著者
佐藤 純
出版者
八戸工業高等専門学校
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

1930年代におけるイングランド銀行の対外政策に関しては、その影響力が及んだ範囲の大きさゆえに研究者の関心を集めてきた。これに関して先行研究は、同行がスターリング圏(sterlingarea)の安定と拡大を目的として、帝国内外の諸国にアドバイザーを派遣し中央銀行の創設を実現していったことは明らかにしているが、中央銀行創設に至るプロセスや、果たして中央銀行の創設によって上述の目的は達成されたのか否か、以上の点については十分には明らかにしてこなかった。本研究では、これらの点を1934年におけるエル・サルバドル準備銀行の創設に関する事例に即して明らかにした。
著者
高橋 健一郎
出版者
札幌大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究は19世紀末から20世紀初頭のロシアの音楽と文学のインターフェースに光を当てるものである。まず、これまであまり研究対象とされてこなかった作曲家たちの基本的な情報を整理し、楽譜や書籍を発表したほか、メトネルに関して、象徴主義との関係、その文化史的意味について研究した。具体的には、象徴主義者アンドレイ・ベールイやヴャチェスラフ・イヴァノフら象徴主義者、そしてイリインらとメトネルとの関係について整理し、ロシア文化史のけるメトネルの位置を明らかにした。
著者
古賀 智之
出版者
同志社大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、スパイダーシルクの有する優れた力学特性とその分子構造特性に着目し、人工ペプチドの自己組織化概念を合成高分子システムとハイブリッド化させるという新しい発想のもと、スパイダーシルク様ナノ構造を有する様々な新規ペプチドーポリマー・ハイブリッドを合成した。水溶液系やフィルム系での自己組織化挙動や高次構造特性,力学物性等を総合的に評価し、高機能ソフトナノマテリアル設計の新たな指針を得ることに成功した。
著者
渡辺 めぐみ
出版者
龍谷大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-28

グリーンツーリズムは、近年、農業・農村セクターにおいて推進され、新聞などのメディアでもその動きが報道されている。とくに、農家民宿における女性の活躍が期待されている。しかしながら、調査の結果、農家民宿経営は、(1)女性の感情労働が期待され重荷になっている、(2)農家民宿運営に必要な労働が、家事労働の延長として無報酬で行われる傾向がある、(3)旅館業との競合から価格が安く抑えられ利益が上がりにくい、といったさまざまな問題を抱えていることが明らかになった。現在、修学旅行などの教育旅行の受け入れが主となっているが、これらは季節的な労働になるためであり、年間を通じて一般客を受け入れることは依然困難だ。
著者
野津 裕史
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

近年我々はNavier-Stokes方程式のための安定化特性曲線有限要素スキームを開発した.それは特性曲線法と圧力安定化法を組み合わせたスキームである.得られる連立一次方程式の係数行列は対称であり,安価なP1/P1要素が用いられている.よって特に3次元問題において有用である.同スキームの安定性と収束性を証明した.その誤差評価は最良である.その結果,開発したスキームは,数値的に有用であることに加えて,数学的信頼性ももつことが示された.その他にも本研究期間において特性曲線法に関連するいくつかの数値的・理論的結果を得た.
著者
都丸 けい子 竹川 佳津子
出版者
聖徳大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

初めに、避難児童のメンタルヘルスの状態およびレジリエンスの検討に関しては、第1に、時間経過と共に地震、津波、原発の恐怖や早期は減少傾向を示した。学校生活や気持ちの安定についても同様の結果であった。一方で、生活における困難や身体の変化への戸惑いは、制度上の変遷や発達といった進行形の変化を伴うため、一時的に不安定な様相を示した。しかし、やはり時間の経過と共に、次第に安定する傾向が認められた。次に、避難児童への支援活動および支援体験の意味づけに関しては,子どもたちの不安や困難に寄り添う支援を行うことで、子どもたちのみならず教員自身にもPTGという形で、支援体験の意味づけによる成長・発達が生じていた。
著者
永田 典子
出版者
特殊法人理化学研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

プラシノステロイド欠損植物は、暗所で発芽・生育させると、もやしにならずに光形態形成をおこなう。一方、サイトカイニンを与えて暗所で生育させた場合も同様の変化がおこることが知られていた。このように、プラシノステロイドとサイトカイニンは、暗所での光形態形成に関して逆の効果を示すようにみえる。しかしこれまで微細構造レベルで両者の作用を比較した例はない。そこで、当該年度の研究では、色素体分化という側面からプラシノステロイド欠損とサイトカイニン過剰の作用を比較することを目的とした。特異的プラシノステロイド生合成阻害剤であるBrzを4μM添加した培地、またはサイトカイニンの一種ベンジルアデニン(BA)を250μM添加した培地で育てたものは、暗所から明所に移した時の緑化がcontrolに比べ早かった。BrzとBA両方を添加した培地で育てたものは、Brz単独、BA単独で育てたものと緑化の早さは同じ程度であった。BA培地にブラシノライド(BL) (1μM)を一緒に添加した場合でも、BA単独の時と緑化の早さは同じ程度であった。Brz処理及びdet2の暗所芽生えの子葉の色素体は、プロラメラボディの結晶構造を含む典型的なエチオプラストであったが、プロラメラボディの占める面積が無処理に比べ大きかった。一方、BA処理の色素体は、プロラメラボディの面積が小さく、むしろチラコイド膜が発達していた。以上のように、暗所での色素体の発達という点において、プラシノステロイド欠損とサイトカイニン過剰は独立の異なる作用を持っていた。さらに、暗所のBrz処理植物を光存在下に移して2時間後に電子顕微鏡観察したところ、渦巻き上に激しく発達したチラコイド膜が観察された。ブラシノステロイド欠損時には、これまでに知られていない、特殊なチラコイド膜発達様式をとる可能性がある。
著者
大野 恭秀
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

現在最も移動度が高いグラフェンをチャネルとしたトランジスタを用いたバイオセンサの開発を行った。作製したデバイスは溶液のpHを0. 025の分解能を持って検出することが可能であることが分かった。また、抗体を用いたバイオセンシングは電界効果トランジスタを用いたセンサでは難しいため、代わりにアプタマーまたはフラグメント抗体を用いたバイオセンシングを行い、グラフェンがバイオセンサに適していることを証明した。
著者
束原 文郎
出版者
札幌大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究の目的は,「大学の運動・スポーツ系部・クラブに所属していた者(以下,<体育会系>) が他に比して良い就職を得る」という<体育会系>就職神話について,戦後の動向とその変遷のメカニズムを捉えることにある.採用側の企業の変遷,新聞・雑誌記事での扱われ方,そしてスポーツと優良企業への内定獲得率の相関を検討した.主な結果として,<体育会系>就職は,1)時代的なリーディング企業によって牽引されること,2)大卒新卒労働市場が一時的な落ち込みから回復する期間にメディア上で取り上げられることが多くなること,3)優良企業からの内定獲得率にはスポーツ間で差異があることが明らかとなった.
著者
林 知里
出版者
大阪市立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

①テキストデータの分析には、R3.0.3を用いた。RパッケージのRMeCabを用い、頻度分析および共起語分析を行った。「ゲノム/遺伝子」と共起する語の関係性を可視化するために、Rパーケージigraphを用いてネットワーク分析を実施し可視化した。②双生児およびその家族、計20名にインタビュー調査を実施し、データを逐語録におこして分析した。結果、父親および兄弟は、自らの遺伝観を他の家族や他者と共有する経験が少なく、「独特な」遺伝観を有していることが明らかとなった。一方、母親は、多胎サークルに参加する機会などを通して、他の母親と「ふたごの不思議」なエピソードについて共有する機会をもっていた。
著者
茂泉 佐和子
出版者
東京女子医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

線虫C.elegans において、ADAMTS9のホモログであるGON-1の機能を抑制することにより、インスリン分泌細胞におけるインスリン分泌と、末梢組織におけるインスリンシグナル伝達経路のどちらが阻害されるかを検討した。その結果、GON-1の機能抑制により、インスリン分泌とインスリンシグナル伝達経路の両方が阻害されていることが示唆された。さらに、GONドメインのみを発現させることにより、上記の表現型が抑圧されることを見いだした。
著者
マイヤー ノーバート ミヒャエル
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

1.試作機による実験実験環境は終了しました。傾斜および全ての必要設備は2007年度の財政で終了しました。また安全面についても考慮しました。一つの重大な危険性はローターによるものです。ほとんど起こりえないことですが、ローターが突然押さえられ、外枠が急速に回転を始める可能性があります。この目的のため、足はそれぞれ外枠から独立に動かせるように外枠に取り付けられています。外枠の急速な回転は足の動きや損害、傷害の原因にはなりえません。更なる安全強化のために、試作機が倒れて地面にぶつけるのを避けるために、スチールワイヤーによるケーブルカーのような構造を設計しました。構造は試作機の普通の運動時には妨げにならないように出来ていなければなりませんでした。ジャイロの初期構造はモーターの耐え切れない侵害となっていました。(今年の初めの月に3個のモーターが壊れました)この問題は機械的にギアのペアによってモーターの軸とローターの軸を離すことによって解決されました。実験は明らかに試作機のヨーとロール回転を安定化しましたが、他の機械のパーツにまだ問題があることがわかりました。一つの問題は足裏の形状によって足を地面に擦るフットスカッフィング現象が起こり、歩行を不可能なものにしました。結果として、最初の形状から足に接着物を取り付けて修正しなおしました。現在、明らかな問題は不安定な振る舞いの原因になっている膝の設計にあります。2.会議とジャーナルでの以前の結果の流布以前の結果はジャーナル誌および、会議の議事録誌などに出版されました。この論文では、ジャイロのダイナミクスがいわゆる2次元受動歩行ロボットに比べ、特に膝なし形状において安定化されることを議論しています。これはポワンカレマップのようなカオス理論による手法で行われています。また、膝ありロボットによる結果についてもこれらの出版物に要約されています。
著者
中西 美和
出版者
千葉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、透過型のヘッドマウントディスプレイ(HMD)を利用した強化現実(AR)の技術を、作業マニュアルに応用することを目指し、そのためのヒューマンファクターガイドラインを示した。特に本研究では、作業マニュアルによって与えられるインストラクションの内容、及びそれが用いられる際の作業状況を考慮し、各ケースにおける応用可能性を、ヒューマンファクター実験による評価に基づいて明らかにした。
著者
村本 哲哉
出版者
東邦大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

細胞間での遺伝子発現がばらつく変異株の単離を試みた結果、4種類の興味深い変異株が得られた。そこで、母細胞での転写の活性化状態が、娘細胞でどの程度失われているのか、遺伝子の転写を生細胞内で長時間計測するライブイメージング技術を用いて検討した。その解析の過程で、発生分化開始直後にはランダムな振る舞いをしていた発生の遺伝子が、発生分化開始後5時間で、細胞集団全体で同期して活性化と不活性化を繰り返すという非常に興味深い現象を発見し、その詳細なメカニズムを解析した。
著者
新井 景子
出版者
武蔵大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-03-01

平成29年度の主な成果として次の3点がある。①_The Scarlet Letter_におけるPearl像を考察し、母と子の関係というテーマからナサニエル・ホーソーンの女性観あるいはフェミニズムに対する態度を考察した。本研究は前年度より継続して行っているものであり、論文投稿後に得られた査読者からのコメントをもとにさらなる考察を加えた(現在、再投稿中である)。②ウィラ・キャザーの_My Antonia_について、世紀転換期に雑誌を中心に流布したアメリカンガール像を参照しながら、登場人物Lena像を分析し、キャザーの「新しい女性」観を考察した。成果をまとめた論文は、"A Portrait of a Self-Made Woman: Lena Lingard in My Antonia"というタイトルで、論文集_Something Complete and Great: The Centennial Study of My Antonia_に収められた(第12章、pp. 247-69)。③イーディス・ウォートンの_The House of Mirth_について、アメリカンガールとして登場するLilyと、もう一人の“girl”であるGertyとの関わりを検討した。それにより、Lilyが異性愛ではなくシスターフッドの中で生きるという選択肢が物語の中に埋め込まれているということを論証し、作品の表に見える異性愛プロットがいかに不安定になっているかという点を明らかにした。成果をまとめた論文は『武蔵大学人文学会雑誌』に掲載された。なお、平成29年11月以降平成30年3月31日までの期間は、産前産後休暇および育児休業により研究を中断した。
著者
永瀬 純也
出版者
龍谷大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

人間と共存する環境におけるロボットハンドにおいては対人環境に対する安全性や親和性が要求される.また,日常生活の支援動作を行う場合は,それらに加えて,器用な操り動作や,柔軟な対象物の把持,および摩擦を利用した動作など,様々なタスクが求められる.そこで本研究では空気圧剛性可変フィンガを有する腱駆動ロボットハンドの開発を行った.本フィンガは,タスクに応じて空気圧を調整することにより表面剛性や摩擦係数を自在に変化可能であり,また,力制御に予測機能制御系を適用することにより,風船のような柔軟物においても,容易に力制御可能なことが実証された.
著者
大森 信
出版者
日本大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

企業におけるプロジェクトの戦略的意思決定について研究した。特にプロジェクトを大型化することに伴ってリーダーに求められる見極めに着目して調査研究した。研究の結果、プロジェクトを大型化するに伴って、すぐに利益と直結しないような非営利性の高い活動が重要となっていくことを示した。そしてリーダーには、そうした活動を支える精神をメンバーに育成できているのか、さらに適切な人材配置ができているのかが見極めとして求められることを示した。
著者
朴 今花
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

様々なバックグランドを持つ血液腫瘍細胞株をもちいてPARP阻害剤に対する感受性を検討した。その結果、リンパ系腫瘍細胞株が骨髄系腫瘍細胞株に対して比較的高感受性を示すことが明らかとなった。中でもE2A-PBX1、 E2A-HLFを発現する細胞株はPARP阻害剤に対して高感受性を示した。そのメカニズムとしてE2A-PBX1、 E2A-HLFが発現することによりHRの活性が低下し、PARP阻害剤に対して高感受性を示すと考えられた。E2A-HLF陽性白血病は治療抵抗性を示す代表的な急性リンパ性白血病であり、PARP阻害剤がその新しい治療法選択肢の一つとなりうる可能性が示唆された。
著者
横尾 亮彦
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究課題の開始直後以降、阿蘇火山の活動が活発化し、湯だまりのない状態のまま2014年1月に火孔が開口し、11月25日からは、約20年ぶりとなる本格的な噴火活動が始まった。そのため、阿蘇火山の噴火活動推移に柔軟に対応しながら、高周波連続微動やモノトニック空振の発振源推定など、本研究課題の究極目標である水蒸気爆発現象の理解に資するいくつかの項目を実施し、一定の成果を得た。
著者
李 玄〓
出版者
沖縄国際大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

近年、韓国では子どもを早期留学させるために家族が離れて暮らす「非同居家族」による、いわゆる「雁パパ」が出現している。「雁パパ」とは、母と子どもを留学させ、自分は一人韓国に残って留学費用を送金しながら暮らす父のことで、そこには様々な問題点も指摘されている。本研究は、早期留学によって現れた「雁パパ」現象に焦点をあてることで、韓国の外国語教育政策における現状問題と今後のあり方を探った。