著者
額田 彰
出版者
東京工業大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2010

NVIDIA社製のCUDA対応GPU向けの自動チューニングFFTライブラリであるNukadaFFTライブラリを開発した.その性能は多くの場合にNVIDIA社のCUFFTライブラリを上回る.また複数GPU版についても複数GPUを搭載するシングルノードと複数ノード版を実装し,さらなる速度向上を達成した.
著者
桑木野 幸司
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は、初期近代のイタリアにおける芸術文化を、領域横断的なアプローチによって、より深く理解することを目的とした。ルネサンス文化が発展し、芸術や文芸、科学、思想の面で人類史上稀に見る成果を生み出したこの時期、テクストとイメージと空間は密接な関連をもって、創造の場面において融合していたが、これまでそうした側面には光があたってこなかった。本研究では記憶術を理論的中心に据えたうえで、百科全書主義やコモンプレイスの伝統、エンブレムやインプレーザといった文字と図像を融合させた領野を分析し、さらにそれらと建築・庭園・都市空間との関わりを考察することで、新たな知見を多数明らかにすることが出来た。
著者
藤巻 和宏
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2008

複数の寺院や図書館等で、中世南都の宗教的事象に関わる文献資料類の調査をおこなったが、調査データを整理し、活用してゆく際に、「宗教言説史」という枠組みを構築することを目指していた。これは、文学・史学・宗教学…といった近代的な学問分類に束縛されることなく対象を取り扱うために必要な作業であり、未完成ながらも、この三年間である程度の方向性を示すことができたと考えている。
著者
岩瀬 忠行
出版者
東京慈恵会医科大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

哺乳類の腸内における窒素固定細菌の役割を純粋な形で検討するため、まず、窒素固定細菌を有するマウスモデルを構築した。また、国内メーカーと共同で、15Nガス曝露実験用インキュベーターを設計・開発を行った。本インキュベータにて3日間飼育した窒素固定細菌を保有するマウスと保有しないマウスの臓器(腸内容物、腸管、肝臓、体毛)を回収し、元素分析/同位体比質量分析計を用いて、窒素同位体比を測定した。その結果、腸内容物、腸管、そして肝臓において統計学的に有意な窒素同位体比の上昇が認められた。一方、体毛においてはそのような上昇は認められなかった。
著者
多々見 純一
出版者
横浜国立大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2009

走査型プローブ顕微鏡に付設可能な小型試験機を開発した。安定破壊を目的として、片側シェブロンノッチ試験片を用いた。Si_3N_4セラミックスでは、き裂は連続的に進展するとは限らず、先端あるいはき裂近傍にマイクロクラックを生成しながら、それらが連結して不連続に進展していくことが観察された。また、磁歪材料であるTerfenol-Dでは、き裂の進展に伴いき裂近傍の磁区構造が変化していく様子が確認された。
著者
牧迫 飛雄馬 島田 裕之 土井 剛彦 李 相侖 堤本 広大 中窪 翔 堀田 亮 牧野 圭太郎
出版者
鹿児島大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

地域高齢者202名を調査した結果、97名(48.0%)が脳の健康のために取組んでいる活動があると回答し、取組んでいない者と比較して、記憶や情報処理課題の成績が良好であった。軽度認知機能障害を有する高齢女性56名を対象に語想起課題中の脳血流と園芸活動の有無との関連を調べたところ、日常的に園芸を実施している者で脳血流が有意に増大していた。また、うつ徴候および軽度記憶障害を有する高齢者89名を運動群、菜園群、対照群にランダムに割り付け6か月間の介入前後での効果を調べたところ、運動介入は記憶および持久性の向上に効果が期待されることが示されたが、菜園作業での介入効果は確認することができなった。
著者
梶 弘和
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

タンパク質や細胞などの脆弱なバイオ材料の機能を最大限に利活用するためには、生理環境下での加工プロセスが極めて有効である。本研究では、細胞の脆弱性に対応したバイオファブリケーション技術を開発して、in vitro細胞組織工学への展開を図った。マイクロ流体技術、ソフトリソグラフィー技術、表面技術等をハイドロゲルや高分子ナノシート等と効果的に融合させることで、細胞周囲環境の制御が可能な2次元および3次元培養系を作製して細胞組織機能の評価を行ったところ、これらの系が機能性の筋肉組織等の形成に有用であることが示された。
著者
田中 真美
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2006

ヒトの触感にどのような因子が強く関わるかを、物理パラメータが既知な対象物の製作、さらにそれらを用いた官能調査やヒトの触動作測定、受動触刺激等による評価を通して、調査した。これらの知見を基に皮膚の感覚受容器の特性と触動作を、センサ材料、駆動機構ならびに信号処理方法により実現し、しっとり感、ふんわり感、温冷感、ぺたぺた感、きゅきゅっと感などの多機能な触感計測を可能とするセンサシステムを開発した。
著者
鐘巻 将人
出版者
国立遺伝学研究所
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2009

本助成により、植物ホルモンオーキシンが植物内で引き起こす分解システムを、異種真核生物に移植することに成功した。これにより、非植物細胞において標的タンパク質をオーキシン依存的に分解除去することが可能になり、私たちは本手法をオーキシン誘導デグロン(AID)法と命名した。私たちは本手法が出芽酵母、分裂酵母、ニワトリDT40細胞、マウスおよびヒト培養細胞で機能することを確認し、その成果を論文公表した。さらに、本手法を利用して、出芽酵母内の因子の機能解析に応用し、その成果を論文公表した。また、改良版AID 法を開発することに成功し、特許申請を行った。
著者
橋彌 和秀
出版者
九州大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本研究の主要な成果はふたつある。(1)30種の霊長類について、目の形態・大脳新皮質率・群れサイズの要因の相関関係を解析し、ヒトを含む霊長類の目の外部形態の進化に社会的な要因が関与していた可能性をあきらかにした。(2)そのような形態的特徴を持つヒトは、発達初期から、「他者に注目される」ことを強化子として新たな行動を学習可能であることを、生後6か月の乳児を対象とした行動実験から実証的に示した。視線を介した我々のコミュニケーションは、生物学的基盤に立ちつつ、ヒトがヒトたる所以のひとつである学習にも大きな影響を及ぼしていることが明らかになった。
著者
中島 裕輔
出版者
工学院大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、HEMS導入住戸や一般戸建住宅のエネルギー消費特性とライフスタイルの調査分析をふまえて住宅用エネルギー情報収集・表示システムを開発し、長屋型アパートに試験設置して運用評価を行った。その結果、高効率器具への買い換えや温度データを参考にした住まい方の工夫などシステム導入の効果と見られる様々な省エネ行動の実践が見られ、それに伴う一定の省エネ効果も確認できた。
著者
松川 和嗣
出版者
高知大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

我々は、絶滅が危惧されている家畜のクローン技術と凍結乾燥技術を組み合わせた保存・再生を試みている。本研究では、ウシ線維芽細胞の凍結乾燥後におけるDNA損傷細胞数を計測し、凍結乾燥後の保存温度が核移植胚の発生に与える影響を検討した。凍結乾燥後1週間のDNA損傷細胞の割合は、-30℃保存では22%、+20℃では100%となり有意な差が認められた(P<0.05)。培養細胞、-30℃保存および+20℃保存凍結乾燥細胞を核移植したときの卵割率は67、50および0%,胚盤胞発生率は37、28および25%となり、培養細胞と-30℃で保存した凍結乾燥細胞の間に有意な差は認められなかった(P>0.05)。
著者
尾上 弘晃
出版者
慶應義塾大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の目的は,センチメートルスケールの複雑な3次元組織を構築するためのビルディングユニットである「細胞ファイバー」を開発し,組織構築のための方法論を確立することである.細胞ファイバーは,二重同軸マイクロ流体デバイスにより連続的に形成するこに成功した.その際,コア部に細胞と一緒に封入するECMの選択が,細胞ファイバ形成に重要であることを見いだした.形成した細胞ファイバを用い,培養液の中で機械織りして3次元構造を構築すること,また束ねることでバンドル様の構造を構築することに成功した.構築した3次元組織は細胞の活性を維持しており,移植医療に適用することが可能であることをマウスへの移植で確認した.
著者
大原 渡 福政 修 畠山 力三
出版者
山口大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2006

等質量の正負イオンのみから構成されるイオン系ペアプラズマの生成と物性解明を行った.フラーレンC60ペアイオンプラズマ中の静電波動伝搬特性において,通常の電子-正イオンプラズマにおいて観測されない独特の特徴を明らかにした.質量が最も小さく高周波応答が可能な,水素原子正負イオンから成る水素ペアイオンプラズマの生成を試みた.効率の良い水素負イオン生成が必要であるが,従来にはない多孔体触媒を利用した触媒イオン化法によって,正負イオンを同時に生成することが可能となった.
著者
柏崎 隼
出版者
神戸大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は、細胞を物理的に二分する細胞質分裂のメカニズムについて、in vivoライブイメージングとin vitro再構成系の両方を駆使して包括的かつ詳細に明らかにすることを目的とする。平成29年度は分裂酵母のゴーストを用いた収縮環の収縮機構について、これまで成功している収縮環の単離に焦点を絞り、収縮環の構成因子や微細構造の解析を行った。効率的に収縮環を単離するため、単離方法を改良した。臨界点乾燥法や急速凍結レプリカ法による微細構造解析を進めている。グリッド付のカバーグラスを用いることで、蛍光顕微鏡で観察した場所を電子顕微鏡でも観察する光学-電子相関顕微鏡法による単離収縮環の観察について検討した。また、収縮環中のミオシン分子の配向を超解像顕微鏡により明らかにするため、光活性型の蛍光タンパク質を用い、配向がわかるように遺伝子工学的に改変したミオシンを発現する分裂酵母株を作製し、超解像顕微鏡観察を行った。細胞質分裂において、隔壁形成に重要な役割を担う細胞内小胞輸送に関わる因子の変異株についての解析も行った。この変異株では細胞形態に異常がみられるが、エンドサイトーシスやエキソサイトーシス関連因子の局在を調べたところ、細胞膜タンパク質のリサイクリング経路に異常がみられることがわかった。細胞質分裂にも異常がみられるが、細胞膜タンパク質のリサイクリング経路と細胞質分裂の関係についてさらに解析を進めている。
著者
中川 聡
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究は、深海底熱水活動域において絶対的な共生関係にある微生物―大型生物の相互作用・相互認識機構を分子レベルで解明することを主な目的としている。特に生物間の相互認識に関わる生体分子「糖鎖」に注目し研究を進めてきた。本研究では深海底熱水活動域に見られる様々な共生系(細胞外共生系から細胞内共生系)において、共生微生物/ホスト生物が有する特異糖鎖の機能解析や糖鎖認識分子の同定・発現解析等を実施することに成功した。
著者
藤岡 慎介
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2009

高輝度X線で満たされた環境中に低温なガスやプラズマが存在する場合、光電離プラズマが生成される。天体観測では、白鳥座X-3や帆座X-1など、ブラックホール又は中性子星と伴星が対になった、連星系において光電離プラズマが観測されている。本研究ではレーザー爆縮法を用いて、500 eVに達する高輝度黒体X線放射源を生成し、このX線を低温・低密度のシリコン又はマグネシウムプラズマに照射することで、実験室中で光電離・非熱平衡プラズマを生成した。光電離・非熱平衡プラズマからのX線発光スペクトル及び吸収スペクトルを観測し、天体観測だけでは分からなかった発光線の起源やプラズマ中のイオンの価数分布を明らかにすることが出来た。
著者
風間 北斗 遠藤 啓太 塩崎 博史 BADEL Laurent 髙木 佳子
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

ヒトの活動を支える記憶は、細胞の活動や形態の変化として脳内に刻み込まれると考えられている。しかしながら、記憶のメカニズムに関しては未知な部分が多い。本研究は、ショウジョウバエ成虫の匂い記憶をモデルとし、細胞・シナプス・回路レベルで記憶のメカニズムを解明することを目指した。その結果、単一動物を対象にして匂い記憶を形成させる手法を確立すること、記憶に関わる複数の神経細胞群から同時に活動を記録すること、匂い記憶に必要な脳領域に存在する細胞の電気的性質やシナプスの性質を調べることに成功した。
著者
定兼 邦彦
出版者
国立情報学研究所
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2007

これまで理論的な研究だけが行われてきた簡潔データ構造に対し,現実の計算機で用いる際の問題点を解決した,実際的な簡潔データ構造を開発した.順序木に対しては,既存の簡潔データ構造のサイズを4割削減し,なおかつこれまで実現できなかった多くの演算を行えるようになった.また,文字列検索の簡潔データ構造である圧縮接尾辞配列,圧縮接尾辞木のライブラリを作成した.これにより,110ギガバイトの文書データからの検索を行うためのデータ構造のサイズを680ギガバイトから22ギガバイトに圧縮することができた.
著者
首藤 一幸
出版者
東京工業大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2010

今後我々は数百億~兆という規模の分散システムを研究の対象としていかなければならない。これまで、我々研究者が実験可能な分散システムの規模は10万~100万にとどまっていた。本研究ではそれを数百万まで向上させた。成果は、各国の研究者が研究に用いているオープンソースソフトウェアの一部として公開・配布されている。また、汎用分散処理システムの上でシミュレーションを行うという新しいアプローチでの研究を開始した。