著者
下吉 美香
出版者
神戸大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2011

1.研究の目的物事を「たとえ」を使って表現することは,その物事の本質,しくみをしっかり理解しているということである。また,私たちは,新しい概念を獲得したり,目に見えない現象を概念として獲得したりする時,「たとえ」を用いて表現することが少なくない。つまり,「たとえ」は人の理解を促す効果があると言える。よって,科学概念を「たとえ」を交えながら,他者の合意を得られるように説明しようとすることは,思考を深化させたり,拡張させたりする可能姓をもっていると仮定し,その効果を検証することを本研究の目的とした。2.研究の方法「電気」「宇宙」等,主として,目に見えない科学現象を含む単元で「たとえ」表現をとりいれる場を設定した。また,それ以外の素材を題材としている単元についても,「たとえ」表現を積極的に用い,自分なりの考えをまとめたり,他者の合意を得ることができるような説明をしたりし,科学概念の構築をはかっていくようにした。そして,「たとえ」表現を用いた子どもの様相から,その実際的効果を検証した。3.研究成果(1)意図的に「たとえ」表現を用いていくように支援していくことの必要性「電気」に関する基礎的研究(2011,06)において,3学年では,「カミナリ⇔ビリビリする,稲妻」「花火⇔明るい」など,これまでの経験から表面的に受け止めている傾向がみられた。しかし,6学年では,「魔法使い→量を変えられる」をはじめとし,量の変化,2極性,電流,抵抗といった性質に迫っていく傾向がみられた。これらより,生活経験,既有知識の量が,表現に関係するとともに,学習経験が大きく寄与するとも言える。よって,意図的に「たとえ」表現を用いていくように支援していくことの必要性は明確であると結論づけた。(2)単元終末段階への「たとえ」表現導入の有効性前回調査(2011,06)と比較し,第2回調査(2011,10)では,全体の語彙数,電気の概念をとらえた表現が増加し,単元内での学びに基づきながら表現されているものであった。また,「電気」の生み出され方について,単元の終末時に,電気の利点や特徴等の概念を総合的にとらえた表現が見られ,総合的な概念形成にも有効にはたらくことが示された。これらのことより,単元終末段階への「たとえ」表現の導入は,学習支援として一定の効果があると結論づけた。(3)科学的思考力の深化,拡張を支える「たとえ」表現の効果第6学年を対象とした「宇宙」に関する調査(2011,10)において,月の満ち欠けの周期やその原理について,「機械」「数列」「ボタン」等にたとえ,順序や規則性があることや,継続して変化することを表現し,概念の獲得へ向かっていることが確認できた。また,「太陽」「月」「地球」の位置関係について,「家族」「メリーゴーランド」「シーソー」等にたとえ,互いに関連し合うような生活事象や,距離がありながらも互いに影響し合っている状態を表現し,空間認識の獲得へ向かっていることも確認できた。さらには,宇宙の壮大さ,美しさを「魔法」「宝物」「美術」にたとえた表現もみられた。これらの様相より,「たとえ」表現は,子どもの自然観をゆさぶり,科学的思考の深化,拡張を支えるものとして,有益に機能していくものであると結論づけた。
著者
水沼 充
出版者
山形大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2011

1.研究目的映像ハードウエア発展や様々な映像コンテンツ普及が進む一方、映像の生体に及ぼす影響が社会問題となっている。本研究では、映像酔いに着目し、複数の光電容積脈波センサを活用して映像酔いが生体に及ぼす影響を常時・客観的かつ簡便に計測する手法について研究し、映像酔いの簡易計測方法及び警告システムを開発することを目的とした。2.研究方法映像酔い簡易計測方法評価実験システムを構築し、複数の光電容積脈波センサを活用した簡易計測方法について研究し、簡易計測・評価・警告システムを開発する。具体的には、(1)開発した指尖光電容積脈波センサ内蔵グローブを装着し動きの早い映像を大画面ディスプレイ装置で視聴し、主観的に映像酔いと評価した時の複数の指尖光電容積脈波データ、映像酔いと評価しない時、無視聴時のデータを計測し保存する。(2)得られたデータに離散フーリエ解析等を適用して、各々の脈拍数等の生体信号を抽出し、その変化から映像酔いが生体に及ぼす影響を客観的・定量的に評価する有効なパラメータについて検討する。(3)簡易計測方法を確立し、警告システムを構築する。3.研究成果以上の計画に従って指尖光電容積脈波センサ内蔵グローブを開発した。市販のデータ集録・解析システムLabVIEWを用いた映像酔い簡易計測方法評価用システムを構築した。市販DVD映画の動きの早い部分を評価対象映像として46インチ液晶テレビで視聴し、主観的に気分悪い、普通と感じた時及び無視聴時に得られたデータに離散フーリエ解析等を適用し脈拍数等の生体信号変化が得られた。提案システムの動作を確認し基盤技術を確立した。得られたデータと映像酔いとの関係解明には映像酔いの強い映像サンプル取得や映像酔いレベル表現の精度向上が求められる。今後は映像酔い簡易計測方法確立、警告システム実現が課題である。
著者
佐見 由紀子
出版者
東京学芸大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2012

幼児期は、心身の発育発達が盛んで、自分の体に関心を持ち、基本的な生活習慣を確立する重要な時期である。そのため、この時期に、幼児自身が健康な生活を送る必要性を理解し、健康行動を実践する力を育てる健康教育は重要である。しかし、(1)幼児の生活実態調査が十分行われておらず、(2)担任や養護教諭が実施している健康教育内容や保護者の求める健康教育内容について調査が行われていない。そこで、本研究では、保護者から幼児の生活実態および指導を望む健康教育内容を把握し、また担任や養護教諭が実践している健康教育内容を把握することを目的としてアンケート調査を行った。調査方法は、平成24年7月、全国の国立大学附属幼稚園49園のうち、了解の得られた園にアンケート用紙を郵送し、5歳児学年の幼児をもつ保護者およびその担任、養護教諭に配布し、回収・返送してもらった。その結果、計43園から返送があり、有効回答は、保護者1757件、担任77件、養護教諭43件であった。調査の結果、次のようなことがわかった。幼児の生活実態として、(1)食物の好き嫌がある62.4%、(2)通園時間30分未満が83.7%、さらに戸外遊びの時間は30分~1時間が34.8%であり、園外で体を動かす時間が少ない傾向が見られた。(3)習い事に通っている90.5%、習い事の時間は週に2時間以上が50.9%であった。実際に担任が実施している健康教育内容は、(1)手洗いうがい96.2%(2)道路の歩き方94。9%(3)体を動かして遊ぶ91%(4)友達との仲直り84.6%・プールあそびの注意84.6%であり、園生活での健康安全に関わる内容が多かった。養護教諭では(1)手洗いうがい84,1%(2)歯のブラッシング63.6%(3)早寝早起き61.4%・鼻かみ咳エチケット61.4%(5)睡眠・栄養56.8%の順に実施が多く、病気の予防の視点での内容が中心だった。また、保護者が望んでいる内容は、(1)手洗いうがい75」%(2)体を動かして遊ぶ72.9%(3)知らない人についていかない66.1%(4)困った時、つらい時の対処法645%(5)病気や障害のある人への理解62.1%の順に多く、日常の生活習慣だけでなく、心理的な考え方や行動についての理解も求めている傾向が認められた。
著者
久保 姉理華
出版者
熊本高等専門学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2011

○研究目的バンペイユ(Citrus grandis)はザボンの一種で、マレー半島を原産とするカンキツであり、八代市特産品である。これまで果皮の有効利用を目指して精油の抽出を行ってきたが、今回、学生実験への応用を目指し、果皮の精油抽出の最適条件を探索した。加えて、実験室にある器具での実施や校内の植物を用いた精油抽出についても検討した。○研究方法今回用いた試料は校内で栽培されているものと一般で売られているものを使用し、水蒸気蒸留装置の圧力鍋に対して、体積比や蒸留時間を変えて精油を抽出した。GC-MSも用いて成分の簡易同定を行なった。校内の植物として、蓬からの精油の抽出を試みた。また、一般の化学実験室にある枝付フラスコとリービッヒ冷却管等の器具で精油を抽出してみた。○研究成果校内で採取したバンペイユは市販のものより小さく、そのことが精油の収率に顕著に現れ、平均して約5倍も後者が高かった。これはバンペイユの大きさと成熟度が精油を蓄える器官である油胞の生育と相関性があると考えられる。バンペイユの水蒸気蒸留時の鍋に対する体積比は2/3の時、最適蒸留時間は1時間半の時が最も収率が高かった。GC-MSで成分の簡易同定を行った結果、モノテルペン炭化水素類のリモネンとβ-ミルセンで約97%以上占め、その他モノテルペン炭化水素類4成分とセスキテルペン類2成分の有用成分を同定した。実験室にある実験器具で水蒸気蒸留をした結果、微量の精油を確認できた。また、校内の植物として蓬の若葉を水蒸気蒸留してみたところ、爽やかな香りの芳香水が取れたが、精油は取れなかった。
著者
本間 毅
出版者
筑波大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2008

目的:一般に、トラクタで牽引車両を牽引する場合は、旋回時にトラクタ走行軌跡と牽引車両の走行軌跡に内輪差が生じることが避けられない。この内輪差が作業に影響を与え、時には事故の発生にもつながり安全性の面からも改善が求められている。本研究では、トラクタ前輪の操舵角度に合わせて、ヒッチ点位置を横方向に移動制御する方式によって内輪差の減少させることすなわち牽引車両の追従性の向上を図ることにより、トラクタの牽引作業の作業性、安全性の向上を目的としている。これまで試作機を製作し追従性向上のための実験を行ってきたが、更なる追従性の向上のため作動部分およびプログラムを改良して実験を行った。研究方法:農林技術センター所有のトラクタで牽引車両を牽引して、トラクタ後輪車軸中心部および牽引車両車軸中心部から水滴をたらしながら走行し、水滴跡をそれぞれの走行軌跡とし、軌跡差を計測した。試作機ぞを作動させずヒッチ点を中心に固定した状態(以後、非作動時)とヒッチ点を移動させた場合(以後、作動時)の軌跡差を比較した。研究成果:トラクタ前輪操舵角度を一定に保ち旋回のみを行った結果、操舵角度30度での軌跡差は非作動時の最大64cmに対し、作動時は最大5cmと大幅に減少した。次に、実作業時にも頻繁に行われるU字ターン行った。U字ターンでは、これまでの実験からトラクタの速度に応じて作動の時間を遅延させることにより軌跡差が減少することが解っているため時差をつけた作動試験を行った。また、本試作機では、最大ヒッチ移動量が60cmであるが操舵角度30度で最大移動量を超えるため、操舵角度25度と最大移動量を超えた操舵角度33度の軌跡差を測定した。その結果、非作動時では、ターン頂点とターン終了の中間付近の軌跡差が最も大きく70cmほどであった。操舵角度25度作動時では、最大軌跡差がターン開始付近の6cm。操舵角度33度作動時では、最大軌跡差がターン終了付近の11cmとなった。8の字にターンを行った場合もほぼ同様の結果となり、それぞれの操舵角度で最大軌跡差が2cm大きくなった程度であった。以上の結果から、本方式により追従性が確実に向上することが確認できた。これにより、作業性・安全性の向上が図られるものと考える。
著者
上野 孝行
出版者
鹿児島工業高等専門学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2011

研究目的多くの高専において"ものづくり"が教育目標として掲げられており,もの作りの教育方法について講義や実習などで多角的に検討されている.本校においても,学生のモチベーションをいかに向上させ,維持させるかということが問題視されている.近年,学生の成長過程での周辺環境がIT技術の発展により劇的に変化している.このような背景から,日常生活環境から機械装置が電子装置に置き換わりメカニカルな装置が身の回りにないため,分解してメカニズムを知る楽しみを知らない学生が増えてきている.機械工学科の学生にいたっても,そのようなことに興味を持たない学生も少なからず存在する.このことは創造力の養成に対する動機にも影響している.そこで4輪バギーの操舵部分を対象とした分解組み立ての実習を取り入れる.実用車であるため機械工学科の学生の興味を惹く題材を用いることで,その教育効果を検討する.研究方法(1)現有の4輪バギーを分解し,構造について特にサスペンションのアライメントの理論を学習するための方案を洗練するとともに,他の教科との関連や実習の効果を検討する.(2)また,学生への動機付けの成否を,アンケートや実習を通した学生からの聞き取りで行う.(3)効率よく実習を行うために,実習用のバギーを1台追加する(購入申請).(4)毎実習終了後にアンケートを取り,実習の内容の改善点についてフィードバックを行いながら更に適したテキスト,サブノート,教材の開発を行う.(5)その教育効果をさらに高めるために,補助教材の製作を行う.(6)以上に加えて学生の意識調査を聞き取り方式で行い,実習方案の完成度を高めていく.研究成果(1)4輪バギー保有台数が増えたことにより少人数教育を行うことができた.(2)(1)の結果,実習時間にゆとりが生まれ,新たな分野について授業で取り上げることができた.(3)学生からの聞き取り調査により、すべてにおいて教育効果が高まったことが確認できた.
著者
高橋 毅
出版者
秋田大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

○研究目的 : 表情・感情認識技術は高度なマンマシン間コミュニケーションを実現するために重要である。そこで本研究では, 情動と身体の生理的変化に伴う顔の表面温度変動に関する知見を得ることを目的とし, 受動的刺激により喚起した“悲しみ”の生起・消失時における顔面温度変動の計測・解析を行い, “悲しみ”の情動検出に関する検討を行った。○実施内容ならびに研究成果 :・データの取得 : 被験者7名に対して情動喚起映像(映画)を用いた受動的な“悲しみ”の情動喚起を行い, 赤外線サーモグラフィ用いて時系列顔温度データを取得した。映画視聴後2日以内に, 強い悲しみを喚起する場面を再度視聴させ, 顔面をサーモグラフィで約9分間(視聴5分, 前後2分の安静)撮影した。撮影後はアンケートを用いて情動の程度や体調などを被験者ごとに調査し, 解析データを取得した。・対象領域の自動設定処理の開発 : 温度データから顔面のグレースケール画像を生成し, Haar-like特徴量とAdaboostを用いた顔面領域の検出手法の開発を行った。各被験者100~600フレームの顔面領域の正解画像をオペレータ1名が手動で作成し, 機械学習で全被験者共通ならびに個人別の検出器を生成した。その結果, 被験者共通・個人別検出器何れも顔領域を検出可能であることを明らかにした。また, 共通検出器はより多くの学習データを必要とし, 350フレーム以上の場合に良好な検出率が得られた。・情動と顔面温度変化の関連解析 : 対象領域における情動の生起と顔面温度の関連について検討を加えた。その結果, 悲しみの情動が喚起された場合, 特定の被験者において頬領域温度の緩やかな上昇ならびに呼吸変化に伴う鼻根付近の温度変動が認められた。また, 悲しみの情動の場合, 情動喚起で上昇した頬領域の温度が比較的長時間保持される傾向を認めた。この頬温度変動の傾向が“喜び”と“悲しみ”の情動判別に有用な指標となるか更なる検討が必要である。
著者
中馬 真里亜
出版者
大阪教育大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

1、研究目的国立美術館の現状分析と美術館との連携による企画展覧会を想定した教育カリキュラムを開発・実践する。2、研究方法(1)国立美術館との連携国立美術館(今年度は2館を抜粋)の設立経緯と教育普及活動の情報収集を行った。今年は京都国立近代美術館の学習支援担当者より、研究に対して多大な理解を得られ、積極的に情報交換ができた。その結果、生徒がテキストに迫る鑑賞教育を美術館で体験することによって、美術作品やその作者、学芸員からの学びを授業に還元できないか検討するに至った。そして、美術館との協同を基盤として、授業で子どもが作品について語る活動に効果が期待できるプロジェクトの計画を立てた。(2)学校・美術館・アーティストの協同京都国立近代美術館(1F講堂、3F企画展示会場、4Fコレクション・ギャラリー)を会場にして、子ども達が学芸員や作家の作品についての語り方の多様性に触れ、語り手の見方や作品への理解がどのようなテキストとなって現れるのかを知ることを目的としたギャラリートーク(館長と、5人の学芸員による10分間の作品解説)を展開する活動を実施した。実施期間美術館では企画展が開催されることになっており、その出品参加であるやなぎみわ氏が参加の意向を示した。会場に展示されてある作品の作者による45分間のアーティストトークが実現した。(3)アーティストのワークショップの授業導入美術館担当者から、授業の目的に近いと判断されるアーティストの活動の紹介を受けて、生徒活動に効果が期待できるアーティストのワークショップを授業の導入で行った。生徒が美術館の作品や実際に会ったアーティストの活動に触れながら、そのよさを、生徒自身が学校の授業に還元していくカリキュラムを実践した。3、研究成果美術館教育活動との具体的な連携を実践し、授業とのリンクの仕方を検討する上で必要な記録を得られた。今後、美術館のコーディネート力が学校教育に様々な働きかけとなる活動の具体的な方法を立案できる。
著者
小川 勇治
出版者
福井大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2009

1.研究目的:本研究は、深刻化している野生獣による農作物被害防止のため、一般農林業者や高齢者が比較的簡便で取扱が容易な獣害被害防止装置を開発すること。特に、市販の駆除撃退用ロケット花火による獣害被害防止・抑止装置の技術開発のため、「野生獣被害防止の遠隔制御追い払い装置の技術開発」を目的とした。2.研究方法:本研究を進めるため、とれまでの研究成果、獣害被害防止・抑止技術及び追い払い技術など開発準備と予備調査研究を行った。本研究の「遠隔制御追い払い装置」の基本仕様は:(1)市販のロケット花火破裂音を利用。(2)花火は複数装填及び連続的に発射が可能。(3)花火の装填、発射及び発射方角は遠隔操作が可能。(4)装置の構成はコンパクトな構造で保守管理が容易。(5)遠隔制御は無線テレコントロールを使用。(6)野生獣の監視及び安全上花火による事故・火災防止のため監視カメラを活用。(7)追い払い装置や監視カメラの電源は太陽光発電を使用。(8)装置場所や野生獣出没・被害地の地図作成にGPSナビゲータを活用。本研究の試作及び実証実験は、監視や安全確保が容易で花火破裂音が迷惑にならない日の出から日の入りまでの日中に行った。3.研究成果:技術開発した「遠隔制御追い払い装置」は、野生獣と安全を監視カメラで監視しながら、遠隔無線でスライド式・回転式ロケット花火を装填・発射が可能で、安全にPIC制御のサーボ及びステッピングモータが機能・動作することを確認できた。実用的な「追い払い効果」は、イノシシの出没が夜間でサルの出没が無かったため検証出来なかった。GPSナビゲータの活用は、野生獣被害防止・抑止に有効であった。今後、本追い払い装置効果の検証と装置の改良など有効な技術開発研究を進めることを目指したい。
著者
荻原 文弘
出版者
佐久長聖中学・高等学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

教員の大量退職・大量採用, 学校小規模化や教員の多忙化により, 校内職員研修の在り方が問題視されている。こうした現状を踏まえた本研究の目的は, 若手教師が授業を対象化・省察をしながら継続的に授業を改善する自己研鑽法を開発することである。研究の方法は, 指導観の意識化を促す学習指導案の作成, オン・ゴーイング法と対話リフレクションなどの活動を融合した授業分析と内省的記述, メンタリングなどを組み合わせた自己研鑽法を開発し, その自己研鑽法による継続的な若手教員の実践を質的な方法で分析する。なお, 本研鑽法の一部は, 教育実習生対象にも実践し, 教育実習プログラムとしての効果も検証する。開発した自己研鑽法は, 授業観や授業を参観して学ぶ力, 学習指導力, 教材研究力の育成を意図し, 主に次の活動で構成される : 授業DVDを用いた自己分析, 目的を定めた授業参観及び授業者との対話リフレクション, オン・ゴーイング法と対話リフレクションの活動, 指導教員との定期的なメンタリング, 熟練教師と共同での教材開発と実践及び分析その結果, 次の4点が明らかになった : ①学習指導観と授業分析力には相乗性があり, 双方からのアプローチにより教科指導力が高まる, ②「理想の授業」の具現を意識し, 他者や自己の授業を観ることで分析力は高まる, ③同年代の教員の職能成長は自己の授業改善を目指す動機づけとなりうる。④オン・ゴーイング法と対話リフレクションの活動は時間的制約に厳しいが, ICTの活用でその課題を克服する可能性は高まる。開発した本研鑽法は, 指導教員の負担を軽減しつつも, 効果的な若手教員の教科指導に係る職能教育プログラムに繋がる可能性が高い。
著者
成田 智哉
出版者
利府町立菅谷台小学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

○研究目的2012年度に開発した簡易で持ち運び可能な鉢等を利用したバタフライガーデン学校キット(以下BGSK)」は, 勤務町内の全小学校及び県内の小中学校計16校で活用された。企図する時期に卵付き苗を配布可能にすることで, 実物を用いた児童の観察機会を更に多くしたり, ICTを活用して児童の精密な観察眼を育成する授業プログラムを開発したりすることが本研究の目的であった。○研究方法1 BGSKを活用してチョウの蛹を前年度に確保し, 次年度羽化させた成虫を飼育し, 効率的に産卵させる方法を検討した。実物の活用とICTの活用を融合させながら, 児童にチョウの生活環や形態・生態等をとらえさせ, 精密な観察眼を育成する授業プログラムを開発し, 実践を通してその有効性を検討した。○研究成果1 BGSKを活用して, 前年度の晩秋にモンシロチョウの蛹を確保した。翌春羽化した成虫を飼育し, 産卵させる方法を検討した結果, 狭小な網製の飼育容器内で, モンシロチョウが交尾し, 食草に多数産卵させることができた。このことにより卵付き苗の配付が可能になるとともに, BGSKの周年活用のサイクルが出来上がった。2 児童の自然への関心を高め, 精密な観察眼が育成されることを期待して, 教員を対象としたBGSKの植栽方法や活用法の伝達を目的とした研修会を開催した。このことにより, 多くの児童に卵や幼虫等の実物, 及び羽化の瞬間を観察させることができた。また, 生物や自然への関心を高めることができた。3 モンシロチョウでの産卵方法をオオムラサキにも適用し, 複数産卵させることに成功した。そこで得た幼虫を用い, タブレッド端末や画像の無線転送装置を活用しながら, 互いの観察結果を共有する授業プログラムを開発した。
著者
中村 美樹子
出版者
武修館高等学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

研究目的 : 本研究は、中国南朝で成立した伝奇文学である六朝志怪を教材として評価し直し、新しい教材としての可能性を提案することを目的とした。研究方法 : 六朝志怪を翻案した日本の古典文学のリスト化を行い、その中でも教科書に採録されているものを東京学芸大学付属図書館や教科書図書館等で調べ、指導書の内容から漢文との連携が指導書上で行われているのかをまとめていった。また、この時点で新しい見地を発見した。国際バカロレア資格のディプロマ・プログラムにおいては「studies in language and literature」(言語と文学の研究)で母語に翻訳された世界文学を読了した上での課題作文が必修となっており、ここでは比較が重んじられる。課題作文を作成するための導入段階の教材として、和漢比較教材が活用できる可能性は十分にあるものと思われる。したがって本来は外国の文学でありながらも、日本文学に取り入れられている六朝志怪は、この国際バカロレア資格における比較文学という視点から、活用が可能であるとし、この可能性について追及していくことにした。研究成果 : 国際バカロレア資格の「言語と文学の研究」の課題作文は一冊を読了して行うため、段階を踏んで短い文章から練習を行うべきである。その際、自国の文化との共通性を持つ漢文教材をその段階の一つとして使うのは理にかなっている。さらにその中で六朝志怪は一つのエピソードが短く、本質が記録であるため内容が簡易でストーリーをつかむことが簡単であるという利点を持つ。また、六朝志怪は本文に口語表現が含まれているため、漢文そのものを読むのは文法的に難しい面があるという欠点があったが、この課題研究は翻訳されたものを比較するため、この活用法ならば利点のみを最大限活用することができる。したがって、国際バカロレア資格の上での指導において、六朝志怪は非常に有用な教材であるという結論に達した。
著者
角館 俊行
出版者
東北大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

研究目的 : 本研究では、軟X線顕微鏡の開発を進める中で課題として浮上した、軟X線ミラー基板の形状測定の高精度化を目的とし、新たな基板保持方法の開化を目指した。具体的には、基板回転機構の導入などにより、測定誤差(標準偏差)0.10nm以下のレーザー干渉計測を目標とした。研究方法 : 研究代表者が従事するレーザー干渉計による軟X線ミラー基板の形状測定では、ミラー基板の位置及び姿勢を精密に調整し、それを保持することが重要となる。測定では、測定用ホルダにセットしたミラー基板を90°または180°回転させる必要があるが、従前、この回転はホルダに直接手を触れ行っていた。本研究では、既存のピエゾ駆動精密XYZステージに、コンピュータからの指令が可能な基板回転機構を導入することにより、面内回転・X・Y・Zの全ての軸の調整及び保持を遠隔操作で行えるよう改良し、回転角精度の向上と実験室内での移動や入退室に伴う測定環境変化の回避を図った。また、経年劣化による動作不良が生じた干渉計の拡散板を改良した。上記改良に必要な部品は本研究所の機械工場の協力を得て作製した。全システムの完成後、測定を繰り返し行い、データの取得・解析を行った。研究成果 : ミラー基板の形状測定における測定誤差(標準偏差)は、従来、0.15-0.20nmであったが、本研究では目標であった0.10nm以下まで低減させることに成功した。また、一部作業を除きミラー基板の位置及び姿勢の調整と干渉計測を全て遠隔操作で行えるようになり、測定の高精度化だけでなく簡便化・効率化にもなった。
著者
丹羽 孝良
出版者
桐生市立清流中学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2012

研究の目的は、水の電気分解の電源として植物の光合成を利用した中学生向けの実験教材を開発することである。植物生体電位測定装置(μAを計測できるデジタルマルチメーターと電極粘着パッドまたは亜鉛板を電極として植物体内の電流値を計測できる装置)を使って、植物の生体電位(電流)の変化を観察した。この観察対象植物として、葉がしっかりしていて、かつ繁殖が容易なコダカラペンケイソウを選定し大量培養を7月から試みたが、10月をまわっても十分な成長が見られず、断念した。そこで、肉厚で亜鉛板電極が差し込みやすいサボテンを使って、厚さ1mm、幅1cmの亜鉛板の先1cmをサボテンの手前側と奥側の2カ所に差し込み、植物体内からの電流値を測定した。日陰での電流値は、亜鉛板を差し込んだ直後が最大(およそ60μA)で、時間の経過とともに減少したので、落ち着いたときの電流値を測定した(およそ40μA)。このサボテンを太陽光にあてると、若干の電流値の増加が見られた(+10%程度)。光合成との因果関係は不明だが、水の電気分解に必要な電流値(0.1A)は、2500鉢のサボテンを直列につなぐことで可能になるはずである。一方、白色LEDを光源にすると、若干の電流の現象が見られた(-10%程度)。LEDに代わる照明として植物生育用の蛍光灯の利用を考えたが、大量のサボテンに対する蛍光灯の数を考えると、電気分解に必要な電流を取り出す以上に電流を消費してしまうことになるので、光源としては、太陽光が最善であることがわかった。サボテンと亜鉛板の組み合わせで40μAをデジタルマルチメーターで計測する教材を試作した。結果として、サボテン単体から電流を取り出すことには成功したが、複数個のサボテンを直列につないで、電気分解に必要な0.1Aを取り出すことはできなかった。+極、一極の電気極性をそろえられないことが原因だと考えられるが、実証に至っていない。
著者
加藤 清己
出版者
愛知県立瀬戸西高等学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2008

1 研究の目的・意義子ども達の理系離れが叫ばれて久しい。高等学校においても、文理の類型選択に理科や数学を不得意とするおいて多くの生徒が理類型をさけ、文類型を選択する傾向が強い。本校では、文類型で2年、3年で合計5単位生物の授業を行っている。3年生の私立文系の類型では例年時間に余裕があり、実験観察の授業を積極的に取り込んでいるが、必ずしも体系化された授業とはなっていない。そこで、生物の不思議のテーマの基に体系的に計画的に実験を行う。それぞれの実験に際してアンケートを実施する。アンケートで生徒の意識調査をすると同時に、アンケートの質問によって自分の経験を他人に伝える意識を持たせるようにする。2 研究方法・計画次の項目に分け、実験を実施した。(1) 植物の生殖の不思議(1)弾子の観察(2)タンポポの綿毛の観察(3)群落遷移と種子の大きさ(2) 自分の体の不思議(1)スリップ現象(2)網膜(3)立体視の原理(4)反応の速さと心理(3) アントシアニンの秘密(1)アジサイ、紫蘇の葉の色素(2)赤キャベツで焼きそば(3)紫蘇の葉でペークロ(4) 日本人の主食米の秘密(1)古代米の観察(2)発芽玄米のしくみ(3)グルテンの作成(5) 生物の体の不思議(1)ウミホタルの発光(2)折り紙で脊椎動物(3)犬の折り紙3 研究の成果(1) 実験考察の集約(アンケートの実施)(1)興味の有無(2)知人へ話すか(3)自分の子どもに話すか についてアンケート調査した。(2) 集計結果(1) 興味の有無 ほとんどの生徒が実施した実験興味を持った。定期考査の問に対しても正答率が高く、成績がよい、悪いには相関がなかった。(2) 知人へ話すかと自分の子供に話すかは同じ傾向が見られた。まだ実験を行っていないクラスの生徒も、友達からの情報で実験内容を理解しており、興味のある話題については情報伝達が早かった。<アンケート結果>No.1赤キャベツで焼きそばNo.2スリップ現象No.3ウミホタルの発光(3) 自分の子供に伝えたい実験(家でやってみた)<アンケート結果>No.1赤キャベツで焼きそばNo.2スリップ現象No.3犬の折り紙ウミホタルの実験を家で見せたいからどのようにして入手方法の質問が多かったが、高価で、かつ入手方法が特殊なため、残念がる生徒が多かった。
著者
土永 知子
出版者
和歌山県立日高高等学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2011

研究目的:天然記念物として指定された神島には、1934年に南方熊楠らによって作成された顕著樹木所在図がある。1998年に田辺市が行った調査で台風の被害やウが集まったことにより植物相に変化があった。そこで、現在の樹木分布図を作成し、神島の植物相の変遷をあきらかにする。研究方法:田辺市教育委員会文化振興課の協力で、調査を実施した。GPSやGPS機能付きデジカメを用いて、顕著樹木の分布図を作成した。研究成果:1998年の調査では無かったタブノキが「おやま」にあり、幼樹もあることがわかった。「おやま」にウは現在も断続的に飛来しているため、ヨウシュヤマゴボウなどの窒素が多い土壌を好む植物が増えた林分がある。「こやま」では、崖にはハカマカズラが繁殖し、斜面に樹木も生育しているが、2011年の台風で崖の部分で大規模な岩石の崩落があり、植生の回復が遅れていることがわかった。
著者
金井 太一
出版者
木更津工業高等専門学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2008

土質工学・地盤工学に関するJIS試験は,現実には詳細なテクニックが必要であり,記述手順では分かりにくい作業も多い。一方,実験や作業等はeラーニングに向かないといわれているが,試験手引きの書籍の写真と違い,実際に実験室で使用する装置を使用した動画の作成により,試験手順や学習内容がより明確になると考えた。これまで培ってきた実験実習の知識や技術をeラーニングとして構築し,内容を充実させた。実施概要は主に学生実験指導を中心に,名称や操作方法・計測方法等の試験手順を解説するためのシナリオを作成し,(1)土質試験,(2)公開講座「地震ってな一に」等,(3)体験学習「地盤の液状化」等について動画と静止画,解説を実験室に設置したサーバーに収録し,Webページで利用した。動画はダウンロード時にパソコンに負担がかからないように一つの説明を1分程度に分割した。(1)は,実験器具・装置,指導上必要なJISの4試験(密度試験,粒度,液性・塑性試験),JIS試験以外の2試験(pH試験,フォールコーン試験),(2)は,講座の解説用プレゼン資料や解説用動画を同様に作成した。(3)も,(2)と同様に作成した。また,掲示板を用いて質疑応答を行い双方向で利用できるとともに,類似の質疑応答をまとめたQ&A欄も設置した。(1)は,実際に使用する試験器具を用いたので事前学習には極めて有効であった。しかし,一部試験では,Webページから直接実験データを書き込める画面を設置したが,一連のデータ入力までに手数がかかったため紙によるデータシートやエクセル画面から直接記入が有効であった。(2),(3)は,解説用には有効に機能し,参加者の進行程度に合わせて講習等を進めることができた。これらのことから学生実験やイベント参加者にとっても,その意義や解説,応用例について繰り返し確認でき,不明な点も質疑応答できたので効果的な学習と好評であったが,そのレスポンスは課題となった。
著者
藤澤 和子
出版者
三重県亀山市立亀山西小学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2010

1.研究目的知的障害のある人たちが、遠隔コミュニケーションを拡げるために携帯電話などの携帯端末で利用できるシンボルを使ったWeb版のメールシステムを開発し、特別支援学校での事例実践によりシステムの教育的な有用性と実用性を検証する。2.研究方法携帯端末に対応できるインターフェースの開発を行い、Ipad、Iphone、パソコンを使って、メールの送受信を行った。A養護学校の知的障害児童5名を対象に、クラス担任3名と、A養護学校で児童がよく知っている教師や保護者、他の養護学校教師7名が参加して、メール交換を行った。顔のイラストで送受信者を選択できるようにしたので、参加者は、事前に登録する手続きを取った。3.研究成果携帯端末用のインターフェースは、表示されるシンボルのサイズが小さくなり、一画面にたくさん並べることは難しくなるため、選択したシンボルの大きさを画面にタッチすることで自由に拡大縮小できる機能を付け、シンボルのカテゴリーに階層性を持たせることで、できるだけ多くのシンボルから選んでメールを作成できるようにした。23年1月~3月にメール使用を実施した。対象児童は、Ipadを使い、遊び時間などに自発的に、保護者や別クラスや他の学校の教師といった目の前にいない人に向けてもメールを送り、返信メールの受信を楽しみにした。児童以外の参加者も、家や学校などからIphoneやパソコンを使って、児童へのメールの返信や自発的な送信を行った。児童からのメッセージは、学校でがんばっていることや遊んでいることの報告や、遊ぼうという呼びかけ、何を勉強しているのかという問いかけなど、伝達意図は明確だった。参加者全員の総メール回数は199回に達し、本システムが時間と場所を選ばず、パソコン環境の有無などの影響を受けずにメール交換ができた利便性と遠隔コミュニケーションツールとして活用できる有効性を明らかにしたと考える。
著者
後野 昭次
出版者
豊田工業高等専門学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2010

〇研究目的:豊田高専・機械工学科の学生に対しては、様々な場面で、設計・製図・工作を行う機会がある。しかし、設計初心者である学生が設計・製図を行なう場合、寸法の記入方法に間違いが多い。なぜなら、設計初心者の学生にとって、工作・組立・測定経験が少ないため、どのような寸法記入を行えば、工作者・組立者・測定者にとって適切な寸法記入になるか実感が持てないからである。そこで、あえて間違った寸法記入の図面により製作した部品の組立・測定がスムーズにいかないことを体験させると同時に、正しい寸法記入の図面により製作した部品の組立・測定がスムーズに行えることを体験させることで、正しい寸法記入方法を理解させるための教材開発を行った。〇研究方法:主にこの教材は、機能上必要な寸法の記入方法がわかる教材を製作した。教材は、平行ピン2本と平行ピンがはまるアルミ製の部品2~3個で構成されて、寸法を記入した場所によって、組立ができたり、組立ができないものである。それは、平行ピン間に寸法が入っているものであったり、端面から平行ピンまでに寸法が入っているものなどで、計3種類製作した。〇研究成果:この教材を学生に試してもらったところ、正しい寸法記入が理解できたと答えた学生が多く、この教材の有効性が確かめられた。この教材により、机上の設計製図の学習だけでなく、実物で実感できるようにすることにより、学年が進んで、卒業研究のための部品製作のための設計製図において、適当に寸法を記入するのではなく、考えられた図面が描かれることが期待できる。
著者
丸山 華
出版者
神戸大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2008

1. 研究目的(1) 子どもたちの生活の中で使われる語彙の頻度について明らかにする。(2) 使用頻度の高い語彙から単元のテーマを決定し、年間カリキュラムを開発・提案する。2. 研究方法上記の目的達成のために、具体的に次の4点を行った。・ 外国語活動の授業において各学年約6個の活動を子どもたちに投げかけ、活動に必要な単語を子どもたちに挙げさせるなどして、子どもたちの生活に身近な語彙を集積した。・ 上記で集積した語彙を学年別・カテゴリー別にコンピュータに入力した。その結果をもとに単元を構成し、各学年の年間カリキュラムを作成した。・ 各単元の最後に使用語彙の数や種類について、テストとアンケートを行い、作成したカリキュラムの加除修正を行った。3. 研究成果(1) 高頻度語彙のリスト化児童から挙がった語彙の中で頻度の高かったものをカテゴリーに分けてリスト化した。その結果分かったことは、児童の使用する語彙は教科用図書や児童書で扱われている語彙、そのときに放映されているテレビ番組やニュース、流行に大きく影響を受けているということである。現在、小学校に外国語活動が必修化されるにあたり、教師用の参考資料が多く出版されているが、それらは一般的な語彙であり、実際の子どもの興味関心に当てはまると言い難いことが分かった。例えば、A出版社の「職業」のカテゴリーでは、野球選手、歌手、小説家、アナウンサー、ゲームプログラマーなどが挙がっているが、実際に子どもたちから挙がった職業の中で頻度の高かったものは、サッカー選手、考古学者、弁護士、幼稚園の先生などであった。高学年児童の興味関心は、予想以上に広範囲であり、さらに日本語としても高度な語彙を含んでいる。これらの差異は、地域性・時代性が大きく影響するものであるが、だからこそ目の前の児童の生活語彙を調査し、使用する必要がある。(2) 年間カリキュラムの開発使用頻度の高かった語彙をもとに、1~6年生の年間カリキュラムを作成した。低学年では主にゲームや歌を使いながらの活動、中学年ではごっこ遊び(病院・お店)を中心にした活動、高学年では実際の場面(日本文化の紹介・学校案内)を中心にした活動を配列し、同じカテゴリーの単語をくり返し使うことで英語に親しむことができるようにした。