著者
瀧 知惠美 須永 剛司
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.65, pp.494-495, 2018

デザインリフレクションとは、チームメンバーで実践知を共有し、メンバー同士のより良い関係性構築につなげる活動である。良い関係性のチームになることで、よりユーザーに利用されるサービス開発につなげることがこの研究の目的である。デザインリフレクションでは主に以下の項目を語り合う。1)苦労を語り合う。2)工夫を語り合う。3)ものごとを判断するときに大事にしている考え方を語り合う。4)やってみてわかったことを語り合う。本研究で扱う実践知とは、サービス開発をするメンバーが開発を展開するために無意識に方略としている行為とその行為の背景にある感情である。本稿では、Yahoo!天気・災害サービスの「避難場所マップ」を開発したチームで行ったデザインリフレクションについて考察する。この事例から、デザインリフレクションを実施する意味を3点見出した。1)自分たちの実践知の素材を見出す。2)実践知の共有によってメンバーの相互理解が深まる。3)チームメンバーとのより良い関わり合い方がわかる。
著者
立部 紀夫
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 45
巻号頁・発行日
pp.260-261, 1998-10-30 (Released:2017-11-08)

It was during the late Muromachi Era (1392-1573) that hairdresser's saloons first made their appearance on the streets of Kyoto. In the early hairdresser's saloons, hair on the upper front part of men's scalps (the area known as the "sakayaki") was plucked out with tweezers. Later during the Tensho eriod (1573-92), however, the new method of shaving the sakayaki with a razor was adopted. The tool that was used in hairdressing was shown on the signboard of hairdresser's saloons. Above change is remarkable with the fact that general objects illustrated on the signboards-tweezers in early times; replaced with razors at the next stage.
著者
大竹 美緒 山田 博之 小山 慎一
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.65, pp.444-445, 2018

他者からの視線は人に様々な影響をもたらすが、それは本物の人間の目に限ったことではない。イラストや作り物など、人工的な目をも人は他者からの視線だと認識する傾向がある。人工的に作られた目は状況や使い所によって、不快・恐怖などの負の印象から、愛らしさなどの正反対の印象を与えることも出来る。目単体に対する不快感を検証した例として、人間の目の写真を利用した研究は存在するものの、人工物の目を主題とした研究は今のところ見られない。また、実物・人工物に限らず、顔や身体全体の印象評価を行う為に目を主題として扱う研究は多数存在するが、目のみを対象とした研究は少ない。本研究の目的は、人工的な目が配置された空間が、そこに置かれた人々にどのような影響や効果をもたらすかを明らかにする事である。しかし本研究に関連する事象は未だ解明されていない事が多く、要因をひとつずつ検証していく必要がある。本実験では、先行研究である目の写真に対する不快感を検証した実験を、イラストの目に置き換えて実験を行った。その結果、実写の目とイラストの目が与える不快感には差があるという事が示された。
著者
万 人立 池亀 拓夫
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.5_23-5_32, 2017-01-31 (Released:2017-03-10)
参考文献数
15

18世紀半ばから19世紀にかけてイギリスで起きた産業革命は歴史上最大の転換期といわれている。そこには「自然環境破壊」や「劣悪な労働環境」といった今日と共通する問題が生じていた。これらの問題に対して、イギリスはさまざまな方策を駆使して乗り越えてきた。一連の流れは、後の<自然と歴史的環境を守る住民運動>ナショナル・トラストへと引き継がれていき、イギリスは今日のエシカル(倫理的)運動のマザーランド(発祥の地)として世界の注目を集めることになった。 本稿では、第1に「世界のエシカルブランド」の現状について、第2に「中国におけるエシカル動向」の現状と今後の方向性について考察する。最後に、筆者(万人立)の母国・中国の今後の持続的発展のためには、エシカル(倫理的)という視点が不可欠であること、そうしてはじめて中国の産業が次世代型へと転換し、新しい社会の誕生につながることを提案したい。
著者
國村 大喜 五十嵐 浩也 蓮見 孝
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第57回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.P31, 2010 (Released:2010-06-15)

私達は足を怪我した場合、松葉杖を使用する。松葉杖は、使用時に両手で握らなくてはならず、手が使えない不便な生活を強制する製品といえる。それにも関わらず、大昔からその形状は変わっていない。 ここに問題点を見いだし、本研究では片下肢を完全免荷したままでの歩行を可能にする歩行補助具「pivot-walker」およびそれを用いた歩行方法である「ピボット歩行」の提案を行った。pivot-walker は移動時に片手を自由に、直立位で両手を自由にすることが出来る。 松葉杖生活は両手が使えない、という常識を覆す画期的な歩行補助具といえる。
著者
永井 由佳里 野口 尚孝
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.185-194, 2001-11-30 (Released:2017-07-19)
参考文献数
5
被引用文献数
6

デザインの創造的な思考過程を言葉から形への変換過程と考えた場合, デザイン目標として与えられたキーワードによってどのように思考モードが異なるかを知るため, 約80人の被験者に実験をおこなった.まず形への変換の難易度が異なる二種類の言葉からそれらに相応しい花瓶の形を考えさせる課題を課した.その結果, 形に結びつきにくい言葉の場合はキーワードから連想できる具体的な事実や対象を描くことから花瓶の形を考える傾向があることがわかった.次に「悲しい気持ちにさせる」というキーワードに相応しい椅子の形を考えさせた.その結果, 形に結びつきにくい言葉の場合, ドローイングの過程でキーワードから思い浮かべられる人間の姿勢やものの状態などを媒介にして, 言葉の意味を形に近いレベルにまで構造化し, 椅子の形に結びつけていることがわかった.以上から, デザイン思考過程における思考の抽象度をデザイン目標から形としてのデザインの創出までの距離として考えれば, この距離が長いほど思考の努力が必要であり, その過程でのドローイングの役割も大きいことが推測できた.
著者
蛭田 直 吉川 義盛
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究作品集 (ISSN:13418475)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.1_14-1_19, 2017-03-31 (Released:2017-07-08)

本作品は、正三角形のユニットによる平面充填において、リアルタイムに全体を確認したり、並び替えしたりしながらパターンデザインができる初級者、中級者に向けたウェブアプリケーションである(図1)。パターンデザインは、布製品や壁紙、グラフィックの背景など、日常の様々な場面で使用されるとても身近なデザインである。しかし、制作の行程おいて全体の様子や角度を変えた際の組みあわせを幾通りも想像しながらユニットのデザインをすることは経験があっても難しい。本作品は、リアルタイムにパターンデザインの全体を確認したり、並び替えをしたりしながらユニットのデザインを可能にすることで、これまでに多くの時間を費やしていた複製や並び替えの行程を解決した。本作品は、初級者にパターンデザインの魅力と作り方を、中級者はより高度なパターンデザインの学習や制作を追求できる環境を提供する。
著者
福田 粛
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 47
巻号頁・発行日
pp.98-99, 2000-10-16 (Released:2017-11-08)

I proposed 「ln-scape Design」 about interior space design contained planning method . And I investigated some landscape designs of national parks in USA and some cities in ASIA, USA and EUROPE standing point of In scape Design. All about landscape design as human living environment and space, we need the design like in-scape design. I call this In-scape design 「personal-Scape Design」 unlimited public or private space, interior or exterior space. This Personal Design is the human scale in all about landscape design. In landscape design, we use each design-scale. But in all of design, the Personal Design must be expressed. And these differences of the scales are provinces of landscape-design.
著者
森 優子
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.65, pp.446-447, 2018

東大阪市に位置する花園ラグビー場が、2019年のラグビーワールドカップ開催地の一つとなったことから、海外からも多くの人が市を訪れることが予想されるため、現在、公共サインの整備が進行している。東大阪市では、公共サイン設置基準等により基準が定められていたが、デザインに関する具体的な基準はなかった。本研究は、東大阪市における良好な景観形成のための公共サインの整備推進に寄与するピクトグラムデザインを提示することを目的に、2016年度より開始された東大阪市公共サインデザイン整備推進事業の一部として行った制作過程について考察する。
著者
伊豆 裕一 佐藤 浩一郎 加藤 健郎 氏家 良樹 松岡 由幸
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.4_61-4_70, 2012 (Released:2013-01-17)
参考文献数
14

デザイン発想におけるスケッチの活用には,多くの効果が確認されている.しかしながら,従来の研究では,それらの効果に対して,透視図法や陰影表現などのスケッチスキルがどのように影響するかは明らかにされていない.本稿では,プロダクトデザインにおけるデザイン発想に対するスケッチスキルの効果や役割の解明を目的に,スケッチスキルを構成する要因とその関係性を明確化した.具体的には,スケッチ教育におけるスケッチスキルの習得プロセスの観察を行い,同教育の受講生が描いたスケッチの評価を行った.その評価結果を,ISM,数量化III類,およびクラスター分析を用いて分析することで,スケッチスキルを構成する要因間の関係を明らかにし,スケッチスキルの構造モデルを提案した.これにより,スケッチスキルの合目的な活用・習得方法の解明が可能となり,スケッチスキルの効果や役割の明確化の一助とした.
著者
谷 誉志雄
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.91-100, 2001-03-31 (Released:2017-07-21)
参考文献数
2

アメリカのジェイムス・クレノフとウェンデル・カースル、イギリスのデヴィッド・パイとジョン・メイクピースには、現代木工芸の動向を概観するうえで、典型となりうる造形表現の手法と工芸思想が認められる。クレノフとパイは、工芸におけるアマチュアリズムの考え方を提唱している。彼らが目標としているのは、作品のオリジナリティー、つまり「フォルムの差異」を追究することではなく、木がもっている親密なクオリティを「真のアマチュア」の仕事で作品に結実させることである。現代の人工的環境が失った美的クオリティの探究が工芸の存在理由であるとクレノフとパイは考えている。作品はもとより、教育と著作を通じてこのような思想が支持されていることは彼らの大きな業績である。対照的にメイクピースとカースルは、フォルムに量産品との能動的な差異を求め、ダイナミックに変貌する造形スタイルを展開している。4人の著名な作家を例にとって見たイギリスとアメリカの現代木工芸は、造形スタイルと工芸思想の対蹠的構図を端的に示している。
著者
星野 浩司 青木 幹太 井上 友子 佐藤 佳代 佐藤 慈 進藤 環
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第65回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.298-299, 2018 (Released:2018-06-21)

本研究では、福岡市南区の商店街におけるブランディングを目的とした活性化事業として、本学の芸術学部と福岡市、長住大通り商店街(福岡市南区)の産官学が協働で取り組む、産官学連携型のキャリア教育・専門教育を目的とした人材育成教育プログラムの実践を行った。小学生による長住大通り商店街の店舗コマーシャルの制作をワークショップ形式で実施する取り組みや、長住地区についてゲーム形式で学習するアーケード型ゲームコンテンツの開発を行っている。これらの取り組みを通して高齢化や人口流出の問題、生活様式の変化による商店街衰退の現状について直に触れることで、地域が抱える課題解決に向けた打開策の必要性という切迫した状況を理解する機会を得ることが出来た。また、授業で学んだ知識や技術の応用として学外での本取組みの中で、問題の解決や渉外交渉を通し、主体性を持った行動力とコミュニケーション能力の育成を図ることが出来たと考える。
著者
久保 光徳 矢久保 空遥 田内 隆利 寺内 文雄 青木 弘行
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.75-78, 2011-09-30 (Released:2017-08-31)
参考文献数
7

人の手によって自然発生的に生み出され,そして日常において使用されて来ている民具の一つの背負子の形状に注目し,そこに隠されていると思われる力学的な意味を明らかにするために,初等的な材料力学および構造力学の手法を用いて力学的な形状評価を試みた。背負子が背負われた時の力学的状況をシミュレートするための典型的な背負子の有限要素モデルを定義した。この有限要素モデルに実際の使用を想定した荷重条件を与え算出した背負子上の応力分布から,応力の主軸,せん断力,曲げモーメントの分布が求められた。そしてその結果に従って,さらに単純化された背負子の材料力学モデルを定義し,より単純化された形においてその形状の力学的意味を検討した。その結果,この材料力学モデルによる背負子形状の検討を通して,この背負子形状が,形状全体において,最適形状の一つである等応力形状に準ずる形であることを明らかにした。
著者
河瀬 絢子 崔 庭瑞 泉澤 恵 日比野 治雄 小山 慎一
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.4_35-4_42, 2015-11-30 (Released:2016-04-15)
参考文献数
22

本研究では,OTC 医薬品のブランドがOTC 医薬品選択時の消費者行動に与える影響について詳細に検討するため,OTC 医薬品選択時の眼球運動を計測した。被験者は,3種類のOTC 医薬品の中から最も購入したいと思った1品を選択した。課題遂行中,「製品名」,「成分」,「使用上の注意」などの12 の外箱記載項目に対する視点の停留時間と停留順序が求められた。その結果,被験者はナショナルブランド(NB)のOTC 医薬品選択時には「製品名」を最初かつ最長時間注視し,プライベートブランド(PB)では「キャッチコピー」を最初かつ最長時間注視する傾向が認められた。面積・面積比と停留時間の相関はPB の方がNB より大きく,NB・PB いずれにおいても色数と停留時間に有意な相関は認められなかった。以上の結果から,消費者はNBではブランド名,PB では詳細な情報に依存した選択を行うことが示唆された。
著者
丹羽 みずほ 木村 健一
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第63回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.191, 2016 (Released:2016-06-30)

北海道の舞踊であるYOSAKOIソーランは,24年の歴史を持ち,よさこいを踊る人数は約200万人に上るとも言われている.現在,YOSAKOIソーランの振り付けを記録する舞踊記譜法は確立されておらず,各チームで独自の方法が取られている.本研究では、特定のYOSAKOIソーランチームが新しい踊りを覚える際に使用可能な舞踊譜の制作を行いながら,舞踊記譜法に必要な構成要素を明らかにすることを目標とする.本研究では,メモの調査から,舞踊譜の構成要素として必要な要素は「身体の図解」「拍」「歌詞」「譜語」であると明らかにした.その後に,筆者自身が踊り手として踊った際の身体感覚を捉え,舞踊譜に落とし込んだ.その舞踊譜の評価を,グループインタビューを行い,そのプロトコルを分析したところ,伝わる「身体の図解」の特徴と,「譜語」の特徴が明らかになった.伝わる「身体の図解」の特徴は,腕と脚の形が示されていること,図解を踊り手の身体感覚と合わせることである.「譜語」の特徴としては,動作を具体的に表す言葉と,歌詞や仲間内で自然と生まれた言葉であった.
著者
阮 将軍 植田 憲
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第63回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.259, 2016 (Released:2016-06-30)

本研究は、今日消失の危機にある中国湖南省隆回県における花瑶族の挑花服飾文化を対象としたものである。挑花服飾の制作・使用・廃棄の各様態にみられる資源循環型生活の知恵を再認識することを目的とした。主として現地における聞き取り調査に基づき考察を行った。その結果、挑花服飾文化は、花瑶族の人びとが周囲の自然と寄り添うなかで、自然資源を徹底的に観察し利活用しつつ、主体的に構築してきたものであることを明らかとした。今後にあっては、その確かな理解に基づき、当該地域の生活文化を振興させていくことが求められている。
著者
西應 浩司 材野 博司 松原 斎樹
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 46
巻号頁・発行日
pp.126-127, 1999-10-15 (Released:2017-11-08)

An experiment was done in one grid shaped street and one irregularly twisted street. There were two ways to memorize forms in the experiment : a real walk through the pathway or a CG animation presented walk through the same pathway.After memorizing the course, the subject walked the pathway by himself. The subjects were 40(25 males and 15 females). As a result of analyzing the distance and angle errors on thecongnitive maps, it was recognized that the written lengths, concerning both gender, are smaller than the actual distances. Concerning a real walk through the irregularly twisted street, females angle errors which reference line and the line which each corner connected the starting point make were smallest.