著者
高橋 英之
出版者
玉川大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009

コミュニケーションは人間の社会性の基盤となるものである.コミュニケーションは情報交換であり,一般的にはそこに曖昧さは必要が無いと考えられる.本研究では,人間のコミュニケーションに含まれる曖昧さが,特に大きな規模の社会集団では非常に重要な機能を持つという仮説を提起し,それを検討するためのシミュレーションと心理実験を行った.その結果,曖昧な顔表情を用いることで他者とのコミュニケーションが円滑になることを示すデータを得た.
著者
五十里 翔吾 高橋 英之
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2019-HCI-181, no.8, pp.1-4, 2019-01-14

習慣による考えや行動の自動化は,考えの固着や道徳規範の軽視を引き起こすことがある.このような自動化状態から脱するためには,習慣的運動を攪乱することで 「非日常感」 を創り出すことが有効であると考えた.この仮説を検証するための予備的検討として,まず日常的運動の一つの指標として歩行周期に注目し,背景での聴覚刺激の呈示により歩行周期を撹乱できるか調べた.その結果,刺激の一定周期での呈示では変化しなかった歩行周期が,被験者の歩行周期にある程度追従する相互作用的な刺激の呈示では変化する傾向がみられた.この結果は,我々の運動と相互作用する聴覚刺激の提示は日常的運動を攪乱できるという可能性を示唆する.このような日常的運動の攪乱は,より高次の思考や行動の 「非日常感」 の創発につながるのではないかと期待している.
著者
高橋 英之 速水 則行 内山 祐司 石川 悟 大森 隆司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.480, pp.177-182, 2009-03-04
被引用文献数
2

自動車運転において,人間は様々な危険を知覚しながら運転行動を行う.運転中の危険知覚は,運転場面に存在する不確実性だがありうる危険の知覚と,確実に生じる危険の知覚,という二つの脳過程が関わっていると考えられる.今回の研究ではこれらの脳過程に関わる脳部位特定の為に,自動車運転場面のシミュレータにおいて被験者が感じる衝突に対する不確実性を被験者の衝突判断から定量化し,不確実性が大きい場面における衝突判断時の脳活動と,確実に危険が生じると判断可能な場面における脳活動をそれぞれfMRIにより計測することを試みた.その結果,不確実性が大きい場面における衝突判断には前頭葉内側部が関わっていることが示唆された.また統計的には弱い結果であるが,確実に危険が生じると判断可能な場面においては島皮質に賦活傾向がみられる.この結果は,先行して行われてきた神経経済学の研究の知見と矛盾しないものであり,今後,自動車運転のような複雑な認知タスクの理解においても神経経済学的知見を応用することが可能であるという示唆を得た.
著者
高橋 英之
出版者
大阪大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究プログラムでは,ロボットなどのシステムを用いることで,子供の主体性を促進して,その創発性を引き出すことを目的とする.具体的な平成29年度の取り組みとして,子供とロボットのインタラクションにおいて,子供の主体的想像力がどのように広がるのかを調べるため,子供とロボットのリズムインタラクション課題を行った.その結果,子供とロボットの相互作用は,子供のロボットに対する主体的想像力を増進することが示唆された.また主体性を引き出すための,ロボットを用いた自問自答システムを開発,その有効性を成人被験者に加えて高校生を対象に実証実験を行った.その結果,提案システムを用いることで高校生の主体性が引き出されることを示唆する結果を得ることができた.
著者
高橋 英之
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.431-432, 2014-12-01 (Released:2015-06-09)
参考文献数
1
著者
三宅 雄大 寺田 和憲 吉川 雅博 松本 吉央 高橋 英之 伊藤 昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.283, pp.73-78, 2013-11-02

本研究では,人がアンドロイドを人のようなインタラクション対象とみなすかどうかを繰り返し非ゼロ和ゲームを用いて検証した.実験タスクには協調も搾取も可能な繰り返し非ゼロ和ゲームである1,2,5じゃんけんを用いた.対戦相手としてアンドロイド,PC,人を比較した.実験の結果,実験参加者は対人条件の場合は相手との協調を優先したが,対アンドロイドの場合には対PCと同様に自己利益を追求し搾取を行った.実験結果の解釈を定めるために,追加実験を行い,対人であっても,その人が実験者である場合には自己利益を追求することが確認された.以上の結果から,金銭に関して価値を共有しないことがアンドロイドの人らしさを減退させていると結論づけた.
著者
上出 寛子 小菅 一弘 高橋 英之 笠木 雅史 新井 健生 山邉 茂之
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

ドライビングシミュレータ環境が、実車実験とどの程度類似しているかどうかを、手動・半自動での運転モードと、マインドワンダリングの発生との関連から検討するため、実車実験と同様の被験者5名に対して、ドライビングシミュレータを用いた実験を行った。実車実験のドライブレコーダ記録から、追い越された車の種類、台数、また、道路環境(工事等による片側車線規制など)を確認し、これらの要因に関して平均的な運転状況をドライビングシミュレータ上に再現した。また、実車の際には安全性を考慮して実施できなかった、アイカメラを用いた視線測定も行った。実車の場合と同様に、ランダムなタイミングで、音声により運転に集中しているかどうかを訪ね、マインドワンダリングの発生を計測した。同じ被験者に対して、自動運転、半自動運転の両方のモードを行った。その結果、同じ被験者である一方で、シミュレータと実車では、運転モードとの関連でマインドワンダリングの発生について類似した結果は得られなかった。アイカメラの測定の結果、マインドワンダリングを行っている際には、視線が真正面に集中せず、周囲に分散することが確認された。また、全ての被験者が半自動運転の際に、マンドワンダリングしやすいという訳ではなく、運転に自信のある傾向の人は、手動運転の方が、半自動運転よりもマンドワンダリングしやすく、慎重な運転をする傾向の人は、半自動運転の方が、マインドワンダリングしやすいという結果も得られた。また、運転の楽しみについても、これまでの成果で、半自動運転の昨日のついた車のドライバーの方が、手動運転の車のドライバーよりも、運転の楽しみを高く感じていることが明らかになっている。
著者
関 みつ子 萩原 芳幸 鈴木 直人 森野 智子 大西 真 高橋 英之 大川 勝正 KILGORE Paul Evan KIM Dong Wook KIM Soon
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

新規検出法であるLoop-mediated isothermal amplification (LAMP)法を用いて呼吸器感染症菌(肺炎球菌、インフルエンザ菌および髄膜炎菌)の検出方法を開発し、過去の疫学調査から得られた臨床データおよび脳脊髄液サンプルを用いてその臨床的有用性を明らかにした。さらに、要介護高齢者のインプラントを含む口腔状況について調査を行い、口腔ケアにおける問題点を明らかにした。
著者
高橋 英之
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.42, pp.45-46, 1991-02-25

まずソフト宇宙論(これについては文献1参照)について説明し、ついでそれが非合理系から合理系への埋込みであることを論じる。最後に今後の課題として形式言語の必要なことを言う。全体を通して非ユークリッド蔑何学の考え方をアナロジーとして使う。