著者
深瀬 有希子
出版者
実践女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-02-01

ニューディール文化政策としての「連邦作家計画」及び「連邦美術計画」に参加したアメリカ黒人作家芸術家の審美観と国家観を分析した。(1)ゾラ・ニール・ハーストンのTheir Eyes Were Watching God(1937)や当時は未出版の民族誌的記録(2)アーロン・ダグラス他による1930年代壁画作品(3)リチャード・ライトの12 Million Black Voices (1941)と農村安定局撮影の写真(4)ダグラスとデュボイスが再構築したアフリカ人エステバニコ表象、及び、ニューディール政策とリベラリズムの概念。
著者
鈴木 真ノ介
出版者
小山工業高等専門学校
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究は,コンピュータと通信機能を有し,生体に装着可能な超小型高機能電子機器である"ウェアラブルデバイス"における新たな通信システムの基礎開発を行うものである.その手法は,生体を伝送路とし,1つの圧電デバイスから超音波と微弱電界の両方を出力し,それらを併用したハイブリッド通信を行うものである.本研究の成果としては,超音波・電界通信の条件把握に始まり,両通信回路の設計・製作,およびその通信品質の検証を行い,ハイブリッド通信の有効性を示した.
著者
天目 隆平
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,モーションキャプチャ(MoCap)を用いて俳優の生の演技を予めアーカイブしておいたアクションデータ(基本要素)を接合して,1人のCGキャラクタによる一連の剣戟アクションを構築する手法を提案した.また,1人のCGキャラクタによる一連の剣戟アクションを組み合わせて整合の取れたアクションシーンを構築する手法を提案した.さらに、構築したアクションデータを利用して,キャラクタの視点でアクションを体験することが可能な複合現実感システムの開発を行った.
著者
堀内 史枝
出版者
愛媛大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

定型発達児および発達障害児の不眠症の有病率に大きさ差はなかったが,発達障害児の方が,睡眠についての不安が強い可能性が示唆された.入眠までの環境調整を確実にすることが重要であり,その上で認知行動療法的アプローチを加えることが有用であると考えられた.行動療法的アプローチとしては,消去法,入眠儀式,時間制限法などがあり,これらを組み合わせて行うことが有用であるが,症例毎にその特性が異なることから画一的な治療では十分な効果を得ることは困難であり,個々の症例にあわせた治療をの選択が必要である.今後は,大規模調査により本人・家族から得た情報より判定したタイプ別類型と,それに基づく治療法を確立していく必要がある.
著者
小武内 清貴
出版者
岡山県立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究課題では,平織炭素繊維とPA6シートからなる炭素繊維強化熱可塑複合材料(CFRTP)に対し,超音波加振したニードルを面外方向に繰り返し刺突する超音波加振ニードルパンチ処理を提案した.超音波加振ニードルパンチ処理を施したCFRTPの曲げ特性およびModeI層間破壊じん性を調査した結果,超音波加振ニードルパンチ処理によってCFRTPの面外方向に杭状の樹脂流れが誘起されることが分かった.この杭状の樹脂流れによって,超音波加振ニードルパンチ処理はCFRTPの曲げ特性を損なうことなく,ModeI層間破壊じん性を向上可能であるとの知見を得た.
著者
小野 順子
出版者
福岡県立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

地域で生活する高齢者の中でも転倒リスクが高い転倒経験者の特性を考慮した教育的介入の効果を検証した。比較的自覚しやすく改善可能な「生活環境」、自覚することは難しいが転倒のハイリスクである「歩行動作」、改善効果が高く、歩行動作改善に不可欠である「筋力」の3点について、リスクを認識し予防策を実施・継続できるよう支援を行った。その結果、予防策の実施・継続割合は、「生活環境」のリスクチェック33.3%、「歩行動作改善」72.5%、「筋力」低下予防の運動78.5%であった。介入後3ヶ月間の転倒発生率は7.8%であった。転倒経験者と非経験者を比較して予防策の実施率や転倒発生率に有意差は認められなかった。
著者
遠藤 新
出版者
工学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

米国都市におけるリンケージデザインには3つの現代的課題がある。第一に総合的なオープンスペース計画の策定(Comprehensive Open Space Plan)、第二にグリーン・インフラストラクチャーの計画と整備(Green Infrastructure)、第三に都市内大公園の整備(Great Urban Parks)である。先進的取り組み等を行っている都市群において、これら3つの課題は連動している。特に古くから空洞化に悩んできた旧工業都市では、市内に分散する空地・未利用地の再生(未利用地マネジメント)が総合的オープンスペース計画の主要課題であり、グリーン・インフラストラクチャーの整備や都市内大公園の整備がそのパイロットプロジェクト的な役割を果たしている。
著者
滝澤 紗矢子
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-28

第一に、Oliver Wendell Holmes, Jr. "Common Law" 第6講 'Possession'の中で、ホームズがどのように19世紀後半のアメリカで隆盛していた自然権的思考と対峙し、私的取引に対して競争政策の観点から政府規制を行う道を切り開いたかを、具体的に検討した。第二に、ホームズが、裁判官として、どのように自らの法思想を実現していったのかを、Dr. Miles Medical Co. v. John D. Park & Sons Co., 220 U.S. 373 (1911) におけるホームズ反対意見を通じて具体的に検討し、その今日的意義を確認した。
著者
竜岡 久枝
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

新生児期以降の乳児期における児とその母親を対象とし、児のお昼寝・夜寝の睡眠パターンの変遷過程と栄養との関連性について明らかにすることを研究目的とした。乳児の睡眠覚醒リズムは生体時計25時間周期のフリーランリズムを経て発達する(Kleitman, 1953)。その後、視交差上核にある体内時計本来の25時間周期は、明暗周期や母親の生活リズム等の環境要因の影響(time cue)を受け、覚醒・睡眠時間が分岐し夜間の睡眠が統合されて24時間周期の1日リズム(サーカディアンリズム)に発達する(Moor, 1985)。その乳児の睡眠覚醒リズムの発達メカニズムは、上記の脳幹網様体賦活系による睡眠-覚醒サイクルや、松果体でのメラトニン分泌の概日リズムの関与が考えられている。メラトニンは生物の概日リズムを形成するホルモンであり、その合成は外界からの光刺激と中枢の内因性リズムによって調整され、概日リズムを形成している(生山,1995)。メラトニンは血漿、唾液、尿等といった生体物質中に存在し、それらは高速液体クロマトグラフィーやガスクロマトグラフ質量分析、及び放射性免疫検定法により定量可能である。生体試料によっては放射性免疫検定法による報告のみで、測定者への生体侵襲のない測定方法は報告が見あたらない。そこで今回、母親の生体試料中のメラトニン量の測定方法を確立することを課題とした。ELISA法による測定方法について検討したので報告する。メラトニン測定は測定キット(IBL社製)を使用した。生体試料からのメラトニン抽出およびメラトニン誘導体の生成はM.KollmanやH.Kimata等の方法を参考にした。メラトニン標準濃度をサンプルとして既知濃度をトレースし、測定可否を検討した。先行研究から生体試料中のメラトニン濃度は5.2pg/mLであることから、キットの検出限界および検量線から検出限界を測定すると、測定に必要な検出限界は3pg/mL、定量限界は300pg/mLとなった。また、測定に必要なサンプル量は5-10mlとなった。
著者
村上 幸史
出版者
神戸山手大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究は「個人が成功や幸福を得るための資源には限りがある」という考え方の中でも、特に特定の社会での限定説(「対人的定量観」)と主観的幸福感の関連性について検討を行った。その結果「対人的定量観」を持つ者は主観的幸福感が低く、競争的達成動機も高く、不幸の程度を相対的に判断しやすいことが示唆された。この影響はweb上でニュースを判断する実験を通して、他者の不幸を非難する傾向や喜ぶ(シャーデンフロイデ得点)傾向の形でも示された。このような観点から主観的幸福感を維持する過程は、幸福感を高めることに関する負の影響と考えられる。
著者
豊島 学
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、統合失調症の発症メカニズムやその病態に対してNG2(+)細胞がどのように関与しているかを明らかにするため、統合失調症薬理モデルマウス、精神疾患治療薬投与マウスを作製し、NG2(+)細胞数の変化やNG2(+)細胞特異的な遺伝子発現変化を解析した。その結果、Lithium を投与したNG2DsRed マウスにおいて、NG2(+)細胞数の減少とRbpj 遺伝子の発現増加が認められた。Rbpj は、Notch シグナルの主要な伝達因子であることから、Lithium はNotch シグナルを介してNG2(+)細胞の分化や増殖を制御する可能性が示唆された。
著者
西本 壮吾
出版者
愛媛大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、諸外国で使用されている農薬であるEndosulfan について、免疫系、特にアレルギー反応に関する影響評価を行った。Endosulfanはアレルギー誘発マウスにおいて、血清中の抗原特異的IgE量を増加させ、アレルギー反応を惹起させる可能性を示した。また、IL-4産生量においても増加させた。Endosulfanは、アレルギー反応を誘発するだけでなく、炎症物質の放出を促進したことから、アレルギー反応に影響を及ぼすことが明らかとなった。
著者
竹中 治堅
出版者
政策研究大学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究は選挙制度と二院制度が日本の首相の指導力にどのような影響を及ぼすのか明らかにすることを目的としている。本研究は、1994年に政治改革が行われた結果、中選挙区制度から小選挙区・比例代表制に改められた結果、首相の派閥政治家、族議員、官僚に対する指導力は全般的に高まったことを明らかにした。さらに二院制度については、戦後日本政治過程を通じて、参議院は内閣と衆議院が一体となっておこなう立法作業を抑制し、この結果、首相の指導力も制約してきたことも明らかにした。
著者
木下 武徳
出版者
北星学園大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本年度は、3年計画の本研究の3年目であった。昨年度にアメリカの福祉改革の全体像とその民間化の状況、ウィスコンシン州における民間化の特質などについては、まとめた。そのため、本年度は、ロサンゼルスとニューヨークの調査研究とそのまとめを行う予定であった。それを踏まえて、研究業績の概要を述べると、次のようである。第一に、ロサンゼルスには9月3日から12日まで行き、民間化された福祉事務所や管轄しているロサンゼルス・カウンティの社会福祉部の本庁などに訪問調査を行うことができた。そのなかで、インタビュー調査や公開されていない資料等を入手することができた。第二に、それらロサンゼルスでの現地調査を踏まえて、『社会科学研究』(東京大学)に、「ロサンゼルスの福祉改革における民間化の特質-GAINケースマネジメントを中心に」の論文を掲載することができた。これは、民間化された福祉事務所の委託契約の流れとそのインセンティブ収入や成果目標などをどのように設定し、福祉事務所運営を任された企業をいかに行政コントロールしているのかを明らかにした。第三に、これらのアメリカの福祉改革の権限委譲(地方分権、民間化)の枠組みを援用しながら、日本の社会福祉制度をどのように見ることができるのかを『北星論集』(北星学園大学)にて、共著であるが、研究成果を公表した。第三に、ニューヨークの福祉改革における民間化の動向については、昨年度現地に訪問することができなかったため、詳細のつめがまだ不十分であり、これまでの研究を踏まえて2008年度以降に研究成果を公表できるようにしたい。以上
著者
山本 健
出版者
西南学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、1970年代後半から80年代初頭のヨーロッパにおける緊張緩和の国際政治過程の史的検討を行った。特に、NATO内でのデタント研究と1980年~81年に起こったポーランド危機に注目し、西側同盟内の構想を分析した。その結果明らかになったのは、1975年以降、さらなる緊張緩和を進める上で、西側諸国は具体的にどの分野で東側陣営と協力を進めるのかについてコンセンサスを形成できないまま、新冷戦と呼ばれる新たな対立の時代に突入していったというものであった。
著者
阿保 大介
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

2012年3月までに3頭の雌豚を用いた実験を行い、その結果の解析を行った。この結果を2012年度中に北海道IVR研究会で発表した後、2013年4月に日本医学放射線学会総会、同5月に日本IVR学会総会の2つの国内学会で発表した。通常診療で頻用される血管塞栓用コイルのみでの閉塞困難な動脈瘤や出血に対する塞栓術症例に対し、n-butyl-2-cianoacrylate(NBCA)を併用することは、しばしば行われているが、その組み合わせの方法論について確立したものは存在していなかった。本研究は、その方法論の確立を行ったものであり、その着眼点が大きく評価された。2013年5月現在、その内容を国際学会誌に投稿する準備中である。
著者
中村 勇規
出版者
山梨大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

花粉症では鼻水や鼻閉などの症状が夜から明け方に悪化することが知られている。しかし、「体内時計」が花粉症の病態に関与するか否かについては未だに明らかではない。そこで、動物モデルを用いて「体内時計」が花粉症の病態に関与することを検証した。マウス花粉症モデルを用いて検討した結果、野生型マウスにおける花粉症の症状は日内変動を示し、時計遺伝子Clock変異マウスでは消失することが確認できた。また、体内時計に作用する薬剤を投与することで、花粉症の症状が抑制できること、加えて、マウス慢性時差ぼけモデルではこの日内変動が消失していた。これらの結果から、体内時計が花粉症の病態に関与することが強く示唆された。
著者
日比 泰造
出版者
慶應義塾大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は臓器の脱細胞化技術を用いて作製したブタ由来の小腸スキャフォールドに、小腸オーガノイドを生着させ小腸グラフトを開発し、小腸不全に陥り小腸移植を必要とする患者の新たな治療の嚆矢となることを目的とした。ブタ小腸の脱細胞化を繰り返し行い手技の安定化後、資源的な面からラットに計画を切り替えた。グラフト腸管および血管を確保しヘパリン化生食による還流に成功し、免疫染色で明らかな細胞核が存在しないことを確認できた。現在、電子顕微鏡で内部の微細構造を観察しているほか、細胞骨格に含まれているDNAおよび細胞外マトリックスの評価を行っている。
著者
久松 太郎
出版者
神戸大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

トレンズは、リカードウの諸理論を批判することもあったが、それらを受容し、自らの経済理論を提起していた。しかし彼のリカードウ解釈は、時おりその本来の意味からかけ離れていた。トレンズの言説は、J.S.ミルや20世紀の著名な経済学者たちの注目を集めたため、そのことがひとつの契機となり、誤ったリカードウ解釈が流布してきた可能性がある。とりわけ、国際経済学の教科書で「リカードモデル」として知られる比較優位の原理はリカードウ本人によって提示されたものであるとの誤った解釈の普及には、トレンズが間接的にかかわっていたと考えられる。
著者
甲賀 かをり
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

子宮内膜症患者の腹腔内貯留液中の樹状細胞は貪食能が高いことをマンノースレセプターの発現頻度が高いことにより示した。また、樹状細胞が腹腔内の子宮内膜細胞を貪食し、TNFα、IL6などのサイトカインを分泌することを示した。これらのことより腹腔内貯留液中の樹状細胞は、逆流子宮内膜細胞を貪食し、T細胞のポピュレーションを変化させるなど、腹腔内の免疫環境を変化させ、子宮内膜症の進展に関与する可能性を示した。