著者
小口 悦子 山越 美歩 香西 みどり
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.62, no.11, pp.691-700, 2011-11-15 (Released:2013-09-05)
参考文献数
15
被引用文献数
2

The relationship is clarified between the form of choux pastry when baking, and the expansion and cavity formation in choux pastry prepared at different preheating temperatures.The preheating temperature was varied from a level at which the dough did not gelatinize to a higher level. Experimental results show that the expansion and cavity formation in choux pastry depended on its form for baking despite its degree of gelatinization or viscosity. Choux pastry samples free on a baking sheet and preheated up to 98℃ could expand with a single cavity during subsequent baking at more than80℃, but could not expand when preheated up to 70℃. Although choux pastry samples placed in a baking cup and preheated up to 70℃ could expand during subsequent baking. DSC measurements showed that the dough had not sufficiently gelatinized when preheated to this temperature. Despite adequate viscosity when preheating the dough up to 98℃, expansion and cavity formation were insufficient with some sizes of baking cup. The preheating temperature was not critical for good expansion and cavity formation to be obtained with the ratio (height/diameter) of dough more than 0.14.
著者
三吉 満智子 大塚 洋子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.157-165, 1995-02-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
10

This report provides theoretically a comparative study of basic pattern of waist loose type and fit type. Following experiments on basic patterns were conducted : 1) Experiments on the theoretical derivation of basic pattern making; 2) experiments on the theoretical verification of basic pattern making; 3) experiments on the body measurement as case examples.The results are summarized as follows : 1) Under convex points of upper trunk, there were differences in the surface angles between waist loose type and fit type, accordingly the element lengths of each parts differed. Therefore the lengths of basic pattern differed.2) The difference of element lengths was larger in back pattern than in front pattern.3) It was devised to change from basic pattern of waist fit type to loose type, utilizing “the difference” of element lengths.4) Even the three-dimentional form of armhole was the same, the sole of pattern armhole differed between in the case of waist loose type and the fit type.
著者
貝沼 やす子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.57, no.12, pp.785-792, 2006

1) 凍結中の温度履歴では, -20℃より-40℃, 塊よりはシート状, 200gよりは100gの方が, 短時間で最大氷結晶生成帯を通過した. 特に, -40℃・シート状・100gが早く, -20℃・塊・200gが最も通過時間が長かった.<br>2) テクスチャー測定ではほとんどの冷凍保存粥が炊きたてと比較して, かたく, 付着性が大きくなり, 冷凍保存により粥の性状が変化することが確認できた.団塊法では, -20℃より-40℃, 塊よりはシート状, 200gよりは100gの方がやわらかく, 付着性が小さかった. 飯粒法でも同様の傾向がみられたが, シート状・100g, 塊・100gは-20℃より-40℃の方がかたく, 最大氷結晶生成帯通過時間の短い-40℃の方が粥飯粒の崩壊が少ないためと考えた.<br>3) 画像解析結果では-20℃保存の粥に面積の小さな粥飯粒が多く存在していることが示され, これらの飯粒の存在が粥飯のテクスチャーに影響を与えたものと推察された.<br>4) 官能評価では, ほとんどの冷凍保存粥は, 炊きたての粥と比較して, 粒の形が残っておらず, 粒々感, さらさら感がないと評価されたが, -40℃・100gは塊, シート状いずれも炊きたてに近い粥であると評価された. 一方, -20℃, 塊, 200gの保存条件では炊きたてより粥の性状が劣ると評価された.<br>以上, 1)~4) の結果から, 保存形態を問わずに推奨できるのは100gの粥を-40℃に保存する方法であった.

1 0 0 0 OA 食品中の水

著者
野口 駿 中沢 文子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.40, no.9, pp.755-763, 1989-09-05 (Released:2010-03-10)
参考文献数
83
著者
磯部 由香 阪 恵理子 松井 宏樹 成田 美代
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.62, no.10, pp.633-637, 2011

The chemical composition and bacterial community structure of konoshiro-narezushi were analyzed, the latter by the 16S ribosomal RNA gene clone library method. The respective moisture and the lactic acid concentrations were 62.4% and 1.8%. One hundred randomly selected clones from the clone library were sequenced and analyzed. There were six operational taxonomic units, and the Shannon-Wiener index was1.037. The sequence similarity of all the clones obtained was equal to or higher than 99.6% of the sequence of cultivated bacteria in the public database. Lactobacillus sakei constituted 61% of the clones, suggesting that this bacterium plays an important role in the fermentation of konoshiro-narezushi.
著者
大瀧 ミドリ 中塚 綾子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.509-516, 1994-06-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
5

子どもの愛着対象に関する父親と母親の認知における実態と父親と母親の認知に影響する要因を明らかにするために本研究を行った.対象は, 保育園児をもつ665組の父親と母親である.彼等を対象に14の異なる生活場面において, 子どもが誰を愛着対象としているかについて調査し, 以下の結果を得た.1) 父親も母親も, 子どもは母親を最も多く愛着対象にしていると認知している.2) 父親も母親も子どもとの情愛的関係において, パートナーが考えるよりも自分は子どもから重要な存在であると思われていると考える傾向がある.3) 父親の認知には, 子どもの性や年齢と妻の就業形態が大きな影響を与えていることが明らかになる.4) 母親の認知には, 子どもの年齢と母親の就業形態が大きな影響を与え, また, 子どもの性と母親と子どもの接触量もかなりの影響を与える原因であることが明らかになる.
著者
磯部 由香 水橋 津奈美 成田 美代
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.61-64, 2002-01-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
7
被引用文献数
4

(1) 魚肉中の細菌の生菌数は本漬け後, 1カ月で107オーダーまで大きく増加し, 乳酸菌および嫌気性細菌はその後108オーダーまで達し, 好気性細菌は104まで減少した.(2) 米飯中の乳酸菌および嫌気性細菌の生菌数は本漬け後, 108オーダーでありその後の増減の傾向は魚肉と類似していた.また, すべての期間において, 米飯中の生菌数は魚肉中の生菌数よりも1オーダー高かった.(3) 熟成期間中に観察された微生物を同定したところ, 乳酸菌はヘテロ発酵型のLactobacillus buchneriであった.
著者
井上 広子 桑野 稔子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.63, no.7, pp.421-430, 2012

日本では,やせや肥満が問題視される一方,BMI は「やせ」や「正常」と診断されるものの,体脂肪率が高い「正常体重肥満」の実態やその特性は,十分に明らかにされていない.そこで,本研究では女子大学生を対象に普通体型 (18.5 ≦BMI<25) の者を体脂肪率別に3 分類し,身体状況,血液パラメーター,体型認識,食品群および栄養素等摂取量の実態を把握し,体脂肪率との関連について検討を行った.対象者は,BMI が18.5-24.9 の範囲内に属する女子大学生57 名である.調査項目は,身体計測,血液生化学検査,ボディイメージ調査,食物摂取状況調査である.統計解析は,体脂肪率3 分位 (Body Fat Percentage: BFP<25.0, 25.0 ≦BFP<30.0, BFP ≧30.0) に分類し,体脂肪率分類別の各パラメーターにおける比較検討を行った.その結果,血清中HDL-Chol 濃度においては,BFP<25.0%group, 25.0 ≦BFP<30.0group に比較し,BFP ≧30.0group が有意に低値を示し,血清中中性脂肪濃度,レプチン濃度は有意に高値を示した.食物摂取状況調査においては,BFP 高値のほど油脂,果実類の摂取量が有意に多かった.本研究結果より,BMI が正常域であっても正常体重肥満者は血液生化学検査や食物摂取状況調査の結果より,今後適切な栄養教育の必要性が示唆された.
著者
長野 宏子 大森 正司 庄司 善哉 飯渕 貞明 荒井 基夫
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.219-226, 1994-03-15
被引用文献数
4

中国等の多くの国の小麦粉発酵食品は自然発酵によっているところが多い.タイやインドネシアの伝統的な小麦粉発酵食品に関与している微生物の検索を行い,ガス発生する微生物を分離・同定し,その性質を明らかにした.パームジュースをスターターとする蒸し菓子(khanom taan)のドウからEnterobacter cloacaeを単離した.揚げパン(paathong koo)のドウからは,Klebsiella planticolaおよびProteus mirabilisを単離した.発酵性細菌の安全性は既に確認されている.単離した細菌であるE. cloacae, K. planticolaを用いて饅頭を製造した結果,良好な膨化を示し,十分にスターターとしての働きをもつものであった.
著者
伊東 清枝 石川 由里子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.497-501, 1989-06-05 (Released:2010-03-10)
参考文献数
12

精製オボアルブミンとコンアルブミンを単独あるいは混合して用いてメレンゲおよび焼きメレンゲを調製し, 両タンパク質の調理機能特性について検討した結果, 以下のことが明らかとなった.1) メレンゲの状態では, オボアルブミンは, 卵白の場合と同様に, 空気泡の混入状態に優れたかたいメレンゲとなったが, コンアルブミンは, 柔らかなメレンゲとなった.またこれらを 焙焼した場合, オボアルブミンにはスポンジケーキの組織と同様に小気泡の分散が認められたが, コンアルブミンには中心部にシュー皮状の大きな空洞が認められた.2) 焼きメレンゲの体積を比較した結果, 製品の体積が大きい順にオボアルブミン50%とコンアルブミン50%の混合物>卵白>オボアルブミン100%>コンアルブミン100%となった.しかし, 膨化率では, コンアルブミンが高い値を示した.3) オボアルブミンは単独に用いた場合でも膨化状態のよい焼きメレンゲとなるが, コンアルブミンと混合した場合には, コンアルブミンのもつ膨化力により, 製品の膨化状態はさらに向上することが明らかとなった.
著者
冬木 春子 佐野 千夏
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.70, no.8, pp.512-521, 2019 (Released:2019-08-24)
参考文献数
25
被引用文献数
3

本研究では「多重役割仮説」を参照した仮説「母親は親役割に加えて仕事役割を担うことで時間が消耗され, 子どもに向けられるそれらが不足し, 子どもの健康な生活習慣形成に悪影響が及ぶ」を検証した. 小学校入学前の子どもをもつ269名の親を対象に質問紙を用いて, 次の主な知見が明らかにされた. 第一に, 母親が有職の場合, 子どもは就寝時間が遅く, 夜間の平均睡眠時間では10時間を満たしていなかったが, 母親が無職の場合は就寝時間が早く, 平均睡眠時間も10時間を超えていた. 第二に, 母親の午後6 時以降の帰宅時間の遅さは, 子どもの就寝時刻の遅れやの睡眠時間の短さにつながるとした仮説は支持されたが, 母親の帰宅時間の遅さは子どもの栄養あるいは献立バランス面における食習慣に影響を及ぼしておらず, 仮説は支持されなかった. 第三に, 父親の帰宅時間の遅さは子どもの睡眠習慣や栄養や献立バランス面での食習慣には影響を及ぼしていないが, 帰宅時間が早いと家族との共食が可能であった. 幼児の生活習慣が母親の就労によって規定される影響力を鑑みると, 子どもの生活習慣の形成には, 社会におけるジェンダーイクイティや雇用環境の改善, さらには親に対する教育的支援が必要である.
著者
西川 和孝 川本 実穂 田中 章江
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.65, no.7, pp.339-345, 2014 (Released:2015-01-01)
参考文献数
29

The oxalic acid content of spinach has become a major human health concern due to its toxicity. We investigated in this study the residual oxalic acid content in spinach and the free oxalic acid content in the cooking solution. The water temperature and duration of boiling were important factors for the residual oxalic acid content of spinach, while the water volume and salt concentration had no influence. However, the content of free oxalic acid in the cooking solution was influenced by the water volume, salt concentration, water temperature, and duration of boiling. In particular, the oxalic acid content in the cooking solution decreased with increasing salt concentration. Cooking spinach by boiling was demonstrated, and a follow-up questionnaire survey of junior high school students was conducted. The results of the questionnaire survey clarified that there was insufficient understanding of the preparation of vegetables by boiling as studied at the elementary school level. However, most students understood how to boil spinach after the teaching demonstration, and the results of a cluster analysis showed that the students' interest as well as knowledge about spinach had increased
著者
渡辺 澄子 川本 栄子 黒田 喜久枝 中川 早苗
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.131-139, 1993

前報において, 若い女性向けの服装雑誌より選んだ服装サンプルをもとに服装イメージを構成している因子の抽出を行った. 本報では前報で得られた主要な因子の因子得点をもとにクラスター分析を行い, イメージによる服装の類型化を行った. さらに類型化された服装タイプのデザインの特徴を把握するために, クロス集計および数量化II類による分析を行い検討した. その結果, 次のような知見を得た.<BR>1) 服装タイプは, (1) キャリアエレガンス, (2) エレガンスフェミニン, (3) ベーシックカジュアル, (4) トレンディカジュアルの四つに類型化された.<BR>2) 服装タイプとデザイン要素の関連性をクロス集計で分析した結果, 43項目中27項目において有意な関連がみられた.<BR>3) 四つの服装タイプを判別するのにより有効な意味は, エレガンスかカジュアルかの違いであり, そのデザイン要素は服種の違いによるものが大きいことが分かった.<BR>4) 服装タイプを一組ずつ対比させ, その違いをより有効に判別するデザイン要素を検討するとつぎのようになった. キャリアエレガンスとトレンディカジュアルは服種, ディティール, 色柄の順に三つのデザイン要素のみで容易に判別できる. 次いで, キャリアエレガンスとベーシックカジュアルもそれらのデザイン要素に襟・袖の形まで含めると明確に判別できる. また, キャリアエレガンスとエレガンスフェミニンのどちらもエレガンスタイプのものどうし, および, ベーシックカジュアルとトレンディカジュアルのカジュアルタイプのものどうしの判別はやや困難であるが, それらは服種やディティールよりも色柄によつてかなり判別できることが明らかになった
著者
木村 友子 菅原 龍幸 福谷 洋子 加賀谷 みえ子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.45, no.7, pp.585-593, 1994

干し椎茸の合理的な戻し方を見出す目的で, 超音波照射を取り入れた方法を用い, 椎茸の物性及び嗜好性などに及ぼす影響を検討し, 次の結果を得た.<BR>1) 水戻しに超音波処理を用いると, 超音波処理しない椎茸に比し吸水量が増加し, 戻し汁は黄味度が増し褐変が進行した.<BR>2) 蒸し調理した椎茸のテクスチャー特性では超音波照射したものの方が硬さ・ガム性の値が小さく軟化した.<BR>3) 水温5℃と25℃の水戻しの条件では超音波照射時間は20分が望ましく, 全浸漬時間は上冬薙が2時間, 上香信が1時間で最大吸水量の90%に達し, 官能評価では椎茸は柔らかく歯ざわりが適当で, 戻し汁の色の濃度が濃く感じ, 味は旨味があり良好と評価された.<BR>4) 蒸し調理した椎茸中のRNA含量や5'-GMP, 5'-AMP, 5'-UMP, 5'-CMP, 遊離アミノ酸含量に及ぼす超音波照射の影響はわずかにすぎなかった.<BR>以上の結果から, 干し椎茸の水戻しに超音波照射を取り入れることは有効であると考えられる.
著者
齊藤 多江子 増田 まゆみ
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.69, no.9, pp.657-666, 2018 (Released:2018-10-27)
参考文献数
27

The aim of this research is to study the effects of dividing a childcare room into several small spaces which provide a calm environment suitable for play, with a specific focus on how one-year old children moved in the newly-partitioned room. We examined the characteristics and background of the movement of children by paying attention to situations where childcare teachers or other children were present or not.  It became clear that the presence of childcare teachers and other children in the partitioned childcare room had an influence on the way children in the one-year old class chose to play. In addition, in order to carefully plan the provision of a calm environment suitable for play for children in small spaces, the perspectives that are considered to be important are, (1) a place where childcare teachers and children's peers are present and, (2) play contents that make use of a small space.
著者
後藤 昌弘 西村 公雄
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.46, no.12, pp.1159-1165, 1995-12-15
被引用文献数
1 1

16.6gのホワイトソース,40gの鶏もも肉,33.4gのブイヨンスープから真空調理法を用いてクリームシチューを作ったところ,クリームシチューのソース部分が分離した.この現象は,減圧処理のいかんに関わらず60分間90℃で調理することにより生じたが,鶏もも肉を材料から除いたものでは起こらなかった.タンパク質は鶏もも肉から調理時間とともに溶出し,調理終了後約300mgに達していた.鶏もも肉の代わりに200mgまたはそれ以上の牛血清アルブミンあるいは卵白アルブミンを添加すると,クリームシチューのソース部分の分離が生じた.これらのことから,真空調理中に生じるクリームシチューのソース部分の分離は減圧処理によるものではなく,調理中に肉より溶出してくる筋漿タンパク質によるものであることが判明した.
著者
古松 弥生 岡田 宣子 松山 容子 有馬 澄子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.40, no.10, pp.919-925, 1989 (Released:2010-03-10)
参考文献数
7
被引用文献数
2

成人女子の体幹の形状特性を, 年齢的変化に着目しながら類型的に把握することを目的としている。工技院の体格調査資料 (484名) を用いて主成分分析を行うことにより, 主成分を代表する計測項目を選定し, クラスター分析を行い体型の類型化を試みた.1) 得られた主成分 (Table1) は第1主成分としてはサイズファクター, 第2主成分としては体幹部の厚みに対する肩部の幅のプロポーション, 第3主成分としては体幹の丈と肩部の幅のプロポーション, 第4主成分としては肩部の傾斜度, 第5主成分としては体幹上部の丈と下部の丈とのプロポーションと解釈された.形態特徴を表すこれらの主成分は年齢が加わってもあまり変化しない.しかし, 主成分へのかかわりは年齢により相違すると考えられる.2) 計測項目・示数項目の検討から, 体幹の厚みを表す腰部や胸部の矢状径, および体幹の太さを表す胸囲・胴囲などの周径項目は, 加齢とともに増加傾向を示し, 体幹の厚み・太さが著しく増加し, 腰囲/胴囲・腹囲/胴囲などの年齢的変化 (Fig.1, Table4) から, ずん胴型へ移行していることが確認された.3) 体幹の形状の情報を表す主成分に強いかかわりをもつ項目として, 胸囲・背肩幅・背丈・B.N.P.-W.L.・W.L-座面・肩傾斜の6項目を選定し, クラスター分析により体型の類型化を行った.その結果12個のクラスターが得られ, 年齢グループ別の分析でもほぼ同様なクラスターが得られた (Fig.2, Fig.4) ことから, クラスターそれぞれは体型の個体差を表す類型であると判断される.一方, 各クラスターの身体部位の計測値 (Table5) や出現率 (Fig.3) には年齢の影響がみられた.これらは, 成人期においては体型の個体的特徴は年齢を越えて持続すること, しかし年齢の影響は同一類型でも具体的なサイズや寸法を変化させ, さらに各類型の出現頻度の変化を引き起こしていることを明示するものである.
著者
石松 成子 石橋 源次
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.45, no.8, pp.719-722, 1994-08-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
10

イシクラゲを調理の食材料として利用することを目的として, 川茸と比較しその特性を調べた.イシクラゲの特性として吸水性がよいことで, これは保存食料としての一つの特色とみることができる.また, 主成分は食物繊維であり, このほか各種ミネラル類やタンパク質の含有量も多く, このような食品は, 健康を志向する人々への新しい食品素材すなわち健康食品として, また医療用食品としての開発も可能である.一方, 食糧不足を救う新しい食糧として注目されている, 藍藻類のスピルリナについて, その食品素材として応用が試みられるなど, 藍藻類はこれから期待できる食品素材であると考えられる.