- 著者
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劉 敬淑
全 〓蘭
- 出版者
- The Japan Society of Home Economics
- 雑誌
- 日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
- 巻号頁・発行日
- vol.56, no.2, pp.105-114, 2005-02-15 (Released:2010-03-10)
- 参考文献数
- 24
韓国10代の自尊心, 身体満足度と整形および服装行動との相互関連性を調査し, これらの因子の属性による差異と因果関係を解明しようとした.性別による心理要因との関係では, 男性の自尊心, 身体満足度はあらゆる身体の部位で女性のそれよりもより高かったが, 整形要求度と服装行動の面で見ると流行や個性に対する選好度は, 女性よりも男性の数値が低かった.自尊心と身体の顔部分の満足度では年齢による差は見られなかったが, 身体満足度の腰・尻部分, 身長・体型部分には差が見られた.学校類型による自尊心の差はなかった.身体満足度は全体的に高校生が中学生より低かったが, 整形要求度における顔の整形と脂肪吸引の要求度は高校生が中学生より高かった.服装行動での清楚さは, 学校類型による差はなかった.魅力と流行指向は中学生よりも高校生で高かったが, 個性指向は高校生が中学生よりも低く, 中学生より高校生がより個性を追求するとされる先行研究と差が見られた.小遣いによる, 自尊心や身体満足度との関係はなかったが整形要求度や服装行動との関係では, 小遣いが多いほど顔と脂肪吸引への整形要求度が高く, 魅力・流行・個性・清楚さの全体的な服装行動も高く示された.身体部位の整形要求の順位は男女ともにホクロ・傷跡除去を一番に望み, 次に男性では歯の矯正, 鼻, 下半身, 二重まぶたの順であり, 女性は下半身, 歯の矯正, 鼻の順で整形を望んでいた.韓国の10代に, 7個の属性と自尊心や身体満足度の因子が服装行動と整形要求度に及ぼす因果関係を調査するため段階的(stepwise)方法で多重回帰分析をした結果, 整形要求度では性別, 身体満足度, 年齢, 小遣いが有意的な影響を与え, この4因子の説明力はかなり高く, 男性よりも女性で, 身体満足度が低いほど, また年齢が高いほど, 小遣いが多いほど整形要求度が高かった.服装行動では, 魅力は自尊心, 年齢, 小遣い, 体型から影響を受け, やせ型で自尊心が高く小遣いが多いほど, 衣服の魅力性を追求する.身体満足度が高いほど自尊心が高く, 女性より男性で, やせ型で, 身長が高く, 社会階層が高いほど身体満足度が高かった.特に女性は男性より自己の外貌評価にあまり肯定的ではなく, 外貌を改善しようとする欲求が強いと思われる.