著者
平康 博章 瀬山 智博 和智 仲是 中村 達 笠井 浩司 藤谷 泰裕
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第28回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.227, 2017 (Released:2017-11-29)

高水分の食品廃棄物に適した廃棄物処理・利用技術として、アメリカミズアブ幼虫に廃棄物を摂食させて減量し、成長した幼虫を飼料利用する技術に注目した。本研究では各種の条件が幼虫による処理に及ぼす影響について実験室内でモデル廃棄物を使用して検討した。処理に適した温度範囲を明らかにしたほか、廃棄物の水分含量が60-90w/wの範囲では廃棄物の重量減少率に差がなく、80%w/w以上では幼虫の体重増加が促進されるという結果を得た。また一般的な食品廃棄物に含まれる程度の塩分は処理効率に影響を及ぼさないこと、脂肪分については処理効率を低下させる可能性があり注意を要することなどを示唆する結果を得た。
著者
中崎 清彦 塚田 智隆 大滝 昭仁
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.167-173, 1996-07-31 (Released:2010-05-31)
参考文献数
16
被引用文献数
2 2

実験室規模の自己発熱型等温反応装置を用い, 二酸化炭素発生速度, および炭素変化率を測定することによって, コーヒーかすのコンポスト化速度を定量した。コーヒーかすのC/N比は24.2であり, 従来からいわれているコンポスト化の最適C/N比付近にあるが, 水溶性の窒素濃度は1.73×10-3g-N/g-乾燥コーヒーかすと全窒素の10%以下に過ぎずコンポスト化速度は遅いことがわかった。そこで, 水溶性含窒素化合物として硫酸アンモニウム, およびペプトンを添加したところ, いずれの場合もコーヒーかすの分解は促進されるが, ペプトンを添加したときの方が促進効果が大きいことを明らかにした。また, コンポスト化にともなう微生物相変化を測定し, 含窒素化合物を添加することで好熱性細菌の増殖が促進されることを見いだした。なお, 含窒素有機化合物として火力発電所の排水路から回収された廃棄物である除去貝を用いたところ, コーヒーかすは32日間の短時間でコンポスト化が可能で, 除去貝の添加は高速コンポスト化に有効であることを確かめた。
著者
名波 和幸 木村 眞実 中村 槙之介
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第31回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.163, 2020 (Released:2020-11-30)

当社は、使用済み自動車のガラスの再資源化について取組を実施しており、使用済み自動車のサイドガラスの回収装置を開発した。本稿では、回収したガラスを活用した製品の開発と調査について報告を行う。調査では、サイドガラスを原料とした沖縄赤瓦や琉球ガラスへの活用について研究した。調査の結果、原料代替としての可能性の他、付加価値商品としての可能性について明らかにした。
著者
田畑 智博
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第30回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.13, 2019 (Released:2019-11-20)

本研究では、自然災害による太陽光発電設備の被害の影響を、廃棄物の観点から考察することを目的とする。先ず、我が国における災害事例をレビューし、被害の特徴を考察した。続いて、2018年に発生した実際の災害事例を参考にして、太陽光発電設備の破損に伴う廃棄物の発生量を推計した。 太陽光発電設備由来の廃棄物は、量と質の両面から問題が大きいことから、廃棄物の速やかな回収・リサイクル、適正処理を実施できるルートづくりが急務であることを論じた。
著者
横山 理英 林 聡 岩田 知之 高橋 智紀 高田 潤
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会研究発表会講演論文集 第18回廃棄物学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.128, 2007 (Released:2007-11-23)

ヒノキチップをCa溶液に浸漬したのち炭化、酸処理すると硝酸性窒素及びフッ素イオンを吸着する炭素材料を作ることができる。本研究では原料として各種植物系廃棄物を用い、同様な手法で炭化物を作成し硝酸性窒素吸着能を調べた。その結果いずれの原料でも吸着能は発現することがわかり、特にコーヒーかすを原料とした場合、木質原料よりもさらに高い吸着能があることがわかった。吸着は塩化物イオンとのイオン交換であり、リン酸イオン、硫酸イオンはほとんど吸着せず、硝酸性窒素とフッ素イオンに対して吸着選択性を有する。金魚水槽を用いた簡易な水質浄化試験では硝酸性窒素を吸着してアオコの発生を抑制することがわかった。そのため、水質浄化材料として利用できることが示唆された。
著者
中村 恵子
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.93-100, 2009 (Released:2013-12-18)
参考文献数
14

福島県大内宿では,およそ300年間,江戸時代宿場町の町並み,「住まい」,生活文化を保持し続けたまま,人々は生活と生業を成立させている。1981 (昭和56) 年には,国の「重要伝統的建造物群保存地区」に選定された。大内宿の概要,「住まい」,江戸時代からの歴史と生活を調べ,まちづくりのキーパーソンに取材し,「持続可能な住まい」を現出させた要因を考察した。その要因は 1.収入減と情報減による江戸時代そのままの暮らし,2.日本の風土に合った建築と建て方 3.「地域コミュニティ」の仕組みである。その住み手のライフスタイルと仕組み,現在も続く「持続可能な住まい」への努力を報告する。大内宿の事例は,循環型社会,低炭素社会,自然共生社会を地球規模でめざす現在の私たちに,大きなメッセージを伝えているが,とりわけ,経済成長戦略の道具と化した日本の住政策に警鐘をならしている。
著者
藤森 崇 田井中 直人 高岡 昌輝
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第28回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.309, 2017 (Released:2017-11-30)

再生可能エネルギーの全量買い取り制度の導入(2012)などにより、太陽電池の市場規模は指数関数的に拡大しており、今後10年程度で技術的寿命を迎えた太陽電池パネルの廃棄量増加が見込まれている。しかし、日本では主に産業廃棄物処理の流れの中で処分され、個別の処理システムは確立されていない。太陽電池パネルはシリコン系のものが世界的な主流である。シリコン系太陽電池パネルには、鉛、銅、銀、ヒ素、アンチモンなどが含まれている。本研究では、ハロゲン化揮発法をシリコン系太陽電池パネルに対して適用し、含有される元素の除去特性について実験的に検証することを目的とした。単結晶・多結晶パネルに対して塩化剤・臭化剤を添加した複数の条件を適用した結果、元素や結晶の違いによって揮発効果が異なることが明らかとなった。例えば、鉛においては塩化揮発が、アンチモンにおいては臭化揮発が高い揮発効果を示した。
著者
坪井 俊貴 田村 典敏 野村 幸治 石田 泰之 樋口 壯太郎
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第25回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.123, 2014 (Released:2014-12-16)

廃棄物処理処分に伴い排出される副生塩は、有効な処理処分方法あるいは資源化の方法がなく、最終処分場で保管または廃棄物として処理されているのが現状である。このような背景下で副生塩のリサイクル方法の一つとして、道路凍結防止剤や除草剤がある。この中で電気分解により次亜塩素酸ナトリウムを生成し、滅菌剤として利用する方法が実用化され始めた。副生塩には塩素とカリウムが含まれ、電気分解にかけると次亜塩素酸ナトリウムに次亜塩素酸カリウムが混在し、通常のソーダ工業の製品として流通できない。しかし、カリウムが含有されていても滅菌効果には支障がないため純正の次亜塩素酸ナトリウムに対してエコ次亜と呼称している。今回、放射能に汚染された焼却飛灰を水洗除染し、排水中の放射性セシウムを吸着剤により除去した後、イオン交換樹脂を用いて高濃度カルシウムを低減化した洗浄排水を用いて、エコ次亜生成実験及び自己酸化実験を行った。
著者
副田 俊吾
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.191-200, 2015-05-31 (Released:2021-06-14)
参考文献数
14

観光旅行は私達の余暇の楽しみの一つであり,特に宿泊を伴うような観光は家族や友人にとって一大行事であり,人々の絆を深める大切な機会でもある。このため,観光地はさまざまな「おもてなし」の工夫を凝らして観光客の想い出づくりを援けるとともに,観光収入を得て,地域経済を支えている。一方,観光地を訪れる人々にごみとし尿は必ず附随するものであり,その処理は受け入れる観光地にとっての負担となっている。 本稿では,国内外の観光地,あるいは観光地を抱える自治体等の観光ごみに対する考え方や取組事例を紹介し,観光インフラの一つとしてのごみ処理対策のあり方について概略を述べる。
著者
鈴木 保菜実 秋月 真一 城尾 弘美 小山 光彦 フェルナンデス ポランコ フェルナンド ムニョス トーレ ラウル 戸田 龍樹
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.27, 2016

近年、各地の湖沼域で水草が過剰繁茂し、その適切な処理法の確立が課題となっている。メタン発酵は、高含水系バイオマスからエネルギー回収可能な技術であり、水草の処理法として有望である。しかし、水草に含まれるリグニンがメタン生成効率を低下させるため、リグニン量の多い水草を対象とした場合は前処理が必要である。水蒸気爆砕は処理時間が短く低コストで実施可能な前処理であり、近年その利用が注目されている。本研究では、琵琶湖に繁茂するセンニンモを異なる条件で水蒸気爆砕処理し、そのメタン生成量を評価した。爆砕処理により加水分解が促進され、メタン生成量が向上した。特に、爆砕強度の指標Severity Factor (SF)値が4.0以上の条件において、加水分解率とメタン生成量が急激に向上した。SF値4.4の条件で最大メタン生成量250 mL g-VS-1を示し、無処理と比較して約2倍の生成量に達した。
著者
柴田 健司 石田 道彦 堀 浩明
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会研究発表会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.17, pp.313, 2006

廃棄物最終処分場の新設に対して、改正共同命令に示された構造基準を上回る多層遮水工や漏水検知システムが採用されている処分場が多く見受けられる。著者らは、クラッシャランや砕石砂を母材としたベントナイト混合土層の基本物性、力学特性を室内試験により評価し、土質遮水層上にアスファルトコンクリート層で遮水シートを挟み込んだ遮水工を敷設する多層遮水工を提案した。本構造にすれば、遮水シート下に強度の大きいアスファルトコンクリート遮水層と層厚の厚い土質遮水層を敷設することで、外力に対する抵抗性を高めることができる。さらにアスファルト系遮水シートを採用すると、アスコン遮水層と全ての遮水層を密着させることができ、遮水材料が損傷したときの汚水拡散リスクを低減し、遮水シート上に敷設したアスファルトコンクリートにより遮水シートも強固に保護することができる。
著者
山崎 達雄
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第31回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.131, 2020 (Released:2020-11-30)

歴史的にみてごみの処理が社会的に問題となるのは、近世に入ってからである。川を塵捨場のように心得る風潮が生まれ、各都市で川への塵芥の投棄が目立ち、塵捨場の整備も進められた。明治になると、外国人の目を意識してか、立小便、入れ墨や裸体の禁止等が、明治6年に制定された「地方違式?違条例」によって取り締まられ、塵芥の川への投げ捨てや道等への放置も禁じられている。これまで当たり前であったことが陋習とみなされ、規制されたのである。条例を子供まで理解できるように、条文にルビがふられ、えときした「図解」も作成された。「図解」のなかには鮮やかに彩色されたものもあり、「違式詿違条例」の「図解」の出版状況を概括するとともに、それらを通じて、明治初期の塵芥処理事情を考察したい。
著者
山田 正人 遠藤 和人 立尾 浩一 小野 雄策
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会研究発表会講演論文集 第19回廃棄物学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.48, 2008 (Released:2008-11-25)

産業廃棄物等の排出源は多種多様であり、異物の混入や有用成分含有の高低などの要因により、素材産業で直接活用できない廃棄物も少なくなく、これらの廃棄物を活用する産業の受入条件にあった原料に加工する役割を破砕選別業者が担っている。また、破砕選別業者は、分散した排出源から収集された廃棄物を集約し、より遠方の利用者への供給を行うなどの輸送効率の改善も担っている。 このように破砕選別技術は、廃棄物から循環利用される有価製品または廃棄物製品(処理費を利用側に支払って利用)を生産しており、産業廃棄物分野における循環型社会形成のコアとして機能しているが、同一の廃棄物であっても、破砕選別による生産品の質や生産物の輸送先、残さの埋立処分費等が廃棄物の発生や利用の地域や破砕選別施設が有する技術によって異なり、コスト構造が複雑である。そこで、破砕選別技術に要する処理コストの構造を明らかにし、破砕選別技術の活用を誘導する要因を解明するための基礎情報を収集した破砕選別対象品目の処理費用と再生利用率の関係を整理した内容を報告する。
著者
柳川 立樹 矢野 順也 浅利 美鈴 平井 康宏 酒井 伸一
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.28, 2017

本研究では、食品ロス発生抑制行動による環境及び経済への影響を定量化することを目的とし、事業所における食品フロー推計及び食品ロス抑制による市場影響を評価するためのモデル開発を行った。推計対象事業種はスーパー、レストラン、ホテルとした。また、現状のままである基本シナリオ(S1)と発生抑制行動を実施するシナリオ(S2)を比較することで削減コストを推定した。その結果、コスト削減効果は食品廃棄物削減による影響よりも食品仕入量の削減による影響の方が大きく、温室効果ガス削減効果と同様の傾向を示した。全国へ拡大推計した場合には、市場規模に対してレストランで2.8%(2,202億円/yr)という結果となった。このような推計値は、食品ロス発生抑制による経済的便益を勘案するための指標とできる可能性がある。本モデルの精度向上には、摂食率などの不確実性の高い仮定や抑制行動によるコスト増加影響などの調査が必要である。
著者
市川 聡
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.183-190, 2015

屋久島については,世界遺産に登録されてから観光客が押し寄せてごみだらけになったとの報道がしばしばなされてきたが,その実態はむしろ逆で,山のごみはなくなりきれいな状態が保たれている。これは世界遺産登録で住民意識,観光客意識が高まったことに加え,エコツアーガイドが常時山にいることで,日常的に清掃がなされることによる。一方登山者の増加に伴う山小屋のし尿処理については,全額募金で賄おうとしたが,思うように募金が集まらず処理に行き詰っている。このため新たな入山協力金の導入を決めているが,実際には山小屋のトイレを使用しない大部分の登山者に,負担を押し付けるミスマッチが生じるおそれがあり,むしろ広く薄く,屋久島に来るすべての観光客に屋久島の世界遺産保全全般のための協力を求め,そこから山岳部のし尿処理も対応すべきと考える。
著者
辰市 祐久 飯野 成憲 寺嶋 有史 小泉 裕靖
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.27, 2016

大型の処理装置では昨年度の冬季に水温が13℃程度低下して、アナモックス菌を用いた脱窒素反応が停止していた。このため太陽光による加温装置を用いることにより、冬季も20℃程度を維持し、脱窒素反応を進めることができた。また、アナモックス反応のためには硝化後の処理水のNH<sub>4</sub>-N:NO<sub>2</sub>-Nの比率が1:1.3にする必要がある。このため、溶存酸素濃度で水質を制御しようとしていたが、この比率を維持するのが困難であったため、硝化槽でアンモニアをすべて亜硝酸とし、脱窒素槽に浸出水のNH<sub>4</sub>-Nを添加することで、脱窒素反応の調査を進めた。
著者
遠藤 はる奈 中村 修
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会研究発表会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.18, pp.121, 2007

有機性廃棄物の循環的利用法として、堆肥化に加えて好気的発酵やメタン発酵による液肥化が普及し始めている。堆肥が緩効性であるのに対し、液肥は速効性かつ比較的高い肥効を示すため、実際の農業利用においては堆肥と液肥を組み合わせて利用することが有用と考えられる。本研究では、有機性廃棄物由来の堆肥が優先して用いられるシナリオをベースに、液肥を窒素肥料として施用することを想定し、長崎県における需給バランスを試算した。廃棄物を全量堆肥化あるいは液肥化した場合は、いずれも供給が需要を大きく上回る結果となるが、堆肥の基準施用量を満たし、かつ窒素肥料として液肥を散布する新シナリオにおいては、一部地域を除いては発生する廃棄物の全量を農地還元できる結果となった。このことから、有機性廃棄物の農地還元にあたっては、堆肥と液肥を組み合わせて用いることでその利用率を向上させることができることが示唆された。
著者
酒井 伸一 矢野 順也
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.55-68, 2014-01-31 (Released:2021-04-23)
参考文献数
57
被引用文献数
5 1

食品廃棄物の 3R に対する取り組みは国内外で近年目まぐるしく展開されている。本報では食品廃棄物の定義や発生量等について国内外の現状を整理し,リデュース・リサイクルの LCA に関する複数の研究事例から定量的な効果を総合的に検討した。加えて老朽化が進んでいる国内の焼却施設の施設更新に伴う都市廃棄物 (MSW) 処理戦略として,食品廃棄物の嫌気性メタン発酵の導入による国内のエネルギー回収,温室効果ガス削減ポテンシャルを推定した。食品廃棄物のメタン発酵バイオガス発電とその他都市廃棄物の高効率焼却発電を組み合わせることで,2011 年現在と比較して 2020 年には 37 %,2030 年には 64 % の発電電力量増加が期待できる。現在未利用の家庭系をはじめとする MSW 中の食品廃棄物のメタン発酵利用は,特に焼却発電が難しい規模の中小都市にとって重要なエネルギー回収,温室効果ガス削減手段となることが期待できる。
著者
福島 正明 伊部 英紀 若井 慶治 杉山 英一 安部 裕宣 呉 倍莉 北川 希代彦 鶴賀 重徳 志村 勝美 小野 栄一
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会論文誌 = Journal of the Japan Society of Material Cycles and Waste Management (ISSN:18835856)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.178-189, 2011-05-31
参考文献数
19
被引用文献数
2

一般市民から資源ごみとして出される使用済みプラスチック製容器包装の熱分解油化技術において,ポリ塩化ビニル (PVC) 等の塩素含有プラスチックの熱分解によって脱離する塩素の効率的処理が,再生製品の品質改善の課題となっている。本研究では二軸押出機方式による脱塩素の滞留時間が短いことに着目し,一軸押出機を使用した脱塩装置の開発を行い,一軸押出機は二軸押出機と同様に脱塩素率が高く,脱塩素時間 (滞留時間) も短いという結果を得た。<BR>本実験結果を基に10倍にスケールアップした一軸押出機 (脱塩装置) を使用した商用熱分解油化プラントを2000年北海道札幌市東区中沼町に建設し,2009年度で運転10年目を迎えている。使用済みプラスチック製容器包装油化リサイクルにおける脱塩素技術の開発成果を報告する。