- 著者
-
松本 〓子
青木 邦男
- 出版者
- The Japan Society of Home Economics
- 雑誌
- 日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
- 巻号頁・発行日
- vol.44, no.6, pp.439-449, 1993-06-15 (Released:2010-03-10)
- 参考文献数
- 34
5, 6歳児352名 (男児183名, 女児169名) を対象に, 幼児の運動能力に影響する要困について, 運動能力測定および質問紙による調査を実施し, そのデータを数量化I類を用いて分析した.その結果, 以下のことが明らかになった.(1) 男児の運動能力に影響する要因として, 「歩行開始時期」, 「徒競走の成績・母」, 「動作性IQ」, 「遊び回数・母」, 「遊び友達の人数」, 「遊び場所」, 「出生順位」, 「身体活動状況」の8要因が抽出された.この8要因の男児の運動能力に対する重相関係数はR=0.5801である.(2) 男児の運動能力を促進するのは, 早く歩き始めること, 母親の徒競争 (学生時代) の成績がよいこと, 母親の子どもとの遊び回数が多いこと, 多くの遊び友達と広い場所で遊ぶことである.(3) 女児の運動能力に影響する要困として, 「テレビ視聴時間」, 「身体活動状況」, 「遊び回数・母」, 「言語性IQ」, 「歩行開始時期」, 「通園時 (往復) 徒歩時間」, 「出生順位」, 「徒競争の成績・母」の8要因が抽出された.この8要因の女児の運動能力に対する重回帰係数はR=0.5134である.(4) 女児の運動能力を捉進させるのは, テレビ視聴時間が短いこと, 身体活動が活発であること, 母親との遊び (静的受容的遊び) 回数が少ないこと, ある水準以上の言語性IQがあること, 歩行開始が早いことである.(5) 男女とも運動的遊びを含む身体活動量の多さが幼児の運動能力の発達を促すと結論づけられるので, 幼児の日常生活の中に身体活動量を増す機会を意識的に作る必要があろう.