著者
井上 晴貴 上原 誠一郎
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2017, 2017

本研究では,熊本県八代市泉町下岳産のひすい輝石,オンファス輝石および随伴鉱物の産状や鉱物学的性質を報告し,成因などを議論する。ひすい輝石およびオンファス輝石は蛇紋岩メランジュ中の変成斑レイ岩に産する。緑泥石,パンペリー石,鉄藍閃石,普通輝石が主な構成鉱物であり,ごくわずかに石英も含む。ひすい輝石は約0.5 cmの白色脈や約10 μmの微細な結晶として,主に曹長石,カリ長石,白雲母を伴って産する。いずれのひすい輝石も組成はひすい輝石端成分に近いが,縁辺部にかけてCa, Feの含有量が増えていき,オンファス輝石の組成に近くなる。また,ひすい輝石の周囲に緑簾石-(Sr)などのSr鉱物がしばしば共生する。また,オンファス輝石は数cmの暗緑色脈として産し,この脈を構成する結晶は針状・粒状で約10 μmの微細なものである。組成はFeに富み,脈の一部はエジリン-普通輝石の組成を持つ。以上のことから,曹長石の分解反応のほかに,熱水からこれらの鉱物が直接晶出する過程も考えられる。
著者
奥山 康子 船津 貴弘 高本 尚彦
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2013, 2013

CO2地中貯留に伴う貯留システムの変形や破断、また貯留流体の漏洩という動的応答現象のナチュラル・アナログとして松代群発地震をとりあげ、現象の原因となった深部流体の地球化学的特性を検討した。原因流体は、松代地域での深部試錐でえられた地下水組成より高塩分濃度と推定される。原因流体の組成は、CO2地中貯留に伴う岩盤の動的応答を探る流体流動-岩石力学連成シミュレーションにて必須のものである。
著者
酒井 碧 留岡 和重 瀬戸 雄介
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2012, 2012

Dark clasts(DCs)はCV, CO隕石に含まれる石質岩片で、ホスト隕石と似た物質が水・熱による変成を受けて形成したと考えられている。我々はAllende隕石中に特異な2つのdark clastを見出し、SEM-EDSとEPMA-WDSによる観察・分析を行った。DC中に存在するコンドリュールを交代した仮像(平均直径~0.17mm)は、ホスト部分のコンドリュール(平均直径~0.49mm)より有意に小さく、このことはDCの前駆物質がホストであるAllende隕石とは異なっていたことを示唆する。DCの周縁部及び内部には、Ca成分に富む鉱物からなる脈が存在する。この脈がホストに存在せず、DCを縦断していることから、脈はホストに取り込まれる前、DC全体が水・熱により変成・細粒化した後に形成されたと考えられる。よって、DCが経た変成過程は複数回の水質変成を含む複雑なものであったと推定される。
著者
安藤 匠吾 奥野 正幸 奥寺 浩樹 水上 知行 荒砂 茜 阿藤 敏行
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

Shock recovery experiments were carried out on two plagioclases (labradorites) that include exsolution lamellae (An<sub>55</sub>Ab<sub>42</sub>Or<sub>3</sub>) and that include no exsolution lamellae (An<sub>64</sub>Ab<sub>34</sub>Or<sub>2</sub>) up to 36.8 GPa. Recovered samples were analyzed by powder-X-ray diffraction measurements (p-XRD), infrared (IR) and Raman spectroscopy. Obtained results may indicate that exsolution lamellae does not affect on vitrification by shock compression.
著者
三浦 保範
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.138, 2007

中間型斜長石のラブラドライト鉱物の組織、組成のその場電顕観察などから、2種の形成過程を示し、物性や構造における相違が説明できる。
著者
北脇 裕士 江森 健太郎
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2014, 2014

コランダム(ルビー、サファイア)の原産地鑑別は、個々の結晶が産出した地理的地域を限定するために、その地域がどのような地質環境さらには地球テクトニクスから由来したかを判定するためのバックグランドが必要となる。そして試料の詳細な内部特徴の観察、標準的な宝石学的特性の取得が基本となり、紫外-可視分光分析、赤外分光(FTIR)分析、顕微ラマン分光分析、蛍光X線分析さらにはLA-ICP-MSによる微量元素の分析が行われる。 <br>原産地鑑別における地理的地域の結論は、それを行う宝石鑑別ラボの意見であり、その宝石の出所を証明するものではない。同様な地質環境から産出する異なった地域の宝石は原産地鑑別が困難もしくは不可能なこともある。原産地の結論は、検査時点での継続的研究の成果および文献下された情報に基づいて引き出されたもので、検査された宝石の最も可能性の高いとされる地理的地域を記述することとなる。
著者
興野 純 中本 有紀 坂田 雅文
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2013, 2013

スピネル構造におけるCu<sup>2+</sup>のヤーン・テーラー効果の影響を調べるために,キュプロスピネル(CuFe<sub>2</sub>O<sub>4</sub>)の高圧単結晶XRD測定を実施した.実験の結果,圧力が4.6 GPaのところで体積変化曲線に明らかな不連続性が確認され,立方晶系から正方晶系への相転移が示唆された.Birch-Murnaghan状態方程式から求めた体積弾性率は,K<sub>0</sub> = 178 (3) GPaであった.これは,磁鉄鉱やウルボスピネル,クロマイトスピネルの体積弾性率よりもわずかに小さい値であった.キュプロスピネルの八面体席はすべてFe<sup>3+</sup>で占有されるのに対し,四面体席はCu<sup>+</sup>とCu<sup>2+</sup>,Fe<sup>3+</sup>で占有れていた.正方晶系に相転移後に四面体席内の結合角が108.6&deg;に減少する理由は,Cu<sup>2+</sup>のヤーン・テーラー効果による結合性軌道の形成であることが分子軌道計算から明らかになった.
著者
米田 明 謝 龍剣
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2017, 2017

ダイヤモンドは絶縁体であるが、ホウ素を添加することにより半導体に転換し、高圧実験用のヒーター材として使用可能になる。最初の確認実験は愛媛大GRC研で行われた。岡山大学惑星研では2009年頃から半導体ダイヤモンドヒーターの開発に取り組んできた。その結果、W-Re熱電対が溶断する温度(~2500℃)以上の高温が発生できるようになった(推定~3700℃)。半導体ダイヤモンドヒーターのもう一つの利点はX線の透過性である。その特性に着目し&ldquo;落球法その場粘性測定実験&rdquo;のヒーター材としても活用している。本講演では半導体ダイヤモンドヒーターの開発過程、現状、将来性等を紹介する。
著者
中牟田 義博 浦田 佳奈 柴田 葉子
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

Lindsley 輝石温度計の修正された補正計算を使ってLL5-LL7コンドライト隕石の変成温度の推定を行った.CPxのから求められた温度は,Tuxtuac (LL5),Dhurmsala (LL6),NWA 2029 (LL6/7),Dho 011 (LL7)それぞれで,793(32),835(39),872(45),917(30) &deg;Cとなり,これはOPxから求められたそれぞれの隕石の温度,767(25),818(48),892(57),936(26) &deg;Cとよい一致を示す.このことから,CaのCPxとOPxへの分配はtype 5-7隕石で平衡に達していたと考えられる.今回の結果は,より高い岩石組織タイプのコンドライト隕石はより高い変成温度を経験したことを示している.
著者
土`山 明
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2017, 2017

X線CTは物体の3次元内部構造を非破壊で得る手法である。単色化した放射光を用いることにより、その高い光束密度とコヒーレンスにより、吸収や位相コントラストなどに関する3次元像を定量的に高S/N比、高分解能で得ることができる。我々の研究グループは、SPring-8の放射光を用いて、この手法を隕石や宇宙塵の研究に応用するとともに、宇宙機が地球に持ち帰った彗星、小惑星や月サンプルの分析をおこなった。発表では、吸収像と位相像を組み合わせた手法による、炭素質コンドライトについての最近の成果や、「はやぶさ2」や「オシリスレックス」計画により持ち帰られる予定のサンプル分析のための新たな手法の開発について述べる。
著者
松原 聰 宮脇 律郎 門馬 綱一 加藤 昭 重岡 昌子 清水 正明 興野 喜宣 小原 祥裕 原田 明
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2018, 2018

群馬県萩平鉱山から産出したマンガン鉱石中に、グラシャン鉱を確認した。これは世界で2番目の例であり、原産地のものより、理想化学組成に近く、粒が大きいため、反射率の測定もおこなった。産状、共生鉱物、化学組成、結晶学的諸性質などについて報告する。
著者
宮島 宏 松原 聰 宮脇 律郎
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.201, 2007

新潟県糸魚川地方の海岸や姫川・小滝川河床から、粗粒なcorundumが転石として発見される(宮島ら, 1999 二鉱学会演旨)。今回、小滝川と青海海岸産のcorundumを含む試料から稀産雲母とSrを含む特異な組成を持つ雲母が発見されたので報告する。◆プライスワーク雲母 (Preiswerkite)PreiswerkiteはKeusen and Peters (1980)によりスイスの超苦鉄質複合岩体のrodingiteから発見され、 NaMg<SUB>2</SUB>Al[Al<SUB>2</SUB>Si<SUB>2</SUB>O<SUB>10</SUB>](OH)<SUB>2</SUB>という組成を持つ。産出例は比較的少なく、本邦では本報告が初産となる。本報告のpreiswerkiteは、糸魚川市小滝川で織田宗男氏が採集した礫に含まれていた。礫には径5~15mmの丸みを帯びた灰紫色ガラス光沢のcorundum, diasporeの集合体が多数存在し、preiswerkiteはその粒間を充填する淡黄色真珠光沢を呈する直径3mmの半自形結晶の集合体をなす。EDSによる分析値(wt. %)は、SiO<SUB>2</SUB> 30.75, TiO<SUB>2</SUB> 0.34, Al<SUB>2</SUB>O<SUB>3</SUB> 29.62, FeO 3.64, MgO 18.22, Na<SUB>2</SUB>O 4.74, K<SUB>2</SUB>O 0.95, Total 88.26となり、実験式は(Na<SUB>20.7</SUB>, K<SUB>0.1</SUB>) <SUB>&Sigma;0.8</SUB> (Mg<SUB>2.0</SUB>, Fe<SUB>0.3</SUB>) <SUB>&Sigma;2.3</SUB>Al<SUB>0.8</SUB> [Al<SUB>1.8</SUB>Si<SUB>2.2</SUB>O<SUB>10</SUB>](OH) <SUB>2</SUB>となる。◆Srに富む雲母 (Sr-rich mica)Sr-rich micaは、糸魚川市青海海岸で小林浩之氏が採集した白地に青色部分が不規則な脈として存在する礫に含まれていた。白色部分は緻密なcelsianと劈開明瞭なmargarite, paragonite, Sr-rich micaからなり、少量のslawsonite, calciteを含む。青色部分は緻密なcorundum, diasporeからなる。margariteとparagoniteからは5 wt.%程度のSrOが検出され、Srに富む部分ではSrO = 15 wt.%を超え、0.75 <I>pfu</I>に達する。実験式は、(Sr<SUB>0.75</SUB>, Na<SUB>0.15</SUB>, Ca<SUB>0.05</SUB>) <SUB>&Sigma;0.95</SUB>Al<SUB>1.98</SUB>[Al<SUB>1.98</SUB>Si<SUB>2.05</SUB>O<SUB>10</SUB>](OH) <SUB>2</SUB>となり、margariteのSr置換体に相当する。CaとBaを主成分とする雲母は知られているが、Srを主成分とする雲母は知られておらず、公表された分析値でSrを含む例はない。糸魚川地方の蛇紋岩メランジュ中の構造岩塊からは多種のSr鉱物が発見されているが、このような特異な組成の雲母もその一例である。
著者
稲村 征之 森下 知晃 Milusi Ibrahim MILUSI Ibrahim
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集 (ISSN:13486543)
巻号頁・発行日
vol.2011, 2011-09-05

アルバニアには南北に伸びるオフィオライトが分布しているが、その火山岩の地球化学的特徴は東西で異なり,東側は島弧的火山岩類,西側は中央海嶺的火山岩類特徴を示す(Dilek et al., 2008).本研究では西側北部に位置するゴムシケ、プーカ岩体を研究対象としている。プーカ岩体は主に斜長石を含む変形を受けたかんらん岩とガブロ脈が分布している一方,ゴムシケ岩体は輝岩脈,ガブロ脈,数十cm~10m程度の脈状のダナイトを伴うレールゾライトが分布している.ゴムシケ岩体のレールゾライトの鉱物化学組成は中央海嶺かんらん岩と似ており,部分溶融度が低いことを示している.ゴムシケ岩体にはスピネルのCr#[=Cr/(Cr+Al)原子比]に大きな違いがある二種類のダナイトが存在する.一つはCr#が0.3程度,もう一つは0.7程度である.前者は中央海嶺で採取されたダナイト,後者は前弧域ダナイトの化学的特徴と類似している(Arai, 1994).このことからゴムシケ岩体は中央海嶺的セッティングで形成された後に,島弧的セッティングに移行する際の影響を受けている可能性がある.
著者
福地 伸章 木村 太郎 松枝 大治
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2012, 2012

本研究では東北日本白亜紀花崗岩類に伴う様々な産状の電気石を用いた.EPMA化学組成分析の結果,そのほとんどがアルカリグループに属し,schorl-draviteに分類される.花崗岩類中の電気石は各岩体により異なり,特にAl含有量は西南北海道,阿武隈帯,北上帯の順に高くなる.一方,ホルンフェルスに貫入するペグマタイト脈中の電気石は比較的Alに富むことから,電気石の組成が母岩の組成の影響を受けていると考えられる.また,流体包有物の検討結果によれば,流体包有物を含む電気石の組成はMgFe<sub>-1</sub>置換や[Mg(OH)](AlO)<sub>-1</sub>置換を示す傾向がある.このことは,電気石のMg含有量が流体の特性と活動に影響を受けている可能性があることを示唆する.
著者
藤村 彰夫 安部 正真 中村 智樹 野口 高明 岡崎 隆司 矢田 達 石橋 之宏 白井 慶
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.63, 2010

小惑星イトカワを探査した「はやぶさ」の回収カプセルが無事相模原のキュレーション設備のクリールームに搬入された。回収カプセルは、開梱、外観チェック、内部のCT撮像、アブレータ取外し、サンプラコンテナ清掃、チャンバー搬入準備が行われ、クリーンチャンバーに搬入された。サンプラコンテナの開封、コンテナ内部の光学観察の後に、サンプルの取出し、分配、保管作業を順次実施する。これらのキュレーション作業は、サンプル1次分析チームから選抜された研究者とともに数か月程度実施され、その後、米豪の研究者も迎え、日本国内で1次分析が行われる予定である。本講演では、カプセル回収から、キュレーション設備搬入後のキュレーション作業についての現状を報告する。
著者
岡村 聡 坂本 泉 金 容義 石塚 治 湯浅 真人 冨士原 敏也 藤岡 換太郎 倉本 能行 前田 仁一郎
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.7, 2007

孀婦岩構造線は,伊豆・小笠原弧を北部と南部に二分する大構造線であり,北北東―南南西方向の走向を示し,その東側斜面に沿って比高最大1500mの急崖が発達し,地殻の深部断面を観察することができる.<Br> 孀婦岩構造線の南東に位置する沢海山は,鮮新世の活動年代を示す火山フロント帯火山であり,島弧玄武岩の化学組成を示す.<Br> 孀婦岩構造線沿いに観察される地殻断面(孀婦地塊)は,後期中新世を示す塊状の溶岩・貫入岩とハイアロクラスタイト及び,それらを供給するフィーダーダイク・溶岩が観察される.孀婦地塊を基盤とする背弧側には中新世~鮮新世に活動した小海丘群が存在する.孀婦地塊と小海丘群の火成岩類は,いずれも背弧海盆玄武岩の特徴を示す点で共通するが,後者はIndian Ocean MORBタイプアセノスフェアの寄与が大きかったことを示唆する.
著者
川口 淳一郎 國中 均 吉川 真
出版者
日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.62-62, 2010

小惑星探査ミッション「はやぶさ」は世界初の小惑星サンプルリターンミッションである。2003年5月に打ち上げられ、2005年9月に小惑星イトカワに到着、そしてイトカワの観測を行った後、その表面からの物質採取を試みた。その後、燃料漏れなどの大きなトラブルがあり、地球帰還は3年遅れの2010年6月となった。いくつかのトラブルを抱えながらも、カプセルを地球に帰還させることに成功した「はやぶさ」は、太陽系天体往復探査の第一歩を踏み出したことになる。今後、「はやぶさ」の経験を生かして、より確実な技術開発へと進んでいくことになろう。一方、「はやぶさ」が探査したイトカワは、その大きさが500mほどしかない小さな天体で、このような天体の探査も世界初の試みである。現時点(2010年7月)では、イトカワの物質が採取されたかどうかは分かっていないが、イトカワについても多くの科学的成果を挙げている。
著者
江森 健太郎 北脇 裕士 岡野 誠
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2012, 2012

LA-ICP-MS分析法は宝石学の分野では、Be拡散加熱処理サファイアの鑑別や、コランダム、エメラルド、パライバトルマリンの産地鑑別等に応用されてきた。今回の報告では、近年鑑別が非常に難しくなってきている合成ルビーと天然ルビーの鑑別について、LA-ICP-MSを用いた微量元素の分析という観点から研究を行った。結果、合成ルビーと天然ルビーを分別することが可能であり、合成ルビーに関しては製造者を特定することも可能であることが判明した。
著者
針金 由美子 森下 知晃 Snow Jonathan 田村 明弘 道林 克禎 小原 泰彦 荒井 章司
出版者
日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.56-56, 2011

白鳳丸KH07-2航海において採取されたフィリピン海パレスベラ海盆のゴジラメガムリオン中央部(KH07-02-D18地点)から採取されたはんれい岩を用いて、はんれい岩に含まれる熱水変成作用で形成した角閃石の変形微細構造と微量元素組成から考察される流体の特徴について述べる。
著者
松原 聰 宮脇 律郎 重岡 昌子 杉山 和正 毛利 孝明 中原 理栄 岡井 隆
出版者
日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.76-76, 2010

山口県長門市川尻付近に産するアルカリ玄武岩中からオフレ沸石が産する。この沸石は、直径0.5 mm以下の短六角柱状あるいは板状結晶をしている。9個の平均化学組成は、SiO2 51.25, Al2O3 20.74, MgO 2.90, CaO 2.28, BaO 1.02, Na2O 2.74, K2O 3.77, 計 84.71 %である。