著者
白井 瑞子 内藤 直子 益岡 享代 真鍋 由紀子 山本 文子
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.87-97, 2004-04
被引用文献数
3

本研究では,高校生(男女)が月経をどのようにイメージしているかを,初めての月経教育時に抱いた月経観,印象に残っているトピック,および女子の月経痛との関連から調査した。提示した月経イメージ10項について因子分析を行い,困難因子(つらい,いやなもの,腹立たしい),成熟因子(女性の特質,大切・必要なもの),嫌悪因子(暗い,病気のような,汚らわしい,怖い)が抽出された。3因子の平均は,困難因子3.52±0.99,成熟因子4.01±0.94,嫌悪因子2.19±0.84であり,困難因子点は,女子の中では月経痛レベル4以上で高かった。初めての月経教育で,男子は月経を肯定的・中立的に,女子は否定的・両価的にとらえる者が多かった。また,初めての月経教育が印象深いと,月経を肯定的に受け止め,成熟因子点が高く,困難因子点,嫌悪因子点が低かった。この結果をふまえて,高校生に対して月経を健康のバロメーターとして,および性行動か活発化している現状に役立つ教育を行う必要があることを提言した。
著者
斉藤 早苗 末原 紀美代
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.571-581, 2007-01
被引用文献数
1

就労女性を対象に性感染症(STI)に関する知識・意識について,無記名自記式質問紙調査を実施し,有効回答410名(有効回収率41.3%)を分析した。STIの知識は,1)正答率50%以下の項目は,HIVに関して27.3%,HIV以外のSTIに関して42.9%あった。2)20代以下は30代よりも知識得点が低かった。3)HIV,梅毒,淋病,クラミジアは70%以上が「感染する」と回答したが,他のSTI疾患の認知度は低かった。STIに関する意識は,4)自己のSTI感染の可能性について「まったくない」「非常に低い」と認知している者が,HIVは76.3%,HIV以外のSTIは70.0%あったが,健康に対するSTI感染のおそれについては「かなりおそろしい」「非常におそろしい」と認知している者が,HIVは68.7%,HIV以外のSTIでは49.5%と差があった。5)未婚群は既婚群より,STI感染の可能性,健康に対するSTI感染のおそれとも認知度が高かった。6)STIに関して情報希望,相談や学習会参加希望などのニーズが存在した。以上の結果から,就労女性に対してSTI予防活動を積極的に推進する必要性が示唆された。
著者
比嘉 京美
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, 2001-09-27
著者
大平 肇子 町浦 美智子 斎藤 真 村本 淳子
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.497-504, 2013-01
参考文献数
31

月経前症候群(premenstrual syndrome : PMS)は多くの女性が経験し,女性のquality of Lifeを低下させている。PMS症状はストレスと関連するため, PMS症状の緩和にはストレス反応を和らげる方法の1つであるリラクセーション法が有効であると考えられる。本研究の目的は, PMS症状を有する女性(以下, PMSの女性とする)に対する呼吸法のリラクセーション効果を明らかにすることである。20〜38歳のPMSの女性(呼吸群20人,対照群20人)を対象に,呼吸法の実施前後に生理学的および心理学的指標を用いリラクセーション効果を測定した。なお,測定は1月経周期(約1ヵ月間)の呼吸法の練習期間を経た後に行った。その結果,呼吸法実施後は,実施前に比べ副交感神経活動の指標であるHFが有意に増加し(P=0.006),ストレス指標である唾液コルチゾールは有意に低下した(P=0.010)。気分状態を示すMOODの「緊張と興奮」「爽快感」「疲労感」「抑うつ感」「不安感」では全因子において有意な変化がみられた(P=0.000)。とくに呼吸群の「爽快感」は対照群と比較して有意に増加した(P=0.036)。以上の結果からPMSの女性に対して呼吸法は,リラクセーション効果をもたらすことが明らかとなった。
著者
竹原 健二 野口 真貴子 嶋根 卓也 三砂 ちづる
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.275-285, 2008-07
参考文献数
31
被引用文献数
4

【目的】本研究の目的は助産所および産院で出産をした女性における,「豊かな出産体験」を具体的に記述し,そのような体験をした者の割合を明らかにするとともに,施設問の差を検討することとした。【方法】2002年5月〜2003年8月に,調査対象施設(助産所4,産院1)で出産した女性の中から,経膣分娩により出産していることなどの条件を満たした女性1,165人(助産所386人,産院779人)を本研究の対象者とした。出産数日後に調査員が質問票を用いた直接面接を実施してデータを収集した。【結果】対象者の80〜90%が,お産の姿勢が"自然と"決まったり,何か大きな力に"動かされている"ように感じたり,考えるよりも先に身体が動いたりするなど,自分自身の身体をコントロールできなくなるような体験をしていた。約30%の女性がお産の直後に,また産みたいと思っていた。出産体験に関する45項目中39項目で,産院で出産した女性よりも豊かな出産体験をしていることが明らかになった。【考察】従来の「満足なお産」「快適なお産」といった概念では表しきれないような豊かな出産体験や,先行研究で用いられてきた「コントロール」の概念とは異なる,理性を超越したような体験を多くの女性が体験していることが明らかになった。今後は豊かな出産体験につながるような要因を明らかするような研究が望まれる。
著者
木村 静 阿曽 洋子
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.531-539, 2009-01
参考文献数
26
被引用文献数
1

女性への足裏マッサージによる排便促進効果を明らかにすることを目的とし,実験研究を行った。被験者は,9名の女性(平均年齢31.3±8.29歳,平均BMI22.7±2.94)であった。すべての被験者が2日間同一条件にて実験を行った。マッサージの内容は,研究者が施行した15分間の足裏マッサージであった。測定項目は,自律神経としてHF(副交感神経成分)とLF/(HF+LF)(交感神経成分),腸音,皮膚温であった。分析方法は各測定区間間と2群間でフリードマン検定とウィルコクスン符号付順位和検定を行った。結果,HFではマッサージ後3区間目に介入群が対照群より高く(p=0.051),LF/(HF+LF)では両群で差は認めなかった。腸音では介入群においてマッサージ前と比べマッサージ後に有意な増加があり(p<0.0125),2群の比較ではマッサージ後1〜3区間において介入群が対照群よりも高く有意差があった(p<0.05)。皮膚温では,介入群においてマッサージ中に低下し,マッサージ後上昇した。以上より,足裏マッサージには,リラックス効果,腸音の増加に伴う排便促進効果があることが考えられた。
著者
賀数いづみ
雑誌
母性衛生
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, 2002
被引用文献数
1
著者
斉藤 早苗 町浦 美智子 末原 紀美代
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.223-230, 2007-07

未婚就労女性221名を対象に,Beckerの保健信念モデル(Health Belief Model:以下HBM)を基盤にし,社会的認知理論の自己効力感を用いて,性感染症(sexually transmitted infections:以下STI)予防のためのコンドーム使用の自己効力感に関連する要因を分析した。対象者の平均年齢は27.5±5.02歳,性交経験率は82.4%であった。避妊をいつも実行している割合は47.5%で,最も多い避妊法はコンドーム法71.9%であったが,91.0%がコンドームを携帯したことがなかった。過去1年間にSTI予防でコンドームを使用した割合は30.1%であった。STI予防のためのコンドーム使用の自己効力感ありの女性の割合は71.5%であった。しかし,そのうち88.8%がコンドームを携帯していなかった。STI予防のためのコンドーム使用の自己効力感は,STIへのおそれの認知,コンドーム使用の負担感,一般性自己効力感,性交経験の有無,STI目的でのコンドーム使用と関連があった。本研究の結果,未婚就労女性に対して,効果的なSTI予防活動を実施するためには以上の関連性を考慮した看護介入の必要性が示唆された。
著者
半藤 保 小林 正子 久保田 美雪
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.21-28, 2007-04

大学生381人(男子100人,女子281人)に無記名アンケート方式により,性行動,性感染症に対する現況と知識,および意識について調査した。その結果,以下の点を明らかにした。1)初交年齢のピーク:男子16歳,女子17歳。2)18歳までの性交経験率:男子78.9%,女子76.1%。3)複数人の性パートナーをもつ割合:男子52.7%,女子56.4%。4)性感染症(STI)の種類について回答者の50%以下しか知らなかったもの:性器ヘルペス,淋病,B型肝炎,C型肝炎,尖形コンジローマ。5)性交時,必ずコンドームを装着するもの:約2/3しかなく,1/3は「ときどき」あるいは「全く」装着しなかった。しかも,装着は避妊目的であって,STI予防を目的としたものは約20%にしか過ぎなった。6)STI予防のためコンドーム装着の必要性を自覚するもの:男子55%,女子80%。7)STI罹患疑いのとき,性パートナーともども病院を受診するとしたもの:39%。
著者
池田 智子 鈴木 康江 前田 隆子 原田 省
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.129-138, 2011-04
被引用文献数
1

本研究の目的は,(1)高校生における月経痛と関連する因子の実態調査,ならびに(2)リラクセーション法による月経痛の軽減効果を検討することである。実態調査は,高校生1,339名を対象に無記名自記式質問紙法で実施した(有効回答953名)。その結果,月経痛がある者は865名(90.8%)で,日常生活に影響があるとした者は448名(51.8%)であった。月経痛に関連する因子として,睡眠状態の不良(オッズ比:1.43,95%Cl:1.06〜1.92),生活上のストレス感(オッズ比:1.42,95%Cl:1.06〜1.90),冷えの自覚(オッズ比:1.84,95%Cl:1.40〜2.41)などが見出された。そこでストレス感と睡眠に着目し,呼吸法とアロママッサージ併用によるリラクセーション法の月経痛軽減への効果を検討した。月経痛のある高校生で研究協力の得られた者を無作為に介入群(16名)と対照群(16名)に割り付け,介入群にはリラクセーション法を実施した。介入群では,対照群に比べ月経1日目,2日目の月経痛は有意に軽減し(P<0.05),日常生活への影響は2日目で有意に減少した(P<0.05)。POMSの緊張-不安が有意に低下した(P<0.05)。リラクセーション法の実践により月経痛の軽減効果が示され,有効な対処法として活用できると考えられた。
著者
坂梨 薫 勝川 由美 臼井 雅美 鍋田 美咲 大賀 明子 永井 祥子
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.482-489, 2010-07

韓国の産後ケア施設の現状と課題を明らかにし,日本の新たなサポートシステムとしての産後ケア施設導入の可能性を考える目的で本研究を行った。梨花大学教授,韓国助産師会会長,ソウル助産師会会長のヒアリング,韓国の産褥ケア施設長および施設利用者へのインタビューから,1.産後ケア施設の業種としての位置づけが医療機関ではなく宿泊業に分類されている,2.産後ケア施設は医療機関ではないため,運営においては一般の人々や企業の参入を可能にしている,3.褥婦や新生児に異常が生じた場合,病院や診療所との連携システムが構築されていない,4.新生児を1ヵ所に収容した施設では,新生児に感染症が発症した場合,感染拡大の危険性が生じる,などが課題であることが明らかになった。しかし,利用者の支援内容に関する満足度は高かった。2008年開設された,わが国初の産後ケアセンターも宿泊業と産業分類されており,今後,わが国において産後ケア施設を導入し,拡充していくためには,産後ケア施設先進国である韓国での課題を自国の問題として検討していくことが必要となる。
著者
清水 嘉子 関水 しのぶ 遠藤 俊子 落合 富美江
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.367-375, 2010-07

本研究では,母親や末子の年齢,子どもの数といった属性が,母親の肯定的情動としての育児幸福感に影響があるかどうか,母親の就労状況別(フルタイム群,パートタイム群,家事従事群)に比較し検討する。参加者は,764名の0〜6歳の子どもをもつ母親である(フルタイム219名,パートタイム234名,専業主婦311名)。育児幸福感の測定には清水らが開発したChildcare Happiness Scale(以後CHSとする)用いた。母親年齢,子ども数,末子年齢を独立変数,8つの育児幸福感の下位尺度得点を従属変数としたモデルを,パス解析で多母集団同時比較を行い検討した。その結果,すべての群において子ども数は,CHSの8つの下位尺度得点に全く影響を与えなかったが,しかし末子年齢は,フルタイム群において「親としての成長」の得点に正の影響,そして専業主婦では負の影響があり,一方パートタイム群では影響がなかった。フルタイム群において,母親年齢は「子どもの成長」尺度得点に正の影響を与えたが,他の群においては影響がみられなかった。この結果より,フルタイムで働く母親にとって,母親や末子の年齢が増すことは「親としての成長」や「子どもの成長」の育児幸福感を高めることが示唆された。さらに,就労形態の異なる母親に対する育児教室における支援について検討した。
著者
嶋田 容子 板倉 昭二
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.337-339, 2007-07

母親による乳児の泣きの音声の擬音語でのとらえ方,また擬音語表現と解釈との関連を質問紙によって調査した。比較的単純な擬音語が欲求として解釈され,この解釈には共通性が高かった。多様な変化を含む擬音語表現は,感情と解釈され,さらに乳児の手足の動きを伴うことが高い頻度で記述された。