著者
古澤 康夫
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第26回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.127, 2015 (Released:2015-10-20)

2015年9月に採択が予定されている国連の持続可能な開発目標は、環境面と貧困撲滅などの開発面を統合した国際目標である。本稿では、持続可能性概念の歴史を20世紀初頭のconservation movementにさかのぼり、この概念が当初から社会的側面を有していたことを論じる。併せて、Gattariが提唱した環境、社会、精神の3つのエコロジーに照らして、現代の持続可能性概念の到達点と展望を考察する。
著者
阿部 誠 山田 正人 井上 雄三
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会研究発表会講演論文集 第17回廃棄物学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.350, 2006 (Released:2006-10-20)

ミミズの忌避行動に着目した浸出水試料の環境影響評価試験の開発を行った。オオミジンコの急性毒性試験の結果と比較したところパラレルな応答が得られた。また、浸出水に含まれる塩分を考慮し、NaCl水溶液を対照区とした試験を行った結果、塩分以外の要因による忌避性を検出することができた。
著者
寺園 淳
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.214-228, 2022-05-31 (Released:2023-05-31)
参考文献数
33

近年,リチウムイオン電池は多くの電気製品や自動車に使われており,日常生活に欠かせないものとなっている。一方で,粗大ごみ・不燃ごみを処理する一般廃棄物処理施設やリサイクル施設での火災等が増加している。リチウムイオン電池は資源有効利用促進法に基づく自主回収の対象ではあるが,対象外の品目,電池一体型製品,回収率の目標がないことなど,多くの課題がある。リチウムイオン電池のマテリアルフローに関しては,年間排出量約 1.6 万 ton (2019 年) とする環境省推計がある一方,排出先の情報が限られており,処理施設に混入する量の推計精度を向上させる必要がある。火災等の発生を背景として,環境省は排出状況や自治体の先進事例を調査して 「リチウム蓄電池等処理困難物対策集」 をとりまとめ,経済産業省でも資源有効利用促進法の在り方に関する検討を行なってきた。今後の課題として,安全確保を考慮した回収の責務と意義の見直しの必要性を論じた。
著者
所 千晴
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.181-187, 2022-05-31 (Released:2023-05-31)
参考文献数
20

使用済みリチウムイオン電池からコバルト,ニッケル,銅等を回収するための分離プロセスを概観した。現在リサイクルプロセスの主流となりつつある焙焼プロセスが,安全上,また分離の効率上,重要な役割を果たしていることを示した。さらに,粉砕や物理選別からなる物理的分離プロセスによって,ブラックマスと呼ばれる正極活物質と,銅,鉄,アルミニウムに分離され,分離された正極活物質はさらに酸浸出や溶媒抽出によってコバルトやニッケルに分離されるフローを紹介した。また,サーキュラー・エコノミーの概念にもあるように,内側の資源循環ループを創成すべく焙焼なしの分離プロセスが検討されていることを紹介するとともに,筆者らが取り組んでいる電気パルス法によるアルミニウムと正極活物質粒子との分離技術開発を紹介した。
著者
橋本 英喜
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.188-195, 2022-05-31 (Released:2023-05-31)
参考文献数
10

自動車メーカー各社による製品電動化の加速により今後相当量の高電圧バッテリーが必要になってくる。そのような中,リチウムイオン電池 (以下,LiB) は有力候補であり,既にハイブリッド車 (以下,HEV) に大量に搭載されている。 今後 2023 年頃には HEV 上市から 10 年が経過し,それらが商品としての寿命を終え,大量廃棄時代を迎えようとしている。その際に予想される社会環境側面と資源側面双方のリスクを回避すべく,本田技研工業 (株) は LiB の適正処理の手法として,低コストかつ低消費エネルギーな分解・材料分別回収および希少資源のニッケル (Ni) コバルト (Co) 合金再資源化技術を,東北大学 柴田悦郎氏による学術指導のもと,松田産業 (株) と日本重化学工業 (株) とともに開発してきた。今回はその開発に向けた検討内容について報告する。
著者
小松 浩平 境 健一郎 飯野 智之
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.196-203, 2022-05-31 (Released:2023-05-31)
参考文献数
8

2050 年カーボンニュートラル必達のためには蓄電池 (LIB) を最大限活用する必要があるが,素材の開発やリサイクル等の資源循環を含めた電池サプライチェーン全体の強化が必須となる。LIB の処理においては,発火等の安全面での懸念がある他,適切な処理をしないと金属資源を回収できないことから,安全で効率的なリサイクルシステムの構築が鍵となる。太平洋セメント (株) (当社) と松田産業 (株) は 2011 年よりセメント製造設備を活用した LIB のリサイクル技術の開発を進めており,2017 年には当社グループ会社である敦賀セメント (株) 内に焙焼設備を併設し,世界初となるセメント製造工程を活用した実証試験を開始した。2020 年からは産業廃棄物として排出される LIB のリサイクル事業を実施しており,これまでに 40 種を越える車載用の大型 LIB や定置用 LIB を焙焼した。今後も本システムのさらなる規模拡大による『低環境負荷処理』『金属資源循環』を通じ,LIB の資源循環に貢献したい。
著者
中谷 隼 平尾 雅彦
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.21, no.5, pp.309-317, 2010 (Released:2014-12-19)
参考文献数
19
被引用文献数
3 1

容器包装プラスチックのリサイクルの意義や材料リサイクルの優先的な取り扱いへの疑問に応えるためにも,材料リサイクル,ケミカルリサイクル,エネルギー回収といったさまざまなリサイクル手法による環境負荷や資源消費の削減効果を客観的に評価することが求められている。本稿では,これまでの容器包装プラスチックリサイクルのライフサイクル評価 (LCA:Life Cycle Assessment) の事例をレビューして,さまざまなリサイクル手法による二酸化炭素 (CO2) 排出の削減効果について考察した。その中で,システム境界や代替される製品の設定によって評価結果が影響されることに言及し,容器包装プラスチックリサイクルのLCA評価に残された課題について述べた。
著者
田村 賢 杉山 耕平
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会論文誌 (ISSN:18835856)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.29-37, 2019 (Released:2019-03-08)
参考文献数
22

カキ殻の有効利用法を開拓し,廃棄カキ殻の利用価値を向上させるために,本研究ではカキ殻粉末が陶器釉薬として容易に利用できるよう,施釉・焼成方法を確立した。ハンマーミルを用いて作製されたカキ殻粉末が市販の精製 CaCO3 粉末の代替品として釉薬の原料に使用できることを確認し,カキ殻粉末と粘土の混合系においてカキ殻粉末が過不足なく粘土と反応し,質の良いガラス層が得られる配合割合と焼成条件を明らかにした。鉄分や他の不純物元素を少量含んでいる天然粘土 (信楽粘土) とカキ殻粉末の混合系ではカキ殻粉末の配合割合が 30 wt% と 33 wt% のものが焼成温度1,200℃で溶融する。このうち,流動性に優れるのは 30 wt% のものであった。この配合割合 30 wt% のものを釉薬とし,実用品 (皿) として造形した素焼き基材の表面に塗布して焼成 (1,250℃で 1 h 保持) した結果,高い表面品質をもつ製品が得られた。
著者
山崎 達雄
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第24回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.119, 2013 (Released:2014-01-21)

絵葉書の発行が、日本で始めて認められるのは明治33年(1900)。名所旧跡・社寺、仏像彫刻・名画、汽車・船・飛行機の乗り物、俳優や花街の名妓、駅や浄水場等の建物・施設、博覧会や災害等、あらゆる事象が絵葉書の題材として取り上げられています。 当時、最新の技術を集めた塵芥焼却炉も、塵芥焼却炉の竣工に併せて、京都市、大阪市、東京市、名古屋市や一宮市等で、それぞれ特徴のある絵葉書が発行されている。その内容を紹介したい。
著者
立田 真文 山田 宏志
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第22回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.80, 2011 (Released:2011-11-07)

釣りをする場合、針に餌をつけそのまま水に垂らしても、針は浮いてしまう。そのため、錘を着用するが、その錘は、コストの面と加工性の優位性によりそのほとんど鉛から作られている。一本釣りだけでなく、他の漁法である底引き網や定置網等の網の部分やそれを支えるロープの部分も、錘がなければ浮いてしまうので、鉛製の錘を装着することが当然のこととしてある。よって、現在の鉛の錘の代替品が見当たらない状況においては、漁業と鉛の関係は切り離すことができない状況である。 本研究では、寒ブリで有名な富山県の定置網における漁網を取り挙げ、その適正処理とリサイクルへの課題を検討した。
著者
福島 正明 伊部 英紀 若井 慶治 杉山 英一 安部 裕宣 呉 倍莉 北川 希代彦 鶴賀 重徳 志村 勝美 小野 栄一
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会論文誌 (ISSN:18835856)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.114-126, 2011 (Released:2011-05-11)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

PVCとPETを含む容器包装混合廃プラスチック油化処理技術において,外熱式ロータリーキルンを使用した熱分解装置の開発を行い,下記の結果を得た。(1)PVCとPETを含む混合廃プラスチックの熱分解油収率は,3P(PE, PP, PS) の熱分解油収率に比べて約20~30wt%低く,熱分解残渣は約20wt%高い。(2)ロータリーキルンは,連続処理運転よりもセミバッチ処理運転 (脱塩後の溶融プラ投入を一時停止し熱分解・残渣排出) が熱分解油の収率が高い。(3)脱塩素プロセスと熱分解プロセスを分離し,脱塩素と熱分解の同時並行処理を行い,熱分解の効率化を図ることができた。(4)脱塩素から熱分解まで装置を垂直に配置し,ポンプ等の移送設備を使用しない重力移送方式を採用し,溶融プラの流動性悪化に起因したトラブル発生を防止することができた。(5)廃プラ熱分解油は石油化学原料化が可能であることが明らかとなり,フィードストックリサイクルの対象油を軽質油から分解油に広げることが可能となった。
著者
池田 由起 石塚 譲 入江 正和 亀岡 俊則 石渡 卓 鈴木 孝彦 松田 行雄
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.246-255, 2004-07-31 (Released:2010-05-31)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

都市域で発生する多様な食品残渣の中から, おから, 寿司残渣, 練り製品残渣を原料として選択し, これらを気流乾燥機で乾燥した後, 回収魚アラから造られたアラミール等を添加して, マダイ用ペレット飼料を製造し, その成分を把握した。この食品残渣配合マダイ用ペレット飼料 (以下, リサイクル飼料と略す) の効果を調べるために, 63日間養殖マダイに給与して, マダイの成長等に及ぼす影響について, 市販マダイ用配合飼料と比較検討した。その結果, リサイクル飼料は, 市販配合飼料に劣らない効果を持ち, マダイの養殖に利用可能であることがわかった。食品残渣の乾燥・ペレット製造工程を最適化した食品残渣配合マダイ用ペレット飼料化システムにおける製造コストを試算し, 本システムの事業採算性を検討した。リサイクル飼料生産量6 ton/日において, IRR (Internal Rate of Return) =10%となるリサイクル飼料の販売価格は, 市販ペレット飼料と同程度となった。
著者
朱 愛軍 覃 宇 謝 成磊 李 玉友
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.280-291, 2021-07-31 (Released:2022-07-31)
参考文献数
34

脱炭素や循環型社会の実現のために,バイオマスの利活用がますます重要になってきている。近年メタン発酵によるバイオメタン生成とバイオガス発電が注目されている。本稿ではバイオガスの生成に関する研究動向を総括するために,まずデータベース Web of Science を用いて,バイオガスに関する研究論文の年間発表状況をまとめた。次にメタン発酵技術に焦点を絞り,プロセスの効率化と安定化を向上させるためのさまざまな強化技術 (前処理,添加材および混合消化) をレビューした。また,筆者らが近年行なった都市廃棄物系バイオマス (生ごみ,下水汚泥および紙ごみ) の混合メタン発酵研究を紹介した。最後に,日本で実装化されているメタン発酵プラントの代表的事例を取りあげ,応用拡大の可能性を展望した。
著者
橋本 征二 寺島 泰
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.11, no.5, pp.271-279, 2000-09-30 (Released:2010-05-31)
参考文献数
26
被引用文献数
13 7

建築物を対象として解体廃棄物の発生予測手法を検討するとともに, わが国の近未来における建築物解体廃棄物 (いくつかの有害廃棄物および有害物質を発生させる可能性のある廃棄物を含む) の発生予測を行い, 以下の結論を得た。1) 解体建築物量の予測手法を, 既存の統計データおよび建築物の寿命変化に対応できるものとして改善した。2) 建築物解体廃棄物量の統計値は, 過小推計となっている可能性が高い。3) 解体廃棄物の発生量は2010年には1990年比で2倍程度になると予測された。木造と非木造を比較すると, 今後は非木造からの発生が相対的に大きくなるが, その増加の主要因はコンクリートがらである。また, CCA処理木材, 塩化ビニルの増加が顕著であり, 2010年には1990年比で3倍程度になると予測された。
著者
山路 悠太 藤田 豊久 ドドビバ ジョルジ
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第21回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.93, 2010 (Released:2010-11-07)

近年、リチウムイオン電池の需要は増加してきている。リチウムイオン電池にはコバルトなどレアメタルを含む多数の金属が含まれているが、現行のリサイクル技術では回収品位も低くコスト的な無駄も多い。そこで本研究では容易で低コストで容易な物理選別を用いて電池の成分を分離し、その後、コバルトの回収品位を高めた。
著者
大西 豊 西村 文武 藤原 拓 小野 芳朗
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会研究発表会講演論文集 第18回廃棄物学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.236, 2007 (Released:2007-11-23)

ポリ塩化ビニル製品からの溶出物質として親水性の有機物,とりわけ多くの浸出水中で検出されるフェノール類を対象として本研究ではとくに埋立直後に上昇すると考えられる内部温度に注目してまたポリ塩化ビニル製品の材質について,製品の硬度に注目し溶出試験を行った.
著者
原田 征宏 崎田 省吾 西本 潤 西村 和之
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第25回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.425, 2014 (Released:2014-12-16)

カキ殻には、重金属や有機汚濁物質などに対する吸着能があることが知られており、微生物の付着機能も期待できることから、付着残渣を除去し、有機物含有量を下げたカキ殻を埋め立てると、埋立層の安定化促進に寄与すると考えられる。 本研究では、廃カキ殻を埋立層に投入した際の影響を調べることを目的として、廃カキ殻の環境庁告示第13号法試験(JLT13) 、pH依存性試験、重金属または栄養塩類の吸着実験を行った。また、アルカリフォスファターゼ(ALP)活性を測定した。 埋立地の環境下では、廃カキ殻からの重金属の溶出は、埋立基準値未満となることが分かった。また、廃カキ殻には、重金属、PO43--P、NH4+-N、NO3--Nに対する吸着能があった。さらに、ALP活性が認められたことから、微生物付着担体としての機能も有すると考えられた。したがって、廃カキ殻には、浸出水に対する浄化能があることが示された。
著者
山川 肇 矢野 潤也
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.212-224, 2008 (Released:2009-03-10)
参考文献数
24

本研究では,ごみ処理事業の費用負担のあり方に関する研究の基礎として,戦後の有料化の変遷を明らかにした。戦後から現在までに実施されたごみ収集手数料に関する調査・資料をサーベイした結果,1) 家庭ごみ有料化都市は,戦後10年間でほぼ皆無の状態から約50%まで大きく増加し,その後1960年代後半から10年間で約10%まで大きく減少した。さらに1990年以降約15年間で再び約40%まで増加した。2) 事業系ごみを含むごみ処理事業の日本全体の手数料負担率は,無料化の進展にともない10%強から5%弱に減少した。3) 無料化進展以前の1957年における定額制の手数料水準は173円/月・世帯であった (物価調整済み)。これは2000年の従量制有料化都市における家計負担試算額の2分の1程度となった。
著者
古林 通孝 安田 直明
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.21, no.6, pp.395-403, 2010 (Released:2015-01-27)
参考文献数
26
被引用文献数
1

都市ごみ焼却施設の発電量向上策の一つの考え方として,窒素酸化物自主規制値緩和を取り上げ,窒素酸化物排出濃度の違いによる周辺環境への影響の度合いと,期待される発電増加量や温室効果ガス削減効果について整理した。都市ごみ焼却施設からの窒素酸化物排出濃度は,触媒脱硝装置などを採用しなくても,100~120ppm程度が期待される。そこで,簡易な大気拡散計算により,国内の建設予定施設の周辺地域の大気環境濃度を推算したところ,排出濃度が50ppm (触媒脱硝装置を採用) から120ppm (触媒脱硝装置を不採用) に緩和されても,二酸化窒素の環境基準に対して,1~4%程度の増加にとどまることが推測された。また,施設規模150ton⁄day×2炉の都市ごみ焼却施設について,自主規制値が50ppmから120ppmまで緩和されると,発電量として2,205MWh⁄年の増加が見込め,この発電増加量は1,237ton⁄年の二酸化炭素削減量に相当することが推察された。