著者
渡邉 裕美子
出版者
早稲田大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2011

屏風歌は平安初期の10世紀初頭から11世紀半ばまでの約150年間を最盛期として、その後衰退して使命を終えたというのが今日の和歌史の定説である。しかし、天皇の代替わりに作成された大嘗会屏風和歌は、15世紀に応仁の乱で中絶するまで作られ続け、一般の屏風歌も、衰退から約130年を経て復活し、文治6年(1190)の『女御入内屏風和歌』を皮切りに、いくつかの大規模な屏風歌・障子歌が新古今時代を中心に作られ、その後、中世の間も途切れることはない。本研究では「使命を終えた」とする定説をくつがえすべく、中世・近世期までを視野に入れて屏風歌の史的展開を追い、和歌史における位置づけを明確にすることを目指した。研究計画に3点挙げたうち、「平安初期屏風歌の衰退の原因と中世初期における復活の契機」の検討については、大規模屏風歌が権力の象徴として機能していたこと、復活の契機もまた、かつての権力の復活を願う摂関家の復古思想によることを明らかにした(『歌が権力の象徴になるとき-屏風歌・障子歌の世界-』平成23年、1月の刊行で年度としては前年度)。同時に、平安時代の屏風歌・障子歌の衰退期である院政期には、屏風のような大きな絵ではなく、小さな歌絵が盛行したことも明らかにしたが、歌絵には絵画や工芸品だけでなく装束の例もある。その一例が建春門院中納言著の『たまきはる』に見える。そこから派生した問題として、建春門院中納言の事蹟を追った論考を発表した。中世の屏風歌復活後にその社会的な意味に大きな関心を示し、大規模屏風歌・障子歌を催しているのは後鳥羽院で、そこで歌人として、また院の意を汲んで全体の調整者として活躍したのは定家であった。後鳥羽院主催の名所障子歌『最勝四天王院障子和歌』は、日本国全体の統治の象徴として編まれている。一方、定家の息為家には、ごく個人的な依頼による屏風歌が二種残されている。そのうち『祝部成茂七十賀屏風歌』は近江国のみの名所屏風歌で、『最勝四天王院障子和歌』と対照して考えると、名所の選択・詠歌方法などに私的性格が明確に現れている。この屏風歌の問題については、近時、発表予定である。また、中世に入ると、歌人をめぐる歌壇状況や詠歌機会などに変化が見られ、そのことが天皇周辺での屏風歌制作にも影響を及ぼしていると考えられる。後鳥羽院時代に見られたような精鋭歌人による競作後、厳しい撰歌が行われるような例は見られなくなり、屏風歌の制作により協調と融和が強調される。こうした様相は、中世に盛んになった歌会様式である続歌と共通する。続歌の成立や特質についてはまだ不明な点が多いため、屏風歌との関係を論じる前に続歌の成立についての論考を発表した。
著者
佐藤 潤
出版者
福島工業高等専門学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2016

・研究目的および手法アルギン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液が混合されて、多価イオン架橋が起こり、アルギン酸カルシウムゲルが形成する、いわゆる"人工イクラ"といわれる実験は広く行われている。この実験では、多くの場合球状のゲルが形成するが、反応が瞬時に起こるため、ゲルの形成過程の解析が容易ではない。そこで、本研究では、アルギン酸ゲルの形成過程の観察およびゲル化時間の推定を試みた。・研究手法二液が接触し、アルギン酸ゲルが形成するまでの過程をハイスピードカメラによる動画撮影により観察を行い、得られた結果よりゲル化時間の推定を行った。・研究成果これまでの実験結果より、アルギン酸ナトリウム水溶液を塩化カルシウム水溶液に上部から滴下した場合、滴下時の液滴の形状を保持したままゲルが形成するのではなく、接触による衝突によって一度変形した後に、ゲルの形成過程において改めて球状になることが明らかとなり、10ミリ秒程度でゲル化が完了すると推定した。しかし、ゲルがどの時点で形成するかが不明瞭であったため、ほかの手法について検討を行ったところ、塩化カルシウム水溶液中にアルギン酸ナトリウム水溶液をシリンジにて側面から吐出する方法を用いたところ、吐出直後は, 直線的な挙動を見せるが, ある点を過ぎると流れが乱れ, 非直線的な挙動となる. この流れの挙動が変わる点で, アルギン酸ゲルが形成されると考えられ、この結果より、ゲル化時間を推定したところ、4ミリ秒程度でゲルが形成するという結果が得られた。なお、流れの挙動の変化とゲルの形成との関係性について、検討が必要な部分が残っており、今後の課題である。
著者
田中 大介
出版者
秋田県立金足農業高等学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2010

ニホンヤマビル(Haemadipsa zelanica japonica)は,山林に生息する体長約2~8cmの吸血性環形動物である.秋田県は,全国的に有名なヤマビル大繁殖地域(北限)であり,世界遺産に指定されている白神山地にヤマビルが侵入すれば駆除する手立ては無い.そこで,ヤマビル汚染から白神山地を保護するためにヤマビルの生態に関する研究をおこなった.ヤマビル消化管内に残る血液のDNA分析の開発・調査をおこなった.その結果,秋田県の主な宿主はカモシカであることを特定した.また、センサーカメラを用いた野生動物生息状況の調査から,ツキノワグマ,アナグマ,タヌキ,ホンドテン等がヒル蔓延に関与することが示唆された.ヤマビル生息域は,まだ白神山地まで達していなかったが,年ごとに確実に北上していることが明らかになった.神奈川・千葉県の放牧地に生息するヒルは,ウシを吸血していることが明らかとなったことから,ヤマビルが家畜を襲い大増殖することが懸念される。隣県の岩手県は牧場周辺までヒル生息域が広がっていることが調査から判明した.また,温暖化の影響で宿主となるニホンジカ生息域が北上化していた。それに伴い、ヤマビル生息北限(宮城県北部)も岩手県北部まで北上していた。ヤマビル忌避効果の高い薬剤を明らかにし,安全かつ薬剤効果の高いヤマビル忌避剤を探索した.スクリーニングした結果,サリチル酸2-ヒドロキシエチル,サリチル酸メチル,サリチル酸,アセチルサリチル酸,L-メントールおよびバニリンは,ヤマビルに対する忌避効果を有することが明らかとなった.ヤマビル忌避剤として使用することで,吸血被害を無くし白神山の環境保全と里山復興事業に貢献するものと考えられる.
著者
樋口 由美子
出版者
信州大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2010

[目的]樹状細胞療法をうける患者にG-CSFを投与することにより、樹状細胞ワクチンの作製量を増やすことができるかということを、単球表面の接着分子及び細胞外マトリックスの発現に着目し解明する。[方法]1.対象樹状細胞療法を行う患者7名を対象とし、G-CSF投与前と投与24時間経過した後の末梢血を用いた。2.末梢血からの単球分離末梢血より比重遠心分離法を用いて単核球を分離した後、CD14Micro Bead (Miltenyi Biotec)と反応させ、磁気分離装置(Auto MACS)を用いてCD14陽性細胞を分離した。3.PCRアレイ分離したCD14陽性細胞よりtotal RNAを抽出し、RT反応によりcDNAを作製した後、RT^2 SYBER Green/Rox qPCR Master Mix (Quiagen)を用いてPCR反応液を作製し、RT^2 Progiler PCR Array (Quiagen)を用いて定量PCRを行った。装置はABI7900 (Applied Biosystems)を使用した。[結果]末梢血より分離したCD14陽性細胞のうち、単球は97.86±2.62%であった。PCRアレイを用いて84種類の接着分子及び細胞外マトリクスの発現解析をした結果、G-CSF投与前に比較して投与後ではMMP9のmRNA発現量が7.62倍に増加していた(最大値29.61倍・最小値1.91倍)。MMP9はヒト末梢血単球においても少量分泌されており、in vitroの実験においては単球を培養する際にPMAまたはM-CSFを添加することによりMMP9の分泌量が増加し、単球の接着性、伸展性が促進されることが報告されている(mRNA量はそれぞれ7倍、5倍)。今回の結果は、その報告を強く支持するものであり、G-CSF投与により単球のシャーレへの接着が増強され、結果的に樹状細胞ワクチンの作製量が増加すると考えられた。
著者
石場 厚
出版者
愛知県警察本部刑事部科学捜査研究所
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

近年、脱法ハーブと呼ばれる薬物の乱用が大きな社会問題となっている。脱法ハーブとは、合成カンナビノイドと呼ばれる大麻と作用が類似した成分を添加した植物片のことで、これをタバコ状にして喫煙、もしくはお香のように焚き、気化した成分を吸引摂取する。したがって体内には合成カンナビノイドの他に、その燃焼生成物も同時に摂取しているものと考えられる。合成カンナビノイドの薬理作用や毒性または代謝を明らかにするうえでも、実際には何を吸引しているのかを明らかにする必要があるため、今回、いくつかの合成カンナビノイドの燃焼生成物の成分を明らかにすることとした。はじめに、実際の脱法ハーブ吸引を想定するべく、合成カンナビノイドを市販の紙巻きタバコに添加した模擬試料を作製し、燃焼実験を行った。実験に用いた合成カンナビノイドは10種類で、発生した煙をジクロロメタンで回収し、ガスクロマトグラフ質量分析装置で煙の成分をそれぞれ詳細に検討した。つぎに、合成カンナビノイドを、高周波熱分解装置(キューリーポイントパイロライザー)を用いて熱分解した。熱分解に用いるパイロホイルの種類については、タバコの燃焼付近の500℃から900℃の範囲のものを検討し、燃焼実験の結果と比較したところ、汎用的に用いられる590℃のパイロホイルを用いて熱分解すれば、実際の燃焼を再現できる可能性を示した。今回の研究により、多くの合成カンナビノイドは熱に対して比較的安定であったものの、ある種の骨格をもつ合成カンナビノイドについては熱に対して不安定なことがわかった。これらの合成カンナビノイドについては、薬理作用や毒性または代謝の研究の際、その燃焼生成物についても合わせて検討する必要があると考えられる。
著者
斎藤 多佳子
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2015

中高生の理系科目への興味喚起や理科志向の動機付けを実験・体験を通じて行う際に主題の理解を深める為、五感を介して認識するようなモデル実験系の構築を目指し本研究を遂行した。日本人にとって最も身近な樹木のひとつであるサクラの葉を材料として、サクラ葉成分のクマリン酸配糖体が糖分解酵素β-グルコシダーゼにより分解される過程で生じる香気成分(クマリン)の分析や、酵素反応での分子構造変換による分子構造と物性の変化を、クロマトグラフィーでの検出に加えて、蛍光性、匂いの変化として感知する系を検討する。1 構内のサクラ葉を6月、10月の2回採集し、水洗浄後-30℃で保存しサンプルとした。2 標品(クマリン酸配糖体(メリロトシド)、β-グルコシダーゼ、クマリン)を用いて、蛍光スペクトル、薄層クロマトグラフィー(TLC)を測定手段として酵素反応の経時変化、物性、等を検討し、反応条件を決定、生成物を同定した。結果、(1)クマリンの蛍光は325nm励起で、395-420nmの範囲に濃度、溶媒条件による蛍光極大を示す。β-グルコシダーゼによる糖分解反応は、37℃、0.1M酢酸ナトリウムー酢酸、pH5.6(pH3.2-11.0の緩衝液で検討)が至適条件である。(2)クマリン酸配糖体の酵素分解ではまずクマリニック酸が生成し、その後徐々に閉環してクマリンとなる。クマリニック酸は500nmに強い蛍光を示し、反応開始30秒で検出され、クマリンは、60分以降で検出されてくる。(3)TLC分画 : シリカゲルを担体として2種類の溶媒系(酢酸エチル/ヘキサン)、(エタノール/アンモニア/水)で展開すると、メリロトシドと、中間生成物、クマリンの分離同定ができる。(4)上記反応進行により、クマリン芳香を感知できる。本研究により、モデル実験系を構築する基礎条件が得られた。
著者
牛山 美奈
出版者
鹿児島大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2011

「痛み」は、実質的または潜在的な組織損傷に結びつく、あるいはこのような損傷を表わす言葉を使って述べられる不快な感覚・情動体験であると定義されており(世界疼痛会議)、この定義に基づき、ぶつけたり、転んだり、つねった痛さを「感覚としての痛み」、痛みに伴うさまざまな感情、感情に伴って起きた痛みは「感情としての痛み」として分類される。「感覚としての痛み」は、損傷した組織から放出されたカリウムイオンやブラジキニンなどの化学物質が痛覚神経の末端にある痛覚受容器を刺激して引き起こされ、鎮痛には非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs:non-steroidal anti-inflammatory drugs)が用いられる。アセトアミノフェンは、中枢性(脳および脊髄内)のCOXを阻害し、疼痛閾値を上昇させることにより鎮痛効果を発揮する薬剤であり、末梢性のCOXの阻害作用を示さないことから消化器障害や腎障害、血圧低下、喘息発作の誘発等の副作用を生じないなどの利点を有するが、鎮痛作用を示すアセトアミノフェンの用量は個人により異なり、その用量は1日あたり2,400-4,000mgと幅があるため、いわゆる'医師のさじ加減'によって決定されているのが現状である。これらのことから本申請研究では、確実な鎮痛効果が得られ、かつ安全なアセトアミノフェンの投与量について解析し、アセトアミノフェンによる確実で安全な鎮痛を得るための科学的根拠を得ることを目的として研究を行った。当院入院中の患者で鎮痛剤としてアセトアミノフェンを1日あたり1500mg以上使用している患者を対象とし、アセトアミノフェン服用前とアセトアミノフェン服用1時間後にアセトアミノフェン血中濃度を測定した。文献やアセトアミノフェンのインタビューフォームを参考にその有効血中濃度を5-20ng/mLとした。アセトアミノフェンを1日あたり3000mgまたは2400mgを朝・昼・夕食後の3回に分けて服用している患者において、朝の服用前の血中濃度は2ng/mL以下であり、服用後は7-16ng/mLであった。一方、1日あたり3600mgを朝・昼・夕食後の3回に分けて服用している患者の昼の服用前の血中濃度は7.2mg/mLであり、これは夜の服用時間から翌朝の服用時間までの間隔が朝の服用時間から昼の服用時間までの間隔に比較して長いことが原因と考えられた。これらのことから、安定した血中濃度を維持し、鎮痛効果を持続するためには、投与量だけでなく投与間隔にも注意が必要であることが明らかとなった。
著者
三羽 邦久
出版者
ミワ内科クリニック
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2016

慢性疲労症候群の原因として筋痛性脳脊髄炎に伴う中枢神経系の機能調節障害が2011年に国際委員会より提唱された。診断基準には、心血管系症状として起立不耐症が含まれた。患者の大半は低血圧でSmall heart例が多い。心胸郭比は小さく、心エコー検査でも、左室拡張末期径が小さく、1回拍出量、心拍出量は低値である。左室収縮性の指標の低下はない。低心拍出量症候群として多くの病態が理解できる。強度の疲労、めまい、ふらつき、動悸、悪心などの症状により立位維持困難を訴える起立不耐症は、本症患者の生活機能障害を規定する最重要因子となっている。起立不耐症の病態生理は、立位時の脳血流不足であり、交感神経系の高度緊張も関わる。体位性起立頻拍、起立性低血圧や神経調節性低血圧をしばしば認める。前負荷の低下による低心拍出量状態にも拘らず、血漿renin活性の上昇はなく、血漿aldosteroneおよび抗利尿ホルモン(ADH)濃度は、患者で健常人より低値であり、Renin-Aldosterone系およびADH系の活性化不全があることが判明した。抗利尿ホルモン製剤、デスモプレシンの経口投与は、低尿浸透圧例において、起立不耐症状を緩和し、日常生活活動度を向上させるのに有効であった。
著者
有村 洋平
出版者
九州大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2015

【目的】アリピプラゾールは、統合失調症や気分障害に頻用される非定型抗精神病薬であるが、アカシジアや不眠、神経過敏等の副作用の発現により、投薬が途中で中止されることが問題となっている。アリピプラゾールは、血液中で大部分(99.8-99.9%)が血漿蛋白と結合しており、ごく一部の非結合型成分が薬理作用を発揮する。他剤との併用により血漿蛋白への結合が競合すると、非結合型のアリピプラゾール濃度が上昇し、副作用の発現につながる可能性が考えられる。しかし、アリピプラゾールの副作用によってどの程度投薬が中止されるのか、その忍容性における併用薬剤の関連性を検討した報告はほとんどない。そこで本研究では、アリピプラゾールの忍容性に及ぼす血漿蛋白結合率が高い併用薬剤の影響を明らかにすることを目的とした。【方法】2010年4月1日~2014年3月31日の間に、九州大学病院精神科神経科に入院し、アリピプラゾールが新規に開始された患者104名を調査対象として、アリピプラゾール投薬開始から8週間における服薬状況および副作用発現状況について調査を行った。さらに、アリピプラゾールの投薬を8週間継続した患者を投薬継続群、副作用を理由にアリピプラゾールの投薬が途中で中止となった患者を投薬中止群とし、血漿蛋白結合率が高い薬剤の併用率を比較した。【成果】アリピプラゾールの副作用によって投薬が途中で中止された患者は22名(21.2%)であった。また、血漿蛋白結合率が90%以上の薬剤の併用率は、投薬継続群では91.5%で、投薬中止群では77.3%であり、両群間で有意な差は認められなかった。さらに、血漿蛋白結合率が95%以上の薬剤の併用率についても同様に、両群間で有意な差はみられなかった。本研究の結果から、アリピプラゾールの忍容性において血漿蛋白結合率が高い併用薬剤の関与は少ないことが示唆された。
著者
横井 慶子
出版者
東京大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2017

[研究の目的]論文を雑誌上でOpen Access化(以下ゴールドOA)する際に支払うArticle Processing Charge(以下APC)は年々増加傾向にある。その一方で購読誌への支払いも続いており, APC支払額の増加は大学にとって大きな負担である。本研究では, ゴールドOAを推進するイギリスの事例を調査し, 同国のAPC支払いの最新実態を明らかにすることで, わが国における最適な学術雑誌契約モデルを検討することを目的とする。[調査方法]Research Councils UK(RCUK)やCharity Open Access Fund(COAF)等のイギリスの助成団体の報告書を中心とする文献調査, 及びRCUKが助成したゴールドOA論文18,215件のデータ分析を通し, APC支払い状況を調査した。また一部の大学職員へは直接インタビューを行い, 具体的な大学の対応事例を調査した。[調査結果と考察]OA論文数の増加, 及びAPC価格の上昇により, イギリスのAPC支出額は上昇傾向にあった。RCUKの支出額は10,793,817ポンド(2014-15年)から15,935,714ポンド(2015-16年)と1年で47%上昇, COAFの場合は4,992,434ポンド(2014-15年)から6,600,690ポンド(2015-16年)と32%上昇していた。RCUKから2014-16年間に助成を受けたゴールドOA論文18,215論文のうち, Russell Groupに属する大学の平均は616論文であり, Russell Group非所属大学の平均63.3論文の約10倍の値だった。ただしRCUKからの助成額は, Russell Group所属大学では平均284,445.96ポンドで, Russell Group非所属大学の42,426.45ポンドの7倍であり, Russell Group所属大学は, 外部資金への依存度が低い中でAPC支払いを行っていると推測される。Russell Groupに属しOA論文生産数が2番目に高かったCambridge大学では, 大学がAPC補助を行うことはせず, 外部の助成団体から得た助成金の使途を管理しているだけとのことだった。ただし, オフセット契約に対する予算は大学からついており, APC支出額を抑えるための努力はしている。日本でも論文生産数の多い研究中心の大学では, このような措置をとることで全体の支出額を抑えられる可能性がある。
著者
森田 昌孝
出版者
山形大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2007

【目的】障害者雇用促進法により研究機関も含む公的機関は一定以上の障害者を雇用することが定められている。研究機関における一般管理業務や維持管理業務、研究補助業務は技術職員が従事し、定員として雇用されている。しかし、そのような管理業務を再点検してみると、多くは日々の決まって行う業務であり、作業監督者・従事者が一定の配慮をすることにより、軽度知的障害者の方でも十分に公共のために貢献できると考えられる。そこで、研究機関において円滑に就労するために必要な点についてを明らかにするため次の調査を行なった。【方法】高等養護学校(117校、回収率51.3%)ならびに研究機関(204施設、回収率36.8%)を対象にアンケートを実施した。高等養護学校へは就労にあたっての注意点や対応可能な職域について、研究機関へは職員の労働形態の推移や意識問題、具体的な作業について、主に調査した。【結果および考察】高等養護学校では雇用者側が障害の特性を理解するなど一定の配慮をすることにより雇用につながる可能性が示唆された。研究機関では実験器具の洗浄、試験動物の飼養管理の補助や施設の清掃など対応可能な場面が多くあることが明らかになった。しかし、慎重な意見も多く、事前に3者の十分な協議を行うことが雇用拡大には不可欠であると考えられた。
著者
櫻井 美香
出版者
小樽市総合博物館
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

菓子の木型は落雁などの干菓子や、練きり等の製作時に使用する道具であるが、環境が良ければ長い年月保存できるため、地域の菓子文化や菓子業界の歴史を知るための貴重な資料である。しかし近年、和菓子店は後継者不足や和菓子の売上不振により廃業する事例が相次ぎ、全国各地で木型が流出・散逸している。そこで小樽市内の菓子店に現在残されている木型の悉皆調査をおこない、市内の菓子文化についての現状記録を行った。さらに北海道の開拓期における菓子文化の伝播を探るため、小樽市と同様に北前船の交易拠点だった道南の港町と、それらとの比較のため太平洋側の浦河町と内陸の帯広市、本別町でも調査をおこなった。調査方法は、木型に彫刻されている意匠や打刻印・焼印、記載されている文字、大きさの測定、写真撮影による記録である。また菓子店の経営者や町民に、店の歴史や菓子を利用する行事等の聞き取り調査をおこなった。その結果、以下の点が明らかになった。1. 明治初期から経済活動の中心であった函館市や小樽市では、移住者により次々と菓子店が開業し、そこで修行をした職人が道内各地で独立開業していった。2. 道内における木型の彫刻師の系譜が一部明らかになった。明治初期までは本州から北前船によって木型もしくは彫刻師が北海道に運ばれていたと思われる。明治なかばには兼業ではあるが彫刻師が誕生した。さらに昭和になると菓子の需要増加に伴い、旭川市と小樽市で木型の彫刻を専門におこなう彫刻師が活躍した。3. 漁村と農村では木型を使用した菓子の利用に違いがみられた。明治初期、北海道各地に集落が形成されたが、その早い段階で菓子屋が存在、活動したことがうかがわれ、「贅沢品」と思われていた菓子が、集落形成に必要な業種であった可能性が見いだされ、開拓期の北海道史に新たな視点の提示が可能となった。
著者
片木 宗弘
出版者
大阪府警察本部
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2007

トリプタミン系化合物の合成法は、その原料の入手のし易さと、合成経路の簡便さから、概ね、1)該当するインドール類(インドールあるいはメトキシインドール)を出発原料とし、オキサリルクロリドによりグリオキシルクロリドとした後、適当なアミン(例えば5-Me0-DIPTではジイソプロピルアミン)と反応させ、生成したグリオキシルアミドをリチウムアルミニウムヒドリドにより還元する方法、2)該当するトリプタミン類(トリプタミンあるいはメトキシトリプタミン)を出発原料とし、適当なハロゲン化アルキル(例えば5-Me0-DIPTでは2-ヨウドプロパン)と反応させる方法の2つの経路が考えられる。合成経路の簡便さでは、2)の方法が1段階の反応であるため遥かに簡便ではあるが、反応副生成物としてアルキル基が1つ導入されたモノアルキルトリプタミン類が必ず生成し、塩酸塩として再結晶を試みたがモノアルキルトリプタミン類を除去することは出来ず、これを分離除去するためには、カラムクロマトあるいは減圧蒸留が不可欠であった。一方、1)の方法では、合成経路は3段階の反応が必要であり、反応生成物が着色しやすいなどの欠点はあるものの、目的物以外のアルキルトリプタミンはほとんど生成せず、塩酸塩として再結晶すればかなり純度の高い塩酸塩が得られた。なお、再結晶法は、温エタノールを用いて溶解後、冷エーテルを加える方法が効果的であった。更に、実際密売されているトリプタミン類は塩酸塩であるが、これらに含まれる不純物をGC-MSにより探索したところ、純度は非常に高く、特にモノアルキルトリプタミン類の混在は見られなかった。このことから、トリプタミン類の密造経路としては、2)よりもむしろ1)の方が可能性が高いと示唆される。なお、実際合成にかかる原料代の面でも1)の方が安価であり、コスト的にもより可能性が高いと考えられる。
著者
瀬川 拓郎
出版者
旭川市博物館
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

11~12世紀に平泉を拠点に権勢を誇った奥州藤原氏の財政基盤は、オオワシの尾羽や海獣皮といった北海道の産物と、北上産地をはじめとする北東北の砂金にあったとされる。しかし、具体的な砂金産地やその生産実態はもとより、北海道集団との交流の実態解明もほとんど行われていない。本研究では、奥州藤原氏と古代北海道集団の関係を明らかにするため、砂金を手がかりとし、化学分析により北海道と東北北部の砂金の成分的な異同を比較検討して、北海道産砂金が平泉に流通した可能性を検証した。平成26年度には次の調査・研究を実施した。1)東北各地31カ所の砂金サンプルについて研究協力者から提供を受け、函館高専において化学分析を実施した。その結果、微量元素の構成で北海道と東北の砂金に有意な差は認められなかったが、専門家のアドバイスを受け、今後比較検討する微量元素の数を増やすとともに、より精度の高い分析機器による分析を検討することになった。2)奥州藤原氏関連遺跡から出土している坩堝など金付着関連遺物について26年度に化学分析を行う予定であったが、平泉町教育委員会と協議を行い、来年度にこれら資料の化学分析を実施することになった。3)北海道厚真町では、常滑焼など奥州藤原氏関連遺物が出土し、近年奥州藤原氏の移住の可能性が指摘されていることから、移住と砂金の関係を明らかにするため、これまで砂金産出の記録がない同町の厚真川において26年度には砂金調査を2回にわたって実施し、砂金を得た。4)上記の東北各地砂金サンプルの化学分析結果とこれまでの研究遂行状況について、3月に函館高専において報告検討会を実施した。
著者
松井 理生
出版者
東京大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2011

○調査目的:オオワシとオジロワシは、その多くが冬季に北海道に南下して越冬する冬鳥であり、主に魚食であるため、ほとんどの越冬個体は海岸沿いに生息している。しかし、近年、両種が北海道の内陸部でもたびたび飛来し越冬していることが確認されるようになった。その理由として1990年代以降エゾシカの個体数が増加し、その死肉を餌資源として利用するワシが増えたことが考えられる。本調査では北海道の中央部に位置する富良野市の東京大学北海道演習林周辺において、その飛来実態をエゾシカの存在とともに明らかにした。○調査方法:調査は観察地を5箇所設定し、各調査地で定点観察を行い、ワシ類を確認したら種を同定し、成長度などの状況を記録した。調査地の2箇所は鳥獣保護区、2箇所は可猟区、1箇所はカモ類などの水鳥が多く越冬する自然沼で行った。それぞれ11月から3月まで、1回の調査で1時間以上の定点観察を各月に1調査地で2回以上行った。また、内陸部との比較のため、沿岸部の大規模越冬地においても1月と3月に同様の調査を行った。沼を除く4調査地においてエゾシカの存在を把握するため、調査地の近くにある林道上に1kmの調査コースを設け、コース上を横断にしたエゾシカの頭数を1~3月までの各月に1回カウントした。○調査結果:5調査地において総観察時間74時間にわたる定点観察の結果、のべ個体数で70羽のワシ類を確認し、1時間当たりの確認個体数は0.95羽であった。そのうちオオワシ25羽、オジロワシ42羽、種を同定できなかった個体3羽だった。飛来したワシの成長度では、オオワシ、オジロワシともに79%が成鳥、21%が若鳥であった。調査地別にワシの確認数とエゾシカの生息数との関係をみると、エゾシカが0頭/1kmと1頭もいなかった鳥獣保護区の調査地でワシの確認個体数が0.15羽/1hと最も低く、エゾシカが93.2頭/1kmと最も多かった可猟区の調査地で1.74羽/1hと最も高い結果となった。このことから、エゾシカの存在がワシの個体数に大きく影響していることがわかった。水鳥の越冬沼の調査地ではオジロワシしか確認されず、オオワシの方がエゾシカにより依存していることが示唆された。沿岸部での大規模越冬地における調査では、オオワシ214羽、オジロワシ194羽を確認した。そのうちオオワシの63%、オジロワシの55%が成鳥であった。これらのことから北海道の内陸部に飛来するワシ類は、オジロワシの方が比較的多く飛来し、成鳥の割合が高い傾向にあり、いずれの種もエゾシカを餌資源として高く依存していることが本調査からわかった。
著者
多田 英俊
出版者
京都府立嵯峨野高等学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2010

1、研究目的鴻池幸武は昭和十年代に活躍した演劇評論家である。幼少より父善右衛門の趣味でもあった浄瑠璃義太夫節に親しみ、長じては人形浄瑠璃文楽および歌舞伎の研究に着手し、私家版として二つの芸談『吉田栄三自伝』『道八芸談』を著した。とはいえ、卅一歳の若さで戦没したこともあり、研究の具体的内容や方向性等については整理されないまま現在に至っている。したがって、論理的思考と音楽的感性を兼ね備えた鴻池の論考を検討することにより、戦後の豊竹山城少掾(二世豊竹古靭太夫)に代表されるいわゆる義太夫節の近代化というものの本質と、その延長線上にある現在の人形浄瑠璃文楽を、新たな視点からとらえ直すことが可能となる。2、研究方法今回はその第一段階として、鴻池幸武が残した評論を分析しその中核となる観点を体系的に把握することを主眼とした。鴻池の評論は、「浄瑠璃雑誌」を中心として、武智鉄二主宰の同人誌「劇評」に寄稿されたものがほとんどで、その他浄瑠璃を中心とした演劇批評誌に散見された。収集した資料は、検索が容易に進められるよう、まずパソコンを利用してデジタル化した。その上で、各評論を検討してその主題を分類し整理した。評論により取り上げられた音源については、SPレコードからデジタル化されたものを入手し、音声処理ソフトを導入してその雑音等を除去した上で、丸本および五行本と照らし合わせながら精密な聞き分けを行った。3、研究成果鴻池幸武の主張を端的に表現すれば、「風」を体現できない浄瑠璃はもはや義太夫節ではないのであり、体現できたもののみが芸術的価値を有する、というものであった。そして、現状においてそれが可能なのは、二世豊竹古靱太夫であると結論付けられている。また、「風」の伝承にあって最も重要な役割を果たしたのは、三味線の名人二世豊沢団平と彼が中心となった彦六座であり、それは現行文楽座における技巧の優劣や番付上の位置とはまったく無関係とする。文楽座の櫓下であった古靭は、彼を育てた相三味線三世鶴沢清六が、団平によって鍛えられた二世竹本大隅太夫の相三味線を務めていたことから、「風」の正統的後継者として芸術家たる評価を受けるに至った。このように、戦後の近代化の象徴は、明治期にその原形が見出されたのである。
著者
奥田 謙造
出版者
トヨタ自動車株式会社
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

米国のトルーマン政権は、対ソ連心理戦に関し、1951年に心理戦略委員会を設立し、政治・経済・軍事に関与する「明白」・「機密」の宣伝を推進したのに対し、アイゼンハワー政権は、それまでの心理戦は問題があるとし、1953年6月に「明白」な宣伝を行う作戦調整委員会を設立し、この下に8月に米国文化情報局を設置して、国際情報・文化・教育交流のための博覧会・映画上映・VOA等事業、さらに、12月の「平和のための原子」演説後に、日本への原子力平和利用も進めた。一方、英国も1948年、対ソ連政治戦(米国の心理戦に相当)に関し、外務省内に「明白」・「機密」の宣伝を行う情報研究部を設立し、米国のソ連への直接攻撃に対し、自由主義諸国内の共産主義の影響を阻む調整を図った。米国占領下の日本においては、米国政策の制約を受けながら、戦時中に青春期を犠牲にした若者を対象に政治戦を進めた。しかし、日本の独立後は自由な戦略が可能となった。英国は戦後、経済力は低下し、原子力戦略にも焦りが広がり、米国とは相入れない面もあったが、両国の心理的協調は堅固で有効に作用した。ところで、科学分野で英国は、終戦直後から、軍と学者により原子力の研究開発を進めた。1950年3月に、コッククロフトは「原子力の見通し」論文の中で、原子力と非原子力の区分を行い、原子力平和利用として、第1に原子力発電所建設、第2に増殖炉開発を提唱した。さらに、遡って戦時中の“チューブアロイズ”プロジェクトにおける1943年のケベック協定では、「核開発成果は戦後に英国の民間での利用を認める」、ことも示されていた。以上のような、戦中・戦後の米英の連携から、1955年以後の日本への原子力導入において、米国から先に「原子力平和使節団」が招聘されたにも関わらず、英国は米国の開発遅れを察すると、直ちにコールダーホール型原子炉の導入の態勢を整えられたと考えられる。
著者
深水 知英
出版者
鹿児島大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2009

【研究目的】経管栄養患者管理における下痢、胃・食道逆対策として経腸栄養剤を半固形化させる方法が有用であるが、この半固形化法の中でも増粘剤を先に投与し、後に経腸栄養剤を投与して行う胃内固形化法は、細いチューブでも注入可能であり、ベッドサイドでの調製の手間も省ける。そこで、胃内固形化法で実際に半固形化されるか、実験的検討を行った。また増粘剤の多くは、陽イオンの影響を受けるため、イオンを放出し、なお且つ経管栄養患者が使用する可能性がある薬剤について、増粘効果に与える影響を検討した。【方法】37℃、100rpmの振盪下、増粘剤リフラノン75g中に各種経腸栄養剤200mLを滴下した。また、人工胃液50mL中に液状リフラノン75gを加えた中に、同条件で各種経腸栄養剤200mLを滴下した。粘度測定はB型粘度計を用いた。陽イオンを放出する薬剤として、塩化ナトリウム、乳酸カルシウム、グルコン酸カリウム、酸化マグネシウムを1g/50mLの濃度で水に溶解し、リフラノンで半固形化した各経腸栄養剤に加えた。【結果】リフラノンを先行投与し、後に各種経腸栄養剤を滴下したところ、いずれの経腸栄養剤においてもその粘度は37℃、100rpmの条件下で、約40~50%低下した。また、人工胃液中での粘度はさらに低下した。よって、胃内固形化法を行う場合には、通常の半固形化法よりもリフラノンを増量する必要があることが示唆された。また、経腸栄養剤を滴下する速度は、粘度には大きく影響しなかった。陽イオンを放出する薬剤を各経腸栄養剤に加えて、半固形化を行ったところ、いずれの経腸栄養剤でも塩化ナトリウム、乳酸カルシウム、酸化マグネシウムの添加により粘度は低下した。とくに乳酸カルシウムは著しく粘度を低下させ、経腸栄養剤によっては10%以下まで低下した。一方、グルコン酸カリウムは、いずれの経腸栄養剤においてもわずかに粘度を増大させた。
著者
宮寺 良平
出版者
関西学院高等部
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2017

チョコレートゲームの変形である、チェスのRookを動かす問題に関して、後手必勝の公式を発見して、The 20th Japan Conference on Discrete and Computational Geometry, Graphs, and Games(JCDCG3 2017)の査読を通過して、“Two-Dimensional Maya Game and Two-Dimensional Silver Dollar Game”として発表した。また、確率的においてパスカルの三角形に似た分数列を作り出す一般公式を発見し、同じJCDCG3 2017の査読を通過して、“Pascal-like triangles and Fibonacci-like sequences”として発表した。これら2つの内容は、Springer社の雑誌に2つの論文として投稿した。チョコレートゲームのGrundy数がニム和と同じになる場合に関しては、証明を簡略化して、Integers誌に投稿した。なお、この論文はコーネル大学の論文収録サーバーに、Grundy Numbers of Impartial Chocolate Bar Games arXiv : 1711.05035として登録された。また、チョコレートゲームにおいて、3つの方向からカットできる問題において、後手必勝位置を公式として表して、Integers誌に投稿した。この論文もコーネル大学の論文収録サーバーにImpartial Triangular Chocolate Bar Games arXiv : 1711.04954として登録された。また、チョコレート問題と数学的に同値で有名な問題であるWythoffのゲームにおいて、一回のパスを許す場合の、後手必勝ポジションの公式を得て、Integers誌に投稿した。この論文もコーネル大学の論文収録サーバーにWythoff's Game with a Pass arXiv : 1711.04960として登録された。