- 著者
-
井田 民男
- 出版者
- 近畿大学
- 雑誌
- 奨励研究(A)
- 巻号頁・発行日
- 2001
微視的な拡散燃焼過程の理解は,流れと燃焼反応の相互作用からなる燃焼挙動の定常性を定量化する上で重要である。微視的な拡散燃焼過程を研究するには,分子レベルでの燃焼反応による挙動と分子拡散による流れの条件との相互関連を定量的に理解することが重要となる。同時に微視的な定常拡散燃焼過程を造りだすことは,それらの条件の整合性を見出せる可能性を含んでいる。本研究で開発されたシングル・マイクロフレームでは、分子拡散作用と燃焼反応現象との微視的な燃焼メカニズムに基づく性状を定量的に把握することができた。次のステップとして開発されたダブル・マイクロフレームでは、異なる燃料種における微視的な燃焼過程の変化を可視化することができた。1つの興味ある現象は、アウターバーナ(OB)によって形成された半球状の水素拡散燃焼場にインナーバーナ(IB)よりアセチレン燃料を微流量を供給することにより、輝炎発光の発生制御が可能となり、水素拡散火炎の半球状の極点からのみ輝炎発光が生じ出すことが明らかとなった。本研究では、微視的な燃焼過程を究めるために分子レベルでの拡散作用と燃焼反応が非対称かつ非定常な燃焼過程を実現できる微視的な燃焼場を造りだした。この微視的な燃焼場は、非同軸のバーナで,OBで形成された定常な拡散火炎内においてIBにより分子数千個のオーダで任意の位置から燃料が供給され形成される。結果次のような成果を得た。1)微視的な定常拡散燃焼場において、ススの生成過程である輝炎発光がマイクロフレームの半球状の極点で発生するメカニズムは、拡散燃焼場が軸対称であることが必要条件であることが示唆された。2)フレキシブル・ダブルマイクロフレームによって形成される非対称燃焼場では、輝炎発光像が不定位置でかつ非周期で発生することが定量的に明らかとなった。