著者
能登 真規子
出版者
滋賀大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、現代の身元保証の実情を捉えるために、過去20年間の裁判例を分析し、わが国の企業に対する調査を実施した。調査によれば、現在も74.8%の企業が身元保証制度を採用していた。他方で、身元保証の意味合い、用いられ方には、裁判例の分析からも調査結果からも、多様性が確認された。身元保証法(1933年制定)による身元保証人の責任限度の規律は独特で、その責任の有無と責任額を裁判所の裁量に委ねているが、このしくみは関係者を安心させるに至っておらず、改新の必要がある。
著者
野口 侑記
出版者
兵庫医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

Bispecific T-cell Engager(BiTE)を用いた新しい評価系で腫瘍内微小環境を模式的に再現し、それを用いて約1300種類の既存薬からリンパ球賦活効果のある薬剤のスクリーニングを行ったところ、テトラサイクリン系抗菌薬デメクロサイクリン(DMC)が検出された。DMCはリンパ球の分裂を促す量的効果と、抗腫瘍効果を示すサイトカインの産生を増強する質的効果を共に持っていた。さらにマウスモデルでin vivoでの効果も検証したところ、PD-L1阻害薬にDMCに追加したグループで有意に腫瘍増大が抑制されることが示され、末梢血中に腫瘍特異的リンパ球の割合も有意に上昇していた。
著者
松浦 勝久
出版者
東京女子医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

成体マウス心臓より単離したSca-1陽性心筋前駆細胞を用いて細胞シートを作成し、心筋梗塞マウス心臓へ移植したところ、心臓機能の経時的な回復が観察された。Sca-1陽性細胞は可溶性VCAM-1を発現し、可溶性VCAM-1はその受容体であるVLA-4を介して血管新生、心筋保護、Sca-1陽性自身の遊走・生着を促進し、細胞シート移植のよる心臓機能回復を調節していることが明らかとなった。
著者
稲垣 朋子
出版者
三重大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、離婚後の親権行使及び面会交流のあり方を、共同親権制度を視野に入れつつ再検討を行った。その際には、共同親権が認容されない(されるべきでない)単独親権の場合においては、子の福祉をいかなる方法で保障していくべきかという側面にも目を向けた。ドイツ法を比較対象としながら、共同親権制度下での親権行使及び面会交流の態様と、単独親権制度下でのそれらとの溝が何であるかを裁判例及び実態より明らかにし、日本における離婚後の共同親権のあり方を考察した。
著者
岩原 昭彦
出版者
樟蔭東女子短期大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

電子メール上での相談や議論は、送信者の意図がうまく伝達されにくいために、受信者に誤解を与え、結果的にケンカ別れに終わるなど禍根を残しやすいことが報告されている。誤解が生じやすいのは、対面式のコミュニケーション事態では、表情や韻律という非言語的情報が発話内容と同時に伝達され、送信者が抱く感情的意味情報は、表情や韻律を通して相手に伝達されるために、円滑なコミュニケーションが可能となる一方で、電子メールなどの文字言語に依存したコミュニケーション事態では、単語や文法による意味情報しか伝達されず、感情的意味情報がうまく伝達されないことに原因の一端があると考えられる。本研究は、通信内容と通信媒体で使われるべき活字体の相互作用の特徴を明らかにすることで、感情を内包した文字言語コミュニケーションのあり方について検討し、携帯メールや電子メールなどの文字情報に依存したコミュニケーション事態で、誤解を低減させる情報の表示形態のあり方についての基礎資料を提示することを目的としていた。研究の成果は以下の3点に集約される。(1)表記形態や書体を選択的に使用することで、文字言語コミュニケーション事態においても感情的意味情報を伝達することは可能である。(2)文字言語コミュニケーション事態で生じる誤解には一定のパターンが存在する。(3)情報の送信者は、表記形態を工夫することで送信者の感情的意味情報を伝達することが可能であり、誤解を低減することができると考えている。これらの成果をもとに,文字言語における感情的意味情報の伝達メカニズムの解明とそのモデルが構築された。文字言語においてどのように感情的意味を認識しているのかについて理解を深めるとともに、どうすれば文字言語において正確なニュアンスを伝達することが可能かを示唆している。
著者
上田 敬太
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

外傷性脳損傷の内、局所脳損傷特に前頭葉眼窩面損傷では、社会認知に影響を与える他者の情動表情認知に障害があることが明らかになった。また、びまん性軸索損傷においては、白質・灰白質ともに体積の減少を生じやすい脳部位が明らかとなった。白質では主に脳梁の膨大部、灰白質では前部帯状回や視床などの中心構造に加え、島皮質の体積減少が認められた。一方で、認知機能障害の特徴としては、びまん性軸索損傷では、局所脳損傷群と比較して、トレイル・メイキング・テストやウェクスラー成人知能検査における処理速度で有意な低下を認めた。アパシーなどの精神症状で両群に有意差は認めなかった。
著者
柴富 一孝
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

トリフルオロメチル基は医農薬品の機能向上のために汎用される置換基である。今回我々はβ-フルオロメチルアクリル酸エステルの不斉Diels-Alder反応により,不斉炭素上にフルオロメチル基を持つシクロヘキセン類を高エナンチオ選択的に合成することに成功した。さらに,4,4,4-トリフルオロクロトンアルデヒドへの不斉マイケル付加反応にも成功した。得られたトリフルオロメチル化合物は医薬品候補分子の有用な中間体となる。
著者
安原 陽平
出版者
沖縄国際大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究は、学校での精神的自由の保障を目的として、2018年度から教科化される特別の教科「道徳」における教師の教育の自由について考察するものである。今年度は、研究実施計画を踏まえ、①理論状況の確認・検討、②教育行政ならびに各学校での進捗状況の確認・検討をそれぞれ進めている。①については、教科書使用義務、補助教材選定の自由を主たる対象として研究を進めた。とりわけ補助教材選定の自由については、ハードな規制に加え、ソフトな規制にも目を向ける必要があることが確認できている。この成果については、研究会ならびにシンポジウムで公表しており、次年度以降、論文として発表する予定である。同時に、ドイツにおける学校制度や教育に関する連邦憲法裁判所の判例なども検討し、比較研究の基盤も整えている。②については、2018年度からの開始に合わせて2017年度は小学校で使用される教科書の採択が実施されたため、関連する資料を収集し、検討をおこなった。とくに沖縄県の那覇地区を対象としている。採択された教科書の性格等に加え、採択の審議過程などの考察もおこなった。審議過程に関して、不透明さが残る部分もあり、教科書の内容面に加え、採択の手続的正当性も問題になることが確認できている。また、現職の教師等との研究会・勉強会にも参加し、次年度の準備状況、道徳教育推進教師の役割、保護者対応の実態など、各学校における進捗状況の把握に努めた。多忙化による準備時間の不足、人事考課と給与の連動による萎縮効果など、自律的な教育実践を妨げる諸要素を確認できている。
著者
金 貴粉
出版者
大阪経済法科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

ハンセン病療養所で終生隔離を余儀なくされた患者・回復者はいかなる目的において芸術文化活動を行い、そこにどのような意味を見い出していたのだろうか。本研究は、これまで日本のハンセン病療養所で患者・回復者によって展開された絵画、書、陶芸、手芸を始めとする多様な芸術文化活動の意味とその芸術性について明らかにすることを目的とした。芸術文化活動に携わる入所者からのインタビュー調査ならびに作品、関連文献調査を行うことにより、所期の目的を達成した。
著者
菊嶌 孝太郎
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究では、ケイ素化合物および触媒量のフッ化物塩を組み合わせることにより、ポリフルオロ化合物の脱フッ素水素化反応および脱フッ素置換反応が進行することを明らかにしてきた。触媒量のフッ化物塩およびヒドロシランを用いたポリフルオロアレーンの脱フッ素水素化反応について反応機構に関する検討を行った。金属カリウムとジヒドロジフェニルシランおよびクラウンエーテルとの反応を行い、脱フッ素水素化反応の鍵中間体であると考えられるジヒドロシリケートを合成した。オクタフルオロトルエンとの量論反応を行ったところ、脱フッ素水素化反応が速やかに進行した。この結果は、脱フッ素水素化反応がヒドロシリケートを経由して進行していることを示すものであると考えている。また計算化学を駆使し、本反応がジヒドロシリケートまたはヒドロフルオロシリケートのいずれのシリケートも反応に関与しうることを明らかにした。さらに、典型的な芳香族求核置換反応にみられる二段階の反応(SNAr)ではなく、求核置換反応が協奏的に進行する協奏的芳香族求核置換反応(Concerted SNAr)を経て進行することが分かった。酸フルオリドに対し、触媒量のTBAT存在下、エチニルシランやチエニルシラン誘導体を作用させたところ、フッ素が脱離してエチニル基またはチエニル基が導入されたケトンが得られることが分かった。これらの反応では、フッ化物イオンがシリル基に攻撃することで5配位シリケートとなり、エチニル基やチエニル基から酸フルオリドへの求核攻撃と続くフッ素原子の脱離によって生成物を与えていると考えられる。以上にように、ポリフルオロアレーンの脱フッ素水素化反応における反応機構の解明と、酸フルオリドを出発物質に用いた炭素―炭素結合形成反応の開発を行った。
著者
上羽 瑠美
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究ではまず初年度に,タバコ煙溶液(cigarette smoke solution: CSS)を用いて喫煙モデル動物を作製し,嗅上皮傷害・回復過程を検証した.その結果,CSS点鼻により嗅覚前駆細胞と成熟嗅細胞数が減少し,嗅覚障害が生じていた.また炎症性サイトカインも上昇していた.喫煙性嗅覚障害は嗅覚前駆細胞の抑制による成熟嗅細胞の減少により生じ,禁煙による炎症改善に伴って障害が回復する事が示唆された.次に,メチマゾール(methimazole, MET)による嗅上皮障害モデルを用いて,喫煙が嗅上皮障害回復過程に与える影響を検証し,CSSは,嗅覚前駆細胞の分裂及び分化過程を障害し,嗅上皮障害後の再生を遅延させる事,タバコ煙による障害嗅上皮再生遅延にはIGF-1の低下が関与していることが示唆された.次年度には、加齢が嗅粘膜に及ぼす影響を解明するため、若齢マウス(8週齢)と加齢マウス(16月齢)を用いて,生理的状態の嗅神経上皮における嗅神経前駆細胞から成熟ORNsまでの嗅神経細胞系への加齢による影響を組織学的に解析し,加齢に伴う嗅覚障害の背景にあると推測される神経栄養因子や成長因子,炎症性サイトカインに関して遺伝子発現解析(マイクロアレイ・リアルタイムRT-PCR)を行った.その結果,加齢マウスの嗅神経上皮では,若齢マウスと比較して分裂細胞やORNs数が低下しており,加齢に伴う嗅覚機能低下の組織学的背景であると考えられた.また,炎症性サイトカインの上昇とIGF-1の低下による神経新生および増殖・分化の抑制が分子生物学的背景にあることが明らかになった.喫煙や加齢によるORNsの低下が加齢性嗅覚障害の原因と考えられることから,喫煙および加齢による嗅覚障害に対して,“炎症性サイトカインの抑制”や“嗅神経前駆細胞からORNsまでの増殖分化,成熟過程の促進”が治療戦略となりうると考えている.
著者
宮内 佐夜香
出版者
中京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は近世・近代の日本語における逆接接続詞の発達を調査することを目的としたものである。主な対象は「ソレダガ」「ダケド」などの指示詞や断定辞と接続助詞を構成要素とする接続詞的形式であり、近世後期から明治期において、どのようにその形態と機能が推移したのかを明らかにした。また、このような分析の前提として、接続助詞の使用状況を精査することが重要であるため、近世上方語の逆接の接続助詞の使用実態を記述し、近世後期については江戸語・東京語との対照を行った。また、近年整備されつつある近世・近代資料のコーパスを活用し、本研究課題の成果と関連する接続助詞を指標とした文体研究を行った。
著者
中谷 いずみ
出版者
奈良教育大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究では、1950年代から現代までを分析対象として、反戦平和言説とジェンダー、階級の関わりについて分析を試みた。日本のような政治的イデオロギーを厭う社会では、労働者階級の女性や子どもによる反戦平和の訴えが党派性のない純粋な声と見なされ、メディアの注目を集めることがある。それが政治的な効果を持ち、平和運動を活発化すること場合も多いのだが、そこには問題も潜んでいるのではないか。本研究は女性による反戦平和言説の称揚が既存のジェンダー観に基づくものであり、特に女性らしさを温存させてしまうこと、政治色の排除を正当化してしまうことから、結果的に保守的な社会の温存に寄与する側面があるという結論に至った。
著者
佐々木 崇
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究では、胆汁酸が骨格筋機能に及ぼす影響を分子レベルで解析した。その結果、骨格筋に発現する胆汁酸受容体TGR5は骨格筋の肥大化や筋細胞分化を亢進することを明らかにした。TGR5を欠損するマウスにおいては、骨格筋の萎縮が確認された。したがって、骨格筋TGR5は加齢に伴う筋萎縮(サルコペニア)等の予防に向けた有力なターゲットになると考えられる。我々はすでにTGR5活性化能を持つ食品成分として、柑橘成分であるノミリンやオバクノンなど複数見出しており、TGR5との結合様式の解明に成功している。こういった機能性食品成分を活用することで、活力のある高齢社会の実現が期待される。
著者
大橋 麗子
出版者
岐阜大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

平成28年度及び平成29年度は産前産後の休暇及び育児休業の取得に伴い補助事業を中断していた。
著者
原田 豪人
出版者
東京女子医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

外来の初診患者で、大うつ病性障害などの症例に対し抗うつ薬の投与を行った。前方視的に抗うつ薬の投与後の1ヶ月以内のactivation syndrome(AS)(不安、焦燥、パニック発作、不眠、苛々感、敵意、衝動性、アカシジア、軽躁、躁)の発現頻度を調査した。その結果ASの発現頻度は7.4%で第一親等の気分障害の遺伝負因および大うつ病性障害の診断においてASの発現頻度に統計学的有意差がみられた。また遺伝子多型解析のための静脈血採血をAS発現群およびコントロール群に対して行った。
著者
毛利 恵美子
出版者
九州工業大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

近年、様々な機能を付加した微粒子の開発が盛んに行われているが、これらの微粒子の付加価値を高める為には、微粒子から成る高次構造の構築が不可欠である。そこで、本研究では、特に気水界面における高分子グラフト微粒子が形成する2次元構造体(単粒子膜)の構造形成について調査した。昨年までの成果により、グラフト高分子としてポリメタクリル酸メチル(PMMA)用いた際には、その分子量によって単粒子膜構造が大きく変化し、粒子間距離の変化等からPMMA鎖が気水界面で比較的拡がった構造をとっていることが示唆されている。本年度は、この興味深い現象をより詳細に検討する為に、グラフトする高分子の種類を変化させ、高分子グラフト粒子膜の科学に関する一般性を追求した。その結果、メタクリレート系の高分子を粒子表面に導入した際には、PMMAの場合と同様な傾向が観察され、高分子鎖が気水界面で比較的拡がった構造をとることが示唆された。一方、ポリスチレンを粒子表面に導入した場合には、π-A等温線等の結果より、気水界面で高分子鎖がコンパクトな状態で存在していると推察された。表面に高分子鎖を持たない粒子系においては、粒子表面の親水性・疎水性が気水界面での粒子間の反発力を決定付ける大きな要因とされているが、上記の高分子修飾微粒子系においては、粒子間隔を決定している要因は、高分子鎖の拡がりであると考えられる。さらに、これらの高分子修飾微粒子からなる単粒子膜を材料とするため、モノマーを共展開し、気水界面上で光重合を行うことにより、配列構造を含む高分子フィルムの調製をおこなった。このように、本研究課題では、高分子グラフト微粒子の気水界面における構造の一般特性を明らかにするとともに、機能性材料の作成を試みた。
著者
磯瀬 沙希里
出版者
独立行政法人国立病院機構(千葉東病院臨床研究センター)
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

神経障害性疼痛患者における病態評価として、表皮内電気刺激法を用いてAδ線維・C線維の選択的刺激を行い疼痛関連誘発電位を評価、その結果、神経障害性疼痛において有意なAδ/C振幅比の増大を認め、またAδ/C振幅比増大と疼痛症状の強さは関連を示し、Aδ線維からのC 線維に対する抑制の減少が疼痛機序の一因となりうる可能性が示唆された。表皮内電気刺激法を用いた疼痛関連誘発電位は、神経障害性疼痛の病態機序の推定及び客観的評価に有用な手法となり得ると考えられた。
著者
宿里 充穗
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

Cyclooxygenase(COX)イメージング剤の開発を目的として、非ステロイド性抗炎症薬のうち2-アリールプロピオン酸類を中心に11C標識PETプローブ化を行い、LPS誘発脳内炎症モデルラットを用いたPET撮像の結果、COX-1選択的なケトプロフェンの誘導体の11C標識体(11C-KTP-Me)が特に炎症領域の特異的描出に優れることを見出した。さらに、11C-KTP-Meはミクログリアの活性化に伴うCOX-1の変化を特異的に認識し、ミクログリア特異的マーカーとして有用である可能性が示唆された。また、サルにおいても同様に脳内炎症への集積が確認され、代謝動態もプロとレーサーとして適切なものであったため、今後、ヒトを対象とした臨床応用が期待される。
著者
金川 哲也
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

ポンプの中を流れる水中において、しばしば、衝撃波という「危険な」波が形成される。これを、ソリトンという「安全な」波に変換できれば、ポンプの損傷を抑制することが可能となる。本研究の目的は、この革新的技術開発のための理論的基盤の創成にある。気泡流中において、水中音速1,500 m/sを超えて伝播するという、水の圧縮性の効果が招く高速伝播圧力波を用いて、ソリトン遷移した衝撃波をポンプ内から速やかに逃がすという着想に基づき、高速伝播圧力波の非線形伝播の理論解析および数値解析を行った。今後、本理論の実験的検証研究や、次世代のポンプへの実装を目指した産学連携研究といった、さらなる進展が期待されるだろう。