- 著者
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江崎 和希
宮上 寛之
圓 吉夫
- 出版者
- 一般社団法人日本体力医学会
- 雑誌
- 体力科学 (ISSN:0039906X)
- 巻号頁・発行日
- vol.45, no.4, pp.429-439, 1996-08-01 (Released:2010-09-30)
- 参考文献数
- 26
- 被引用文献数
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本研究は, 初心者や一般愛好家の参加が認められているトライアスロン競技のなかの一つであるミドルディスタンスタイプを取り上げ, 被検者8名を対象とし, それが生体にどのような影響を及ぼすかということについてロングディスタンスタイプのトライアスロン競技の値との差を比較検討することを目的とした.採血は, 競技前日, 競技終了直後, 競技翌日に行った.1) RBC, Hb, 血糖値は, 競技前日, 競技終了直後, 競技翌日において有意な変動はみられなかった.2) WBCは, 競技終了直後, 有意な上昇を示し, 競技翌日には, 競技前日の値に回復した.3) 血清CPK, LDH, GOT活性値は, 競技直後, 有意な上昇を示した.さらに血清CPK活性値は, 競技翌日, 競技前日の値に比べ著しい上昇を示した.4) 腎機能を反映する血清クレアチニン値は, 競技終了直後, 有意な上昇を示したが, 翌日には競技前日の値へ回復した.また, 血清尿酸, 血清BUNは, 競技終了直後, 有意な上昇を示し翌日も同様な値を維持していた.これらの結果とロングディスタンスタイプのトライアスロン競技の先行研究の値と比較検討した結果, ミドルディスタンスタイプのトライアスロン競技は, 血清CPK活性値の上昇率が6分の1ほどであり, 血清GOT活性値や血清GPT活性値の上昇率も比較的少なかった.このことからミドルディスタンスタイプのトライアスロン競技は, 骨格筋や肝臓への影響が比較的少ないことが示唆された.しかし, すべての酵素活性とも安静時あたりより明らかに上昇しており, 生体への影響は無視できないと考えられる.また, 初心者や一般愛好家がトライアスロン競技に参加するうえで, 自分の体力レベルを十分に把握し, レベルに合わせたレースを楽しむならば, ミドルディスタンスタイプのトライアスロン競技は, ロングディスタンスタイプのトライアスロン競技に比べ生体への負担が少ないと考えられた.