著者
倉島 顕尚 前野 和俊 市村 重博 田頭 繁 武次 將徳 永田 善紀
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.2487-2496, 1999-05-15
被引用文献数
10

モバイルグループウェアのコンセプトは 無線通信端末による任意の場所での協同作業の支援という形で 人と人とのコミュニケーションに役立つものとして 携帯端末に新しい付加価値を与える. そのモバイルグループウェアシステムの1つの実現形態として ここでは携帯端末を持ち寄った人々が集まった場での協同作業を支援するシステム「なかよし」を提案する. 「なかよし」の目的は 無線通信機能を持った端末さえあれば 他の機材をいっさい必要とせずに 任意の人々とその場で協同作業できる環境を用意することにある. このシステムを実現するにあたり アドホックネットワーク生成技術や グループ管埋の分散化のための技術 端末間の通信インフラとしてのPHS子機間パケット通信技術 「なかよし」に適したグループウェアのアプリケーションの実現技術について検討し 実装と評価を行った. アドホックネットワークは 端末が互いに直接通信できる状態のときに その場所で形成する一時的なネットワークである. 「なかよし」では その中にグループを作り 協同作業のためのアプリケーションを動作させる. 試作システムでは アプリケーションとして分散プレゼンテーション ファイル配布など会議というオフィスユースを念頭においたものを用意したが アプリケーションを置き換えることで教育やホビーに あるいは情報提供サービスなどへ応用できる.The "mobile groupware" concept, which provides a location-free collaboration environment, has given rise to new applications for mobile computers (MCs) with wireless communication equipment. We propose a mobile groupware system called "Nakayoshi" which enables much more flexible group computing at local areas than is possible with current network technology. A practical mobile host architecture and a new network management technology, allow users to freely establish or enter and leave the network at any time. Our original PHS packet communications protocol provides the communications infrastructure. With these three software-based technologies, MCs only need to be equipped with a low power radio modem for a network to be established. In the resulting system, one MC is assigned to act as server and guarantee the communications infrastructure, and then the necessary wireless network set-ups are completed. The system gives MC users the flexibility to hold conferences and seminars, or work jointly on electronic files and presentations from preferred indoor or outdoor locations. Apart from the more immediate business application possibilities, the system could also be used, for example, by teachers and students for classes whose composition changed with time. Additional possibilities are for use in homes and outdoors.
著者
石井 茂如 滝沢 穂高
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.412-420, 2012-01-15

本研究の目的は胸部X線CT画像から肺結節(肺がんの候補)を検出するための計算機診断支援(CAD)システムを開発することである.我々のCADシステムの最も重要な構成要素の1つとして,結節と血管の3次元物体モデルを用いた結節認識手法であるモデルマッチング法を提案している.この手法は高い精度で結節を認識可能だが,いまだ十分ではない.そこで,本論文ではモデルマッチング法に以下の3つの改良を加える.第1に,肺野内血管の位置とサイズとの関係を表す統計的な分布モデルを構築する.これを事前知識として利用することによって,より信頼性の高い血管モデルを生成し,認識率を向上させる.第2に,血管に隣接する結節を認識するために結節モデルと血管モデルを組み合わせた新たなモデルを導入する.第3に,単円筒モデルを用いた新たなアルゴリズムを用いることで最適モデルの探索を高速化する.これらの改良を8mmスライス間隔のCT画像98例に適用したところ,TP率90%でのFP数を従来法の15.5[個/症例]から9.2[個/症例]に削減することができ,本手法の有効性が確認された.
著者
安田 光 井上 亮文 市村 哲
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.81-89, 2012-01-15

現在のプログラミング講義・演習科目では,完成したソースコードを示して解説する手法が主流であるが,この手法では,学生がエラー解決方法を習得することが難しいという問題がある.そこで本研究では,ティーチングアシスタント(TA)が学生にエラーの解決方法を教えている状況を動画記録し,学生とTA間で共有することができるプログラミング演習支援システムを構築した.本システムは,TAが学生のトラブルを解決している過程を記録して資料化するクライアントツールと,この資料を閲覧できるようにする資料閲覧サイトから構成されている.評価実験の結果,トラブルを解決している過程を記録して資料化することに一定の有用性があることが示唆された.Recently, programming class is mostly done using electronic slide-show that shows completed source codes. It is difficult, however, for students to learn how to resolve errors. In this paper, we propose a process-recording-based programming education system composed of the process-recording tool that produces a video file and the process-recording material viewing sites where the process-recording material shows how to solve problems in programming. As a result of the experiment, recording the process of debugging and sharing it were proved somewhat effective to teach how to resolve errors.
著者
橋本 浩二 知念 正 佐藤 純 柴田 義孝
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.337-346, 1998-02-15
被引用文献数
10

圧縮法を用いたビデオデータはフレームごとにそのデータ量が異なる.ビデオデータをユーザに提供するクライアント/サーバシステムにおいて,圧縮したビデオデータを使用する場合,その実時間性を保証し,フレームレートを一定に保つためには可変ビットレート転送を行う必要がある.また,クライアント/サーバおよびネットワークの負荷変動により発生するパケット紛失は,画質の劣化やフレームレートの低下を引き起こす.本論文では,可変ビットレート転送としてGoP一括転送方式とフレーム転送方式の2つの方式を提案する.また,負荷変動によりパケットが紛失した場合でもビデオサービスの実時間性を保証するために,パケット間隔制御法とフレームレート制御法を提案する.パケット間隔制御は,動的にパケットを調整することでパケット紛失率を抑制する.フレームレート制御は,クライアント側の実効フレームレートをサーバ側にフィードバックし,必要なら送信フレームを間引くことでフレームレートを調整する.我々は,これらの転送方式と制御法を導入したパケット オーディオ・ビデオシステム(PAVS)のプロトタイプを構築し,性能評価を行った.結果,これらの転送方式と制御法の有効性が確認できたので報告する.In client/server system where compressed video data are transmissed from video server to userclient over highspeed network,variable bit rate transmission method is required to maintain the video frame rate constant because the amount of data of each video frame varies from time to time.On the other hand,video quality and frame rate degrade when packet loss occured when CPU loads on the client/server or the network traffic increases.In this paper,two variable bit rate transmission methods: Group of Picture transmission and frame transmission methods are newly introduced.We also introduce both a packet rate control method to reduce the packet loss controlling the inter-packet time interval and a frame rate control method to maintain the frame rate constant by controlling the transmitted frame rate on the server based on the feedback signal with set frame rate from the client.We implemented a prototyped Packet Audio/video System (PAVS) to evaluate performance of the packet rate control and Frame rate control functions.Through this performance evaluation of PAVS,we could justify the usefulness of our suggested control methods.
著者
今野晃市 高村 禎二 千代倉 弘明
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.33, no.9, pp.1133-1142, 1992-09-15
被引用文献数
1

複雑な自由曲面形状を定義するための一般的な手法として曲面の境界曲線を定義し その境界曲線を自由曲面で内挿する手法がある入力された境界曲線は 設計したい物体の大まかな形状を表しているよって この曲線に囲まれた領域を自由曲面で内挿する場合には 設計者の意図どおりの自由曲面が生成されることが重要であるしかし 曲線メッシュの形状によっては うねった曲面が生成されることがあるまた 設計する形状によっては 生成される自由曲面はG^2連続になることが要求されるそこで本論文では このような問題を解決した自由曲面の内挿法を提案する本手法では 境界曲線がG^2連続である場合に G^2連続なパッチで曲線メッシュを内挿するまた このように内挿されたパッチに対して G^2連続性を保ったままでパッチの形状を変更する方法について述べる
著者
Harumasa Tada Nobutoshi Todoroki Kazufumi Fukui Masahiro Higuchi
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.42, no.9, pp.2328-2338, 2001-09-15

Hierarchical naming has been used in file systems for the last several decades.As the number of files stored in file systems increases the weakness of hierarchical naming is getting recognized.Some researchers have proposed hybrid naming schemes whichintroduce attribute-based naming into hierarchical naming.However they are unsatisfactory or too complicated.In this paper we propose a hybrid naming scheme called HK (Hierarchical-Keyword-based) naming.In HK naming a file is named by a set of keywords and keywords are organized hierarchically.It integrated hierarchical naming and attribute-based naming in a simple way.To show the practicality of our naming scheme we implemented the prototype of the filename management system on UNIX file systems.
著者
緒方 健人 ウィリアム クリスマス ジョセフ キットラー ジュークイ タン 石川 聖二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.1166-1175, 2007-03-15
被引用文献数
2

本論文では,Efros ら(2003) のモーションディスクリプタおよびKe ら(2005) のイベント検出器の組合せに基づく動作検出手法を提案する.両手法の直接の組合せは,AdaBoost の学習アルゴリズムとKe らの弱識別器の特性によって動作検出器の学習の計算時間が増大するという問題がある.よって,本研究ではこの問題を解決するため弱識別器の次元を拡張した改良型組合せ手法を提案する.また,さらなる高速化のため,学習にLook Up Table を導入する.実験では,実際の放送に用いられたテニスの映像に提案手法を適用し各種ストロークの検出を試みた.性能を評価するため,Efrosらの手法,Ke らの手法および直接の組合せ手法も適用し結果を比較した.実験結果より,提案する組合せ手法は認識率および計算時間の両面で元となった手法の良い特性をあわせ持つこと,また改良型組合せ手法は直接の組合せによる検出器とほぼ同じ性能でありながら,LUT との併用により学習に要する計算時間を大幅に削減できることが確認できた.A new, combined human activity detection method is proposed. Our method is based on Efros, et al.'s (2003) motion descriptors and Ke, et al.'s (2005) event detectors. Since both methods use optical flow, it is easy to combine them. However, the computational cost of the training increases considerably because of the increased number of weak classifiers. We reduce this computational cost by extending Ke, et al.'s weak classifiers to incorporate multi-dimensional features. We also introduce a Look Up Table for further high-speed computation. The proposed method is applied to off-air tennis video data, and its performance is evaluated by comparison with the original two methods. Experimental results show that the performance of the proposed method is a good compromise in terms of detection rate and computation time of testing and training.
著者
秋谷 直矩 丹羽 仁史 岡田 真依 山崎 敬一 小林 貴訓 久野 義徳 山崎 晶子
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.302-313, 2009-01-15

高齢者介護施設において,高齢者とスムーズにコミュニケーションができるロボットを開発するためには,まず,「いかにしてロボットと高齢者がコミュニケーションチャンネルを確立するのか」ということを考えなければならない.そこで,高齢者介護施設における複数人環境でのケアワーカーと高齢者のコミュニケーションチャンネルの作り方を観察した.分析方法として,社会学の一領域であるエスノメソドロジーを用いた.そこでは,行為を始めることを可能にする「対応可能性」,指向の重なりを示す「受け手性」,そして指向の重なりを参与者相互が理解したことを示す「理解の表示」という一連の手続きの制度的特徴が見られた.この調査結果をリソースとして,ロボット開発を行った.その印象評価実験を行ったところ,開発したロボットがユーザに親近感や安心感を与えることが分かった.この実験の結果は,本稿の取り組みが一定の有効性を持つということと,人びとの日常的実践の場面において社会学の手法を用いて調査し,その結果を開発に生かすということの方法論的意義を示した.
著者
中村 健二 田中 成典 古田 均 吉村 智史 北野 光一
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.7, pp.2480-2492, 2008-07-15

近年,インターネットを利用した日常的な情報収集活動において,即時性と信頼性に優れたWebニュースは人々の情報源として広く活用されている.しかし,日々時々刻々と増加する膨大な数のWebニュースから特定のトピックだけを抽出することは困難である.そのため,文書間の類似度を利用してトピックを分類する研究や時系列的な特性に基づきトピックを抽出する研究が活発に行われている.しかし,これら既存研究では,文書中に出現する単語群に依存した分類しかできず,また任意の期間に発生するトピックに適切な単語を関連付けできないという課題がある.そこで,本研究では,時系列的な特性に基づいて抽出したバースト語を用いて,バースト語間の関連を考慮した最新のトピックを抽出する手法を提案する.そして,既研究の従来手法と比較実験を行い,本提案手法の有用性を実証する.
著者
細川 利典 平岡 敏洋 太田 光保
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.1736-1744, 1999-04-15
参考文献数
21

順序回路に対するATPGを困難にする構造として平衡再収斂構造を定義し 平衡再収斂構造の段数を削減するアプローチと 経路数を削減するアプローチについて 故障検出効率が十分に上がらない(83?95%)実際の無閉路順序回路を用いて スキャン化率と故障検出効率の解析を行った. その結果 平衡再収斂構造の経路数を削減するアプローチが より少ないスキャン化率で十分に高い故障検出効率(99%以上)を達成できるという点で効果的であることが分かった. また平衡再収斂構造の経路数を削減するアプローチは従来故障検出効率の向上に効果的であると知られている順序深度を削減するアプローチよりも効果的であることが分かった.We define a balanced reconvergence structure that makes ATPG for sequential circuits difficult. We compared an approach that reduces the number of paths of balanced reconvergence structures (path reduction approach) with an approach that reduces the depth of balanced reconvergence structures (depth reduction approach) for practical acyclic sequential circuits the fault efficiencies of which are not enough high. Experimental results show that the path reduction approach is more effective than the depth reduction approach because fewer scan flip-flops are required to achieve a high fault efficiency (99%). The results also show that the path reduction approach is more effective than a conventional sequential depth reduction approach.
著者
高橋 友一 島 則之 岸野 文郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.31, no.11, pp.1-8, 1990-11-15
被引用文献数
21

図表 写真を含むマルチメディアデータベースの検索には テキスト情報による検索に加え画像の内容に言及した内容検索が必要に態ろ著者名といったテキスト情報のほかに「誰々の絵で 富士山が真ん中にあった絵」のように画像のイメージに関する内容検索を行うには 画像データのインデックス情報と書籍による問い合わせ内容を照合することが必要である本論文では 二次元の図形画を対象に 画像に含まれる特徴的な対象の近似多角形の頂点座標を画像インデックスとし 言語による問い合わせに含まれる位直関係を検索キーとする内容検索法を提案する.まず 定性的な関係である位置関係の持つ漠然さの表現方法について述べる次に 頂点座標を用いた位直関係のルール表現とルールを用いた頂点座標と問い合わせに含まれる位置関係の照合方法について述べる.最後に 言語による問い合わせに含まれる位置関係を検索キーとして画像の内容検索を行う画像データベース検索システムSPAエ狸 および浮世絵画像と文書画像データベースの検索結果について述べる.
著者
嶋村 誠 河野 健二
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.50, no.9, pp.2371-2381, 2009-09-15

バッファオーバフロー攻撃に代表されるリモートコードインジェクション攻撃が大きな問題となっている.このような攻撃を検知するため,近年ではメッセージ中に機械語命令列に相当するバイト列が含まれているかどうかを検査するネットワーク侵入検知システム(NIDS)が提案されている.しかし,これらのシステムでは検知した攻撃コードが実際にサーバ上でどのように振る舞うかは分からない.このため,NIDSが攻撃を検知すると,管理者は適切な対策をとるため,人手で攻撃コードの振舞いを調査しなければならない.本論文では攻撃メッセージを解析し,攻撃コードの振舞いを抽出するシステムであるYataglassを提案する.Yataglassでは,NIDSが検知したメッセージを機械語命令列と見なして擬似的に実行し,攻撃が成功したときに実行されるシステムコール列を抽出する.実際にIntel x86アーキテクチャのLinuxおよびWindowsに対する攻撃メッセージを対象としたYataglassのプロトタイプを作成し,実験を行った.実験の結果,Sambaを対象とする攻撃メッセージや,Metasploit Frameworkから生成された攻撃メッセージが実行するシステムコールを抽出することができた.
著者
柿崎 淑郎 吉田 慶章 辻 秀一
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.604-612, 2010-02-15

属性情報は個人などの主体が持つ属性,権限,職責,資格,地位などであり,電子商取引やWebサービスなどにおける認可の根拠として用いられる.属性情報は個人情報の一部として厳密に扱われる場合も多く,情報流出時の影響範囲を考慮した管理が必要である.分散管理は集中管理に比べ,情報流出時の影響を抑えることはできるが,管理される情報が複数箇所に分散されるため,情報の利便性は低下する.本提案方式は,分散管理された属性情報を一意に指し示す方法としてURI,属性情報どうしの関係性を示す方法としてRDFを用いることで,属性情報の有効利用と有効性検証を可能とする属性情報の分散管理方式である.分散管理されている属性情報へのアクセス方法をIDプロバイダが集中管理し,アクセスをリダイレクトすることで,属性情報の利用者に対して集中管理と同じ利便性を保ちつつ,分散管理と同じ安全性を実現とする.また,属性情報は分散管理されるため,情報流出が発生した場合の影響を局所化できるとともに,RDFによって分散管理されている属性情報どうしの関係を示すことで,属性情報の検証者はより厳密な属性情報の検証が可能となる.The attribute information of a subject may be an authority, a qualification, a position, etc., and it is used to authorize the e-commerce and the Web service, etc. This attribute information is often treated as part of an individual's identity information, so we should consider about information leakage. In this paper, we propose a decentralized management for attribute information which is able to verify effectiveness using URI and RDF. Our method makes it possible that an identity provider manages URI for authority which manages attribute information, and redirects access to its authority. And it is the same convenience centralized management, and the same security as decentralized management.
著者
宮狭 和大 坂内祐一 鈴木 雄士 玉木 秀和 重野 寛 岡田 謙一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.134-147, 2007-01-15
被引用文献数
1

実物体に基づいた遠隔コラボレーションでは,遠隔の実空間の間に存在する空間構造の差異を考慮する必要がある.特に既存システムではそれぞれの空間にシンタックスの異なる実物体を配置し,作業対象としてコラボレーションするものが存在しなかった.そこで本研究では,物体の表面に柔軟に貼り付けることができる「シール」の性質に着目し,これを複合現実感(MR)技術と組み合わせた手段として,仮想のシールを遠隔のそれぞれの実物体に基づいて貼り付けることで,実物体の間に存在するシンタックスの違いを吸収してユーザによる作業のセマンティックスを共有する手法を提案する.そして,実物体に対するポインティング機能を有したプロトタイプシステムを実装し評価実験を行った結果,シンタックスの異なる実物体間で,作業の情報をその意味を損なわずに共有できることが確認された.In remote collaboration based on real objects, the difference of the space structure between the remote real spaces should be considered. In conventional method it is difficult for users to collaborate based on the real objects which differ in syntax each other. To address this issue, we focus attention on a sticker or a sheet which can be attached on a physical object according to its surface. And as a method which Mixed Reality (MR) technology is combined with it, we propose an information sharing method of semantics which each remote user interacts with a real object, by using virtual sheet which can be attached to each real object according to its surface and can absorb the difference in syntax between these real objects. Then we implemented a prototype system which has pointing function and conducted experimentation. As a result it proved that it is possible to share the information of the interactions without losing the meaning between the real objects which differ in syntax each other.
著者
鈴木 茂夫 小林 伸行 田中 泰夫 中川 正樹 高橋 延匡
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.2-11, 1989-01-15
被引用文献数
5

本論文では 日本語情報処理を前提とした研究用計算機システムOS/oにおける日本語プログラミング環境について報告する.OS/oは システム全体で一貫して日本語が使用できるプログラム開発システムを目標としている.そのため フル2バイトの文字コード体系を採用し ファイル名 プログラミング言語の識別子に至るすべての文字に日本語を使用可能とした.これは OS/oを含めたすべてのシステムプログラムの記述言語として開発した言語Cの処理系CATの文字型を2バイト化することにより実現した.文字の書体 大きさなどの文字属性の表現方式として 属性情報を文字コードの実体から切り離し 独立した別のファイルに持つ方式を採用した.文字コードの実体ファイルと属性ファイルの統一的管理はファイルシステムにより実現している.これにより 属性情報を必要としないOSやコンパイラは 文字コードの実体だけを扱うことで 文字属性を意識する必要がなくなる.また 各アプリケーションの要求に応じてOSの機能を動的に拡張する機構を用意し これを利用して日本語変換入力機能を実現した.そして OS/oの一応用として レーザピームプリンタを用いた日本語文書出力システムを開発した.以上のように OS/oでは 日本語の入力 処理 そして出力を含めたトータルな日本語プログラミング環境を実現している.
著者
熊木 健二 中川 郁夫 永見 健一 長谷川 輝之 阿野 茂浩
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.1616-1626, 2007-04-15
被引用文献数
4

近年,キャリアは,既存ネットワークを統合する傾向にある.これらのネットワークを統合するコアルータでは,インターネットトラヒックや企業系トラヒック等,様々なアプリケーションを扱う必要があり,大容量化が必須である.これらのトラヒックを制御する手法の1 つにMPLS TE(Multi-Protocol Label Switching Traffic Engineering)技術があり,多くのキャリアで使用されている.MPLS ネットワークのルータ間に複数のリンクが存在するECMP(Equal Cost Multi Path)環境において,自動計算を用いて予約帯域0 のMPLS TE LSP(Label Switched Path)を確立する場合,各リンクを通過するMPLS TE LSP の本数を均等にできない.そのため,本論文では,ECMP 環境において,予約帯域0 のMPLS TE LSP を効率的に確立する新たな経路選定手法を提案する.また,実ネットワークを考慮した環境で,従来の経路選定手法と提案する経路選定手法の比較を行う.提案する手法が,決定的アルゴリズムで,既存のMPLS TE LSP の本数を考慮して,MPLS TE LSP を均等に確立することが可能であった.そのため,キャリアの実運用およびネットワーク設計に対して,非常に有益な手法であることが分かった.Recently some carriers try to build a converged network as NGN (Next Generation Network) and need to control high-capacity traffic which includes some kinds of applications such as voice, video and data. MPLS TE (Multi-Protocol Label Switching Traffic Engineering) was introduced as one of the methods to control this traffic in some carrier's network. Currently, we face the problem which 0-bandwidth MPLS TE LSPs (Label Switched Path) are established by using some specific links in case parallel links exist between routers in ECMP (Equal Cost Multi Path) environment. This paper focuses on a path selection algorithm taking into account a load balancing of control plane when 0-bandwidth MPLS TE LSPs are established and proposes a new path selection algorithm to solve this problem. Finally, we confirm that 0-bandwidth MPLS TE LSPs are established equally taking into account the number of existing MPLS TE LSPs in case parallel links exist between routers in ECMP environment.
著者
グェンファムタンタオ 岡部 誠 尾内 理紀夫 林 貴宏 西岡 悠平 竹中 孝真 森 正弥
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.269-283, 2011-01-15

本稿では,web上の大量のレビュー情報を要約する際の基盤技術として,単語を意味的カテゴリに分類するための手法,Bautextを提案し評価する.Bautextは弱教師付き手法であり,係り受け関係と相互情報量に基づいた名詞・名詞句のカテゴリ分類を行う.Bautextの特徴は以下の4つである.1)既存のブートストラッピング法等は,性能が多数のパラメータに依存するため,ユーザは良い分類精度を得るためのパラメータ設定を試行錯誤して見つける必要があった(小町ら,2010).一方,Bautextにおいてはユーザは多数のパラメータ設定をする必要がなく,少数の種語を与え,各カテゴリと単語の関連度(配属スコア)を計算することにより,漸次種語を増加させ,分類を自動化させている.2)既存のブートストラッピング法では,反復ごとに多数のカテゴリが1つの単語を獲得しようとするときに再度評価のステップがあった.一方,Bautextにおいては,各カテゴリが独立な特徴語集合を持ち,それをもとに各カテゴリへの単語の配属スコアを計算し,最大スコアのカテゴリが単語を獲得することでこの再度評価のステップをなくした.そのため,ブートストラッピング法と比べて高速な分類アルゴリズムとなっている.3)既存のブートストラッピング法では意味ドリフトという課題がある.意味ドリフトの原因は,反復処理の過程において,新しい単語を獲得するために使われる抽出パターン数が定数個であるため,以前の各反復で抽出できた適切な抽出パターンの影響が消されることにあると考えられる.これに対して,Bautextでは,各カテゴリが,独立な特徴語集合に今まで抽出できた適切な特徴語(抽出パータンと同じ役割)を保存することと反復ごとに分類対象の単語をランダムに選択させることにより,意味ドリフトを制御する効果が期待できる.4)目的の分類カテゴリに加えて「その他」カテゴリを導入することで,本来評価対象となりえない単語が「その他」カテゴリに移動し,目的の分類カテゴリの適合率が向上するという特徴がある.評価実験では,まず「その他」カテゴリの導入効果を確認した.また,代表的なブートストラッピング法であるBasiliskおよびEspressoの2手法とBautextとを比較し,両者に比べ,Bautextが分類精度,速度,使いやすさの3点において有効な手法であることを確認した.We present and evaluate Bautext, a method for classifying terms into semantic categories, as a fundamental technique used for review summarization of drastically increasing volume of user reviews on the internet. Bautext is a minimally supervised technique for classifying nouns and noun phrases based on dependency relations and mutual information. Bautext has four important features. 1) There is no parameter that the user must manipulate except for seed words. Using an existing bootstrapping method, the user has to find a reasonable setting of multiple parameters by trial and error, on which the classification accuracy heavily depends (Komachi, et al., 2010). On the other hand, Bautext has no such a parameter, and after specifying seed words, no user intervention is required. 2) Bautext is a fast method compared with state-of-the-art bootstrapping methods. 3) Bautext is supposed to constrain sematic drift with independent feature sets for each category and the randomly choosing a term for classification in each classifation step. 4) We introduce "other" category to improve the precision. Adding an extra "other" category to the target categories, it is possible to improve the precision significantly on the trade-off between precision and recall. In our experiment, we compare Bautext with two major bootstrapping methods, Basilisk and Espresso, which show that Bautext is superior in classification accuracy, computational expense, and usability.
著者
井上 智雄 瓶子 和幸
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.1962-1971, 2008-06-15

近年,インタラクティブな広告や対象者に合わせた情報提示手法が研究されている.しかし,従来の研究では対象者の属性情報の獲得が容易ではなく,嗜好情報の登録や専用機器の携帯が必要であるなど利用者の負担をともなっている.そこで我々は,利用者の負担をなくしながらも有効な広告を提示するシステムとして,複数人の関係に基づく適応的広告システムGAS(Group-adaptive Advertisement System)を提案・開発した.本システムの特長は,複数人の間の対人距離からその関係を判別し,それに応じて適切な広告を提示する点にある.評価実験から,対人距離情報などから75%程度の精度で対人関係が判別できることが分かり,また,複数人の関係に基づく広告が,そうでない広告と比べて有効であることが認められた.
著者
小川 泰嗣
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.37, no.10, pp.1839-1849, 1996-10-15
被引用文献数
3

文書における部分文字列の出現を記録する部分文字列索引は 単語切り出しのための言語処理が不要という点で日本語文書検索向きである. しかし 出現位置情報を捨象しているため誤検索が発生する 検索語の長さに応じて検索時間が増大する という問題があり こうした点を改善するためには索引サイズを大きくせざるをえない. すなわち 誤検索率・検索時間・索引サイズのすべてに優れた部分文字列索引を実現することは困難であった. 本論文では ユーザの使用する可能性の高い検索語の処理を優先的に高速化し 誤検索率・索引サイズを悪化させることなく平均検索時間を短縮する効率的な部分文字列索引を提案する. このために 文字および部分文字列の2レベルの頻度を用いる. 文字レベルの出現頻度は二文字組から索引エントリを決定するためのハッシングに利用され 検索の高速化および誤検索の低減に作用する. 一方 部分文字列レベルの出現頻度は長い部分文字列を独立した索引エントりとして選択するために利用され 出現頻度が高く長い検索語の処理の高速化に作用する. 特許要約文10万件(14MB)を用いて検索時間・検索精度・索引サイズの評価実験を行い 本手法の有効性を確認できた.Substring indexing method is suitable for Japanese document retrieval systems, because it requires no natural language processing to identify words. A substring index does sometimes create false drops and retrieval time is proportional to the query length, however, an index must be large to reduce false drops or shorten retrieval response. In other words, it's difficult to get good performance measures for false drops, retrieval time as well as index size. We propose a new substring indexing method that shortens the average response time by selectively fastening retrievals of frequently used words, and yet does not either increase false drops or enlarge indexes. We use two kinds of frequency data: (1) Character frequency is used to generate a hash table for character-pairs, both increasing retrieval speed and reducing false drops, (2) Substring frequency is used to select special substring index entries, resulting in quick retrieval for long but highly frequent words. We evaluated our method using 100,000 patent abstracts. Measurement results, including response time, index size and false drop rate, confirmed the effectiveness of our method.
著者
大見 嘉弘 中村 勝利 河合 和久 竹田 尚彦 大岩 元
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.154-162, 1996-01-15
被引用文献数
5

インターネットに分散する情報をカードのメタファを用いてアクセスできるツールPAN-WWWを開発した。最近インターネット上の情報サービスが急速に広まっている。しかし、それらを利用するソフトウェアのほとんどは、情報にアクセスする機能に重点が置かれており、得られた情報の整理については、ほとんど考慮されていない。PAN?WWWは、さまざまな情報を操作することに重点をおいて設計されたカード操作ツールに、インターネット上の情報をアクセスする機能を加えたものである。PAN?WWWでは、カードを広げ操作するための仮想的な机の上で、インターネット上の情報にアクセスできるカード(WWW viewer)が使用できる。同カードで検索した情報は、容易に他のカードに転写でき、一度転写したカードを元に、再びインターネット上の情報にアクセスすることができる。この機能によりインターネットからの情報収集とその整理の作業間の行き来を円滑に行うことが可能となる、また、PAN?WWWを用いた場合とNCSA Mosaicとエディタを併用した場合との比較対照実験を行った。その結果、PAN?WWWの有効性が示された。また、熟練者向けの機能も必要であるなどのPAN?WWWの改良点が得られた。PAN-WWW, an Internet resource access tool with facility for organizing information using index-card metaphor, has been developed. Although access tools are popular for Internet information, few has ever been considered the necessity for organizing collected information. Hence, users are often at a loss where he is along the navigation of the long linked chain of whole world information. PAN-KJ, a chart editor of forming a map of arranged index-cards, has been extended to give a card of WWW-viewer. An index of an Internet information obtained from this card can be copied to another card on a map together with its access information. Therefore, the information can be accessed from this card later. Such cards can be arranged to represent organization of these cards by the editing capability. We have compared the access and organizing capabilities of the editor with those of NCSA Mosaic and favorable results were obtained. However, necessity of some improvement for expert users were found and it has been implemented.