著者
中村 明 速水 悟 津田 裕亮 松本 忠博 池田 尚志
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.1375-1389, 2009-04-15

単語間の大域的な依存関係をトピック(話題)としてモデル化する言語モデルの1つであるLDA(Latent Dirichlet Allocation)を複数個統合する方式によって,言語モデルを高精度化・安定化できることを示す.新聞記事コーパスを用いた実験の結果,提案方式では単一のLDAからなる同一規模のモデルと比較して,つねに推定精度が向上・安定化することを確認した.単一LDAでは潜在トピック数<i>C</i> = 100前後を境に性能が低下するのに対し,提案方式では過適応が抑制され,はるかに大きい総トピック数(= 各モデルの潜在トピック数の総和)まで性能が向上し続ける.また提案方式によるunigram確率を用いて<i>N</i>-gram確率(<i>N</i>&ge;2)を補間することにより,trigramのパープレキシティを従来方式より大幅に削減できる.さらに本論文では,提案方式を予測入力に基づくテキスト入力支援(predictive text entry)に応用することを想定し,テキスト入力支援に適した言語モデル評価指標i-PPを提案する.この指標はパープレキシティの拡張であり,任意文字数の読み入力時点における平均単語分岐数を表す.この指標を用いた評価の結果,提案手法では入力読み文字数<i>l</i> = 2の時点まで通常のパープレキシティと同程度にi-PPを削減でき,従来方式よりも高精度に予測候補を絞り込めることが確かめられた.
著者
沢田 篤史 小林 隆志 金子 伸幸 中道 上 大久保弘崇 山本 晋一郎
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.50, no.11, pp.2677-2689, 2009-11-15
被引用文献数
7

本論文では,我々が先導的ITスペシャリスト育成推進プログラムの一環として実施中のプロジェクト型ソフトウェア開発実習の教育プログラムと教材開発について説明する.本実習では,軟式飛行船制御の組み込みソフトウェア開発を題材に,大学院修士課程1年生がチーム開発を行う.本実習の主目標は,管理されたプロジェクト開発を経験することとソフトウェア品質向上における検証技術の重要性を理解することである.本論文では,この狙いを持って設計した実習プログラムと,開発した教材について紹介し,半年間の実習を実施した結果得られた学習成果と課題について説明する.This article presents how we have designed a project based learning (PBL) class for graduated students in the Leading IT Specialist Education Program of MEXT. Master course students form several development teams to struggle with the development of embedded software for airship control in our class. The students of this class are expected to touch with the real experience of team development in a disciplined project and to have deep understanding on the importance of verification and validation technology throughout the development of quality software. This article overviews the design of and teaching materials for our PBL class. Discussions on the results and lessons learned from the half-year operation of this class are also presented.
著者
高橋 竜男 高橋 修 水野 忠則
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.1417-1431, 2004-05-15

本論文では,モバイルコンピューティングの現状の課題として,携帯性と機能性を両立するクライアント端末が存在しないことをあげ,この解決策として,移動機を利用することを前提として設計した,新しいシンクライアント/サーバシステムを提案する.最初に,移動機を端末にするという観点,W-CDMA 網を介するという観点,モバイルコンピューティングにおける利便性という観点から,モバイルコンピューティングにおけるシンクライアントシステムに関する要件を抽出する.次に,既存のシンクライアントシステムに関して,これらの要件に対する充足度の評価を行い,その結果,要件をすべて満足しているものは存在しないことを示す.さらに,この問題を解決するために,既存方式を基礎に,GUI 仕様変換ゲートウェイの導入,移動機上での擬似GUI の提供等のカスタマイズを行った,モバイル向けシンクライアントシステム方式を提案する.最後に,作成したプロトタイプの実装およびその評価結果について述べ,提案方式の有効性を実証する.
著者
沢村 一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.216-224, 1981-05-15

R.Montagueは自然言語(英語)に現れるさまざまな種類の内包的な語法を一つの形式的体系の中に取り入れるために一種の高階の様相論理である内包論理を展開した.この内包論理はまた言語としてのプログラミング言語に現れる内包性の問題をも解決することができる.これまで様相論理に含まれるが概念とプログラムについて議論するさいに起る概念との間には意味論的および統語論的な両方の観点から密接な対応が存在するという理由で様相論理がプログラムの論証に対して適用されてきたが この能力のゆえに内包論理の一般的枠組はプログラムの論理を考えるさいに様相論理よりもより十分な表現能力を提供している.本文ではプログラミング言語の内包性にのみ注目して最初に 内包性の問題を解くために必要な言語要素を付加された内包論理について述べ 次にこの論理を基礎として Hoare論理の関数的変形となっている内包的Hoare論理(IHL)を形式化する.内包的Hoare論理は単にHoare論理の表現力に富んだ別形としてだけではなく これまで提案されてきたいろいろな算法論理とさらにはプログラミング言語と自然言語の双方に対する統一的な論理体系の可能な一つの形体であると考えられる.
著者
大瀧龍 重安 哲也 浦上 美佐子 松野 浩嗣
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.308-318, 2011-01-15

本論文では,自然災害発生時に効果的に災害救援活動を支援することを目的とした被災情報提供システムについて検討する.具体的には,災害発生直後にもシステムの運用を可能とするために,少ない通信機材でネットワークを構成すること,ならびに,避難所の存在位置の偏りに影響を受けずにバックボーン回線を実現するための指向性アンテナを有する幹線基地局を適切に配置するアルゴリズムについて提案する.また,提案したアルゴリズムの有効性を評価するために,柳井市をモデルとしたネットワーク適用例を示した結果について報告する.This paper discusses the development of a disaster information system that effectively supports disaster relief activities. The proposed algorithm designs the backbone shelter links of wireless nodes so that shelter locations are not biased, enabling the operation of the disaster information system with a small number of operators. In order to clarify the effectiveness of the proposed algorithm, this paper reports results of sample network modeled on Yanai city, constructed by the proposed algorithm.
著者
伊東伸泰 丸山 宏
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.664-670, 1992-05-15
被引用文献数
22

著者らは既存の日本語印刷文書をハイパーメディアなどのデータベースに効率よく入力・運用する目的で文書理解システム(DRS:Document Recognition System)を開発中であるが その機能の1つとしてOCRで認識された文字中から日本語文の制約を利用して誤りを検出 オペレータに警告し 可能な場合はより確からしい候補に置き換える後処理を実現した本後処理は日本語辞書と品詞間接続テーブルを参照して文法的に、成立する文字列の候補を生成した後 各単語の品詞 出現頻度 遷移確率 および認識の確からしさに基づいてコストを計算しその値が最良のものから一定値以内の候補パスを選び出すそして各カラムの文字候補について 自分自身を通る候補パスに付随するコストと他の文字を通るパスのそれから確信度を計算し その値により当該候補の入れ替えや オペレータに対する警告を行う実験によれば後処理なしで95%程度の認識率であったデータで認識率が約99%に向上し 検出されなかった(言い換えれば入れ替え 警告のいずれも行われなかった)誤認識文字は02%程度にとどまった候補パスを見出す探索には動的計画法とピームサーチを用いることで 803866(25MHz)のパーソナルコンピュータ上で約27文字/秒の実行速度が得られた
著者
富樫 雅文
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.30, no.7, pp.839-848, 1989-07-15
被引用文献数
1

新しい和文入力方式として超多段シフト方式を提案する.従来の各種入力方式の長所を継承するために 多段シフト方式からキーヘの漢字の多重配置を コード入力方式から漢字のコード化を また 仮名漢字変換からは 入力のてがかりとしての読みの利用を各々取り入れた.入力には標準鍵盤を使用し あらかじめ 各キーに漢字を多重配置しておく.漢字の入力には まず 読みを入力して鍵盤を仮想的にシフトし 漢字の配置されたキーを次に打鍵して漢字を一意に指定する.これは シフト段数が2 943段に及ぶ超多段シフトである.パーソナルコンピュータ上で 本方式による和文入力システムを実現した.本方式のための漢字配列の決定と 操作性向上のための若干の工夫および使用方法について説明する.また 本方式による和文入力速度を 学習を伴う打鍵モデルに基づいて予測し 200時間の訓練後で毎分137字という結果を得た.超多段シフト方式は 初心者には仮想鍵盤の表示と目視打鍵による対話型のインタフェースを また 熟練者には可変長コードの触指打鍵入力による一方的インタフェースを提供する.
著者
藤井 薫和 重信 智宏 吉野 孝
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.63-71, 2007-01-15
被引用文献数
23

異文化間コミュニケーションにおいて,言語や文化の違いは大きな障壁である.多くの人にとって,新たな言語を習得することは大きな負担であり,お互いの母国語で円滑なコミュニケーションが成立することが望ましい.本研究では,機械翻訳機能と語句への意味づけ(アノテーション)機能を持たせたチャットシステムAnnoChat を開発し,日本人,中国人,韓国人の間のコミュニケーションに適用し,異文化間コミュニケーションにおけるアノテーションの評価を行った.実験の結果,被験者によって付与されたアノテーションの約7 割は,チャットのコンテキストに依存しない知識情報であり,蓄積し共有することで異文化間コミュニケーションにおける有用な知識情報になると考えられる.また,約2 割はチャット中に説明できなかった情報を補足するために利用されており,リアルタイムコミュニケーションにおいてチャット中のアノテーション付与が有効な例であると考えられる.In intercultural communication, there are large barriers because the languages and cultures are different. We think that it is preferable for people to communicate smoothly with their own mother tongue. Therefore, we have developed a chat system named AnnoChat. AnnoChat has an annotation function for smooth intercultural communications. AnnoChat was applied to experiments carried out among the Japanese, Chinese, and Koreans. From the results of the experiments, about 70% of the added annotations are reusable for intercultural knowledge information. About 20% of the added annotations are used to supplement information that could not be described while chatting. It is thought that this is an effective example of applying the annotation in real-time communications.
著者
三浦憲二郎 王國金
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.436-446, 1993-03-15
被引用文献数
1

C2Gregoryパッチは,曲率が連続となる曲面を生成する目的でMiuraらによって開発された自由曲面表現式である。Gregoryパッチの部分領域がGregoryパッチで表せないのと同様、C2Gregoryパッチの部分領域もC2Gregoryパッチにならず、分割法によってパッチと直線やパッチと平面、パッチ同士の交点、交線等を算出することができない。そこで本研究では、それらのパッチの部分領域に対する境界額を提案し、それを用いてパッチと直線との交点を算出する薪しいアルゴリズムGregoryクリッピングを開発した。その応用例としてC2Gregoryパッチに対してレイトレーシングを行い本研究で提案した境界箱の有効性を示した。
著者
浅川 智恵子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.34, no.8, pp.1844-1852, 1993-08-15
被引用文献数
6

パーソナルコンピュータの普及に伴い、福祉の世界で、コンピュータを使えば障害の一部もしくは、多くの部分が代行できるのではないかという期待が高まっている。実際、障害者を支援する目的で、さまざまな機器の研究、開発が進められている。筆者らはその中で、視覚障害者の情報源の拡大、職域の拡大および教育環境の改善を目標にソフトウェアの研究、開発を進めてきた。本論文では、教育環境の改善を目標に試作した点字英和辞書検索システムについて、点字データの作成からシステム開発に至るまでの経過を報告する。一冊の図書を点訳すると、そのぺ一ジ数は数倍から数十倍になる。辞書のような1ぺ一ジ当たりの情報量の多い書籍になると、数百倍になるといわれている。そのため、点字本をどうやって保存、利用するかは視覚障害者にとって大きな問題である。また、数百巻に及ぷ点字辞書を引くことは大変な作業である。そこで、量的な問題から、中級クラス以上の英語辞書の点訳および出版はこれまで行われていない。そのため、大学や大学院等の高等教育機関で英語を勉強していくことは大変困難であり、語彙数の豊富な、内容の充実した英和辞書をコンパクトな形で使用したいという強い希望があった。このような問題を解決するため、筆者らが開発した点宇編集プログラムBEを使ってコンピュータ点訳された、小学館発行のプログレッシブ英和中辞典を利用して、点字英和辞書検索システムの研究開発を行った。本システムの使用にあたっては6点点字が完全にサポートされており、視覚障害者は通常のキータッチを知らなくても使用可能であるまた、検索した内容を確認するため、点字ピンディスプレイの接続を可能にした、これにより、視覚障害者は、通常読み書きしている点字と全く同様の形で、本システムを利用することができる。辞書データのサイズは約15MB、トライ法を参考に作成したインデックスは約3MBとなり、全体で20MB必要とするだけである。これは、ノート型のパーソナルコンピュータでも稼動可能な容量であるため、上記にあげた問題点をすべて解決することができた。点字ビンディスプレイはパーソナルコンピュータのディスプレイとは違い、一回に一行しか表示できないため、検索された単語の説明文をすばやく読めるよう、いくつかのジャンプコマンドを用意し、調べたい意味や熟語等をすばやく捜し出せるようにした。本システムは現在全国69の盲学校および10人の盲学生に利用されている。
著者
住田 智雄 土田賢省 伊東克能
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.544-554, 2008-02-15

本稿では,高能率大容量ファイル転送方式NBT on XCAST とその視覚化手法を提案する.著者らのNBT on XCAST は,蓄積型大容量ファイルを効率的に配信し,サーバにおけるファイル転送処理の軽減とネットワークの帯域消費量の最小化を目的としている.しかしながら,ただ単に,NBT on XCAST を採用するだけでは,サーバや各ルータの個別の動作状況は別にして,全体の状況は把握しにくい.このことから著者らは,さらにこのプロトコルの視覚化手法を開発し,従来は把握しにくかった全体像,特にデータの流れやサーバ,ルータ,各クライアントの動作状況を把握することを目指す.著者らの提案する視覚化方法においては,クライアントやルータを頂点,通信媒体を辺,帯域幅を辺の重みとするグラフを用いて表現する.また,本稿では,提案する視覚化手法によりどのように効率化されるかについても考察する.We propose a method to visualize the non-ordered block transfer on XCAST (NBT on XCAST) protocol. This protocol efficiently transfers large-capacity files by reducing file transfer processing in the server and minimizing the bandwidth consumption in the network. However, it merely uses the individual operation status of the server and each router, but the status of the whole system is difficult to understand. We developed our visualization method to understand the operation status of the whole structure, especially the data flow, server, router, and each client. In this visualization method, vertices, edges, and weight of edges represent clients and routers, communication lines, and bandwidths, respectively. Moreover, we investigated how to make the protocol more efficient using this method.
著者
中山 寛 曽根 光男 高木 幹雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.91-100, 1989-01-15
被引用文献数
24

気象衛星画像では 雲頂高度の低い雲と積雪とが同程度の輝度温度になるので 輝度温度のみを用いて雲と積雪とを分類することは難しい.そこで 本文では気象衛星NOAAの赤外画像を対象とし 雲と積雪との分類 雲の種類の分類をフラクタル次元と低次統計量とを用いて階層的に行う手法を提案する.なお フラクタル次元とは 形状の複雑さを表す非整数次元であり 本文では 画像濃度面の起伏の複雑さを表す特徴量とする.本手法の有意性をグランドトルースを用いて検証する.また 従来の統計的なテクスチャー特徴量を用いる手法と本手法とを認識率 処理時間で比較して 本手法の有効性を示す.
著者
屋代 智之 松下 温
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.42, no.7, pp.1781-1789, 2001-07-15
被引用文献数
20 8

ITSを実現するためには,移動体である車両が周囲の車両や道路側設備と確実な通信を行うことが必要となる.従来は周囲の車両との通信は車々間通信,路側機器との通信は路車間通信と,それぞれ別個のものとして設計,開発が行われてきたが,車両が安全に走行するためには,両者はともに不可欠な通信手段である.本論文では,CDMAを用いて車々間通信と路車間通信を統合した通信システムを構築するためのプロトコルI--WarpIIを提案する.I--WarpIIでは,車々間通信にDPAと呼ばれる動的に符号系列を割り当てる方式を用い,それを拡張する形で路車間通信も可能とする.路車間,車々間通信が統合されることにより,それぞれの通信システムでの問題点の解決が容易となる.路車間通信では,シャドウイングの解決が最も重要な課題であるが,I--WarpIIでは,これを解決するために代行登録という手法を導入し,加えて車々間通信を活用することでシャドウイングによる通信断絶を最小限に抑えることを可能とする.車々間通信は通信相手がインフラではなく,別の車両であるため,ある程度車載機器が普及するまでは通信機器が意味をなさないという問題点がある.I--WarpIIでは,そのような場合でもインフラが整備されれば路車間通信として利用可能であり,初期の普及が大幅に容易になると思われる.To realize ITS, it is necessary that each vehicle has a function ofreliable communication with surrounding vehicles and roadsideequipments. The traditional ways of design and development ware realizedas a different technique, nevertheless both communications areindispensable to ensure the safety driving.In this paper, we propose a novel protocol I--WarpII to construct thecommunication system which integrates inter-vehicle communication (IVC)and vehicle-to-roadside communication (VRC).With I--WarpII, VRC is realized by extends of IVC method calledDPA (Dynamic PN-code Assignment). A solution of the problem with eachcommunication system becomes easy by integrating. By using I--WarpII,a shadowing problem that causes serious VRC error is solved by the methodnamed registration proxy. In addition, the use of IVC should be madepossible to restrain the effects of communication error of VRC caused bythe shadowing problem. In IVC, there is a problem that communicationequipment doesn't make sense until the equipment comes into wide use becausea partner of communication is not an infrastructure but another vehicles. If an infrastructure is prepared even in such a case,it can be used for VRC, and it considers that early diffusion of IVCequipment becomes drastically easier with I--WarpII.
著者
島田 哲夫 多田 幸生
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.302-310, 1989-03-15
被引用文献数
3 3

三次元グラフィックスシステムを用いた設計やロボット動作のオフライン教示において 操作性の良い入力方式が必要となる.現在 CADやロボットシミュレータを用いて 設計工程や作業工程の自動化が求められているが 対象が自由曲面である場合 コマンドメニュや言語の組合せによって 曲面モデルの形状処理を行うことは非常に困難である.位置情報を入力する装置としてロケータがあり 従来より 三次元座標の入力に三次元ロケータを用いる手法が提案されているが 曲面形状上をなぞるなどの処理自体がむずかしく 操作性に問題があるという指摘がされている.そこで 作業対象である曲面上を確認しながら しかも曲面から離れた任意の場所に基準点の位置指定ができ 操作性の良い三次元の入力が必要となる.本論文では 対象である自由曲面モデルの展開形状を基準平面とし それぞれの点において 法線方向に可変のオフセット成分を付加した三次元領域を定義域にもつ入力システムを提案する.そして 航空機に用いられているハニカムサンドイッチなどの複合材やタクト・鋼管などの金属溶接部分の欠陥を見出すための超音波探傷用ロボットシミュレータを対象とし 本手法を適用した例をあげる.
著者
小鹿 明徳 Ojika Akinori 有田 隆也 Arita Takaya
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:03875806)
巻号頁・発行日
vol.38, no.8, pp.1509-1516, 1997 (Released:2008-09-12)

自然界に存在する生物の体表の模様は,蝶の羽に典型的に見られるように非常に多様である.これ らの模様は偶然性のみによって作られたものではなく,その生物の生息する環境や生存競争により, 自分にとって有利な模様へと進化した結果と解釈することができる.本研究では,このような進化を 引き起こす要因として捕食者と被食者間の相互作用に着目し,その共進化メカニズムを抽象化し,カ ラーパターンを生成,進化させるモデルを設計し,人工生命的手法を用いた創発システムを計算機上 に実現した.それに基づき,カラーパターン生成における共進化のダイナミクスを解析する. Surface patterns of Organisms that exist in nature are various, - for example those of butterflies. These patterns have been created not only by random processes but also by evolutionary processes based on the interactions between predators and prey. This paper reports our efforts to abstract the evolutionary mechanism of color pattern generation and color pattern recognition, and to construct a model in which coevolutionary dynamics automatically generates such various color patterns as is observed in nature one after another.
著者
金藤 栄孝 二木 厚吉
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:03875806)
巻号頁・発行日
vol.45, no.9, pp.2124-2137, 2004-09-15

Dijkstraのgoto文有害説とそれに引き続く構造的プログラミングの提唱以降,goto文の使用に関する問題は永く議論された.goto文の使用法に関し理論的裏付けを持つ研究としては,逐次的プログラムでの任意の制御フローは順次接続・条件分岐・反復の3基本構追のみで表現可能であるという結果に基づくMillsらのgoto文排斥論以外は皆無である. Dijkstra本来の正しさを示しやすいプログラムを害くための構造化という立場一つまりプログラム検証論の立場-からのgoto文使用の是非は考察されていない.本論文では検証手段としてのHoare論理に基づき有限状態機械モデルに基づくプログラミングでのgoto文の使用を検討する.その結果,状態をラベルで表し状態遷移をgoto文での飛び越しで行うプログラミングスタイルが,状態を表す変数を追加しgoto文を除いたプログラミングスタイルと比べ. Hoare論理による検証での表明が簡単で自然な形となり機械的検証の時間的コストも少ない.ゆえにプログラムの正しさの示しやすさという観点からは有限状態機械モデルに基づくプログラミングでの状態変数導入によるgoto文除去は有害でありgoto文を用いたスタイルの方が望ましいことを示す. : There have been a vast amount of debates on the issue on the use of goto statements initiated by the famous Dijkstra's Letter to the Editor of CACM and his proposal of "Structured Programming". Except for the goto-less programming style by Mills based on the fact that any control flows of sequential programs can be expressed by the sequential composition, the conditional (if-then-else) and the indefinite loop (while), there have not been, however, any scientific accounts on this issue from the Dijkstra's own viewpoint of verifiability of programs. In this work, we reconsider this issue from the viewpoint of Hoare Logic, the most standard framework for correctness-proving, and we see that the use of goto's for expressing state transitions in programs designed with the finite state machine modelling can be justified from the Hoare Logic viewpoint by showing the fact that constructing the proof-outline of a program using goto's for this purpose is easier than constructing the proof-outline of a Mills-style program without goto by introducing a new variable.
著者
新井 イスマイル 川口 誠敬 藤川 和利 砂原 秀樹
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:03875806)
巻号頁・発行日
vol.48, no.7, pp.2319-2327, 2007-07-15

近年,口コミ情報サイトを例とする,ユーザの行動を基にした店舗・施設の検索サイトが注目されている.これらの検索サイトでは,位置に基づいた検索が可能であることと,店舗・施設に対して複数のユーザからの第3 者の評価情報が取得できることが求められている.しかし,商用の検索サイトには広告収入や検閲の影響により,被評価店舗にとって不都合な情報が現れにくく第3 者の評価情報の提供に問題がある.また,従来の情報取得手法ではWWW 上の情報をすべて収集し,複雑な自然言語処理によって位置に基づいた評価情報を抽出する作業が必要となり,サービス構築コストが膨大となるという問題がある.そこで本研究では従来の全文型検索エンジンを活用し,目的の分野を示すキーワードと商用検索サイトを除外するキーワードを組み合わせることによって目的の第3 者の評価情報を収集する手法と,単純な形態素解析と文字列のパターンマッチングを用いた文字列処理によって住所を抽出する手法を提案する.この手法に基づいてWeb インデクサを評価した結果,一度の収集のうち44%が目的とする個人サイトであり,位置情報の取得再現率が59%という結果が得られた.
著者
吉田 年雄
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.51, no.8, pp.1394-1401, 2010-08-15

本論文では,$x M^{2}_{u}(x)=x\{J_{u}^{2}(x)+Y_{u}^{2}(x)\}$について,変数$x$が大きい場合の能率的な計算法を提案している.ここで,$J_{u}(x)$および$Y_{u}(x)$はベッセル関数である.$xM_{u}^{2}(x)$は$xM_{u}^{2}(x)=(1/\sqrt{t})M_{u}^{2}(1/\sqrt{t})=f_{u}(t)$のように書くことができ,$f_{u}(t)$は,微分方程式$8t^{3}f_{u}'''(t)+36t^{2}f_{u}''(t)+\{(26-8u^{2})t+8\}f_{u}'(t)-(4u^{2}-1)f_{u}(t)=0$を満足する.上式に$\tau$法を適用すると,$f_{u}(t)$の近似式が求められ,式の変形や工夫を行うことより,能率的な計算式が得られる.
著者
岩本 善行 澤田 東 阿部 大輝 澤田 康雄 大津 金光 吉永 努 馬場 敬信
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.1663-1671, 1998-06-15
被引用文献数
5

本稿では,並列処理の性能に大きな影響を与えるメッセージパッシング処理を高速化するための,2つの手法を提案する.第一に,従来のソフトウェアによるOSで行っていたものを,よりハードウェアに近いファームウェアによって実現する方法と,第二に,これから到着するメッセージをプロセッサのアイドル時に予測して投機的に先行実行する受信メッセージ予測の手法である.これらの効果を実験的に調べるため,A?NETマルチコンピュータに実装し評価を行った.その結果,受信処理のファームウェア化により,アプリケーションによって最高で約6.3倍の高速化が達成され,また受信メッセージの予測によるメッセージ転送の高速化法では,1回の予測あたり80.7マシンサイクルの先行実行を行えることが明らかになり,その有効性が確認できた.Message passing significantly affects the performance of parallel processing programs.This paper proposes two methodologies for high performance message passing.The first method implements the message receiving function using firm-ware instead of conventional OS software.The second method predicts message receptions when a processor is idle,and executes,speculatively,the message reception process.We implemented and evaluated these methodologies on the A-NET multicomputer.The experimental results show that the speedup ratio for the first method is about 6.3 times and second method can achieve savings of approximately 80.7 machine-cycles per one prediction.
著者
熊谷 正俊 伏木 匠 横田 孝義 佐野 豊 鈴木 研二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.45, no.12, pp.2696-2705, 2004-12-15
被引用文献数
5

本論文では全国規模の交通情報サービスを目的とした所要時間長期予測手法を提案する.この手法は曜日/祝祭日/季節/五十日等の多様な因子を加味した予測が可能であり,全国域の大規模なデータをコンパクトな予測モデルで取り扱うことができる.その基本となる考え方は,たとえば朝夕の渋滞に相当するような複数の基底データが日付に応じた強度で合成され,所要時間データを構成しているというものである.この考え方に基づけば,所要時間データは日付によって変化しない基底データと,日付によって変化する合成強度とに分解され,曜日等の因子と関連づけて予測すべき情報は後者のみである.基底データと合成強度への分解には,主成分分析を用いた特徴空間射影が利用可能であり,合成強度に関する予測は特徴空間上で行われる.所要時間データ空間に比べて低次元化されていることから,特徴空間上では予測モデルを肥大化させることなく,高精度な予測処理を行うことが可能である.特徴空間からの逆射影は分解された基底データの合成による所要時間データの復元に相当し,特徴空間上で予測された合成強度の逆射影により所要時間データの予測値が得られる.実際の所要時間データを用いた評価により,この手法が予測精度の効率的な改善に有効であることが確認された.We propose a travel time forecast method for nation wide traffic information services. This method can deal with various "day factors" which traffic condition depends on, e.g. days, seasons, and vacations, without complicated local parameter setting. It also has the advantage in both the size of the database and the amount of the calculation for forecasting. The basic idea of the method is that travel time data consists of the weighted sum of several "feature bases" which represent characteristic traffic patterns such as congestion in morning or evening. The feature bases are the information which is independent of the day factors; in contrast, the information to be forecasted according to the day factors is weighting coefficients of the feature bases. The feature bases are given by the feature space projection using principal component analysis, and the forecasting process for the weighting coefficients is performed in the feature space. Since the dimension of the feature space is smaller than that of the travel time data space, the method can achieve an accurate forecasting process with a small database and a little amount of calculation. The information of the feature bases are restored to the forecast data of travel time by the inverse projection from the feature space. Evaluation results show that the method efficiently improves the forecast accuracy for wide-area applications.