著者
河野 至恩
出版者
上智大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-28

明治期から昭和戦前期における日本近代文学の欧米語への翻訳状況を総合的に分析し、当時日本文学の翻訳出版に関わった翻訳者や出版社などについて調査した。その結果、この時代の日本近代文学の翻訳の大きな動向のひとつとして、日本研究との深い関連があることを示した。例えば、二葉亭四迷『其面影』を英訳(共訳)した グレッグ・シンクレアについて、1930年代にハワイ大学で東洋学研究所の設立に関わるなど、当時の日本研究の展開に深く関わっていることが明らかになった。また、森鴎外の小説『百物語』(1911)における鴎外の「世界文学」意識を、当時の鴎外作品の翻訳状況に照らして明らかにすることができた。
著者
王 軍波
出版者
会津大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

既存のInternet of Things (IoT)・M2Mの研究では、ユーザに近いローカル側では状況認識と管理、タスクの最適化的な分配の手間を省くが、大量データの送受信による混雑、サービスレスポンスの遅延等の問題がある。これらの問題を解決するため、本研究は、(1)ユーザの状況を管理や認識するアルゴリズム、(2)ユーザに近いデバイスを利用し、タスクの最適化的な配分する方法、(3)災害時ユーザやネットワークの状況により通信ネットワークを最適化する方法などを開発しました。開発した技術を利用し、高齢者ケアサービスや災害時効率的に連絡手段として、活用することを期待してます。
著者
蛯名 耕介
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

変形性関節症(OA)患者の軟骨でNkx3.2の遺伝子発現は非変性部より変性部において約1/2と低値であった。滑膜細胞を用いた軟骨再生効率を高めるために、Nkx3.2遺伝子を導入したプラスミドを作成して遺伝子導入し、Nkx3.2の遺伝子発現が約90~30000倍に、軟骨分化促進因子Sox9の遺伝子発現が約2~7倍に、軟骨分化誘導後もSox9の遺伝子発現が約2.8倍に増加していた。また滑膜細胞のバンク化による同種移植の可能性を検討するためOA患者と関節リウマチ患者の滑膜細胞をヌードラットの膝関節軟骨欠損部に移植したところ、良好な軟骨再生能を認めたことより、有効な選択肢となる可能性が示された。
著者
白鳥 圭志
出版者
東北学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

衰退地域である北海道江差、松前地域では、地方資産家は地域振興に関わろうとするが、人、資本等の移動もあり奏功しなかった。発展地域である函館市では、1920年までは地方資産家によるインフラ等への投資が地域経済の発展を加速する相乗効果を発lfliした。しかし、20年代以降、地か資産家は地域経済の投資主体として地域を支えることを求められたが、このような行動を長則に採ることは出来なかった。
著者
中村 圭祐
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

光線力学療法を応用した殺菌技術により非常に効果的に黄色ブドウ球菌を殺菌できることを実証した。さらに光線力学療法において生成される一重項酸素の定量法を確立し、一重項酸素生成量と殺菌作用の強さの相関性を検証した。一重項酸素測定には環状アミンを用いた電子スピン共鳴法の応用が適していることを実証し、光照射時間や光感受性物資の濃度に依存して一重項酸素が生成されることを示した。
著者
冨岡 公子 名取 雄司 熊谷 信二 車谷 典男
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

アスベスト曝露による長期健康影響を検討する目的で、某造船所でアスベスト曝露を伴う作業に従事していた元労働者を対象とした歴史的コホート研究を1996年に実施した(Ind Health 1999,37,9-17)。今回、その後の追跡調査を行なった。その結果、今回の追跡調査でも、先行研究同様に、アスベスト曝露に関連している肺癌および呼吸器系疾患の有意な過剰死亡リスクを再確認した。しかし、中皮腫の新たな発生はなく、喉頭癌については発生がなかった。今後、さらに追跡を続け、本コホートの最終的な死亡リスク評価を試みる予定である。
著者
阿部 貴志
出版者
新潟大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

環境メタゲノム資源から、連続塩基・アミノ酸組成に基づく一括学習型自己組織化マップ(BLSOM)を基に、環境中の微生物叢のための生物系統推定ソフトウェア、地球環境改善に役立つ新規微生物ゲノムの検出手法、ならびに、それらが持つ環境浄化システムに関与する有用遺伝子候補の探索手法を開発した。新規性の高いゲノム断片配列を微生物ゲノム別に再構成するための手法が開発でき、環境が保有する環境浄化システムを構成する微生物や代謝遺伝子セットの全体像が把握でき、様々な微生物が持つ環境浄化システムの全体像把握に向けた情報学的スクリーニング法としての活用も期待できる。
著者
城賀本 晶子
出版者
愛媛大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

更年期女性の不定愁訴として、疲労とむくみに焦点をあてて、これらを改善する方策に手掛かりを得ようと本研究を実施した。新たに多次元疲労測定尺度(4要因40項目)を開発し、統計学的な検証の後、既存の自己効力感尺度との関連を正準相関分析にて解析したところ、失敗に対する不安が強い人は、精神面、認知面、対人面の疲労を強く表出することが判明した。疲労の程度は、性格特性とくに対処行動様式と密接な関係をもち、更年期女性の疲労感を予防・改善するには、個々人の自己効力感を高めるような対処行動に沿った方策が必要と考えられる。一方、むくみを測定する方法論を開発し、とくに長時間同じ姿勢を取り続けると脚のふくらはぎ部分にむくみが生じ、伝承的なヒハツの摂取により、下腿のむくみが抑制されることを明らかにした。
著者
LAGA HAMID
出版者
東京工業大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は非剛体形状の理論と時系列的に変化をする表面(Time-varying surface)の3次元モデルの再構築手法に注目する。自然物は複雑な形態を持っている上複雑な変形を受けるからリアルタイム三次元再構成が混乱である。平成21年度には3次元形状データ取得システムを開発し、スキャンデータから3次元モデルの検索手法と非剛体スキャンデータ間のレシズトレーションフレームワークも開発しました。このフレームワークは三次元データ検索に基づいて高レベル知識を再構成プロセスに取り込む。その結果は、カメラの数を最小限度にすることが出来、静止することが出来ない物も3次元取得ことが出来るようになった。平成21年度にも三次元形状データベースと検索ツールを開発しました。あと、次の研究ステップに使用するためにステレオと陰影からの形状の復元と構造化照明に基づいた三次元再構成システムを開発しました。
著者
小沢 浩
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究は, ライン生産からセル生産への移行過程に関する概念モデルを精緻化するために, 製造作業に要する動作時間を測定すること, および, 既にライン生産からセル生産へ移行した工場における以降のプロセスに関する事例を整理することを目的として行われた。まず, 動作時間の測定については, これを行ったものの, 実験できる範囲の製造工程では, 簡単な作業の再現しかできないこと被験者となる作業者が限られていることなどから, 常にセル生産が有利であるという結果しか得られていない。しかしながら, 作業時間の平均ではなく, 作業者ごとの作業時間のバラツキをコントロールする方法がセル生産とライン生産では全く異なることに気がついた。そしてこれにもとづいて, 生産形態と業績評価法・行動規範が適合していなければならないという事実に気がついた。具体的には, 「産出/投入」として計算される能率概念は, セル生産では適用可能であるが, ライン生産でこの概念を適用すると工程が混乱することが論証できた。つまり, 一般的な感覚における「能率向上」が適合するのは, セル生産においてであり, ライン生産においてこれを目指すことは悪い効果をもたらしかねないということである。この知見は, 私がこれまで行ってきたJust-In-Time生産の解釈にも新たな光を投じるものである。この成果は, 標準原価計算と関連づけて, 第67回日本会計研究学会において報告した。セル生産と関連づけた研究は, 2009年6月に, 組織学会でも報告し, 論文にまとめる予定である。また, もう一つの課題である事例の収集・整理については, 十分な成果を得られていない。
著者
鳥飼 圭人
出版者
聖マリアンナ医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

高齢者の動脈硬化性疾患の危険因子である脂質異常,高血圧,糖尿病について特定健診から検討した。前年脂質異常を指摘されたのは38.4%であった。薬物治療を受けたのは22.8%(p<0.01)であり,このうち今回改善したのは47.6%であった。前年高血圧を指摘されたのは34.7%であった。薬物治療を受けたのは59.0%であり,このうち今回改善したのは40.8%であった。前年糖尿病を指摘されたのは6.9%であった。薬物治療を受けたのは60.6%であり,このうち今回改善したのは20.0%であった。高齢者の脂質異常に対して積極的に治療を開始し,高血圧と糖尿病のコントロールを適切に行う必要性が示唆された。
著者
渡邉 恵理子
出版者
日本女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究では3次元情報を維持したまま、データベースに登録された大容量の3次元(2次元も可)画像に対して位相情報を利用することで超高速・高精度な認証・検索を実現するものである。この研究は以下の3つの要素技術(1)3次元画像情報の位相符号化、(2)3次元光相関における体積位相ホログラムの設計と解析、(3)同軸記録方式による光相関光学設計とシステム化、により構成される。このシステムを基盤技術としたアプリケーションとして、超高速なバイオメトリクス認証サーバ、更に画像計測技術への応用も検討した。(1)3次元画像情報の位相符号化入力面において3次元画像情報を位相情報で符号化することで、3次元情報と3次元情報のまま、直接比較演算を行える位相相関演算を開発した。モデル化手法に基づき取得した3次元情報の位相符号化に成功し、基本的な3次元像の認証に成功した。これらは生体細胞などの3次元物体に応用できる。(2)光相関における体積位相ホログラムの設計と解析光相関では画像情報の空間周波数成分の寄与率が演算の重要要素になる。そのためには(1)で符号化した入力画像に対し参照波を検討する必要がある。位相相関用の参照光の設計により、原理実験に成功した。(3)同軸型記録方式による光相関システム記録情報を同軸方式で記録し、超高速全光型認証システムを構築し、原理実験に成功した。構築した高精度アルゴリズムと大容量記録可能なホログラフィック光ディスクを融合した本システムを、強度情報である顔画像に応用可能であることを示した。高速転送速度実現に向け多重間隔50μm、回転速度600rpmで光相関演算を行い、認証率100%の高精度な結果を得た。
著者
河野 龍也
出版者
実践女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、佐藤春夫宛書簡の分析を通じて、戦前の作家たちの交流の実態を明らかにした。彼の業績は、1910年代から40年代に及ぶ日本の近代精神の展開を深く理解するための示唆に富む。台湾・福建における春夫の国際活動も重視し、郷土史料や証言の収集に努めた。研究成果は展覧会・シンポジウム・書籍・ニュースを通じて発信され、特に現地の文化遺産の保護に貢献することで、日本文学に対する海外の研究者の関心を喚起した。
著者
皆川 栄子
出版者
国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

睡眠-覚醒リズムの異常は多くの神経変性疾患に共通してしばしば出現する症状であり、従来、睡眠-覚醒の制御部位に神経変性が波及して出現すると考えられてきた。一方、近年の疫学研究からは睡眠障害が神経変性を増悪させる可能性が示唆されているが、患者特有の睡眠障害が神経変性疾患の脳病理に与える影響は未知である。本研究では神経変性疾患モデルマウスに患者特有の睡眠障害を誘発することに成功し、中途覚醒の回数とマウスの脳病理の重症度との間に有意な正の相関が見られることを明らかにした。
著者
池田 大介
出版者
北里大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

ミオシン重鎖(MYH)は筋運動に必須のタンパク質であるが、四足類や真骨魚類だけでなく、無顎類のヤツメウナギもMYH遺伝子(MYH)がクラスターを形成し、その起源は同一であることが示唆された。また、真骨魚類と四足動物間、および真骨魚類と無顎類間では共通した筋発生の転写調節機構を保持しているが、四足動物と無顎類間ではこの機構が保持されていないことが示唆された。
著者
青木 千帆子
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

書籍アクセシビリティを確保するための支援技術や制度、道具など、必要な要素は既にそろっている。しかし、現実には読書障害者に対する円滑なデータ提供は行われていない。そこで解決の手がかりを得るため、(1)書籍アクセシビリティの国際比較、(2)支援技術の活用の分析、(3)関係機関の連携のあり方の検討を行った。著作物へ接近する努力は「障害者の問題」として処理されてきた歴史がある。故に、読書障害者の読書を可能にする法や技術が整備されたとしても、それがどのように維持活用されているかは、一般に共有されていない。今後、データ提供のための関係機関による連携や、ルールに関する具体的な対話が強く求められる。
著者
日野 真吾
出版者
静岡大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本申請課題では、βグルカン受容体であるdectin-1を用いた定量系を構築し、この定量系を用いることで、体内および細胞内に取り込まれたβ-グルカンがマクロファージにより貪食された後、活性酸素種によって非酵素的に分解されることを明らかにした。また、この分解されたβ-グルカンはマクロファージ活性化能を保持したまま再放出されることも明らかになった。
著者
野村 玄
出版者
大阪青山短期大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本年度は、まず宮内庁書陵部・東京大学史料編纂所・東京都立中央図書館特別文庫室において史料調査を行った。宮内庁書陵部では、貞享度大嘗会に関する史料を収集するとともに、写真撮影・複製を行った。東京大学史料編纂所では、同所所蔵の「備後福山阿部家文書」のうち、京都所司代の職掌日記を調査した。虫損が甚だしかったが、同所と協議し、写真複製が可能なものについて撮影・複製を行った。東京都立中央図書館特別文庫室では、同室所蔵の「木子文庫」について調査し、とくに近世の天皇の葬送儀礼に関する史料について写真撮影・複製を行った。また、史料調査の他に、「天子御作法」の具体像を明らかにする観点から、宮内庁侍従長の許可を得て、東山御文庫に保管されている『後桃園天皇宸記』について翻刻作業を開始した。先行研究によると、後桃園天皇は内廷関係と外廷関係に分けて日記をつけていたことが判明しているが、その内容についてはこれまで具体的な検討がなされてこなかった。本研究では、裁可の際の天皇の発言内容や作法、議奏への指示内容などが克明に記された外廷関係の日記から順に翻刻を開始することとした。その結果、第1回めの翻刻作業において、天皇の発言は案件毎に決められていたこと、なかでも官位叙任申請に対しての「留置」という発言が天皇の権能を考える上で重要であること、天皇に披露される文書様式に「四ツ折」と称されるものがあることなどが明らかとなった。この『後桃園天皇宸記』のほか、『桃園天皇宸記』についても翻刻作業を進めていき、近世の天皇の所作・作法について原則を見出すことができればと考えている。
著者
石橋 大輔
出版者
長崎大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

プリオン病はヒトを含む各動物種に見られる難治性の中枢神経変性疾患である。現在、ヒトやウシにおける感染、ウシからヒトへの感染が大きな社会問題となっており、世界中でプリオンワクチンおよび治療法の開発が行われているが、実用化までには至っていない。なぜなら正常型プリオン蛋白(PrP)は生体内の宿主蛋白であり、免疫寛容という大きな問題点があるためである。本研究では、実用化に向けたプリオンワクチンの開発を検討し、有用性のある免疫抗原の作製に成功した。
著者
長尾 博暢
出版者
鳥取大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

日本の大学インターンシップの「多様性」を理論的に整理するため、正課のインターンシップにかかわる大学組織に焦点を当てた研究を行った。その結果、インターンシップにかかわる教員組織および厚生補導組織の実態と関係性の解明が要諦であると同時に、両者のさらに外縁にある学外アクターと教育課程との関係性こそが、教員組織と厚生補導組織の関係性を規定しており、多様なインターンシップの理論的整理の新たな基軸となるという知見に至った。