著者
橋本 和孝 高橋 一得
出版者
関東学院大学[文学部]人文学会
雑誌
関東学院大学文学部紀要 (ISSN:02861216)
巻号頁・発行日
no.129, pp.65-79, 2013

21世紀に入って、日本は"ベトナム・ブーム"ともいうべき現象を経験してきた。大量の日本人観光客がホーチミン市に群がる構図である。一方、日本企業はベトナムへの投資を増加させ、他方、ベトナム政府は、日本のODAや民間資金に期待している。ベトナムの大都市では、日本語学校や大学における日本語学科が増加し、日本人のためのビジネスが活発化してきた。ホーチミン市には、「リトル・ジャパン」と語るに相応しい界隈も登場した。今日では、2000年代前半にはなかった日本人会も存在し、ベトナムおよびホーチミンの日本商工会の会員数は激増を見せている。論文は、"ベトナムの中の日本"が、ベトナムの経済、社会、文化にいかなる影響を及ぼすかを探究しようとしたものであり、2005年発表した Japan in Vietnam: A Case Study of Japanese Globalization について再考したものである。
著者
山本 悦子 仲俣 菜都美 間嶋 満 倉林 均 高橋 一司 荒木 信夫 山元 敏正
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.408-411, 2022 (Released:2022-11-22)
参考文献数
10

嚥下障害は進行期のParkinson病(Parkinson disease:PD)患者の生命予後に大きく関わる症状の一つであり,病気の進行に伴い緩徐に出現するが,自覚的,他覚的にも気づきにくいことが多い.本研究の目的は,嚥下障害の出現頻度が高い進行期PD患者を対象として,食事摂取の可否に関連する因子を明らかにし,PD患者の嚥下障害を簡便に評価できる方法を検討することである.対象:当院脳神経内科に入院した進行期PD患者37名,平均年齢は77.0±5.8歳(meant±SD),平均罹病年数は7.9±6.3年であった.方法:嚥下造影検査(videofluoroscopic examination of swallowing:VF)の結果から明らかな嚥下障害を認めたか否かをもとに対象例を嚥下障害なし群と嚥下障害あり群の2群に分けた.次に両群を簡便に分別するための因子を検討するために,年齢,性別,罹病期間,入院期間,入院から嚥下造影検査までの日数,Hoehn&Yahr stage,VF検査時点の血清アルブミン値,body mass index,mini mental state examination(MMSE),咽頭反射の有無,反復唾液嚥下テストの値,自己喀痰排出能力,最長発声持続時間(maximum phonation time:MPT),声量,発話明瞭度,握力,歩行能力,入院期間,入院からVF検査までの日数について比較した.結果:握力,自己喀痰排出能力,声量,MPT,咽頭反射で有意差を認めたが,他の項目では両群間に差はなかった.結論:握力,自己喀痰排出能力,声量,MPTが進行期PD患者の嚥下障害の有無を簡便に検出する指標となり得ることが明らかになった.
著者
蕨 陽子 林 健太郎 森島 亮 井上 智之 清水 俊夫 高橋 一司
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.799-802, 2022 (Released:2023-01-20)
参考文献数
8

【目的】高齢COVID–19患者の回復期の摂食機能療法の効果と社会的意義について検討する.【方法】高齢者施設を感染経路とし,急性期治療後に当院へ転入院したCOVID–19連続14例の経過を後方視的に検討した.摂食機能療法は医師と看護師,理学療法士で開始し,隔離解除後に言語聴覚士が携わった.【結果】14例は年齢86±7(mean±SD, range 72–95)歳で,8例は認知症,2例は神経変性疾患を有した.COVID–19は86%で肺炎像を呈し,64%で酸素吸入を要した.発症から18.2±5.6(11–33)日経過した当院入院時,9例(63%)が摂食不能であった.入院後,5例は体力や意欲,認知機能が回復し摂食が回復したが,神経変性疾患2例は摂食嚥下機能が回復せず,認知症1例は先行期の問題が回復せず,残る1例は死亡した.【結論】神経変性疾患以外でCOVID–19から回復した高齢者の83%は摂食嚥下機能が回復した.神経難病診療を生かした隔離下での嚥下評価と摂食機能療法が高齢COVID–19患者の摂食嚥下機能回復に寄与し,予後の改善につながった.
著者
高橋 一徳 橋詰 聖仁
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会冬季大会講演予稿集 映像情報メディア学会2016年冬季大会講演予稿集 (ISSN:13434357)
巻号頁・発行日
pp.23A-2, 2016 (Released:2020-01-23)

This paper describes development and practical use of a very small sized camera which can be attached to sports referee and capture “the referee's eye” for live broadcasting. The camera has HD-SDI(1080/59.94i) output at light weight (40g),very small size (45x26x26mm) and has been in practical use for live sports broadcast from 2015.By this development, the viewers came to be able to enjoy a reality picture of the referee's glance.
著者
高橋 一司
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.51-57, 2022 (Released:2022-06-30)
参考文献数
44

In spite of the large number of elderly patients with Parkinson disease (PD) in Japan, there have been insufficient studies to provide useful information for their clinical management. In recent years, various researches clarifying the characteristics of elderly PD patients have been gradually accumulated, but there have been very few studies on “very” old–onset PD.The term “elderly PD” includes both patients who have been on treatment for a long time and have become elderly, and those who have developed PD at old age. Characteristics of old–onset PD patients include severe motor and non–motor symptoms from the onset, rapid symptom progression and a short life expectancy, high risk of developing axial symptoms, hallucinations and dementia, while the lower risk of developing motor complications (wearing off and dyskinesia) and impulse control disorders. Neuropathological findings include a high incidence of Alzheimer's pathology as well as Lewy bodies. In terms of clinical feature, rigid–akinetic phenotype is significantly more common. In addition, pharmacokinetic changes specific to the elderly are also important.The number of elderly PD patients is expected to increase rapidly in Japan, which is facing an unprecedented super–aging society. As a frontier for elderly PD patients, it is necessary to take the lead in establishing research results and evidence that contribute to the clinical management of elderly PD patients.
著者
高橋 一司
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.20-27, 2020 (Released:2020-07-21)
参考文献数
61

Nonmotor symptoms (NMS) have increasingly been recognized as an important part of Parkinson disease (PD). Although NMS are very common across all stages of PD, NMS are frequently undeclared from the patients, often under–recognized by the clinicians and remain untreated. The burden of NMS can define a patient's health–related quality of life. The management of NMS has been recognized as an important area of unmet needs in PD. There is a broad spectrum of NMS in PD, which include neuro–psychiatric disturbance (hallucination, delirium, delusion, impulse control disorders, cognitive dysfunction, dementia), autonomic dysfunction (orthostatic hypotension, constipation, urinary dysfunction, sexual dysfunction, hyperhydrosis), sleep disturbance (insomnia, excessive daytime sleepiness, sudden onset of sleep, REM sleep behavior disorders, restless legs syndrome), mood disorders (depression, anxiety, apathy), fatigue and sensory disturbance (pain, smell loss). Although the importance of a dopaminergic contribution to NMS in PD has been highlighted, the NMS of PD include a multitude of clinical systems derived from complex multi–neurotransmitter dysfunction involving not just the dopaminergic pathways but also noradrenergic, serotonergic and cholinergic pathways in the brain. In addition to the evolution of NMS as an intrinsic part of the disease, treatment used in PD can trigger, worsen, or even be the primary cause of symptoms. The symptoms and treatments of NMS in PD are often multiple and complex. The Japanese “PD clinical guideline 2018” updates the previous PD treatment guideline 2011 and incorporates new data on efficacy, safety, and implications for clinical practice of treatments for NMS of PD. By using the current evidence in the medical literature, evidence–based medicine helps to provide the best possible care to patients. Although there has been a number of placebo–controlled randomized trials of treatments of PD–related NMS and the evidence base for treating a range of NMS in PD has grown substantially in recent years, many nonmotor areas still lack an adequate evidence base of high–quality studies.
著者
浅田 真央 高橋 一誠 鈴木 健嗣
雑誌
第79回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, no.1, pp.667-668, 2017-03-16

本研究は,プロジェクタを用いて実世界へ視覚教示を重畳する新しい教育支援システムの開発を目的とする.提案システムは,教示する内容を紙や黒板に描くように、実世界の平面や物体にリアルタイムに描画を重畳させることで、視覚情報を生徒へ提供することを可能にするシステムを目指す.本発表では,机上で使用するモバイル型と、体育館など大空間で使用する固定型の2つの手法を提案する.
著者
高橋 一浩
出版者
特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
雑誌
第53回日本小児循環器学会総会・学術集会
巻号頁・発行日
2017-04-28

背景:不全型川崎病は、川崎病の過剰診断や川崎病と同等の治療をされることが多い。不全型川崎病早期に、アスピリンと漢方である越婢加朮湯の併用療法を行うことにより、免疫グロブリン大量療法を施行せずに、川崎病の進展が予防でき、冠動脈病変を認めなかった乳児症例を経験した。症例1:10ケ月男児。発熱37.7℃、機嫌不良で発症、1両側球結膜充血、2口唇発赤を認め、翌日、3手足の硬性浮腫、指趾先端の紅斑4体幹の不定形発疹を認めた。BCG接種部位の限局性発赤を認め、CRP 0.7、D-dimer(DD)の軽度上昇を認めた。不全型川崎病の疑いで入院。冠動脈異常はなく。アスピリンと越婢加朮湯を開始。第3病日に解熱、下肢末端の発赤は軽減。CRP,DDも正常化した。好酸球は増加。症例2:1歳女児。38.5度の発熱、BCG接種部位の限局性発赤を認め2日目に紹介、1手足の硬性浮腫、指趾先端の紅斑を認めた。3日目CRP2.75、DD上昇を認めた。気道症状は認めなかったが、胸部写真上、軽度浸潤陰影を認めた。全身状態は比較的良好であったが不全型川崎病の疑いがあり入院。心エコーでは冠動脈拡大はなく。アスピリンと越婢加朮湯を開始した。翌日(第4病日)には解熱し、四肢末端の発赤は軽減。CRP,DDも正常化した。好酸球は増加していた。考察:越婢加朮湯の漢方的適応病態は、急激に発症する全身性浮腫、尿量低下で、浮腫は皮膚に光沢がある。発熱などの表証を伴うことが多い。保険適応病名としては、関節リウマチ、アトピー性皮膚炎、アレルギー性結膜炎などとされ、抗炎症作用、浮腫軽減作用を持つ。結語:不全型川崎病に対する早期の越婢加朮湯療法は、病勢を早期に抑える可能性があるかもしれない。
著者
城田 博史 高橋 一浩 寺井 正幸
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.48, pp.139-140, 1994-03-07

現在、ASICではPNのトランジスタペア列を隙間なく敷き詰めたCMOSSOG(Sea Of Gates)が主流になっている。SOGでは、予め用意されたセルを配置し、セルの端子間を配線する。SOGのセルには、マクロセルとメガセルの2種類ある。マクロセルは高さがトランジスタペアの高さと等しく、トランジスタペア列に沿って列状に配置される。メガセルはRAM等のように複数列のトランジスタペアを含む様々なサイズのセルである。以降、マクロセルのことを単にセルと呼び、マクロセルの列をセル列と呼ぶ。3層配線SOGでは、このセル列間に殆ど隙間がないチャネルレススタイルでレイアウトされるのが一般的である。これまで幾つかのSOG配置配線ツールが報告されているが、いずれのツールにおいても配線手法としてメーズルータに基づくgeneral area routerを用いている。general area routerは汎用的な配線モデルを取り扱え、チャネルレスレイアウトに適しているが、処理時間が非常に大きい。代表的な市販ツールでもgeneral area routerを用いており、例えば400K raw gate規模程度の大規模なSOGチップのレイアウトには30時間以上も要している。しかも、チップの設計過程において配置配線ツールは複数回実行される。SOGの特長は短期問でチップを開発できる点にあり、配置配線ツールの処埋時間を短縮する必要がある。本稿では、チャネルレスレイアウトにおいて初めてチャネルベース配線手法を適用した高速な新配線手法を提案する。チャネルルータ等のチャネルベース配線手法は、メーズルータに比べて高速だが、これまでチャネルレスレイアウトには適用できなかった。これは、チャネルレスレイアウトでは、(a)配線チャネルが存在せず、又、(b)端子が様々な層、位置でセル内に定義されるため、端子の層、位置を限定する従来のチャネルベース配線手法では取り扱えなかったためである。本手法では、(a)配線チャネルが無い場合でも、隙間のないセル列間に容量0の配線チャネルを仮定し、かつ、(b)スタプルータを用いて様々な層、位置に定義された端子をセル内の特定層に割り付けけることにより、2チャネルモデルに基づく独自のセル上配線アルゴリズムを適用する。以下では、本手法のレイアウトモデルとアルゴリズムの概要を説明し、チャネルレスSOGにおける有効性をSOG実品種とベンチマークを用いた実験結果により示す。
著者
土井 威志 安中 さやか 高橋 一生 渡辺 路生 東塚 知己 栗原 晴子
出版者
日本海洋学会
雑誌
海の研究 (ISSN:09168362)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.105-129, 2021
被引用文献数
2

<p>熱帯域に関する近年の研究の進展をレビューするとともに,今後10 年程度で取り組むべき海洋研究の方向性に関して,物理・化学・生物の各分野を横断して論じた。特に,エルニーニョ・南方振動(ENSO)に焦点をあてた。ENSO の予測は,近年の物理的理解の進展によりある程度可能になった。一方,ENSO が,海洋の炭素吸収能,物質循環,生物生産,生物多様性などにどのように影響するのかについては十分に理解されていない。さらに,長期的な気候の変化に伴って進行する熱帯海洋の水温上昇・酸性化・貧酸素化に,ENSO の影響が重なることで,海洋生態系がより深刻な影響をうける可能性も指摘されている。このような事態に備えるために,ENSO に伴って海洋システム全体がどのように変動するのか理解を深め,高精度で予測することが,社会要請と相まって,益々重要になるであろう。今後10 年間では特に,Biogeochemical(BGC)Argoフロートによる観測データと地球システムモデルを両輪とした海洋システム研究の展開,ならびに船舶・係留ブイ観測や現場実験・観測など現地調査に基づくプロセス研究の拡充を進め,双方の知見を互いにフィードバックする必要がある。ENSO に伴う経年的な変動予測精度が最も高い熱帯太平洋は,海洋システムの真の統合的理解と予測研究を進めるための最適な実証基盤である。</p>
著者
三木 千栄 小野部 純 鈴木 誠 武田 涼子 横塚 美恵子 小林 武 藤澤 宏幸 吉田 忠義 梁川 和也 村上 賢一 鈴木 博人 高橋 純平 西山 徹 高橋 一揮 佐藤 洋一郎
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Ed0824, 2012

【はじめに、目的】 本学理学療法学専攻の数名の理学療法士と地域包括支援センター(以下、包括センター)と協力して、包括センターの担当地域での一般高齢者への介護予防事業を2008年度から実施し、2011年度からその事業を当専攻で取り組むことした。2010年度から介護予防教室を開催後、参加した高齢者をグループ化し、自主的に活動を行えるよう支援することを始めた。この取り組みは、この地域の社会資源としての当専攻が、高齢者の介護予防にためのシステムを形成していくことであり、これを活動の目的としている。【方法】 包括センターの担当地域は、1つの中学校区で、その中に3つの小学校区がある。包括センターが予防教室を年20回の開催を予定しているため、10回を1クールとする予防教室を小学校区単位での開催を考え、2010年度には2か所、2011年度に残り1か所を予定し、残り10回を小地域単位で開催を計画した。予防教室の目的を転倒予防とし、隔週に1回(2時間)を計10回、そのうち1回目と9回目は体力測定とした。教室の内容は、ストレッチ体操、筋力トレーニング、サイドスッテプ、ラダーエクササイズである。自主活動しやすいようにストレッチ体操と筋力トレーニングのビデオテープ・DVDディスクを当専攻で作製した。グループが自主活動する場合に、ビデオテープあるいはDVDディスク、ラダーを進呈することとした。2010年度はAとBの小学校区でそれぞれ6月と10月から開催した。また、地域で自主グループの転倒予防のための活動ができるように、2011年3月に介護予防サポーター養成講座(以下、養成講座)を、1回2時間計5回の講座を大学内で開催を計画した。2011年度には、C小学校区で教室を、B小学校区で再度、隔週に1回、計4回(うち1回は体力測定)の教室を6月から開催した。当大学の学園祭時に当専攻の催しで「測るんです」という体力測定を毎年実施しており、各教室に参加した高齢者等にそれをチラシビラで周知し、高齢者等が年1回体力を測定する機会として勧めた。A小学校区内のD町内会で老人クラブ加入者のみ参加できる小地域で、体力測定と1回の運動の計2回を、また、別の小地域で3回の運動のみの教室を計画している。また養成講座を企画する予定である。【倫理的配慮、説明と同意】 予防教室と養成講座では、町内会に開催目的・対象者を記載したチラシビラを回覧し、参加者は自らの希望で申し込み、予防教室・養成講座の開催時に参加者に対して目的等を説明し、同意のうえで参加とした。【結果】 A小学校区での転倒予防教室には平均26名の参加者があり、2010年11月から自主グループとして月2回の活動を開始し、現在も継続している。B小学校区では毎回20名程度の参加者があったが、リーダーとなる人材がいなかったため自主活動はできなかった。2011年度に4回コースで再度教室を実施し、平均36名の参加者があった。教室開始前から複数名の参加者に包括センターが声掛けし、自主活動に向けてリーダーとなることを要請し承諾を得て、2011年8月から月2回の活動を始めた。A・B小学校区ともにビデオあるいはDVDを使用して、運動を実施している。C小学校区では2011年6月から教室を開始し、平均14名の参加者であった。教室の最初の3回までは約18名の参加であったが、その後7名から14名の参加で、毎回参加したのは3名だけで自主活動には至らなかった。2010年度3月に予定していた養成講座は、東日本大震災により開催できなかったが、25名の参加希望者があった。A小学校区内の小地域での1回目の予防教室の参加者は16名であった。大学の学園祭での「測るんです」の体力測定には139名の参加者があり、そのうち数名であるが教室の参加者も来場された。【考察】 事例より、予防教室後に参加者が自主活動するには、活動できる人数の参加者がいること、リーダーとなる人材がいること、自主活動の運営に大きな負担がないことなどの要因があった。自主グループの活動やそれを継続には、2011年3月の地震後、高齢者の体力維持・増進が重要という意識の高まりも影響を及ぼしている。C小学校区の事例で、自主活動できなかった要因を考えるうえで、A・B小学校区と異なる地域特性、地域診断を詳細にする必要性があると考える。リーダーを養成することでC小学校区での高齢者が自主活動できるか検討する必要もある。高齢者の身体状況に合わせて、自主活動できる場所を小学校区単位、小地域単位で検討する必要がある。【理学療法学研究としての意義】 介護予防事業を包括センター、予防事業所などだけが取り組む事業ではなく、理学療法士が地域の社会資源としてそのことに取り組み、さらに介護予防、健康増進、障害、介護に関することなどの地域社会にある課題を住民とともに解決するための地域システムを構築していくことは、現在の社会のなかでは必要であると考える。
著者
高橋 一秋
出版者
長野大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

クマ棚の分布は尾根に集中した。クマ棚形成に伴って形成された小規模林冠ギャップの面積は、尾根において年間1haあたり141.3m2にも達し、この面積は調査地区の尾根に創出した倒木ギャップ面積の約6.6倍であった。林冠層における開空率および液果植物の結実率は閉鎖林冠下より小規模林冠ギャップ下のほうが高い値を示した。センサーカメラによる観察から、鳥類および哺乳類がクマ棚を採餌、貯食、休憩、繁殖の場所として利用していることが明らかになった。
著者
高橋 一将 大鹿 居依 大鹿 聖公
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.53-63, 2010-11-05 (Released:2021-06-30)
参考文献数
43

本研究では, 協働学習をプログラムに用いているミドルスクール用理科プログラムBSCS Science & Technology (以降S&Tとする)に着目し,プログラムにおける協働学習の位置付けと構造について明らかにした。そして, この協働学習を部分的に導人した授業実践を行い.その効果を明らかにした。S&Tの教科書分析から明らかになった協働学習の特徴は以下の5点である。(1) BSCSは,学習者の理科学習への効果と社会的スキル向上への効果を期待し,協働学習をプログラムを構成する原理に明確に位置付けていた。(2) 社会的スキルの活用に重点を置いていた。(3) 協働学習を授業へ導人しやすいように教師用教材を提供していた。(4) 教科書の構造と授業の進め方が協働学習の実施を促進するよう構成されていた。(5) 生徒に学習と協働の両方に責任を持たせていた。S&Tにおける協働学習を部分的に導入した授業実践を中学校1年生を対象に,2学期から3学期にかけてすべての理科授業で実施した。授業実践の前後でアンケート調査を行い, S&Tにおける協働学習の部分的導入授業の効果に対し以下の結果を得た。(1) 生徒の役割に対する必要性が向上した。(2) 生徒の班への貢献度,参加度,発言度が向上した。これらの結果から,S&Tの協働学習の理科授業における部分的導入の有効性が示された。特に,生徒の班学習における自己の有用性への認識を向上させたことは. S&Tの協働学習を理科授業に導人することに関して,今後さらなる効果が期待できることを示唆している。
著者
高橋 一重 伊藤 美和
出版者
日本イオン交換学会
雑誌
日本イオン交換学会誌 (ISSN:0915860X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.26-30, 2014 (Released:2014-05-20)
被引用文献数
1

超純水製造で培ったイオン交換樹脂のクリーン化技術や分析技術の応用展開として,電子材料精製向けイオン交換樹脂の開発に取り組んできた。これまでに開発したイオン交換樹脂として,非水系対応品である乾燥樹脂「アンバーリストTM DRY」シリーズ,また超低溶出品であるクリーン樹脂「オルライトTM DS」シリーズについてその特徴を紹介し,またいくつかの利用例について報告する。
著者
北澤 文章 寺田 智祐 高橋 一栄 松本 繁巳 乾 賢一
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.337-342, 2009 (Released:2010-07-31)
参考文献数
19
被引用文献数
3 2

The aim of this study was to clarify the influence of renin-angiotensin (RA) system blockers on the anti-cancer effect of chemotherapy with bevacizumab and its adverse effects.Twenty-six patients treated for metastatic colorectal cancer at Kyoto University Hospital between August 2007 and July 2008 were assessed.All of the patients received bevacizumab plus mFOLFOX 6 or FOLFIRI,and were divided into a control group (23 patients) and an RA system blocker group (3 patients).Regarding background factors,which included chemotherapy doses,the only significant difference between the groups was with respect to age.However,hypertension grades in the RA system blocker group were significantly higher than those in the control group,and RA system blockers had no significant antihypertensive effect.There was no severe proteinuria in either group.As for anti-cancer effects,in the control group,6 patients exhibited a partial response and in 16 patients,the disease was stable.In only one patient was the disease progressive.On the other hand,the disease was progressive in all patients in the RA system blocker group.These findings indicate that anti-hypertensive agents which provide better hypertension control than RA system blockers may be necessary as first line medication for the management of bevacizumab-induced hypertension.Although RA system blockers are useful antihypertension agents,they might not be able to control bevacizumab-induced hypertension and proteinuria,and could reduce the anti-cancer effect of bevacizumab.