著者
法所 遼汰 岡山 裕美 大工谷 新一
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.253-256, 2016 (Released:2016-04-29)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

〔目的〕高齢者の円背姿勢を再現した胸腰部屈曲位における立ち上がり動作での下肢の筋活動と関節角度の特徴を明らかにする.〔対象〕健常成人男性10名とした.〔方法〕胸腰部屈伸中間位,胸腰部20°屈曲位および胸腰部40°屈曲位の条件下で,表面筋電計とビデオカメラを用いて立ち上がり動作を実施し,下肢筋の平均振幅の相対値と活動順序,体幹前傾角度と下腿前傾角度を算出した.〔結果〕胸腰部屈伸中間位と比較し,胸腰部40°屈曲位では前脛骨筋の平均振幅の相対値と体幹前傾角度および下腿前傾角度が有意に増加した.また胸腰部40°屈曲位では,前脛骨筋が他の筋よりも有意に早く活動を開始した.〔結語〕胸腰部屈曲角度の違いは,前脛骨筋の筋活動と下腿前傾角度に影響を与えていると考えられた.
著者
大槻 桂右
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.813-816, 2013

〔目的〕肩関節拘縮を伴う高齢患者を対象に,上腕骨解剖頸軸回旋humeral neck axis rotation; HNARを用いた関節可動域運動(range of motion exercise; ROM-ex)の有用性と適応について検討した.〔対象〕平均年齢は86.6±7.2歳の女性20名を対象とした.〔方法〕従来のROM-exとHNARを用いたROM-exを,それぞれ約20回実施し,屈曲,外転,内転,外旋(第1肢位)角度を測定した.〔結果〕従来のROM-exでは,有意な増加が認められなかったが,HNARを用いたROM-exでは,全測定可動域において,有意な増加が認められた.〔結語〕HNARを用いたROM-exは不動による可動域制限を改善するための一手段として,有用性が示唆された.<br>
著者
池田 拓郎 佐々木 聖馬 岡 真一郎 後藤 純信
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.215-219, 2013-04-20
参考文献数
21

〔目的〕本研究では,巧緻運動(DM)と粗大運動(GM)における運動イメージの脳内活動の相違を検討した.〔対象〕健常若年成人10名(平均年齢21.3±1.1歳,男性10名).〔方法〕DMとGMを運動イメージ,自己ペースと外的ペース随意運動で行わせ,課題中の脳血流変化をNIRSで計測した.〔結果〕DMイメージ時は,自己ペースおよび外的ペース随意運動時と比べ全ての関心領域で有意なoxy-Hbの変化はなく,また,GMイメージ時と比べ左運動前野領域と左一次感覚運動野領域で有意なoxy-Hbの増加があった.〔結語〕手指に関与する神経細胞は,肩の神経細胞と比べて高密度に存在していることから,DMによる運動イメージは,GMによる運動イメージよりも脳血流が増加したのではないのかと示唆された.<br>
著者
辛嶋 良介 羽田 清貴 奥村 晃司 杉木 知武 川嶌 眞人
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.335-338, 2013-06-20
参考文献数
8

〔目的〕肩腱板断裂に対する鏡視下腱板修復術後,入院期間中での夜間痛についてアンケート調査を行い,患者背景と鏡視所見を含め,術後夜間痛の推移に与える要因について検討すること.〔対象と方法〕腱板修復術を行った21名を対象に,術後1週ごとに夜間痛の程度,自覚する時間帯,自己での対処法について調査した.疼痛の推移より4群に分類,Kruskal-Wallis testを用い,統計学的処理を行った.〔結果〕4群間で2週以降での疼痛の程度に有意な差を認めたが,患者背景,手術所見に有意な差を認めなかった.就寝時苦痛を感じた際の患者自身での対処は,座位への体位変換を行っている例が多かった.〔結語〕夜間痛の推移に及ぼす要因は明らかとならなかったが,肢位調整として上体を起こすことが有用な可能性がある.<br>
著者
鈴木 哲 平田 淳也 栗木 鮎美 富山 農 稙田 一輝 小田 佳奈枝 高橋 正弘 渡邉 進
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.103-107, 2009-02-20
参考文献数
14
被引用文献数
2 4

〔目的〕本研究の目的は,片脚立位時の体幹筋活動の特徴を明らかにした上で,片脚立位時の体幹筋活動と重心動揺の関係を検討することである。〔方法〕健常者10名(25.1±4.4歳)を対象に,両脚立位,片脚立位時の体幹筋活動と重心動揺を測定した。〔結果〕片脚立位では,両脚立位と比べて,挙上側胸腰部脊柱起立と外腹斜筋活動増加率が有意に高かった。立脚側腰部多裂筋と内腹斜筋の筋活動増加率が高い傾向にあった。また挙上側体幹筋活動と重心動揺との間に有意な相関がみられた。〔結語〕片脚立位バランスには体幹筋活動が関与する可能性が示唆された。<br>
著者
岩佐 知子 菅沼 一男 知念 紗嘉 丸山 仁司
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.23-26, 2011 (Released:2011-03-31)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

〔目的〕中学生野球選手が青少年の野球障害に対する提言での上限である70球投を投げることによる投球前後の肩関節機能の変化について検討した。〔対象〕中学生野球クラブチームに所属する男性投手10名であった。〔方法〕投球前後に投球側の肩関節内旋可動域および肩関節内外旋筋力,疲労度,球速の測定を行った。投球は実践投球を意識しストレートと変化球を合わせた計70球とした。投球前後の肩関節内旋可動域および肩関節内外旋筋力,疲労度については,対応のあるt検定を用い,球速については1元配置の分散分析を用いて分析を行った。〔結果〕肩関節内旋可動域は投球後に可動域が有意に減少した。肩関節内外旋筋力は投球前後において筋力に差が認められなかった。肩関節の疲労度は,投球前後において有意に増加したが,球速については差が認められなかった。〔結語〕高校生を対象とした報告と同様に投球後は肩関節内旋可動域が低下し,肩関節内外旋筋力は差が見られなかった。したがって,投球練習後は肩関節外旋筋のストレッチを行う必要があると考えられた。
著者
南場 芳文 藤井 瞬 大谷 啓尊 井上 由里 上杉 雅之 武政 誠一 宮本 重範 弘津 貴章 田中 日出樹
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.799-803, 2014

〔目的〕上肢挙上位におけるclosed kinetic chain(以下,CKC)運動が腱板筋の筋活動に及ぼす効果を明らかにし,腱板筋の機能回復に有効な徒手抵抗による運動方法を検証することである.〔対象〕健常な男女29名(平均年齢21.5 ± 4.7歳)の右29肩に対して行った.〔方法〕肩甲骨面上での拳上150°または,120°及び,外転位,下垂位にて棘下筋,三角筋(中部線維),僧帽筋(上部線維)の徒手抵抗に対する筋活動を積分筋電法(5秒間)にて計測した.〔結果〕肩甲骨面上での挙上150°,体重比5%の徒手的な負荷を用いたCKC運動は,棘下筋の随意最大収縮の約30%の筋活動を認めた.〔結語〕肩関節挙上位でのCKC運動は棘下筋の理学療法に有効である. <br>
著者
若菜 翔哉 北村 拓也 神田 賢 佐藤 成登志
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.245-249, 2020 (Released:2020-04-20)
参考文献数
35

〔目的〕健常な若年女性と高齢者女性を対象に,超音波画像診断装置により体幹筋と大腰筋の筋厚と筋輝度を比較し,量的および質的変化を明らかにすること.〔対象と方法〕対象は若年女性20名(若年群)と高齢者女性20名(高齢群)とした.対象とした筋は外腹斜筋,内腹斜筋,腹横筋,腰部多裂筋,大腰筋とし,それぞれの筋厚と筋輝度を測定した.〔結果〕筋厚は,高齢群が外腹斜筋,内腹斜筋,大腰筋において若年群より有意に低値だったが,腹横筋と腰部多裂筋では有意差を認めなかった.筋輝度は,高齢群が外腹斜筋,内腹斜筋,腹横筋,腰部多裂筋,大腰筋で若年群より有意に高値を示した.〔結語〕高齢群の外腹斜筋,内腹斜筋,大腰筋で量的および質的低下が生じており,腹横筋,腰部多裂筋では質的低下のみ生じる可能性が示唆された.
著者
井上 純爾 澳 昂佑 森 拓也 田中 貴広 加藤 丈博 中野 英樹 松木 明好 木村 大輔 川原 勲
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.265-270, 2019 (Released:2019-04-26)
参考文献数
20

〔目的〕中殿筋の電気力学的遅延(EMD)を改善させる介入が Duchenne徴候に及ぼす効果について検証すること.〔対象〕寛骨臼回転骨切り術後9ヵ月経過した40歳代女性.本症例は患側の股関節外転筋力が徒手筋力検査にて4以上あるにもかかわらず歩行時にDuchenne徴候を呈していた.さらに患側中殿筋のEMDが健側と比較して延長していた.〔介入〕最大等尺性収縮運動を複数回実施させ,介入期間は5日間とした.〔結果〕介入後,患側中殿筋のEMD,立ち上がり速度,中間周波数が改善し,それに伴い歩行時の骨盤傾斜角および体幹傾斜角に改善を認めた.〔結語〕Duchenne徴候を呈する変形性股関節症術後患者に対して,等尺性収縮運動が中殿筋のEMDを改善させ,中殿筋のEMD改善と骨盤傾斜角の減少に関連を認めた.
著者
小栢 進也 池添 冬芽 坪山 直生 市橋 則明
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.81-85, 2009 (Released:2009-04-01)
参考文献数
20
被引用文献数
7 5

〔目的〕若年者と高齢者を対象に不安定板および安定した支持面上での立位姿勢制御能力を比較した。〔対象〕若年者14名と施設入所高齢者10名を対象とした。〔方法〕不安定板上で20秒間立位を保持させた時の前後角度変動域,総角度変動,前後変位を測定した。前後角度変動域は角度変動の大きさ,総角度変動は変動した角度の総量,前後変位は平均的な傾斜角度を表す。また重心動揺計を用いて静止立位時の重心動揺面積,総軌跡長,前後方向中心変位および前後随意重心移動距離を計測した。〔結果〕若年者は総角度変動および前後随意重心移動距離のみ高齢者よりも有意に高い値を認めた。〔結語〕高齢者は不安定板の傾斜調整や最大重心移動のような随意的な姿勢制御能力が低下することが示唆された。
著者
北地 雄 原島 宏明 宮野 佐年
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.95-99, 2013 (Released:2013-04-11)
参考文献数
15
被引用文献数
1

〔目的〕Functional Balance Scale(以下,FBS)の構成要素を明らかにすること.〔対象〕脳血管疾患後の片麻痺者59名.〔方法〕FBSの評価値に対して因子分析をおこない,分類された因子ごとにその妥当性を検討した.〔結果〕FBSは動的バランス,静的バランス,および粗大下肢筋力に分類され,これらの構成要素には身体機能や動作能力との関連性が認められた.〔結語〕FBSの従来の有用性を保ちつつ,今回の分類を用いることで,さらに詳細な評価が可能となることが示唆される.
著者
三谷 保弘
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.27, no.6, pp.665-670, 2012 (Released:2013-01-30)
参考文献数
29
被引用文献数
1

〔目的〕下肢アライメントの性差について調査し,男女における傷害発生の特徴との関連性について考察した.〔対象〕健常な男子大学生25名(50脚)と女子大学生25名(50脚)とした.〔方法〕下肢アライメントとしてQ-angle,leg heel angle,アーチ高率を測定した.また,距骨下関節の回内および回外可動域,膝関節の伸展可動域を測定した.〔結果〕Q-angle,距骨下関節の回内および回外可動域,膝関節伸展可動域は,男性に比べて女性で有意に大きかった.その他の項目には,男女に有意差は認められなかった.〔結語〕下肢アライメントおよび関節可動域の性差が男女における傷害発生の特徴に影響を及ぼしている可能性が考えられたが,これらの関係性を十分に明らかにするためにはさらなる検討が必要である.
著者
西田 宗幹 植松 光俊 金澤 寿久 宮本 千恵美
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.73-78, 1998 (Released:2007-03-29)
参考文献数
7
被引用文献数
13 5

脳卒中片麻痺患者の各基本動作間の難易度は,一般的には寝返り,起座,起立,歩行の順に難しくなると言われるが,その順位の異なる者の比率とその原因について検討するため片麻痺患者40名を対象に調査した。一般的順位と同じ「同群」は29名,異なる「異群」11名で,このうち起座が不可で起立,歩行が可の「異群(1)」は9名であった。「異群(1)」は股伸展0°以下と体幹回旋制限5°以上において「同群」と有意差があり,異群(1)のうち寝返り,起座とも不可の群では体幹屈曲5°以上制限にも有意差を認め,これらの動作困難の原因として股・体幹可動域制限の影響が示唆された。対象者が高齢で,物的介助起立・平行棒内歩行と低い能力レベルで,半側無視例が多くいたことが,このような動作難易度順位の逆転現象の誘因として考えられた。
著者
福島 浩史 高橋 精一郎 宮原 寿明
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.245-249, 2010 (Released:2010-05-27)
参考文献数
18
被引用文献数
4 1

〔目的〕人工膝関節置換術後の自動介助練習と他動練習の練習方法の違いが膝関節可動性と疼痛に及ぼす影響を評価すること。〔対象〕人工膝関節の機種,術者,術式が同一の関節リウマチ患者34名。〔方法〕被検者を無作為に自動介助群17名と他動群17名に分けて理学療法を提供した。理学療法の時間・回数・量は統一した。測定項目は他動屈曲角度,他動伸展角度,120度獲得日数,CPM日数,練習時疼痛とし,各々の群間あるいは群内比較を行った。〔結果〕群間比較は他動屈曲角度,120度獲得日数,CPM日数,練習時疼痛で有意差が認められた。群内比較は他動屈曲角度,他動伸展角度で有意差が認められた。全測定項目で自動介助群では他動群と比べて良好な改善傾向がみられた。〔結語〕自動介助練習は膝関節の可動性改善と練習時疼痛の軽減により効果的であるが,適用者には理学療法士の十分な説明と指導が必要である。可動域の改善と疼痛軽減が効果的に得られる練習方法と各々の練習方法については科学的根拠に裏づけされる必要がある。
著者
平井 茜 青木 修 伴 由衣菜 佐久間 香 向井 公一
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.155-159, 2015 (Released:2015-06-24)
参考文献数
10

〔目的〕本研究の目的は,立脚初期における裸足歩行とハイヒール歩行の膝関節屈曲角度の違いを検討し,そのメカニズムを明らかにすることとした.〔対象〕被験者は,健常若年女性15名(平均年齢:19.8±0.7歳)とした.〔方法〕光学式三次元動作解析装置,床反力計,および表面筋電図を使用し,裸足およびハイヒール着用時の歩行を比較した.〔結果〕ハイヒール歩行では裸足歩行よりも膝関節屈曲角度が有意に大きく,大腿の起き上がり角度が有意に小さかった.しかし,下腿角度には有意差はなかった.〔結語〕ハイヒール歩行の立脚初期における膝関節屈曲角度の増大は,大腿部の起き上がりの不十分さによるものと考えられた.
著者
板倉 尚子
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.363-367, 2008 (Released:2008-07-28)
参考文献数
4

スポーツを行う場面では「コンディショニング」という言葉を使うことが多いが,その定義は数多くある。慢性外傷や後遺症,疲労などにより十分に競技能力を発揮できない競技者の運動能力回復を目的に行われるコンディショニングをリコンディショニング(reconditioning)といいコンディショニングと区別することがある。リコンディショニングには医学的知識に基づいた評価と治療技術が求められ,理学療法士がスポーツ現場に関わる場合,リコンディショニングを担当する機会が多い。しかし理学療法士が常駐してスポーツ現場に関わる環境は限られており,競技者自身が自らの体調を敏感に感じ,self check,self choose,self careを実践できる能力を養うことが必要である。
著者
宮地 司 羽田 圭宏 河村 顕治
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.17-21, 2020 (Released:2020-02-28)
参考文献数
15

〔目的〕異なる関節角速度での筋力と姿勢制御の関係性を明らかにすることを目的とした.〔対象と方法〕健常成人男性70名を対象に,0,60,90,120,180,240,300 deg/secでの関節角速度における膝関節伸展筋力および筋パワーを測定し,片脚ドロップジャンプ着地時の緩衝係数や足圧中心(COP)軌跡長との関係性を検討した.〔結果〕関節角速度の増加に伴い発揮される筋力は有意に減少し,筋パワーは有意に増加した.また,90 deg/sec以上での筋力および筋パワーと緩衝係数やCOP軌跡長の間に負の相関関係を認めた.〔結語〕臨床での筋力測定は等尺性もしくは低速で行われているが,瞬時の姿勢制御には中速以上での筋力の重要性が示され,筋パワーが指標となることが解明された.
著者
中村 壮大 勝平 純司 村木 孝行 松平 浩 黒澤 和生
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.547-550, 2016 (Released:2016-08-31)
参考文献数
19
被引用文献数
1 2

〔目的〕本研究は,三次元動作分析装置を用いて,肩関節の外転運動における若年者と高齢者の肩甲上腕リズムを比較し,加齢による影響を明らかにすることである.〔対象と方法〕若年男性21名と高齢男性17名を対象とした.課題動作は,肩関節外転運動とし,三次元動作分析装置を用いて肩甲上腕リズムを分析した.〔結果〕肩関節外転運動における上腕骨と肩甲骨の関係性である肩甲上腕リズムは,若年者では3.5:1の割合となった.次に高齢者における肩甲上腕リズムは4.4:1の割合となった.〔結語〕本研究より,加齢に伴い肩甲上腕リズムが異なることが明らかとなった.本研究で得られた結果は,理学療法分野における重要な知見となる.
著者
水野 智仁 山中悠紀 佐藤 剛介 上田 絵美 松尾 真輔
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.71-75, 2013 (Released:2013-04-11)
参考文献数
13

〔目的〕先行肢をつく位置と高さの違いが側方移乗動作に与える影響を調査する.〔対象〕日常的に側方移乗を行っている脊髄損傷者3名(男性2名,女性1名)とした.〔方法〕先行肢をつく位置が着座面の側方・斜前方,高さが着座面と同じ・10 cm上・20 cm上の6課題で側方移乗動作を実施させ,デジタルビデオカメラ画像から臀床距離と移乗動作に要した時間を算出し,反復測定two-way ANOVAで先行肢の位置と高さの影響を調査した.〔結果〕先行肢をつく位置に有意な効果を認めたが,高さによる有意な効果や交互作用は認められなかった.〔結語〕先行肢をつく位置を考慮した側方移乗動作の指導が有益である可能性が示唆された.
著者
望月 久 金子 誠喜
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.205-213, 2009 (Released:2009-05-28)
参考文献数
17
被引用文献数
10 2

[目的]パフォーマンスに基づく臨床的なバランス能力評価指標開発のための実施したアンケート調査の結果を報告する。[対象]バランスに関する研究報告がある理学療法士23名より回答を得た。[方法]郵送法にてアンケート調査を実施した。質問項目はバランスの定義,バランス能力測定の枠組み,臨床的なバランス能力測定法に必要な条件,バランス能力測定の現状などとした。[結果]バランスの定義やバランス能力測定の枠組みは理学療法士間での意見の違いがあった。臨床的なバランス能力評価指標としては,測定時間の短いこと,結果の客観性,結果の臨床的意味などが重視されていた。また,現在使用されている評価指標についても,測定の簡便性や結果の臨床的な有用性など,実用性の面では種々の問題があることが確認できた。[結語]今回の結果を参考に,より実用的な臨床的バランス能力評価指標を考案したいと考えている。