著者
幸田 仁志 岡田 洋平 福本 貴彦
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.183-187, 2015-01-30 (Released:2015-03-04)
参考文献数
14
被引用文献数
1 3

本研究の目的は,車椅子のティルトおよびリクライニングの角度変化が殿部に生じる圧迫力および剪断力に与える影響を検証することとした。対象は健常成人12名とした。車椅子座面上に可搬型フォースプレートを設置し,殿部の圧迫力および剪断力を計測した。測定は6条件で行い,リクライニング0°ティルト0°(r0t0条件),リクライニング10(°r10条件),リクライニング20(°r20条件),リクライニング30(°r30条件),ティルト10(°t10条件),ティルト20(°t20条件)とした。各測定時間は5分間とした。圧迫力において,r0 t0条件に対してr10条件,r20条件,r30条件,t20条件は有意な低下,t20条件に対してr20条件,r30条件は有意な低下を認めた。剪断力において,r0t0条件に対してr10条件,r20条件,r30条件は前方剪断力の有意な増加,t10条件,t20条件は前方剪断力の有意な低下,t10条件に対してt20条件は後方剪断力の有意な増加を認めた(p<0.05)。車椅子座位において圧迫力軽減にリクライニング,剪断力軽減にティルト10°の介入の有効性が示唆された。
著者
蒲田 和芳 外間 源亮 三田 和広 生田 太 米田 佳
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.15-19, 2013 (Released:2013-09-12)
参考文献数
7
被引用文献数
2

変形性膝関節症(膝OA)では下腿が外旋位にあり,下腿内旋位でのエクササイズは即時的に膝OA における膝内反アライメント,膝関節屈曲および伸展可動域,歩行時痛を改善したと報告された。この効果発現のメカニズムの検証を進める上で,膝OA と健常膝の類似点と相違点を明らかにする必要がある。本研究では,下腿内旋位でのレッグプレス運動が,若年健常女性の歩行時足圧中心(COP)軌跡および下腿回旋可動域に及ぼす効果を解明することを目的とした。健常女性20名20膝を,無作為に下腿内旋エクササイズ群と下腿外旋エクササイズ群に割り付けた。それぞれ,下腿内旋位または外旋位でのレッグプレス運動を2週間実施した。介入前後に下腿回旋可動域,歩行時COP を測定した。下腿内旋エクササイズ群では下腿内旋可動域が拡大し,歩行立脚後期におけるCOP は内側へ偏位した。下腿内旋位でのレッグプレス運動は,若年女性の健常膝において下腿内旋可動域拡大と歩行中のCOP 内側偏位をもたらす可能性が示唆された。今後,膝OA を対象とした同様の研究を実施する。
著者
吉田 健太 小林 匠 窪田 智史 坂 雅之 蒲田 和芳
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.175-182, 2013 (Released:2013-05-24)
参考文献数
19

距腿関節は背屈位で骨性の安定性が得られるとされるが,生体にて骨性の安定性を検証した報告は存在しない。本研究では,距腿関節最大背屈位において,回旋方向の骨性の安定性が不完全な状態を『足関節背屈位動揺性(AUM)』と定義し,若年アスリートを対象とした存在率の調査を行い,足関節背屈内旋エクササイズが動揺性に及ぼす効果を検証した。他動背屈内旋テスト・荷重位内旋テストにより,足関節背屈位動揺性は高い存在率を示した。エクササイズにより足関節背屈位動揺性の軽減傾向は認められたが,パフォーマンスに有意な改善は認めなかった。若年アスリートの多くにAUM が存在し,足関節背屈内旋エクササイズが動揺性を軽減させる可能性が示唆された。
著者
岩瀬 弘明 東 智里 村上 貴士 中井 良哉 窓場 勝之 村田 伸
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.185-190, 2018-01-31 (Released:2018-02-23)
参考文献数
24

本研究は,脳血管障害患者に対する長下肢装具導入までの日数と麻痺側運動機能およびFunctional Independence Measure(FIM)変化率との関係について明らかにすることである。対象はA病院に入院治療を受けた脳血管障害患者のうち,長下肢装具を作成したものとした。調査項目は年齢と性別,疾患名,発症から長下肢装具導入までの日数,および長下肢装具完成時とリハビリテーション終了時のStroke Impairment Assessment Set(SIAS)とFIM とした。統計解析は,発症から長下肢装具導入までの日数とSIAS(麻痺側運動機能)の変化率,およびFIM 中項目の変化率との関係について偏相関分析を用いて検討した。その結果,発症から長下肢装具完成までの日数と有意な相関が認められたのは,SIAS の体幹機能とFIM の排泄コントロール,移乗・移動の4項目であり,発症から早期に長下肢装具を導入してリハビリテーションを行うことで,体幹機能および移乗,移動能力,排泄コントロールの改善に繋がる可能性が示された。
著者
大関 純平 深堀 辰彦 藤野 洋佑 倉富 慎介 杉山 進 小野 英規 中尾 一久 山田 道廣
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.27-32, 2012 (Released:2013-03-08)
参考文献数
21
被引用文献数
1

〔目的〕FineWire 電極を使用し,股関節屈曲(以下,下肢動作)を行うことで,下肢動作に伴う体幹深層筋の筋活動性を検討する。〔方法〕整形外科学的疾患を有さない健常男性一名を対象とし,FineWire 電極を右腹横筋・右内腹斜筋に刺入した。測定課題は,両股関節屈曲位の背臥位での下肢動作,端座位での下肢動作,バルーン上の端座位での下肢動作,端坐位での風船膨らましとした。下肢動作は左右行い,自動運動と抵抗運動を行った。〔結果〕下肢動作に抵抗を加えると体幹深層筋の筋活動が高値を示した。体幹深層筋の体幹安定化への貢献度は肢位や重力の影響を受ける。また,腹横筋には同側への体幹側屈作用を有している可能性を認めた。〔結論〕体幹深層筋は,下肢動作に伴う姿勢変化に活動形態を変化させ,下肢動作を行う際の土台として関与している可能性がある。しかし,体幹深層筋の体幹安定化への貢献度は肢位や重力の影響を受けることが推察された。
著者
相原 一貴 小野 武也 石倉 英樹 佐藤 勇太 松本 智博 田坂 厚志 梅井 凡子 積山 和加子 沖 貞明
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.41-44, 2016-04-30 (Released:2016-07-29)
参考文献数
16
被引用文献数
1

[目的]本研究は身体の柔軟性の評価である指床間距離(Finger-Floor Distance:以下FFD)を用いて,睡眠前後でのFFD の変化を明らかにするために行った。[対象と方法]健常大学生34名(男性14名,女性20名)を対象とした。朝と夜のFFD と睡眠時間を3日間測定した。なおFFD は,①夜の入浴前と②朝の起床後に測定した。[結果]FFD の値は朝の方が夜よりも有意に高値であった。[結語]睡眠後に身体の柔軟性が低下していることが明らかとなった。
著者
幸田 仁志 甲斐 義浩 来田 宣幸 松井 知之 東 善一 平本 真知子 瀬尾 和弥 宮崎 哲哉 木田 圭重 森原 徹
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.127-131, 2018-10-16 (Released:2018-10-19)
参考文献数
25

〔目的〕投球肩・肘障害を有する高校野球投手の特徴を,関節可動域や筋力の非投球側差より分析した。〔方法〕京都府下の野球検診に参加した高校野球投手76名を対象とした。測定項目は,投球肩・肘障害の判定,関節可動域および筋力とした。関節可動域および筋力は両側に対して実施し,投球側から非投球側の値を減算することで非投球側差を算出した。統計解析には,投球肩・肘障害ごとに,対応のないt 検定を用いて陽性群と陰性群の関節可動域および筋力の非投球側差を比較した。有意水準は5%とした。〔結果〕投球肩障害では,陽性群の肩関節内旋可動域の非投球側差は陰性群と比較して有意に低値を示した(p<0.05)。投球肘障害では,陽性群の肩関節外旋可動域の非投球側差は,陰性群と比較して有意に低値を示した(p<0.05)。〔結論〕肩関節外旋可動域や内旋可動域の非投球側差による分析は,野球選手の機能低下や障害予測を判別する一助となる可能性がある。
著者
村田 伸 中野 英樹 安彦 鉄平 岩瀬 弘明 豊西 孝嘉 松倉 祥子 児島 諒
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.109-113, 2017

<p>本研究は,開発した下肢がむくみ難いパンプス(開発パンプス)を紹介するとともに,そのむくみ抑制効果について検証した。方法は,開発パンプスと一般パンプスを交互に履くクロスオーバーデザインを採用し,かつそれぞれのパンプスが対象者に分からないようブラインド化して効果を検証した。なお,下肢のむくみは下肢容積を水置換法によって計測することで判定した。対象とした女子大学生12名両下肢24肢の登校時と下校時の下肢容積変化量を比較した結果,開発パンプス装着日は-15.4±19.5ml,一般パンプス装着日は41.7±14.0ml であり,有意差(p<0.05)が認められ,開発パンプス装着日の下肢容積の減少が確認された。このことから,開発パンプスの下肢のむくみに対する一定の抑制効果が確認された。</p>
著者
金子 秀雄 鈴木 あかり
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.117-121, 2015-09-07 (Released:2015-09-10)
参考文献数
24
被引用文献数
2

[目的]ストレッチポール上背臥位と深呼吸練習が肺機能に及ぼす効果を検証すること。[方法]若年健常者36名を対象とし,ストレッチポール上背臥位を行う群(SP 群),インセンディブスパイロメータを用いた深呼吸を行う群(DB 群),介入なし群の3群に無作為に分けた。SP 群とDB 群は2週間で合計10回の介入を行い,その前後に肺活量,努力性肺活量,一秒量,および一秒率を測定した。群および時期の2要因で分割プロットデザインによる分散分析,介入前後の比較に対応のあるt 検定,介入前後の変化量の群間比較に多重比較検定を用いた。[結果]介入後,SP 群の肺活量と努力性肺活量は有意な増大,DB 群の一秒量と一秒率は有意な低下を示した。SP 群における肺活量と努力性肺活量の変化量は介入なし群より有意に高値であり,努力性肺活量と一秒量の変化量ではDB 群より有意に高値であった。[結語]若年健常者におけるストレッチポール上背臥位は肺活量を増大させる可能性が示唆された。
著者
大場 裕之 馬場 孝祐 橋岡 恵子 伊藤 一也 森本 将司 朝日 大介 貞松 俊弘 久我 哲也 秋山 寛治 蒲田 和芳
出版者
Japan Society of Health Promotion and Physical Therapy
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.113-117, 2013

要旨:ハイヒール用インソールの使用が,ハイヒール着用時の前足部荷重圧と運動機能へ与える影響を解明することを目的とした。ハイヒールを常用しない健常女性8名を対象とし,ヒール高9㎝のハイヒールに対して,ハイヒール用インソール(リアライン<sup>Ⓡ</sup>・インソール・フェム,以下フェム)の有無で片脚立位時間,片脚連続ジャンプ回数,片脚立位時における前足部最大圧および前足部平均圧,階段昇降時間を比較した。片脚立位持前足部最大圧が統計学的有意に減少した。フェム使用による主観的な不快感を訴えたものはいなかった。フェムの使用がハイヒール着用時の前足部の疼痛減少につながる可能性を示した。
著者
岩本 航平 萩原 崇 髙川 晃敏 堀江 淳 村田 伸
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.51-56, 2023 (Released:2023-11-10)
参考文献数
34

本研究の目的は,要介護認定高齢者における6 分間歩行距離の縦断的変化と身体機能との関連について検討することとした。対象者は,通所リハビリテーションを利用する要介護認定高齢者93名(年齢:81. 8±6. 5歳,男性:33名,女性:60名)とした。6 分間歩行距離がベースラインから6 か月間で17. 8m 以上改善した者を改善群(52名),それ未満の者を非改善群(41名)とした。群(改善群と非改善群)と時期(ベースラインと6 か月後)を2 要因とした反復測定二元配置分散分析を行った。その結果,大腿四頭筋筋力,歩行速度,TUG に交互作用を認め,すべての項目で改善群のみ6 か月後に有意な改善を認めた。また,多くの項目で中程度の効果量を示した。これらの結果から,要介護認定高齢者における6 分間歩行距離の改善には,大腿四頭筋筋力や歩行速度,動的バランス能力といった複合的な身体機能の向上が関連することが示された。
著者
谷 佳成恵 津田 彰 村田 伸
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.87-94, 2023 (Released:2023-11-10)
参考文献数
32

本研究では第1 の目的として,住宅型有料老人ホームに入居する高齢者33名を対象として,下肢筋力と歩行速度との間の関連性を検討した。第2 の目的として,対象集団の下肢筋力の強度の違い(弱・平均・強)が,下肢筋力と歩行速度との間の関連性へ及ぼす影響を検討した。下肢筋力は30秒椅子立ち上がりテスト(30-sec Chair-Stand test; CS-30)によって測定した。歩行パラメータは歩行速度,歩行率,ストライド長,歩幅,歩隔,つま先角,歩行角,立脚時間,両脚支持時間,遊脚時間を測定した。3群間の比較の結果,下肢筋力,歩行速度,歩行率,ストライド長,歩幅,歩隔,歩行角,立脚時間,両脚支持時間に有意差を認めた。各群におけるSpearman の順位相関分析の結果,弱群のみ下肢筋力と歩行速度との間に有意な正の相関を認めた。下肢筋力の低下に伴い歩行速度が遅くなること,下肢筋力の強度の違いによって,下肢筋力と歩行速度との間の関連性は異なることが示唆された。
著者
岩瀬 弘明 村上 貴士 中井 良哉 東 智里 舩田 雅之 重田 裕子 日沖 義治 窓場 勝之 村田 伸
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.63-67, 2017-07-31 (Released:2017-09-13)
参考文献数
18
被引用文献数
3 1

本研究の目的は,大腿骨近位部骨折を呈した超高齢患者の在宅退院に関連する因子を明らかにすることである。研究デザインは後方視的観察研究で,2012年4月から2014年3月にA病院の回復期リハビリテーション病棟に入院していた85歳以上の大腿骨近位部骨折患者のうち,在宅あるいは施設に退院した者とした。調査項目は年齢と性別,身長,体重,術式のほか,FIM 運動項目とFIM 認知項目,MMSE,握力,同居家族の有無とした。統計解析は,退院先を目的変数としたロジスティック回帰分析を用いて検討した。解析の結果,退院先に独立して関連する因子として抽出されたのは,FIM 運動項目と同居家族の有無であった。これらのことから,大腿骨近位部骨折を呈した超高齢患者の在宅復帰を促進するためには,ADL 動作の自立度を高めるようなアプローチと住宅改修や福祉用具の導入といった環境整備が重要視されること,同居家族の有無が重要となることが示された。
著者
保坂 公大 大田尾 浩 深草 湧大 今村 純平 田中 順子 柴田 元
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.13-19, 2023-06-12 (Released:2023-06-13)
参考文献数
26

[目的]脊椎圧迫骨折患者の退院時の歩行能力に影響を及ぼす要因を検証した。[対象]入院前には歩行が自立していた75歳以上の脊椎圧迫骨折患者123名とした。[方法]評価項目は,年齢,性別,入院時HDS-R,受傷前の歩行能力,入院時骨格筋量指数(SMI),入院時活動係数(METs),入院時FIM 運動項目(入院時FIM-M),入院時握力とした。 退院時の歩行の自立に影響する因子をロジスティック回帰により分析し,ROC 曲線から歩行自立の可否を判別するカットオフ値を検討した。[結果]退院時の歩行自立の可否には入院時HDS-R と入院時FIM-M が関係することが明らかになった。歩行の自立を判別する入院時HDS-R のカットオフ値は17.5点であり,入院時FIM-M は32.5点であった。[結語]75歳以上の脊椎圧迫骨折患者は,入院時の認知機能と入院時のADL が良好であると,退院時は歩行が自立している可能性が高いことが示唆された。
著者
村田 潤 山形 茂生 古本 節子 村田 伸 大山 美智江 坂田 栄二 北谷 典丈 谷 都美子
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.59-63, 2013 (Released:2013-10-08)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

本研究は,美顔器使用による顔面の機能や形態的な変化について解明することを目 的として行った。対象は,発症後1年以上経過した慢性期脳卒中片麻痺患者6名であった。 運動機能評価として口を閉じる筋力とまばたき回数を計測し,感覚機能評価として触圧覚 閾値と二点識別覚を測定した。また,同時に顔面の形態的変化を画像解析により評価した。 美顔器を使用しない期間にみられる各測定項目の変化量をコントロールデータとし,その後の美顔器介入期間にみられる変化量と比較した。美顔器プログラムは1試行9分間,朝夕1日2回行わせた。その結果,コントロール期間の変化量と比較して,介入後の触圧覚閾値や2点識別覚の間隔距離の変化量が有意に減少した。しかし,運動機能に関しては有意な変化は認められなかった。一方で,形態的な顔面の左右差は介入期間後に減少した。 本研究結果は,美顔器の刺激が顔面の感覚機能や形態の変化に影響することを示唆した。
著者
権野 めぐみ 西尾 真樹 来田 宣幸 野村 照夫 松井 知之 東 善一 平本 真知子 橋本 留緒 幸田 仁志 渡邊 裕也 甲斐 義浩 森原 徹
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.101-106, 2023-02-28 (Released:2023-03-02)
参考文献数
34

本研究では,下腿・足部スポ-ツ障害の有無とジャンプ前後の腓腹筋筋硬度の関係を検討することを目的とした。対象はジュニアアスリート43名であった。メディカルチェックでは,下腿・足部障害の有無を評価した。筋硬度測定では,20秒間片足8の字ジャンプをおこなわせ,ジャンプ前後の腓腹筋筋硬度測定を実施した。ジャンプ前後を被験者内要因,障害の有無を被験者間要因とした2要因分散分析をおこなった結果,有意な交互作用がみられた(F=5.586, p=.023)。単純主効果については,ジャンプ前後とも陽性者の筋硬度が有意に高く,陽性者,陰性者ともにジャンプ後の筋硬度が有意に高値であった。陽性者は陰性者と比べ,ジャンプ前後の筋硬度差が有意に大きかった。下腿・足部障害と腓腹筋筋硬度との関係を示すことができ,ジャンプ動作中の身体の使い方がジャンプ直後の筋硬度の上昇量および障害の有無に関係することが示唆された。
著者
末廣 忠延 石田 弘 小原 謙一 藤田 大介 大坂 裕 渡邉 進
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.29-33, 2018-04-30 (Released:2018-08-12)
参考文献数
19

【目的】目的は健常者と慢性腰痛者における腹臥位での股関節伸展運動時の筋活動量を比較することである。【対象】対象は健常成人20名と慢性腰痛者20名とした。【方法】筋活動の測定は表面筋電計を使用し,被験筋は対側の広背筋,両側の脊柱起立筋,多裂筋,同側の大殿筋,ハムストリングスとした。被験者は腹臥位となり膝を伸展位で股関節を伸展10°に保持した際の筋活動量を測定した。群間の筋活動量の比較にはMann-Whitney のU 検定を使用した。【結果】大殿筋の活動は,健常者に比較して慢性腰痛者で有意に高値を示した。他の筋については有意差を認めなかった。【考察】慢性腰痛者は股関節伸展時に健常者よりも高い大殿筋の活動を示すことが明らかとなった。この原因としては,大殿筋の筋力低下や股関節伸展側の骨盤の水平面上での腹側への回旋が生じた状態で股関節を伸展したことが要因として考えられた。
著者
釜﨑 大志郎 大田尾 浩 八谷 瑞紀 北島 貴大 中村 正造 手塚 善貴
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.7-12, 2021-04-30 (Released:2021-05-13)
参考文献数
21

[目的]整形疾患を有する高齢者の歩行補助具の種類を分ける身体機能を検討した。[対象]対象は,整形疾患を有する女性高齢者230名[年齢83(79‐87)歳]とした。[方法]独歩群,杖群,歩行器・歩行車群の3群に分類し,各群間を分ける因子を分析した。[結果]独歩群と杖群を分ける因子は,30秒椅子立ち上がりテスト(30‐second chair stand test:CS‐30)と開眼片脚立ち時間であった。また,杖群と歩行器・歩行車群を分ける因子は,握力合計であった。[結語]杖を使用する高齢者は,独歩の高齢者よりも下肢筋力とバランス能力が低下していた。また,歩行器・歩行車を使用する高齢者は,杖を使用する高齢者よりも握力が低下していた。
著者
大田尾 浩 村田 伸 八谷 瑞紀 弓岡 光徳 小野 武也 梅井 凡子 大塚 彰 溝上 昭宏 川上 照彦
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.123-129, 2012 (Released:2013-04-02)
参考文献数
41
被引用文献数
2 2

[目的]脳卒中片麻痺患者の座位での骨盤傾斜角度と基本動作能力との関連について検討した。[対象]脳卒中片麻痺患者28名(男性17名,女性11名)とした。[方法]測定項目は,端座位での自動運動による骨盤前傾角度,骨盤後傾角度,骨盤運動可動域,基本動作能力(立ち上がり,着座,立位保持,片脚立位,歩行),Brunnstrom stage および下肢筋力とし,基本動作の可否に関連する因子を分析した。[結果]片脚立位以外の基本動作能力と骨盤前傾角度に有意な関連を認めた。一方で,各測定項目と骨盤後傾角度および骨盤運動可動域とは有意な関係は認められなかった。[結語]脳卒中片麻痺患者の自動運動による骨盤前傾能力は,基本動作能力に関連している可能性が示された。
著者
早乙女 雄紀 大沼 亮 西原 賢 星 文彦
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.63-67, 2022-10-26 (Released:2022-10-28)
参考文献数
23

目的:パーキンソン病(以下,PD)患者における,トレッドミル歩行と部分免荷トレッドミル歩行時の歩行周期と両側の股関節,膝関節及び足関節の関節角度を比較した。 方法:健常者10名,PD 患者7 名(解析対象は5名)に対し,免荷装置(SPIDER)を用いて,ポータブル3 次元動作解析装置(MYOMOTION)を使用し,免荷条件と非免荷条件の各歩行周期割合と下肢角度データを計測した。結果:健常者は条件間で有意差はなかったが,PD 患者は非免荷条件と比較して,免荷条件で立脚期の割合が減少し,遊脚期の割合が増加した(p <0. 05)。さらにPD 患者では同時支持期が減少した(p <0. 05)。結論:PD 患者に部分免荷トレッドミル歩行は同時支持期割合を減少させ,歩幅増大の一要因である可能性が示唆された。