著者
杜 盈吟 橋本 征二
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第32回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.139, 2021 (Released:2021-12-27)

私たちが日常使用しているプラスチック製品は機能性に優れ大変便利なものである。しかし、こうしたプラスチック製品の使用については、様々な問題が指摘されている。先行研究として、いくつかの使い捨てプラスチック製品を紙製品で材料代替した際の環境影響をライフサイクルアセスメントで評価したが、対象製品の拡張やより詳細な分析が課題となっていた。本研究では、対象製品を拡張するとともに、ソフトウェアとしてMiLCA、最新のLCAデータ(IDEA ver2.3)を用いて分析を行った。プラスチック製品、紙製品(プラスチックによるコーティングの設定を含む)の重量を計測・設定し、対応プロセスのデータを用いた。結果として、多くの製品について「気候変動」「資源消費」「エネルギー消費」などの評価項目で紙製品が優位となったが、「廃棄物」「富栄養化」「生態毒性」「水資源消費」「土地利用」等の評価項目で紙製品が劣位となった。
著者
平井 和彦 中澤 亮二 亀崎 悠
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第30回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.195, 2019 (Released:2019-11-20)

化合物系(CIS系)太陽電池は現在主流である結晶系太陽電池に比べて、省資源かつ低コストで生産が可能であり、性能の向上に伴い、シェアの増加が見込まれている。普及に伴い、廃棄されたパネルからの有価物の回収等のリサイクルの需要も高まると推測される。化合物系(CIS系)太陽電池パネルのリサイクル方法として、高濃度の酸や強塩基を使用した方法などが提案されているが、取り扱いの難しい高濃度溶液でなければ短時間での処理は難しいといった課題がある。本研究では破損して廃棄された化合物系(CIS系)太陽電池パネルのリサイクルの効率化を目的として、弱酸によるZn層の湿式処理に超音波を利用した効率的なパネルの剥離方法について検討した。化合物系(CIS系)太陽電池パネルのリサイクル方法の一つとして、弱酸によるZn層の湿式処理に超音波を利用することで、浸漬や振とうに比べると処理時間を著しく短縮できることが分かった。
著者
野田 松平
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.387-392, 2019-11-30 (Released:2020-11-30)
参考文献数
6

太陽光発電設備の大量導入が進み,寿命に到達して大量のパネルが廃棄されはじめるとされる2030 年代が来る前に,九州では 2020 年度に点検・保守により交換される廃棄パネルが年間約 200 ton (2 MW に相当) に上ると推計されている。われわれは,その廃棄パネルのリサイクルを推進すべく,2018 年「福岡県太陽光発電 (PV) 保守・リサイクル推進協議会」を設立し,廃棄パネル回収システムを含む「廃棄パネルリサイクルシステム」の構築を始めた。現在,クラウドを通して会員間で情報を共有し,IoT を活用した効率的回収を目指す「スマート回収支援システム」を開発中である。実証試験により本システムの有効性を確認した後,2020 年度には電子マニフェストとの連携も可能とし,本システムの充実化を図る。ここで重要なことは,本リサイクルシステムの持続性であり,そのためには前記協議会が自立して持続可能な機関になる必要があり,並行して自立化のための独自技術開発を始めたところである。
著者
二瓶 泰雄 片岡 智哉
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.309-316, 2018-07-31 (Released:2019-07-31)
参考文献数
18
被引用文献数
1

本報では,海洋プラスチックごみやマイクロプラスチックの発生源と考えられる陸域・河川ごみの動態を示すために,多くの現地調査事例に基づいて,河川におけるごみ (川ごみ) の輸送状況やごみ組成を示すとともに,日本の河川におけるマイクロプラスチック汚染状況の実態を取りまとめた。その結果,川ごみは出水時に大量に輸送され,川ごみ全体の 6 %がプラスチック等の人工系ごみであった。マイクロプラスチックに関しては,全 23 河川で発見されたこと,流域の市街化が進んでいる河川のほうがマイクロプラスチック汚染が進んでいることも示された。さらに,海洋プラスチックごみおよびマイクロプラスチック対策としての河川におけるごみ捕捉技術の可能性について言及した。
著者
坪井 俊貴 田村 典敏 野村 幸治 石田 泰之 樋口 壯太郎
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.25, 2014

廃棄物処理処分に伴い排出される副生塩は、有効な処理処分方法あるいは資源化の方法がなく、最終処分場で保管または廃棄物として処理されているのが現状である。このような背景下で副生塩のリサイクル方法の一つとして、道路凍結防止剤や除草剤がある。この中で電気分解により次亜塩素酸ナトリウムを生成し、滅菌剤として利用する方法が実用化され始めた。副生塩には塩素とカリウムが含まれ、電気分解にかけると次亜塩素酸ナトリウムに次亜塩素酸カリウムが混在し、通常のソーダ工業の製品として流通できない。しかし、カリウムが含有されていても滅菌効果には支障がないため純正の次亜塩素酸ナトリウムに対してエコ次亜と呼称している。今回、放射能に汚染された焼却飛灰を水洗除染し、排水中の放射性セシウムを吸着剤により除去した後、イオン交換樹脂を用いて高濃度カルシウムを低減化した洗浄排水を用いて、エコ次亜生成実験及び自己酸化実験を行った。
著者
盧 現軍 松本 亨 高 頴楠
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.21, pp.20-20, 2010

中国の経済発展と所得水準の向上に伴い携帯電話の買換えサイクルは短くなっており、全国平均で2年、大都市の北京、上海などでは18か月しかないようだ。そのため、毎年、大量の使用済み携帯電話が発生している。資源節約や環境保護のため、中国では使用済み携帯電話の回収・リサイクルに対して、今後関心が高くなると思われる。本研究では、中国の使用済み携帯電話のフローを明らかにし、それを元に、フローに関わる制度・参画者の日中比較を行うことで、これまでの両国の経験を参考にする部分が存在するのか否かについて考察を加えることを目的とする
著者
鈴木 和将 大畠 誠 川本 克也
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会論文誌 (ISSN:18835856)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.157-171, 2012 (Released:2012-09-22)
参考文献数
10
被引用文献数
1

近年,ごみ焼却施設は,公衆衛生の向上,環境保全といった目的だけでなく,地球温暖化防止,資源・エネルギー消費の抑制等,低炭素・循環型社会に果たす役割が強く求められている。本研究は,ごみ焼却施設の低炭素・循環型社会への適合性を評価する手法の開発を目的として,15の焼却施設に対してLCA等の詳細調査を行い,評価指標の検討を行った。その結果,評価指標として,投入されるエネルギー量,CO2排出量,搬出残渣量等を抽出した。また,施設から外部へ供給する電気と熱という質の異なるエネルギーを同じ尺度で評価できる,外部へのエネルギー供給率を指標として提案した。さらに,これらの指標を用いて,発電効率の高い97焼却施設に適用評価し,ベストプラクティスである焼却施設の実態を把握するとともに,ベンチマーキングの基礎情報を得ることができた。また,これらの結果をわかりやすく示すことができるスコアリングおよび表示方法を提示した。
著者
稲村 光郎 八木 美雄
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第22回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.58, 2011 (Released:2011-11-07)

わが国の本格的な集団回収は、戦時体制下に生まれ、それは主として民間団体によるもので回収業者との軋轢もあったが、1937年からの国民精神総動員運動を背景に活発化した。しかし、国は不祥事を契機に抑制方針をとったが、一部の地方では婦人層や青年層を主体とする取組みが続けられた。1941年以後の、全国的に実施された町内会等による金属類の「特別回収」は、横流しを警戒し行政末端機構として行ったものとみられる。併せて、当時、米国で行われたコンテスト方式を紹介し、多様な方法があることを示した。
著者
藤井 実 中谷 隼 大迫 政浩 森口 祐一
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第20回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.76, 2009 (Released:2009-09-25)
被引用文献数
1

プラスチックのリサイクル方法はマテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、エネルギー回収と多様である。リサイクルによって代替される新規資源を設定して評価する従来のLCAによる評価でも、マテリアルリサイクルとエネルギー回収の差であれば、プラスチックの製造エネルギーを含めて代替されるか否かの差異として評価された。しかし、同じマテリアルリサイクルで、水平リサイクルとカスケードリサイクルを比較する際には、これらの差が結果に反映されない場合が多い。近年、使用済みPETボトルなどの廃プラスチックが海外に輸出され、リサイクルされている。国内のリサイクルは、海外でのリサイクルに比べて質の高いリサイクルを行っている場合があるが、これらの差異は従来のLCAでは十分に評価されていない場合が多い。本研究では、カスケードリサイクルとの相対的な水平リサイクルの効果を過不足なく評価する方法を検討する。
著者
大神 広記
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.408-412, 2019-11-30 (Released:2020-11-30)
被引用文献数
1

太陽電池発電設備は,耐用年数まで使用され,リユースやリサイクルが行われるものだけでない。近年,自然災害による太陽電池発電設備の損壊事故も多数発生している。自然災害により太陽電池発電設備にどのような事故が起きているのか,電気事業法における事故報告から,紹介する。 2018 年度に起こった,平成 30 年 7 月豪雨,台風 21 号,北海道胆振東部地震,台風 24 号による太陽電池発電所の事故報告は,計 48 件である。平成 30 年 7 月豪雨では,設備の立地地域における浸水や土砂崩れ等によるパネルやパワーコンディショナーの損傷といった被害が多い。台風では強風や高潮によるパネルの飛散や水没が多数発生。北海道胆振東部地震では,地震による地面の隆起,地割れ,液状化等に伴う架台,パネルの損傷や,パワーコンディショナーの短絡,地絡による運転機能喪失が発生した。
著者
石川 雅紀
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.106-114, 2019-03-30 (Released:2020-04-28)
参考文献数
15

海洋プラスチックごみ問題では,動的側面,国際的側面,問題・対策の多様性が重要であり,対策を考える上では,原因となる製品を A) 通常の使用状況でマイクロプラスチックとして排出する製品 ( 長寿命製品・短寿命製品 ),B) 散乱・不法投棄された後,その後マイクロプラスチック化する製品,C) 海洋に直接流出し,その後マイクロプラスチック化する製品に分類することを提案した。 対策の方向性としては,周辺途上国への日本の廃棄物管理制度確立の経験,技術,ノウハウ等の提供,支援,および,浮遊ごみの回収,および A) 群の製品 ( 歯磨き粉,洗顔料,タイヤ,人工芝,ドアマット等 ) に対する対策である。これらの製品の場合は,廃棄物問題として捉えられてこなかった問題であり,ただちに調査・研究するとともに,フローを抑制する対策が必要である。C) 群の漁具については,プラスチック使用量,排出量,産業廃棄物としての処理量等,基本的な情報がまったくなく,現状の把握が喫緊の課題であり,早急に調査を進めることが必要である。
著者
齊藤 由倫
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会論文誌 (ISSN:18835856)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.55-64, 2020 (Released:2020-09-24)
参考文献数
28

ごみ減量に関する意識高揚を目的に,市民アイデアコンテストが日本各地で行われている。本研究は,その応募作品から主要な応募者の意識を発掘できるかを実証分析するため,群馬県主催のコンテストを対象に応募作品のテキストマイニング分析を行った。応募者の 8 割超を占めた小学生の作品に焦点を絞って分析した結果,多くの小学生がもつ理解として,頻出名詞の「紙」「服」「ペットボトル」「皮 (食品廃棄として)」が指すごみへの問題意識が強いこと,ごみ種別ごとにリデュース,リユース,リサイクルのどれを推進すべきかの認識の強さが異なることが明らかとなった。一方,コンテストの一般的な審査による得点と抽出語の関係分析からは,言語的に他と類似しない一部の独創的な作品が高評価を得て入選しやすい特性が示された。したがって,応募者の多数意見を捉えることのできる本論の手法は,既存のコンテストに新たな付加価値を見出せることが期待された。
著者
栗田 弘幸
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.171-176, 2009 (Released:2013-12-18)
参考文献数
2

清水建設が環境ビジョンの一施策として推進しているCDM/JIプロジェクトであるコーカサス,中東,中央アジア,東南アジア地域での埋立処分場メタンガス回収プロジェクトを紹介する。現在,3案件の国連登録を完了し,3案件を国連登録中である。
著者
中俣 友子 阿部 恒之
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.304-308, 2018-07-31 (Released:2019-07-31)
参考文献数
24

本論は,著者が過去に行ったごみのポイ捨て対策のための研究 (実験室実験・現場実験) を紹介し,海洋ごみ対策に関してささやかな提言を試みたものである。実験室実験では,スライドを提示して一対比較でごみの捨てやすさを判断してもらった。現場実験では,宮城県仙台市と名取市の間を流れる名取川河畔に看板を設置し,ごみの量を実際に比較した。両実験とも,監視カメラの有無,先行ごみの有無,景観の違い (草むら・更地・花壇),看板の違い (無・目の絵・監視カメラ撮影画像) の 4 要因を検討した。その結果,監視性の確保,記述的規範への配慮,領域性の確保,情緒的ブレーキが有効なごみ対策になりうることが明らかになった。海洋ごみについても同様の対策が有効であると推測されるが,対策の対象地がごみに悩む現場にとどまらず,海の向こうにまで広がっていることが問題を複雑化している。
著者
河口 真理子
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.275-285, 2017-07-31 (Released:2019-08-29)
参考文献数
21

社会の持続可能性を高めるためには,企業のサプライチェーンを通じた環境社会配慮が不可欠だが,そのためには消費者と投資家からの働きかかけが必要である。エシカル消費が拡大すれば企業はエシカル商品開発に努力するし,ESG 投資の一環でサステナブルなサプライチェーンを投資家が評価するようになれば,企業は経営戦略の一環として取り組む。エシカル消費,ESG 投資いずれも日本での普及度は低いものの,最近いずれも注目度が上がっている。エシカル消費という言葉は知らなくても,環境や社会に配慮した買い物に賛同する消費者は 6 割以上にのぼる。ESG 投資は日本版スチュワードシップ・コード (SSC) とコーポレート・ガバナンスコード (CGC) 導入により,2014 年から 2016 年にかけて 7 倍以上に急拡大。しかし世界シェアでは 2%にすぎない。ESG 投資は倫理感ではなく運用パフォーマンス向上につながるとされ年金基金等,長期投資家の関心が高いことから今後も拡大が期待される。
著者
野崎 賢二 田野崎 隆雄 三浦 啓一 加藤 将裕 石川 嘉崇 長谷川 登
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会研究発表会講演論文集 第17回廃棄物学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.264, 2006 (Released:2006-10-20)

欧州では石炭灰を種々の分野で有効利用している。欧州では法令化と規格化が連動し、ユーロコート゛という体系化の元にフライアッシュの位置づけ、性能仕法により各国間の整合性を取ろうとしている。しかし英国規格を元にしているため、後からの加盟国の実情とそぐわない問題点が残されている。ユーロコート゛は今後地球温暖化等の環境面での配慮、品質ばらつきへの対処等の先進性も認められる。これがISO化された場合、JISもそれとの整合を求められる。
著者
大澤 正明 島岡 隆行 中山 裕文
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会論文誌 (ISSN:18835856)
巻号頁・発行日
vol.20, no.5, pp.291-302, 2009 (Released:2009-11-25)
参考文献数
22

わが国における廃棄物対策は公衆衛生の向上を目的とすることから始まったが,衛生状態が高いレベルで安定化している今日においては,公衆衛生対策としての貢献を評価されることは少なく,また,現在まで廃棄物対策が公衆衛生の向上のために何をどのようにして行い,その効果がいつ頃から現れてきたのかということに関して十分に検証されてこなかった。本研究では,廃棄物対策とりわけごみ処理に着目し,衛生状態の向上との関連性について検討した。その結果,ごみ処理は,上水道整備や下水道整備と並び,公衆衛生の向上に大きな貢献を果たしてきたことが明らかになった。特に,清掃法施行下の取り組みが大きな効果を発揮し,昭和50 (1975) 年前後におけるごみ焼却施設の基本的な整備の完了をもって,衛生対策としてのごみ処理の役割を達成していたことがわかった。
著者
白波瀬 朋子 貴田 晶子
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会論文誌 (ISSN:18835856)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.217-230, 2009 (Released:2009-09-16)
参考文献数
27
被引用文献数
5 6

廃パソコンを詳細解体し,化学分析により40元素について全含有量を求めた。パソコン1台中の基板約1kg (電源基板を除く) には,Ag, Au, Pd, Al, Cu, Pbがそれぞれ,0.79, 0.14, 0.19, 91, 187, 17.8g含まれ,そのうちマザーボードに含まれる割合は,Ag, Au, Pdは58%,Cuは66%であった。廃パソコン11kgに含まれるAg, Au, Pd, Al, Cu, Fe, Zn, Nd, Pbの含有量はそれぞれ,0.79, 0.14, 0.19, 420, 320, 7,200, 77, 23, 20gであった。また,Ni, Sn, Sb, Mg, Mnは57, 28, 2.1, 1.6, 1.0gと推定した。含有量が0.02g以下の金属元素は,Co, Nb, Cd, Te, V, Ga, Sc, 0.01g以下の金属元素は,Se, Ta, As, Bi, In, Hf, Ir, Li, Pt, Tl, Y等であった。2004年の廃パソコンの発生量747万台から,年間に廃棄されるパソコン中の金属量 (廃製品から回収しうる最大量) を推定し,Au, Ag, Pdについてそれぞれ,1.1, 5.9, 1.4tonと見積もった。
著者
香阪 絵里 古市 徹 石井 一英 谷川 昇
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会研究発表会講演論文集 第17回廃棄物学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.405, 2006 (Released:2006-10-20)

近年、畜産経営の急激な大規模化により増大した家畜ふん尿の処理が困難になり、野積み・素掘りなどの不適切な管理が増えている。野積み等は、家畜ふん尿の河川への流出や地下水への浸透などにより水質汚染を招く恐れがあるため、早急な解決を図る必要がある。しかし、実際に家畜ふん尿が環境に与える影響は不明確な部分が多く、窒素汚染の因果関係に基づいた対策が求められている。そこで本研究ではA川の現地調査を基に、家畜ふん尿による河川・地下水の窒素汚染解析モデルを構築し、因果関係を定量的に示した。このモデルでは、土地利用に応じて家畜ふん尿が堆積された牧場敷地または堆肥が散布された牧草地から、表流水、地下水を経由して全窒素が流出すると考えた。結果、牧場敷地からも牧草地からも同程度に地下水経由で河川へ流出していること、表流水より地下水の方が河川水質形成の寄与が大きいことを示した。
著者
山川 肇 佐藤 真行 杉浦 淳吉 福岡 雅子
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.21, pp.2-2, 2010

本稿では、販売包装に関する小売事業者の2Rの取り組みとして肉の袋入り販売を取り上げ、その先進事例の実態と容器包装の発生抑制効果について考察した。その結果、1)袋売りの対象となる肉はさまざまであり、袋の種類も事業者により違いがある、2)手間の増加があるという店舗もあったが大きな問題となっておらず、一方、コスト減や顧客増のメリットも見られる、3)鶏・モモ肉の場合、袋入りの売上割合は15~30%であり、すでに一定程度、消費者に受容されている、4)買うことはあるが毎回は購入しない主な理由は、安売りのときだけ買う、まとめ買いのときのみ買う、売り切れが多い、などであることがわかった。また5)今回の測定サンプルでは、真空パックを除き、袋包装の包装資材重量は2g前後、トレイ包装では6g前後となり、さらにごみ処理される包装ごみの削減率を試算したところ、1パックあたり6~52%となった。