消の方法は、情報処理の方面からも言語学の方面からも[野村89][鈴木89][奥津86][森田88]様々な研究がなされてきた。しかし従来の研究には、「40ページまでだけからでさえも」といった長い助詞列の曖昧性解消・機能解釈に関して明確なメカニズムの提案がなかった。本稿は、機能語列の曖昧性解消という課題のなかから、形態素解析における助詞列の文法的機能の曖昧性解消について論ずる。助詞列の順序構造に注目し、構造に適合しない並びを排除することによって助詞列の局所的曖昧性解消を行う、という方法について説明する。
著者
金田 重郎 上野 康治 高橋 一夫
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.26, 2012

デジタル絵本は,複数ストーリを切り替え可能である.本稿ではメインストーリに出現したキャラがサブストーリであるドリルを仲介する「絵本ドリル」を提案する.また,Webカメラによって,子どもの視線を話者にリアルタイムにフィードバックする.社会実験の結果,キャラが子どもの興味を誘因することを確認した.一方で,「話しに入りこむ」子どもはキャラに興味は示さない.これらは絵本の読み聞かせにひとつの示唆を与える.
著者
佐藤 源之 渡邉 学 横田 裕也 ANDREY Klokov ZHAO Weijun 園田 潤 高橋 一徳 MAHFOOZ Abdel-Motaleb Hafez Salem 城戸 隆 園田 潤 ZHAO Weijun
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2006

強い不均質性媒質中の埋設物検知のためのレーダ信号処理技術について研究を行った。これを利用して人道的地雷除去を目的とした地中レーダ装置ALISを開発し、カンボジアの実地雷原での実証試験において70個以上の地雷検知に成功した。本試験は本研究終了後も継続中である。更に次世代の小型レーダ技術としてバイスタティック型レーダによる埋設物検知を行った。またレーダポーラリメトリ技術をボアホールレーダ、GB-SAR、航空機・衛星搭載SARなどのレーダに対して、特に防災・減災への発展的応用を行った。
著者
谷口 孚幸 並木 裕 高橋 一郎
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.15, pp.19-31, 1981-02-25
被引用文献数
1

本研究は,事務所建物における必要衛生器具数を使用者の"許容待ち時間"から算出する方法を提示したものであり,1)業務内容別の衛生器具使用状況アンケート調査と,2)許容待ち時間に関するアンケート調査の結果からGPSS(General Purpose Simulation System)による衛生器具使用シミュレーションモデルを作成し,男子小便器を例にとり,衛生器具使用の待ち時間を"あふれの割合"と対応させ,既往の算定値との比較・検討を行ったものである.本研究により各計画対象階の計画人員数が同じでも,業務内容が異なると衛生器具使用頻度のピーク発生時とその値は異なり,衛生器具使用時の待ち時間を一定に保つサービスを行うためには各階の必要器具数は,かなりの差を生じることが明らかになった.
著者
津田 敦 道田 豊 齊藤 宏明 高橋 一生 鈴木 光次
出版者
東京大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2006

本研究は、DMSなどの生物起源ガスを計測するグループに海域の生物学的な情報を提供し、その変動機構を推測する一助となった。また、台風通過を再現する培養実験により、台風通過時には大型植物プランクトンである珪藻が卓越し海域の炭素循環や食物網構造を変えることを明らかにした。クロロフィルセンサー付きアルゴフロートは、台風には遭遇しなかったが幾つかのアノマリーを観測している。知見の少なかった亜熱帯の動物プランクトンに関しては、極域で特徴的にみられる、季節的な鉛直移動が亜熱帯種においても多く観察され、台風など時空間的に予測できない高い生産が、亜熱帯の生物生産を支えている可能性を示唆した。
著者
佐藤 和秀 亀田 貴雄 石井 吉之 的場 澄人 高橋 一義 石坂 雅昭 竹内 由香 横山 宏太郎 小南 靖弘 川田 邦夫 渡辺 幸 飯田 俊彰 五十嵐 誠 竹内 望
出版者
長岡工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

北海道から本州の山形県,新潟県,富山県にいたる冬期の降積雪試料を採取し,主に酸性雪に関する化学特性の解析を行い,その実態の調査研究を実施した。報告例が少ない降積雪の過酸化水素濃度に関する多くの知見が得られた。より明確な因果関係の把握にはさらなる観測調査が必要であるが,大気汚染物質あるいは積雪の主要イオン濃度,過酸化水素濃度,pH,黄砂,雪氷藻類などの間にはいくつかの相関関係が見られ,融雪水のイオンの選択的溶出も観測された。
著者
高橋 一郎 宇佐美 三郎 中門 公明 宮田 寛 志田 茂
出版者
公益社団法人日本セラミックス協会
雑誌
窯業協會誌 (ISSN:18842127)
巻号頁・発行日
vol.93, no.1076, pp.186-194, 1985-04-01
被引用文献数
26 18

各種の微小欠陥を付加したSi<sub>3</sub>N<sub>4</sub>とSiCの強度試験を行うとともに, 他の実験結果も併せて整理し, 欠陥寸法, 切欠き半径と強度の関係を求めた. その結果, 実際の機械部品で対象とするような100μm程度以下の微小な欠陥では, 破壊靱性値<i>K</i><sub>IC</sub>を一定とする線形破壊力学による評価結果は非安全側を与え, この傾向は結晶粒径の大きい材料ほど大であることが明らかとなった. 表面加工傷, 空孔, 人工欠陥等の各種の欠陥についての実験結果は, その形状効果を補正した等価き裂長さを用いることによって, 欠陥寸法と強度の関係は同一に取り扱うことができた. また, 各種セラミックスについての強度試験結果を, 等価き裂長さと平均結晶粒径の比<i>a</i><sub>e</sub>/<i>d</i>と小さいき裂と大きいき裂の臨界応力拡大係数の比<i>K</i><sub>C</sub>/<i>K</i><sub>IC</sub>の関係で整理すると, 材料の種類によらずほぼ同一の関係となることが明らかになった. この関係は本報で提案した結晶破壊モデルから導かれる関係式で比較的よく説明され, 更に平滑材における結晶粒径と強度の関係及び切欠き半径と強度の関係についても, 本モデルによる関係式で実験値の傾向は良く表された.