著者
高久 玲音
出版者
一般財団法人医療経済研究・社会保険福祉協会(医療経済研究機構(研究部))
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

調査初年度にあたる平成25年度は、都道府県と市区町村にアンケート調査を行い、1995年以降における助成拡充過程を調査した。2年目にあたる平成26年度では、その調査と既存統計を突合し、医療費助成によって子どもの健康が改善しているという証拠はあるのか検討した。分析の結果、小学生以上の年齢に対する医療費助成については、自覚症状や入院、主観的健康感などすべての健康指標で医療費助成の効果は確認されなかった。一方、未就学児については自覚症状の減少が確認された。ただし医療費助成が健康に与える効果を明らかにするためには、さらなる研究の蓄積の必要性も示唆された。
著者
高橋 真央
出版者
甲南女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

今回の研究課題では、阪神淡路大震災と東日本大震災の二つの大震災で復興支援に関わってきた学生たちがその経験をどのように受容し、社会に寄与できているのか、またその際の課題について解明する事であった。東日本大震災の復興支援活動に関わった学生たちの復興支援活動の可能性について見出されたこととしては、「直接的な支援」活動と共に、「間接的な支援」活動が新たに拡がってきていることが分かった。阪神淡路大震災当時から比較すれば、経済的、社会的な環境は変化してきている。「被災地に寄り添い続ける」という目的は双方の若者の復興支援活動の根底にあるが、その活動の内容については多様化してきていることが分かった。
著者
村山 貴俊
出版者
東北学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

隙間(ニッチ)市場を創出し、そこで高い市場占有率を維持し続ける企業の競争優位の源泉を探った。食品や飲料産業で活動する企業の事例を分析するなかで、特定の事業に集中しながら,腹数の付加価値活動上の優位をうまく統合している企業が、長期的な優位性の構築に成功していることを発見した。
著者
温水 理佳
出版者
岐阜大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

今後の認知症高齢者に対する被服行動への介入方法を検討するため、まずは先行研究がなかったため現状の高齢者の被服行動についての調査をおこなった。結果から、認知能力に大きな問題がない高齢者については、加齢などによる被服に関する行動の変化は見られないことが分かった。また認知症となることで被服に関する行動は影響を受けて行動が変化することが分かった。しかし認知レベルや援助などによって維持できる行動もあるのではないかということが示唆された。
著者
YAMAGUCHI A・E
出版者
上智大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

ロンドン市内のエスニック・ビジネスの展開及び地理的空間が明らかにし、そこで多くのブラジル人が分散して居住していることがわかった。そしてブラジル人越境者のダイナミックな移動戦略があった。その戦略の1つが、彼ら自身が持っているエスニック資本を利用して、正規に英国に入国を果たしている。②彼らは、世界経済の動きに直接影響を受ける対象者でもあるが、そうした影響を受けながらも、また新たな移動戦略の可能性を生み出しているのである。③また、「段階的な戦略移動」を行っていることも分かった。つまり、世界情勢により移動の最終的な目的地がアメリカであれ、英国であれ、別の国を経由してからそれらの国に入国している。
著者
堀端 克良 本間 正充
出版者
国立医薬品食品衛生研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

DNAtopoisomeraseI(Top1)は通常DNAに共有結合して一本鎖DNA切断(singlestrandDNAbreak ; SSB)を入れることでDNA複製や転写の際に生じるDNA超ラセンを解消し、SSBを閉じてDNAから解離するが、何らかの原因でSSBを閉じることができなくなるとTop1自身がDNAに共有結合したままになり、内在性DNA損傷のように振る舞うことが知られる。このようにTop1の酵素活性中に形成される"Top1-DNA間共有結合体"(Top1-DNAcovalentcomplex ; Top1-cc)の修復機構はDNA複製、転写、組換えDNA修復、プロテアソームによるタンパク質分解機構などと密接に関連していることが知られるが、それぞれがどのように相関しているのかなどの詳細は不明である。Top1とそれぞれの因子の相関関係の詳細を、遺伝学的、生化学的および細胞生物学的手法により網羅的に解析し、その詳細を明らかにする。
著者
谷 謙二
出版者
埼玉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009-04-01

本研究は、オブジェクト指向にもとづく時空間管理可能なGISの開発を行った。本研究の成果としては、時系列地形図閲覧サイト「今昔マップ on the web」の開発、Google Maps API v3に対応した「ジオコーディングと地図化」サイトの開発、地理情報分析支援システム「MANDARA」のMicrosoft .NET対応版の開発、および明治期の関東地行政界地図データの作成があげられる。これらのうち、前者2つは既にWebサイトで完成版が公開され、多くの利用者を集めている。
著者
梶谷 桂子
出版者
広島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

我々は、浸潤生乳管癌178例に対して免疫組織化学的染色によってWnt5aの発現とER, HER2などの臨床病理学的因子との関連性を検討した。その結果(1)全178例中、Wnt5a陽性乳癌は69例(39%)であり、Wnt5a発現とERは有意に相関していた。(2)ER陽性乳癌153例におけるWnt5a発現の意義を検討したところ、リンパ節転移、核グレード、リンパ管侵襲、脈管侵襲との間に有意な相関を認めた。(3)無再発生存期間を比較すると、Wnt5a陽性乳癌はWnt5a陰性乳癌よりも短かった。以上より、Wnt5aはERの発現と相関が強く、ER陽性乳癌においては予後予測因子になることが明らかになった。
著者
VOOINEAGU Mircea
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

2012年度は,2011年度に導入したブレドン型の同変モティヴィックコホモロジーの研究を引き続き行った。はじめに,ヴォエヴォドスキーによる移送付き前層の枠組みを,同変の場合に拡張した.ここでは同変とは$\mathbb{Z}/2$同変を意味する。このために同変ニスネヴィッチ位相を導入しなけれはならない。これは,完備正則なcd構造として与えられる。また,同変標準三つ組$(\overline{X}\xto{p}S, X_\infty, Z)$を導入した。ここで,$p$は相対次元1の固有な同変写像,$X_\infty$, $Z$は不変な部分スキームであって,$S$はスムース,$X$は正規,$X=\overline{X}\setminus X_\infty$は準アフィンかつ$S$上スムース,$Z\cap X_\infty=\emptyset$,そして$X_\infty \cup Z$は同変なアフィン近傍を持つものとする。主定理は,任意のスムースな$G$スキームは,局所的には同変標準三つ組の一部である,というものである。これはヴォエヴォドスキーの定理の同変な場合への一般化である。また,同変三つ組がホモトピー不変な同変移送付き前層について,ヴォエヴォドスキーの場合と同様の性質をもつことを示した。同変でない場合の定理の拡張として,$F$をホモトピー不変な同変移送付き前層,$W$を1次元表現とするとき,$(F_{GNis})_{(-W)}(S)=(F_{(-W)})_{GNis}(S)$が成立することを示した。ここに$S$はスムースな半局所$G$スキームである。最終的な結果として,$\mathbb{Z}$-同変簡約定理を示した。この定理は,$X,Y$をスムースな$\mathbb{Z}/2$多様体とするとき,射$Z \to Z \otimes I$により誘導される単体的可換群の準同型\[C_*c(X,Y) \to C_*c(X_+\wedge \mathbb{G}_m,Y_+\wedge \mathbb{G}_m)\]は同変ホモトピー同値であることをいう。この同変ホモトピー同値は,$G$が巡回群の場合に拡張できる。これを示すために,任意の部分群$K \subset G$に対し\[C_*c(X,Y)^K \to C_*c(X_+\wedge \mathbb{G}_m, Y_+\wedge \mathbb{G}_m)^K\]が単体的可換群のホモトピー同値であることを証明した。ここで,$c(X,Y)$は$c_{equi}(Y,O)(X)=Cor(X,Y)$を意味する。結果として,任意のスムース$G$多様体$X$に対し,\[\mathbb{H}_G^n(X; C_*c_{equi}(Y,O)^G) =\mathbb{H}_G^n(X \wedge \mathbb{G}_m; C_*c_{equi}(Y \wedge \mathbb{G}_m, O)^G) \]であることが示される。これらの結果は,フリードランダー,ヘラー,オストヴァーとの共同研究により得られた。
著者
木村 涼
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

天保13年(1842)6月、五代目海老蔵は、天保改革における風俗取締政策の一環である奢侈禁止令に抵触したとして南町奉行鳥居耀蔵から江戸十里四方追放の処罰を受けた。江戸を離れ嘉永2年(1849)12月に海老蔵が追放赦免を受けて江戸復帰するまでの約8年間の演劇活動を対象に研究を進めた。追放処罰を受けた海老蔵は成田山で1年間蟄居した後、芝居の場を求めて上方方面に赴いた。海老蔵は住居を大坂に構え、上方方面の拠点にしていた。したがって、大坂の芝居出演は他の地域のそれに比べて圧倒的に多い。そこで、番付をはじめとする関連資料を、大阪府立中之島図書館や大阪歴史博物館にて複写した。また、大坂の次に海老蔵が多く出演している京都での興行を調査するため、京都大学図書館や京都府立総合資料館に行き、関連資料を複写した。伊勢や名古屋などの地域も幾つか出演しているので、三重県立博物館や三重県立図書館、愛知県名古屋市蓬左文庫、同県西尾市岩瀬文庫、御園座図書館などに赴き、番付や台帳はじめとする関連資料を複写した。その他、成田や静岡、長野、広島、長崎などの資料館や博物館、図書館に赴き、海老藏の興行記録が記されている『御用留』や『御用日記』を複写し整理・翻刻した。こうして江戸追放中の上方方面を中心とする芝居出演に関する資料を収集してきた。その結果、地方におはる観客の動向や演出の相違も判明した。本研究は、海老蔵の江戸以外の地域におはる芝居興行の究明は焦眉の急であるという課題に応えるものである。
著者
池田 忠広
出版者
兵庫県立人と自然の博物館
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

兵庫県丹波市・篠山市に分布する下部白亜系篠山層群からは、カエル類、トカゲ類といった小型脊椎動物化石が多数産出している。本研究では、これら化石群の一部を対象とし、他地域の同群中生代化石種と形態学的比較を行い、その分類学的帰属について検討を行った。結果、カエル類はそれぞれ新属・新種として記載報告され、トカゲ類は、新種を含む8タイプのトカゲ類に同定された。上記の結果から、篠山層群からの一部のトカゲ類の産出は、先行研究により指摘されている中国大陸と日本の同分類群相の近縁性を支持するが、他のトカゲおよびカエル類化石は大陸の化石種とは系統的に異なり、両化石群に明瞭な類縁性が認めらない。
著者
志田原 美保
出版者
独立行政法人放射線医学総合研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、PET脳神経受容体機能の臨床診断において、形態異常部位、形態異常はないが機能異常がみられる部位などを今まで以上に的確に診断するために、MRIによる解剖情報を積極的に導入し様々な脳機能を高精度に画像化することを目指し、MRI画像の形態情報を用いてPET画像特性を向上させるためシステム構築した。また、その有用性を、脳を模擬した数値シミュレーションによって実証した。
著者
千原 一泰
出版者
福井大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

小胞体ストレスはアルツハイマー病をはじめとする種々の神経変性疾患の病因のひとつに挙げられている。グリア細胞に特異的に発現する小胞体ストレスセンサーOASIS のノックアウトマウスでは野生型マウスに比べ、カイニン酸投与による神経細胞死が顕著に亢進する。本研究においてOASISによる神経細胞保護作用を解析した結果、OASISがアストロサイトにおける脳由来神経栄養因子(BDNF)の発現と分泌に重要な役割を担っている事を示唆するデータが得られた。
著者
高須 清誠
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

申請者がこれまで集積した精密有機合成に関する知見を基盤に細胞内タンパクもしくは核内DNAを選択的に化学修飾できる機能性低分子を開発した。当初はタンパク標識化剤の創製を目指していたが、グルタチオン等のチオール官能基との反応性があまりよくなかったことが明らかとなったため、第二の目標であったDNA標識化剤の開発に研究方向をシフトした。誘導体合成の結果選択した化合物を用いてDNA切断活性の評価を行った。種々の酸性pHの緩衝液中、プラスミドDNAと37℃で24時間培養すると、pHの低下に伴いDNAの切断活性が向上した。またpH 6. 5の緩衝液中、種々の濃度の5を用いて37℃、24時間培養したところ、最小0. 3 mMでDNAの切断が見られ、濃度依存的にDNA切断活性が向上することも確認できた。以上のことから研究計画で提案した方法は有効であることを証明できた。
著者
圓入 智仁
出版者
中村学園大学短期大学部
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

(1) 1935年にタイのルークスア(ボーイスカウト)は日本の少年団に、友好親善の証として2頭の象を贈った。(2) 1929年のルークスアの訪日には大倉財閥の大倉喜七郎が金銭面で援助した。約2週間の滞在中、神戸から東京に至る間で日本の文化を見聞きし、各地で子どもたちと交流した。(3) 1925年、発足当初の海洋少年団を海軍が観察、記録していた。ここには「海軍思想」の普及には有効だと評価しつつ、団員の出身階層、活動内容、軍部との接続などに関する意見があった。
著者
松鵜 彩
出版者
鳥取大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

犬赤血球内寄生原虫であるBabesia gibsoni培養系にDeferoxamine、トランスフェリン(Tf)およびラクトフェリン(Lf)を添加したところ、Deferoxamineによる原虫の増殖抑制作用が認められた。培養液中に添加した59Feの赤血球への鉄取込みは添加直後に開始され、感染赤血球および非感染赤血球の間に差は認められなかった。59Fe-Tfの取込みは認められなかった。Far Western Blot法により、B. gibsoni感染赤血球由来可溶性蛋白中に存在するTfおよびLf結合蛋白は確認されなかった。以上の結果からB. gibsoniの非ヘム鉄の取込みは宿主赤血球の能動的な鉄取込みのみに依存するものと考えられた。
著者
西村 裕一
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究の目的は、当時東大生であった穂積八束が明治15年の「主権論争」で論陣を張っていたことに着目し、「憲法学者」となってからの彼の議論に「明治15年の日本社会」が与えた影響を分析することにある。この点、穂積八束の憲法学を特徴づけるものと考えられてきた「国体」概念や国体政体二元論の形成過程を検討する中で、これらの議論が従来考えられていた以上に「主権論争」という磁場に強い影響を受けていたことが明らかになった。これにより、日本憲法学の創始者ともいえる穂積の憲法学について、従来の議論が十分な関心を払っていなかったと思われる「明治日本」からの影響の一端を明らかにできたのではないかと考えている。
著者
田島 英朗 山谷 泰賀 吉田 英治 岩男 悠真 脇坂 秀克
出版者
国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

半球状に検出器を配置し、さらにあごの位置に追加検出器を配置することで、脳機能計測のための感度を大幅に向上させることが可能なヘルメットPET装置を提案し、検出器ブロックサイズの最適化検討、画像再構成法の開発、及び試作装置への適用を行った。その結果、検出器ブロック間に隙間が生じることを考慮すると、検出器ブロックサイズが5cm角程度の大きさの時に、脳領域に対する感度が最も高くなることが明らかになった。そして、画像再構成法の開発と、世界初のヘルメット型PET試作機への適用を行い、性能評価を行った結果、高い感度と空間分解能を有することが示され、提案装置が高精度な脳イメージングに有効であることを実証した。
著者
松永 翔雲
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究課題では,「More than Moore」に代表されるような新デバイスの採用および回路機能の多様化による集積回路のパフォーマンス向上を想定し,強誘電体や強磁性体などの不揮発記憶素子の特長を活用し,ゲートレベルの論理演算機能と不揮発記憶機能をコンパクトに一体化し,低電力性と高速性を両立できる不揮発性の細粒度パイプライン演算システムを構築した.応用例として,動画像圧縮等に利用する動きベクトル検索用絶対差分和演算回路,及び並列データ検索用連想メモリを取り上げ,パワーゲーティング機能を組み込んだ不揮発性の細粒度パイプライン演算システムにより,大幅なパフォーマンス向上を実現した.
著者
久保田 正和
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

我々は在宅療養中の10名の糖尿病患者を対象に、看護師によるテレビ電話を用いた定期的な交信が、日常生活における患者・家族の食事や運動、服薬等の自己管理をサポートし、血糖コントロールにどのような影響を与えるかを検討した。介入3ヶ月後、10名の平均HbA1c値は、介入前に比べ有意に減少した(p<0.005)。また、介入3か月後の体重も介入前に比べ有意に減少した(p<0.0005)。対照群は外来通院のみ行った患者で、HbA1c 値、体重に変化は見られず、介入群のデータとは対照的であった。看護師による糖尿病患者遠隔指導は平均HbA1c値、体重を変化させ、血糖コントロールの改善に有効であることが分かった。