著者
上村 郷志 稗圃 泰彦 小頭 秀行 岡本 泉 竹原 啓五 中村 元
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.81-86, 2008
参考文献数
8

テレビ・ラジオ番組など特定のイベントを契機として発生するアクセス要求は,短時間に特定のサーバに集中する傾向があり,そのアクセス数は平常時のそれをはるかに上回るため,当該サーバの不安定動作あるいはシステムダウンを引き起こすことがある.本稿では,整理券を用いることにより,特定のサーバに集中するユーザからの大量のアクセスを所望のレート以下に制御するアクセス制御システムを提案する.提案システムでは,新たに導入するアクセスパスサーバにおいて,ユーザ端末がエンドサーバにアクセスするまでに待機すべき時間を整理券に記載して発行することにより,エンドサーバにおける同時接続セッション数を所望の数以下に制御する.また,提案方式を実装したプロトタイプシステムは,モバイル端末向けスクリプトであるFlash Liteを用いてユーザ端末の動作を制御し,ユーザ端末およびエンドサーバへ特別な改修を施すことなく,実稼働中のシステムへ導入することが可能である.
著者
九鬼 孝夫 鴨田 浩和 津持 純 岩崎 徹
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.65-70, 2010
参考文献数
4

NHK放送技術研究所で進めている「電波テレビカメラ」の研究を紹介する.電波は霧や煙のような光を遮るものも透過するため,遮へい物に隠れて見えない被写体も撮影できる.事故や火災などの災害報道での利用を目指し,電波を用いて被写体を撮影する技術の研究を進めている.60GHz帯ミリ波を用いた装置を試作し,マネキンを撮影した実験の結果,解像度不足ではあるがマネキンの存在が認識できる程度に撮影できることがわかった.また,霧やカーテン,薄いベニヤ板などの遮へい物越しにもマネキンを撮影できることも示した.ただし,得られた画像の解像度やフレーム周期は不十分であり,改善が必要である.そこで,フレーム周期の高速化を目的とした,電波テレビカメラ受信アンテナ用のリフレクトアレーアンテナの検討結果についても述べる.
著者
城居 俊希 岩下 志乃
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.51-54, 2011
参考文献数
6

本研究では,名前を覚えるという場面において,異なる媒体を用いた場合の記憶力の特徴について被験者実験により明らかにすることを目的とする.実験で使用する媒体はディスプレイ,名刺,音声の3種類である.被験者に4人の顔写真データと各媒体で示される名前を5秒間ずつ提示してその組み合わせを記憶させ,後から顔写真を見て名前を解答させる実験を行い,その正答率を分析する.顔写真は男性のみ,女性のみ,男女混合の各組み合わせで用意する.実験結果から,単体の媒体による記憶量の差は大きくなかったが,媒体の違いや性別の違いによって間違え方に差があることが確認できた.また,提示順では最初に提示した名前がよく印象に残り,最後に提示した名前が最も正確に覚えられるということが分かった.
著者
寺本 渉 吉田 和博 浅井 暢子 日高 聡太 行場 次朗 坂本 修一 岩谷 幸雄 鈴木 陽一
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.37-44, 2012
参考文献数
22

情報通信技術の発展に伴い,より自然でリアルなコミュニケーションシステムへの期待が高まっている。それを実現するためには,情報の受け手である人を意識し,臨場感や迫真性など高度感性情報の創出・評価技術を確立していく必要がある。本稿では,まず,バーチャル・リアリティ(VR)や立体映像・立体音響分野で,従来用いられてきた感性情報である臨場感を取り上げ,質問紙調査から得られたデータに基づき,臨場感とは何かについて議論を行う。次に,背景的な「場」の本物らしさに関係すると考えられる臨場感に対して,前景情報を中心とした本物らしさに関連すると考えられる感性印象「迫真性」を取り上げ,両者の相違について実験データを示す。最後に,VRを通じたコミュニケーション場面で問題となる他者の存在感(臨(隣)人感)について,最近行った評価の試みを紹介する。
著者
増谷 光正
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.1-11, 2000
参考文献数
14

The basic features of infrared imaging is described. and the technical bases necessary to support a good infrared imaging are discussed. and also this paper reviews the outlook of IR imaging technologies.
著者
五十嵐 美紅 鶴田 直也 茂木 龍太 兼松 祥央 三上 浩司 近藤 邦雄
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.245-248, 2016

アニメーションには複数のキャラクターが存在し、集団を構成している。集団内では各キャラクターの配色に一貫性がある、あるいは、バランスよく異なっていることが望ましいが、手動で個々の配色設定を行うことは容易ではない。そこで本研究では集団キャラクターの配色について着目し、配色シミュレーションシステムの構築を行った。既存作品26作品に登場するキャラクターについて、1体あたり11色の主要な色を抽出し、集団単位でまとめた。ユーザはまず、シミュレーションを行いたい集団キャラクターの線画を読み込み、髪や顔、衣服などの範囲を指定する。次に人数や作品キーワードから集団を検索し、その集団に使用されている配色情報を一括で適用することができる。これにより、塗り直しの手間を軽減し、配色設定に要する時間を削減することを可能とした。
著者
森 崇圭 菊池 司
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.49-52, 2016

インターネットの普及によりメディアの多様化が進み,誰もが気軽に多くのメディアに接することができるようになった.そのような中で,企業は効果的な広告のあり方を模索しなければならない時代であると言える.本研究では既存のロゴデザインを分析,分類し,最適なモーショングラフィックスの生成を目的とする.ロゴマーク,ロゴタイプ,配色,モーションといったロゴムービーを構成する要素の調査を行い,すでに存在するロゴを印象評価により分類し,さらにモーションに関する印象評価も同様に行うことで,それぞれが持つイメージを明らかにし,その結果に基づき最適なロゴデザインとモーションの組み合わせ手法を提案する.
著者
佐藤 研吾 山本 和彦 加藤 邦人
出版者
社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.27-30, 2009
参考文献数
4

人間は気配を認識する能力がある。その中でも視覚による気配の認識は、視野の端の領域である周辺視野にて行われ、その後気配の対象をとらえるために注意を中心視野に移動させる場合がある。周辺視野は解像度が低く、物の詳細を見ることができないが、そのような状態の中から人間はなんらかの情報を知覚している。この知覚した情報を解析できれば、人間の新たな視覚系における認識パターンを見つけることができると考えられる。本研究ではその情報のひとつとして空間認識能力が関係していると考え、マネキンとその等身大のパネルを用いて気配の認識時における空間認識能力について実験により検証した。
著者
早川 雄貴 滝沢 穂高 工藤 博幸 岡田 俊之
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.77-80, 2016

本報告では,腹部X線CT画像の位置合わせ手法について述べる.はじめに空気領域の非対応の問題に対応するため,粘性流体力学に基づく非剛体変形により2枚の画像の空気抜きを行う.次に撮像範囲の異なる2枚の画像間においても柔軟に同一組織の位置合わせを行えるようにするため,CT画像から骨領域を抽出し,その構造情報を基に大まかな位置合わせを行う.最後に,マクスウェルの悪魔アルゴリズムと局所的なアフィン変形のモデルに基づく変形場近似のアルゴリズムを用いて非剛体の位置合わせを行い,より詳細な位置合わせを行う.本報告では,本手法を実症例画像に適用した結果を示し,本手法の有効性を検証する.
著者
山本 陽平 三谷 純 福井 幸男 金森 由博
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.13-16, 2012
参考文献数
4

平面多角形で表される複数のピースを並び替えて異なる2通りまたはそれ以上の数の形を作り出すパズルを、シルエットパズルと呼ぶ。このパズルに対して、我々は与えられた問題を解くことに着目することが多い。ここで本研究は、問題を作ることに着目して、複数の形を入力すると、その形を構成するピース群を自動生成するシステムを提案する。入力は、同じ数の正方形をグリッド状で構成した複数の形とする。また、一般的に単色の形を扱うシルエットパズルの表現の幅を広げるために、着色された形を取り扱えるようにする。システムはそれらを既存の裁ち合わせの手法を用いて、複数のピースに分割する。本研究の貢献として、着色が可能な拡張と、多角形を用いた入力の支援の提案、その際に多角形の一部を保持したピースを形の一部として扱う形状の拡張が挙げられる。提案手法を1つのシステムとして実装し、パズルの解とする形の入力からピースの自動変形を行い、その妥当性を評価した。
著者
有賀 恭広 伊藤 成海 徳増 信之 砂川 宗一郎 森谷 友昭 高橋 時市郎
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.57-60, 2011
参考文献数
4

近年普及著しいIR-センサや圧力センサを用いて様々な動作解析を行っている.その応用として,打楽器演奏システム,初心者向けカヌー体験シミュレータ,パラグライダー体験シミュレータのプロトタイプを試作している.本稿では,3つのプロトタイプの機能とその構成法について述べる.(1)打楽器演奏システムでは,エアドラムシステム"Imagination Drums"を開発している.IR-LEDを取り付けたドラムスティックの動きをIR-センサで検出し,その動きに合わせて,強弱も含めて,ドラム音を出力できる.(2)初心者向けカヌー体験シミュレータは,パドル型の自作コントローラを実際のカヌーのように陸上で漕ぐと,カヌーの進行方向と速度が決まり,実際にカヌーを漕いでいるかのような体験ができるシステムを目指している.(3)ライザーの操作によって変形するグライダーの形状を視覚的に捉え,初心者が実際にフライトする前に練習するパラグライダー体験システムを目指している.体重移動により操縦できる機能を構築中である.
著者
木内 雄二 作左部 剛視 猿谷 修平
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:03864227)
巻号頁・発行日
vol.18, no.67, pp.1-6, 1994
被引用文献数
5

It is concidered that the resolution of the CCD imager is limited by Nyquist rate determined as a half of the pixel number of the CCD. High spacial frequency components of the input image above Nyquist rate generate aliasing. The aliasing pattern contains informations of the high frequency components of the input image. Therefore by turning up the frequency components of the aliasing from low to high frequency, the original image can be reconstructed beyond Nyquist rate.
著者
西本 友成 栗岡 辰弥 南 浩樹 上原 年博 渡辺 由則 平松 晃一
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.9-14, 2000
参考文献数
3
被引用文献数
6

サーバー型放送受信機の要求条件を検討し、BSデジタルハイビジョン放送に対応したコンパクトで低消費電力・低騒音のハードディスク内臓型BSデジタル放送受信機を試作した.複数のデジタルハイビジョン番組を同時収録再生できるIDEハードディスクコントローラを開発し、(1)データ転送基本単位を1MB(128kB×8)としたハードディスクアクセス、(2)収録番組を論理アドレスベースで管理するファイルシステム、(3)収録と再生バッファ残量管理によるハードディスクへのDMA転送制御を実現した.
著者
橋本 侑樹 村松 大吾 小方 博之
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.1-4, 2010
参考文献数
6

人が筆記を行う際のペンの持ち方は個人ごとに異なっており, 個人認証に有効だと考えられる.本論文では, ペンの持ち方特徴を用いた個人認証手法を提案する.提案手法では, カメラを用いてペンの持ち方画像を撮影し, 複数の特徴をその画像から抽出する.抽出した特徴を事前登録されているデータと比較し非類似度ベクトルを計算し, それらを3層パーセプトロンで組み合わせることにより認証スコアを取得する.収集したデータベースを用いた実験ではなりすまし攻撃に対して等誤り率5.6%という結果になった.
著者
立田 智裕 鵜飼 利明 福間 慎治 森 眞一郎
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.15-16, 2015

近年,プロジェクタとスクリーンを用いた講義が行われている.広い講義室において,講義室後方の受講者は,スクリーンの表示が認識しにくいという状況が発生する可能性がある.対策として複数のサブディスプレイを講義室に導入することが考えられるが,導入には高コストとなる.そこで,この論文では受講者が持つ携帯端末をディスプレイの代わりに使用してメインスクリーンと同じ表示を行うシステムを提案する.このシステムはメインスクリーン上のレーザーポインタを検出し,携帯端末のWebブラウザにメインスクリーンのスライド画像と検出したレーザーポインタの座標を元にポインタカーソルを表示する.このシステムを用いることで,新たに複数のサブディスプレイを導入することなく,講義室後方の受講者も効果的な講義を受けることができる.
著者
山田 裕貴 金森 由博 福井 幸男 三谷 純
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.47-50, 2012
参考文献数
11

撮影時とは異なる照明下での照明効果を計算するリライティングは,これまで映像制作において用いられてきた.しかし,従来はリライティングに必要な物体の形状・反射率といった情報を得るために複雑なユーザ入力や特殊な撮影装置が必要であり利用できる場面が限られていた.そこで,本研究ではデプス情報を取得できる撮影装置の中でも比較的安価なKinectを使用したリライティングのシステムを提案する,Kinectで対象の物体を撮影することで物体の形状を計算し,さらに同じ場所で撮影した環境マップから計算される照明効果の情報を使って物体の反射率を推定する.物体の形状と反射率の情報を用いて撮影時と異なる照明でリライティングを行い,さらに照明の方向や強さをユーザ入力によって調整し任意のリライティング結果を得ることができる.このシステムによって,高いコストのかかる撮影装置も,複雑なユーザ入力も必要としないリライティングが可能になる.
著者
渡邊 栄治 尾関 孝史 小濱 剛
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.41-44, 2014

面接においては,回答内容だけでなく,受験者の動作(視線,顔の動きなど)が面接官の評価に大きな影響を及ぼすことがある.また,面接官の評価は面接官の動作として表出され,受験者にフィードバックされるなど,両者による動作の間にはインタラクションが生じる.本報告では,模擬面接における受験者による動作を分析した結果について報告する.具体的には,受験者の動作と面接官による評価との関係について検討する.
著者
山本 明史 藤原 孝幸 橋本 学 舟橋 琢磨 輿水 大和
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.33, no.34, pp.73-76, 2009-08-27

本稿では、画像をブロック分割し、それぞれのブロックの画像中における独自性の高さを画素値とするレア度画像を提案する。レア度の計算は局所特徴量の発生頻度分布を基として行い、算出に用いる特徴はディジタル画像におけるもっとも原始的なものとして輝度値、勾配強度、最大勾配方向とした。また、レア度情報を用いることによるパターン情報等の教師を必要としない領域分割手法を提案し、3種のレア度画像それぞれにおける領域分割結果について考察する。
著者
花田 彰 蓑毛 研 中村 章 西田 泰章 天野 裕治 小林 和正 中須 英輔 渡辺 馨 榎並 和雅
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.13-16, 2002
参考文献数
3
被引用文献数
5

NHKでは地上デジタル放送用の番組送出設備開発の一環として、TS伝送シームレス切り替え装置(以下TSスイッチャと呼ぶ)の開発を進めている。地上デジタル放送の番組配信回線は、放送波TS(MPEG2トランスポートストリーム)信号で伝送することにより放送回線経費の大幅な低減、マスターシステムのコンパクト化が期待される。TSスイッチャは、この放送波TSに対してローカル番組のシームレスな切り替え送出、映像スーパー、音声ミックス、字幕信号伝送多重、局間制御信号(Net-Q)の伝送多重などを行うもので、地域放送局の番組送出マスターシステムのキーデバイスとなる。