著者
岡野 多門 安東 重樹 池田 圭吾
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会論文誌 (ISSN:18835856)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.285-292, 2011 (Released:2011-11-30)
参考文献数
13
被引用文献数
3

鳥取県の複数の海岸で,飲料用ペットボトルの毎月の漂着数と,中国と台湾由来ボトルの製造年月日を調査した。その分析結果から,東アジアモンスーンがボトル投棄から漂着までの過程に大きな影響を与えていることがわかった。5月から6月頃に中国南部と台湾から海に流出したボトルは7月に漂流経路を日本海方向に変え,8月から9月頃に漂着する。長江流域とそれ以北に由来するボトルは7月から8月頃に河川を経由して流出し,10月から11月頃に漂着する。東南アジア由来ボトルは8月から11月にかけて漂着する。夏に流出した朝鮮半島由来ボトルは日本海の沖合を漂流し,北寄りの風の強まるころから南下を始め,おもに11月から1月に漂着する。東シナ海から日本海への流入可能期間は約3~4ヶ月間で,それ以外の期間は太平洋に流出していると推定される。ただ漂着数は日本由来ボトルが圧倒的に多く,この結果は多量のペットボトルが日本の太平洋側を含む東アジアから太平洋に流出していることを示唆する。
著者
五十嵐 弘樹 沼田 靖 田中 裕之
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第26回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.235, 2015 (Released:2015-10-20)

現在、食品廃棄物の再利用を進めるために付加価値のある物を抽出、生産する検討がなされている。糖は食品廃棄物中に多く含まれており、化粧品の原料や機能性を持つ糖を抽出、回収する試みが行われている。そのプロセスにおいて抽出物の定量分析をその場で行う必要がある。糖の分析には高速液体クロマトグラフィーが用いられている。しかし、この方法では糖の種類により異なるカラムを選択する必要がある。そこで、その場でも適応できるより簡便な糖の定量分析法の開発が望まれる。その方法としてラマン分光法に着目した。本研究では、同一分子量の糖の定量分析を確認するためにグルコースとその立体異性体であるガラクトース、及びマンノースの同定と定量を行った。得られたラマンスペクトルは各単糖によって異なっていた。また、得られたピークから作成した各単糖の検量線は良好な直線性を示し、ラマン分光法による定量が可能であると考えられる。
著者
金子 栄廣 山口 稔
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.45-53, 1994-04-30 (Released:2010-05-31)
参考文献数
9
被引用文献数
3 3

溶出試験は廃棄物の有害性評価の一指標として広く用いられている。しかし, その方法が多様であるため, 結果の科学的な解釈が難しい, 異なる方法による結果の比較ができないなどの問題を抱えている。これを解決する手段として最大溶出可能量を測定することを目的とした溶出試験が注目されている。本研究では, 都市ごみ焼却飛灰中に含まれる重金属を対象として攪拌強度, 固液比, 接触時間, pHの溶出操作条件をパラメータとした溶出実験を行い, それぞれの条件下で溶出する金属量を調べることによって最大溶出可能量を調べるための溶出操作条件について検討した。その結果, カドミウム, 銅, 亜鉛およびマンガンについては最大溶出可能量を把握する溶出条件を設定できた。しかし, この条件では鉄の溶出量は接触時間の影響を, 鉛の溶出量は固液比および酸の種類による影響を受けることが明らかとなった。このように成分によって溶出の制限となる操作因子が異なるため, 最大溶出可能量を把握するための溶出試験方法を決めるには, 対象成分に応じて適当な溶出操作条件を検討する必要があることが示された。
著者
戸次 晃 石垣 智基
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会研究発表会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.18, pp.86, 2007

環境問題の一つとして、海岸漂着ゴミの問題がある。漂着ゴミは、その排出源を特定することが難しく、排出地域も多岐にわたっており、具体的な解決に導くためには調査を通した現状把握や、詳細なゴミの数量などに関するデータが必要不可欠である。また環境への影響も、海岸の景観悪化だけにとどまらず、ゴミ由来の有害物質による海岸・海洋汚染、生物への汚染という点において重要な環境問題である。特に漂着ゴミとしての医療廃棄物を由来とする薬剤による海洋汚染ならびに病原菌感染など様々な問題が懸念される。本研究では、そうした海流や潮流・地形などを考慮し、日本海沿岸を中心に漂着ゴミの実態調査を行った。さらに、医療廃棄物由来の薬剤の環境放出に伴う、薬剤耐性能の拡散に関する基礎調査として、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、ストレプトマイシン、バンコマイシン、アンピシリン、カナマイシン、リンコマイシンおよびタイロシンの8種類の抗生物質について、漂着ゴミに付着する耐性細菌の計数を行った。
著者
四蔵 茂雄
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会研究発表会講演論文集 第17回廃棄物学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.3, 2006 (Released:2006-10-20)

海水浴場における散乱ゴミ対策として,ゴミ箱と看板の有効性について,舞鶴市の海水浴場を事例に検証した.以下の結論を得た. 1)ゴミ箱の設置は,発生原単位を大きくする,2)看板の設置は,発生原単位を小さくする,3)ただし,ゴミ箱と看板が併置されると看板の効果は現れなくなる,4)ゴミ箱の設置は,散乱率を小さくする,5)看板の設置は,散乱率を小さくする,6)不燃ゴミは可燃ゴミより放置(散乱)される,7)飲料用容器の中では,ビンが放置されやすい,8)ゴミは人目に係わらず,アクティビティーの場付近で放置される.
著者
浅利 美鈴 奥田 哲士 切川 卓也 酒井 伸一
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第29回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.161, 2018 (Released:2018-12-03)

被災した住民の方々(災害廃棄物を出したことのある人)を対象に、発災後の災害廃棄物に関する行動や評価の実態を把握するアンケート調査を実施した。結果、精神的なダメージを受けながらも、提示された分別に従おうとするスタンスが伺えた。他方、分別方法の提示はうまくいっているとは言えず、誤解も多い可能性が高いことがわかった。災害時の分別等に関する情報入手においては、コミュニティ(自治会や隣人付き合い)が重要であり、今後、平時のコミュニティ維持・再生も大変重要な側面となると考えられた。
著者
廣瀬 孝 菊地 徹 横澤 幸仁 内沢 秀光 櫛引 正剛 奈良岡 哲志
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.19, no.5, pp.310-317, 2008 (Released:2009-03-26)
参考文献数
16
被引用文献数
1

本研究は,リサイクルが求められている廃ペットボトルとホタテ貝殻を複合した新たな素材の基本的特性評価を目的として行った。具体的内容として,1) 加熱によるホタテ貝殻含有有機基質やホタテ貝殻の物性変化の確認,2) 複合した際の成形品表面の観察や黄色度およびその強度性能について,一般的にフィラー (充填剤) として用いられている炭酸カルシウムを複合した材料との比較を行った。その結果,加熱によるホタテ貝殻含有有機基質の熱分解に起因するホタテ貝殻の黄色度変化は,炭酸カルシウムのそれよりも大きいことがわかった。また,廃ペットボトルとホタテ貝殻を複合した材料の表面は,ホタテ貝殻に存在する有機基質の熱分解ガスに起因する発泡痕等は見られなかったものの,炭酸カルシウムと複合したものと比較して黄色度の高い成形品となった。強度性能は,ホタテ貝殻を複合した方が炭酸カルシウムを複合したものよりも高い値を示した。これらの結果より,廃ペットボトルとホタテ貝殻の複合材料は,炭酸カルシウムと複合したものと比較して,黄色度は高いものの表面に発泡痕等がなく,強度性能は高いことが明らかになった。
著者
椿 雅俊
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第25回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.393, 2014 (Released:2014-12-16)

従来、管理型廃棄物処分場における遮水工については表面遮水では遮水シート、鉛直遮水では遮水矢板等があり、施工性や経済性、長期安定性が求められている。特に鉛直遮水工に採用される鋼矢板・鋼管矢板による遮水壁では継手部の遮水性能が求められる。本稿では処分場を上流側と下流側に分断する目的で鋼管矢板による遮水壁を処分場の廃棄物層内に構築した施工事例について報告する。
著者
西岡 洋 井上 達央 福室 直樹 小舟 正文 田路 順一郎
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第24回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.583, 2013 (Released:2014-01-21)

海水中でのセシウムイオンの吸着率とハンドリング性の向上を目的として磁性吸着材を合成した。本吸着材は単斜晶トバモライトを主成分とするケイ酸カルシウム系結晶であり、層間のサイトにおいてセシウムイオンを吸着する。海水中のセシウムイオン濃度を10mg/Lとした場合、30分程度で80%以上の吸着率を示した。本吸着材の陽イオン交換容量(CEC)は214cmol(+)/kgであり、天然ゼオライトよりも高い値を示した。本吸着材の水熱合成時にマグネタイトなどの磁性体を共存させることにより、簡単な操作で磁性を付与することができた。
著者
松藤 敏彦 石井 翔太
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会論文誌 (ISSN:18835856)
巻号頁・発行日
vol.22, no.6, pp.382-395, 2011 (Released:2012-01-17)
参考文献数
11
被引用文献数
4 1

ごみ処理計画においては,元素組成,発熱量などのごみの特性値を知ることが重要である。しかし環整95号は代表試料採取の難しさと,組成間の水分移動,異物付着などによる誤差が生じやすい。本研究は,細組成分析値と細組成別特性値からより正確なごみ特性値の推定が行えるとの考えから,細組成別の特性値データベースを作成した。対象は家庭系ごみ中の可燃性成分である紙類,プラスチック類の種類別,および厨芥とし,それぞれ水分流出,異物付着を避けるため,容器包装プラスチック,雑がみの分別区分から試料を採取し,厨芥は燃やせるごみの中から厨芥類のみを入れたプラスチック袋をサンプリングした。紙類,プラスチック類の組成区分は細組成分析実施自治体を参考に決定し,それぞれ43種,36種の試料を分析した。厨芥の試料数は31である。各特性値の分布を示すほか,セルロース,プラスチックの素材,炭水化物,たんぱく質などと比較することで,ごみの詳細な特性を検討した。また分析値の使用例として,ごみ中の塩素の由来,プラスチック中の炭素量を推定し,自治体におけるごみ質分析方法について提案した。
著者
石井 明男 長岡 耕平 永平 晃造
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第31回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.133, 2020 (Released:2020-11-30)

昭和10年に始まった, し尿の海洋投棄は平成11年に廃止された。廃止までの経緯を報告する。
著者
土手 裕 原田 秀樹 関戸 知雄
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会論文誌 (ISSN:18835856)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.23-29, 2023 (Released:2023-07-24)
参考文献数
9

シリコン系太陽光パネルセルから分離されたカバーガラスと比重分離残渣のコンクリート用細骨材としての環境安全性を評価するために,カバーガラス,比重分離残渣,これらの混合物である廃パネル骨材,廃パネル骨材を用いた利用模擬試料,セメントペースト試料について JIS A 5011-1 による溶出量試験,含有量試験を行なった。比重分離残渣のPb含有量が環境安全品質基準値を 1.5 倍超過したが,廃パネル骨材の Pb 含有量はカバーガラスと比重分離残渣の混合による希釈効果により含有量基準を満足した。カバーガラスの Sb 溶出量が指針値を 1.1 倍超過したが,廃パネル骨材の Sb 溶出量は指針値を満足した。廃パネル骨材が含有量基準 ・溶出量基準を満足したことにより,利用模擬試料も含有量基準・溶出量基準を満足した。よって,今回対象とした廃太陽光パネルセルをコンクリート用細骨材として用いた場合,骨材,利用模擬試料どちらで評価しても環境安全上利用が可能であるといえた。
著者
野々村 真希
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会論文誌 (ISSN:18835856)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.152-163, 2018 (Released:2018-08-21)
参考文献数
86
被引用文献数
6 2

家庭の食品ロスが大きな問題となっている。この家庭の食品ロスは消費者行動の変化により削減される可能性が大きい。では,家庭で消費者は食品に対してさまざまな行動をとる中で,ロス削減のためには特にどのような行動が変わる必要があるだろうか。この問いに答えるために,本稿は近年多数公表されている家庭の食品ロス研究の成果をその調査方法も考慮して体系的に整理し,どのような行動がロス発生に大きくかかわっているのかを検討した。その結果,消費者のさまざまな行動のうち,食材の下処理で可食部まで除去する,在庫を積極的に消費しようとしないなどの行動がロス発生に大きくかかわっていることが示されていることを確認した。表示期限で判断して食品を廃棄するケースが多いことも明らかにされていた。今後は,これらの行動はどうすれば変化するのかを探ることが必要である。
著者
齋藤 優子 白鳥 寿一
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.204-213, 2022-05-31 (Released:2023-05-31)
参考文献数
43

リチウムイオン電池 (LIB) は今後ますます市場拡大が見込まれ,将来の廃棄量増大が懸念されることからその資源循環のあり方に国際的な関心が高まっている。そうした中で近年,欧州連合 (EU) ではサーキュラーエコノミーを目指した資源循環やカーボンニュートラル推進と関連づけたリチウムイオン電池にかかわる制度の促進の動きがみられる。 本稿では EU の電池関連制度の変遷を概観し,フランスの電池指令の運用実態を事例として紹介する。
著者
青木 泰 西岡 政子
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第25回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.29, 2014 (Released:2014-12-16)

微小粒子状物質(PM2.5)は、中国の大気汚染をきっかけに世に大きく知られることになった。PM2.5は、きわめて小さく吸い込むと肺の奥まで入りやすく、肺がんやぜん息を引き起こすリスクがある。アメリカのEnvironmental Protection Agency(EPA,米環境保護庁)でも、5年に1回環境基準の見直しを行い、昨年3月、年平均15μg/m3から12μg/m3に強化した。日本でも環境省は、注意を要する暫定的な指針値を、「1日平均で1立方メートルあたり70μg」、環境基準値の2倍とした。環境基準や指針値を設け、大気中へのPM2.5の排出を抑えるためには、排出源への対策対処が不可欠である。排出源の一つである都市ごみ焼却炉への対策は、集塵装置(バグフィルター)を備えれば99・9%捕獲できるという発表(1)などもあり、知見に寄れば、具体的な対策は取られてこなかった。しかし都市ごみ焼却炉を有する市町村の清掃工場の周辺では、児童・生徒のぜん息が多発している箇所があり、都市ごみ焼却炉によるぜん息への影響を考えたい。
著者
藤山 淳史 谷尾 澄葉 叢 日超 松本 亨
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第33回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.91, 2022 (Released:2022-11-30)

近年、太陽光発電設備が大量に導入されているが、近い将来、点検・保守による交換および廃棄によって使用済み太陽光パネルが大量に廃棄されることが予想されており、その回収およびリサイクルシステムを確立することは喫緊の課題となっている。そこで本研究では、福岡県内で排出される廃棄太陽光パネルの回収に対して、情報PFを活用することによって複数の拠点を一度に共同で回収するケースと、同じ拠点を個別に回収するケースを設定し、輸送費用を算出することで、その効果を算出した。なお、リサイクル業者は現在稼働している施設の情報を参考に、北九州エコタウンと大牟田エコタウンとし、そこを拠点にそれぞれ北ルートと南ルートとした。メンテナンス業者は福岡県のデータベースを参考に37社と設定した。その結果、いずれのケースにおいても個別回収ケースに比べ、共同回収ケースを行ったほうが輸送費用の削減につながることがわかった。
著者
土手 裕 関戸 知雄 原田 秀樹
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第33回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.201, 2022 (Released:2022-11-30)

太陽光パネルから分離されたカバーガラスおよび資源回収残渣の混合物をコンクリート用骨材として利用した場合の環境安全性評価を目的として、溶出試験および含有量試験を行った。エッチングと湿式分離を比べると湿式分離の方がPbの基準値超過の程度が小さいため、エッチングよりも湿式分離の方が優れていると言えた。 廃パネル骨材の原料となる湿式分離残渣のPb含有量が基準値を1.5倍超過した。しかし、廃パネル骨材のPb含有量は、カバーガラスと湿式分離残渣の混合による希釈効果により含有量基準を満足した。廃パネル骨材のPb以外の有害物質含有量も基準を満足した。 廃パネル骨材が含有量基準・溶出量基準を満足したことにより、廃パネル骨材を用いて作成された利用模擬試料も両方の基準を満足した。よって、廃パネルをコンクリート用骨材として用いた場合、骨材、利用模擬試料どちらで評価しても環境安全上再利用が可能であると言えた。
著者
原田 秀樹 酒井 紀行 松山 普一 飯島 正広 白間 英樹
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第33回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.195, 2022 (Released:2022-11-30)

太陽光発電システムは、再生可能エネルギーの旗手として2010年以降急速に普及し、さらに最近ではカーボンニュートラル政策が後押しとなり、導入に拍車がかかっている。一方でその保証年数である20年を過ぎる2030年頃から廃棄モジュールが大量発生することに対する懸念が社会問題となっている。それに対し我々はモジュール内の重量比で大部分を占めるガラスに対するマテリアルリサイクルの研究を行った。モジュールはガラスと樹脂および太陽電池セルが密着積層された構造となっており、ガラスを割らずにモジュールから回収する「パネルセパレータ」を開発した。またガラスに付着する樹脂残渣量をリサイクル可能なレベルで抑制し、さらにそれを維持する研究を行った。一方、回収したガラスの組成を分析し、含有する元素の把握とそれらに適合する用途の検討を行い、水平リサイクル用途、リユース用途の開拓を行った。